夕焼け道を君と歩いて   作:赤瀬紅夜

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スケート靴を履いて。

「スケート、ですか?」

 

「うん、気晴らしに一緒にどうかなって」

 

場所は陽菜の家。

少しお邪魔して何処かに出かけようかというところでひとつ、提案をする。

実を言うと、余ったスケートの券を二枚貰っていてどうせなら陽菜と一緒に行こうと思っていた。

 

「わたし、実はスケート滑れないんです……」

 

「それなら教えてあげるよ」

 

「お願いしますね、マネージャーさん」

 

不安げな陽菜を連れて、スケートに行くことになった。

 

車を出して、数十分の所に連れて行く。

スケートリンク場は、今の期間は一般解放をしていてそれに乗じて遊ぶ形だ。

 

入り口で券と靴を交換してから進む。

 

「マネージャーさん、スケートの靴って少しキツいですね」

 

「あー、それは力が入りやすくしてあるんだ。転ばないようにね」

 

「物知りなんですね」

 

にこにこと笑顔を浮かべて靴を履き終え、ふらつく陽菜に手を貸しながらリンクまで歩いて行く。

 

氷の上に立つと、陽菜は危なかしげに壁に寄りかかっている。

 

「もしかして立てない?」

 

「……はい。その、怖くて」

 

陽菜の手をとってゆっくりと歩き出す。

最初こそふらついていた陽菜だったが、だんだんとコツを掴んだのかぎこちなく滑り出していた。

 

「マネージャーさん、手、絶対に離さないで下さいね」

 

心の底からお願いする様にしっかりと手を握って滑っている陽菜をとても愛おしく感じる。

 

普段からこんなに自らくっつきに来てくれたことはなかったから、少し新鮮でもあった。

 

「少し滑ろうか、手は離さないからね」

 

のんびりとしたペースで陽菜をつれてリンクの上を滑る。

時々楽しそうにほほえむ陽菜を見て、ここに連れてきてよかったと心の底から思う。

 

最近は、オーディションに行くことも決まり、張り切り過ぎていた気がしていたのでここで一息つけると良いなと、そっと願う。

 

そこから数時間遊び、滑れる様になったところで帰ることにする。

 

「痛っ……」

 

「大丈夫?もしかして怪我でもした?」

 

靴を脱ぐときに痛そうに顔を歪めた陽菜に声をかける。

どうやら靴ずれを起こしてしまったらしい。

 

「靴ずれか……それじゃ一応靴を履いてもらって、よっと」

 

「……!マネージャーさん、こんな所でお姫様抱っこなんて」

 

いいからいいから、そう声をかけて車まで運び込む。

車内に置いて置いた絆創膏を貼りながら今でも恥ずかしがっている陽菜を嗜める。

 

「今日は楽しかった?」

 

「はい。わたし、スケート滑れる様になって楽しかったです」

 

明日には治っているであろう靴ずれを少し心配したが、この分だと大丈夫だろう。

 

「そろそろ車出すけど、シートベルトは締めた?」

 

「はい、今日はありがとうございました」

 

バックミラー越しに見える陽菜のとびきりの笑顔を見て、来て良かったと心から思った。

 

そこからお昼を外食で済ませて、陽菜の家まで送る。

 

「あの、マネージャーさん……今日は私の家で泊まりませんか?」

 

陽菜の家の前で車を止めた所で、そう言われてしまう。

 

それって……まあ、そういうことか。

 

「明日は普通にレッスンだし、今日のところはやめておこうかな」

 

「でも、その……ここ最近何もしてくれない…」

 

そう呟いた陽菜の言葉に、心が痛む。

愛想を尽かしたわけでもないし、デートの回数も増えている。

だが、そういう行為自体はこちらが避けていたのはあるのだろう。

 

「……駐車場に車止めるね」

 

「それって…」

 

「夕飯を食べたら帰るから」

 

それでも、良いです。

 

そう言われて陽菜の家に導かれるようにして入る。

 

久しぶりに入った彼女の家はどこか懐かしい香りがした。




昨日は休んでしまいました……。

いやぁ、寝落ちしちゃって_:(´ཀ`」 ∠):

と。そんな感じで今日も更新ですよ〜!

陽菜ちゃんの家に入ってからは明日投稿予定です!
お楽しみにー!

それと、感想が多く来て嬉しかったです。

毎回感想は楽しみにしてるので、読んでる方はどんどん感想をお送りください!

ではでは〜

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