さて、総大将はどこだろう?さっきメールで本陣は総大将不在と言う連絡は来たが・・・・
「・・・・この音は・・・・」
甲高い笛の音、間違いない一子を呼び出す笛だ。つまりは・・・・
「あっちだな?」
この音が道しるべだ、工場内の設備の配置と音の反響角度を計算して・・・・
――――――
そうして俺が現場にたどり着いた時、目の前に広がっていた光景は想像以上だった。
「ピンチみたいだな大和」
「兄さん!?ナイスタイミング!!」
「フハハハハッ!!!また俺の出世の礎が増えたか!?」
確か・・・・資料の写真では黒髪だったはずの石田三郎が金髪になってる、具体的にはサ○ヤ人みたいな感じに。
「まぁ良い、下がってろ大和」
「一人で俺の相手をするか!光龍覚醒した俺に勝てる奴など川神百代ぐらいなものよ!!」
あちらでは一子が・・・・同級生かどうか怪しい男と薙刀と槍で打ち合っている。しかし百代ぐらいしか相手にならない・・・・とは大きく出たものだ。
「ならば川神流の秋山悠理として、お相手しよう」
「行くぞ雑兵!!イナズマブレイド!!!」
電撃に変換した気をまとった上段からの切り下ろしか、かなり速いし鋭い一撃だ・・・・が。
「遅い!!」
「なんだと!!?」
石田はかなりの使い手なのだろう、少なくとも壁手前の者たちではかなりの強さだ。だが俺のかつての鍛錬相手は剣聖黛十一段とその娘である由紀江なのだ、速く鋭いだけの斬撃など見切るのは簡単だ。
「川神流・・・・無双正拳突き!!」
「ぐっ・・・・がぁああああっ!!!」
避ければまだ可能性はあったのに真っ向からガードするとか・・・・ものの見事に吹き飛んでいった。
「きっ・・・・さまぁ・・・・」
「驚いたな、まだ意識があるか」
ガードをぶち破ってクリーンヒットさせたのに意識があるとか・・・・やっぱり腕力低めなのかな俺は。
「それ、だけの力が・・・・あって。なぜ・・・・無名のまま、で・・・・」
「俺は俺の我を通すために強くなった、それだけだ。必要以上に名を広めるつもりは無い」
俺の言葉を聞いた石田が、そのまま意識を失った。・・・・でそれで動揺した敵将を一子が見事に撃破、したところで拍手の音。
「二人ともすごく強いな、義経は感心した。・・・・これぐらい感心した!」
ポニーテールの黒髪少女がめいっぱい手を広げて眼を輝かせている。
「えっと・・・・」
「色々と聞きたい事もあるが・・・・どこのどちら様だ」
「自己紹介をしていなかったな、義経は源義経だ」
源義経とはまた・・・・あー、そう言えばヒュームさんたちが近々武士道プランと言う計画を発動すると言っていたがそれ関連かな?
「初めましてだな、秋山悠理だ」
「!キミが秋山君か!」
「知っていたか」
「うん、ヒュームさんやクラウディオさん、マープルさんから良く聞かされていた!」
すんごいメンバーから聞かされたものだ、どんな話をどんな評価で話されたかが気になるが。
「そうか、とりあえず・・・・義経と一子で勝鬨を上げてくれ」
「えぇ!?だが義経は戦っていないし・・・・」
「俺はこういうの苦手だからな、お願いだ」
少しだけ考える仕草をした義経が頷き、声を上げる。
「敵将!!全て打ち倒したぞ!!」
「勝鬨を上げろーー!!」
『うぉおおおおおおお!!!!!』
――――――
今目の前には西の大将石田が仁王立ちしている。
「おいお前、此度は俺の完敗だった」
なんでだろう、本来は「悔しいが俺の負けだ」みたいなセリフなのに凄まじく尊大に見える、ってか尊大。
「だが次は負けん!覚えておけ!!」
と、指差し叫びながら身を翻して去っていく。なんだったんだあれは・・・・
「さて、次は俺の番だな」
背後からのヒュームさんの声に背筋が凍り付く、予想だにしない来訪・・・・いや正直気づいていましたともあの人を殺せるような鋭く突き刺してくる視線。一挙手一投足を逃さず観察されていた事なんてとっくに分かっていましたとも、わかってて現実逃避したんです。
「先ずは今日の事だ」
ああ、やっぱりそれですよね。
「忍の暗器に気づかず射出させたばかりか分身する暇すら与えるとはな」
倒すなら暗器も出させず分身もさせずに倒せ、と。初見の相手だったし防衛優先だったから・・・・なんて言い訳は絶対に通じないだろう。
「が・・・・俺の教えた技はしっかり鍛錬していたようだな、見事だ」
「・・・・・・・・・・・・え?」
聞き間違いだろうか、今ヒュームさんが褒めた気がする。明日は隕石でも降ってくるんだろうか。
「おい、失礼な事を考えたな?」
「まさか、そんな事はありません」
やばいやばい、こんなところで蹴られたくはない。
「まぁ良い、義経には会ったな?」
「はい」
「明日からあの義経と紋様と俺を加えた六人が転入する事になる」
・・・・今聞いてはいけない事を聞いてしまった気はするが聞かなかった事にしよう。
「それでだ、学園にいる間は必ず従者部隊の誰かが紋様に付いているが場合によっては力量に不安のある者がつくかも知れない。そのときはお前がお守りしろ」
命令形だ、有無を言わさずと言うことだろうか。まぁ紋白様とは仲良いしいいけど。
「承知、ご用件はそれだけですか?」
「もう一つある」
ああ、あるんですねもう一つ。
「義経を含めたクローン四人の事だ」
「はい」
「特に義経だが源義経のクローンであるという事に重責を感じ気を常に張り詰めており、それがあらぬ失敗をうむのでは無いか、と紋様が懸念しておられる」
うんうん、まぁ第一印象で生真面目だなぁと思ったからそれもそうだろう。
「出来る限りで構わん、フォローしてやれ」
「他三人はいいのか?」
「他三人はそこまで気を張っていない、義経だけなのだ」
「分かりました、学友としてフォローしますよ」
その言葉に満足したのか身を翻し歩き出すヒューム・・・・が少し行ってから振り返る。
「ああそうだ、明日の放課後。九鬼極東本部まで来い・・・・必ずだ」
その言葉と共に姿が消えたのを見れば先ずはため息を一つ。
「何をさせる気だあの人は」
最近、従者部隊時代の癖からやや丁寧な言葉を使っていたのに思わず地が出た。
「・・・・まぁなるようにしかならないか・・・・」
もはや不安しか感じないなら開き直ってしまえ。それが結論だった。
TIP集
・光龍覚醒
天神館大将、石田三郎の必殺技。サ○ヤ人になれると噂だが・・・・発動しても結構やられる。
・おいお前、此度は俺の完敗だった
どこまでも我が道を行く石田三郎の一言。
・明日は隕石でも降ってくるんだろうか
この時の事を忍足あずみをはじめとした従者部隊の面々に話したところ「世界の終わりだ!!」とか「天変地異に備えて早退します」とか様々な反応が見られました。
・「ああそうだ、明日の放課後。九鬼極東本部まで来い・・・・必ずだ」
「おい、お前後で体育館裏な」的なノリにしか聞こえない一言。