真剣で私に恋しなさい!~零~   作:伯楽星

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第四話 決意

―2004年春―

椎名京、榊原小雪、葵冬馬、井上準(いのうえ じゅん)の四人が風間ファミリーへと加わって一年以上が経った。小雪の事件のあの後、逮捕された冬馬の父である葵紋病院院長と副院長に代わって葵紋病院の院長になった榊原(さかきばら)医師が小雪を引き取り、また『確かに親に罪はあったが子に罪は無い』と冬馬とそのお供で副院長の子でもある井上準をも引き取って育てる事を宣言し今ではかつての澱んだ目など一度も見せないでいる。

 

京と小雪はあれから大分変わった、当初はどこか沈んだ雰囲気ではあったが今ではあの頃の面影など無くすっかり明るくなって・・・・

 

「大和・・・・好き///」

「お兄ちゃーん♪」

 

時折トラウマが蘇りそうになっていた京を度々抱きしめ撫でて慰めていた大和と学校が違う故に家が同じな冬馬と準以外と中々会えない小雪の寂しさを紛らわすために頻繁に会っていた悠理は凄まじく懐かれ今では京が大和に告白するというプロセスが日常に何故か追加されており、俺は小雪からいつの間にかお兄ちゃん呼ばわりされていた、まぁ悪い気はしないが。

 

そんな日常の中、小学校生活も終わると言う頃悠理は一つの決意をしていた。

 

―川神院―

side 秋山悠理

 

川神院でも真剣勝負だけに使われる道場がある、そこに俺と鉄心さん、オヤジとルー師範代に釈迦堂さんが集まっていた。

 

「オヤジ、俺・・・・決心がついた」

「ほぉ・・・・」

 

差し向かいなのはオヤジと俺だけ、他の三人は思い思いの場所でこの話を聞いている。

 

「護りたいものが増えすぎた、だからこそ今のままじゃいけない」

 

小雪を助けた頃から、感じていた事だった。あの時もっと自分が強ければ怪我を負わずに済んだんじゃないか、あの時もっと強かったなら・・・・小雪を悲しませる事も無かったしファミリーの皆を、忠勝と一子、二人の弟妹を泣かせないで済んだんじゃないかと思うのだ。

 

だからこそ・・・・

 

「俺はもっと強くなりたい!護りたいもの全てを護りきるために!他でも無い・・・・俺自身のために!!!」

 

俺の心からの叫びだ、呆れられるだろうか、と言う思いもあるが言い切ってやった。

 

「ふぉふぉふぉ、青春じゃのう・・・・」

 

先ず声をだしたのは鉄心さんだった、まるで孫を見るような慈愛の目で見ている。

 

「あーあ、つまんねぇの。まっすぐなままワガママに歪みやがった」

 

つまらない、と言う割には楽しげに釈迦堂さんが嗤う。

 

「うんうん、私は応援するヨ」

 

そしてこちらも、楽しそうにルー師範代が笑っている。

 

「悠理」

「はい!」

 

そして最後、オヤジだ。

 

「お前が強くなりてーなら俺はそれを全力でサポートしてやる、そのためには一から鍛え直す・・・・よって生半可な真似はしねー。覚悟決めたな!?」

「無論!!」

「よし、なら爺さん!悪いが・・・・」

「分かっておる、中学は休学扱いにしておくから遠慮なくやるが良いぞい」

 

なんだろう、ものすごい勢いの話が進んでいる。

 

「お前を三年、いや四年で集中的に鍛える。で俺もついでに鍛え直す」

「はい」

「俺の持てる限りの全てを注ぎ込んで・・・・それこそ百代どころかこの世界の誰よりも強くなるようにしてやる・・・・だから命懸けでついて来い!!」

「応!!!」

 

――――――

んでもって小学生生活最後の集会でファミリーの皆にこのことを打ち明けた時、皆の反応は様々だった。

 

「修行の旅か・・・・楽しそうだなそれ!!」

「ガキんちょだなぁ・・・・ま、だからこそか」

「ハハハ!!俺様に全て任せな!!」

「岳人とかも出来るだけ抑えるから、だから安心して行ってきなよ」

「がんばー」

 

快く送り出す翔一、百代、岳人、卓也、京。

 

「うぇえええん゚(゚´Д`゚)゚」

「・・・・(´Д⊂グスン」

 

泣き顔の一子と小雪。

 

「・・・・本気で行くのか」

「まぁ色々と不安だけど・・・・残るメンバーが」

「少し寂しくなりますね」

「お前がいなくなったら誰がモモ先輩抑えんだよ」

 

若干の難色は示すがそれでも概ね送り出す方面の忠勝、大和、冬馬、準。

 

「悪いとは思うがな、だが俺も色々考えた結果だ」

 

百代以外の全員の頭を軽く、順番に撫でながら言う。

 

「泣きやめワン子にユッキー、お前らだって自分の道を進み始めたんだろ?だったら先に歩き始めたお前たちが送り出さないと」

 

一子は、半年ほど前に保護者である祖母が亡くなってから川神家に養子として引き取られた。その後川神院に正式に入門し川神院門下生、川神一子として武術家の道を歩み始めた。

小雪はあの事件以来、自分の身を護る何かを身につけたいと色々していたようだ。結果としてルー師範代が簡単な格闘術を伝授している・・・・正式な門下生では無いので技などは教えられていないが今では頭角を現し最近ではルー師範代が正式な入門を勧めているほどだ。

 

「うん・・・・」

「分かったよ・・・・」

 

ようやく泣き止んだ二人の頭を撫でる。

 

「大丈夫だ、絶対俺も戻ってくるから・・・・だから二人ともしっかり鍛錬してしっかり学んで、しっかり成長しろよ」

『うん!!』

 

よし、二人の元気な返事を聞けたから満足だ。

 

――――――

旅支度を済ませ川神駅へと向かうオヤジと俺、ふと気になり俺はオヤジに問いかけた。

 

「で?どこ行くんだ?」

「北陸、俺の知り合いに黛大成(まゆずみ たいせい)っていてな。そいつのところに先ずは一年ぐらい下宿させてもらいながら基礎鍛錬をしつつ対武器戦闘を学ばせる」

 

黛大成、確か現代でただ一人剣聖、十一段の名を持つ剣豪。知り合いだったとは・・・・このオヤジは一体どれぐらい人脈が広いんだろうか?

 

「俺の人脈を使い切ってお前を鍛えてやるからな」

 

オヤジの背中を見る。今までマジマジと見る事は少なかったが・・・・うん、本当の父親の背は知らないが実際にいたらこういう感じなんだろうなと思う。

 

新たな出会い、新たな地、これからに期待を寄せながら・・・・前へと進む―――




TIP集

・京が大和に告白するというプロセス
原作の主人公大和が誰かと付き合うまで・・・・誰かと付き合ってもなお続く強制イベント。

・いつの間にかお兄ちゃん呼ばわり
もはや妹が一人増えたところで気にならない、と悠理は語るのだが・・・・最終的に弟妹が五人にまで増える。

・まっすぐなままワガママに歪みやがった
釈迦堂さんは下手な熱血系より単純ながむしゃら系が好き。

・で俺もついでに鍛え直す
最近直接戦闘でルーと釈迦堂に勝てなくなった\(^o^)/
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