真剣で私に恋しなさい!~零~   作:伯楽星

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第六話 発露

side 序列???番 ???

 

くっ!?思った以上に数が多いな、クラウディオさんにステイシーさんがいるとは言え20対200ぐらいか?十倍の戦力差は厳しいものがある。潜入部隊側のあずみさんや李さんがいればもう少しとも思うが・・・・?

 

「アレは・・・・」

 

確か秋山悠理だっただろうか、ヒュームさんが連れてきた少年が全身真っ黒な男と打ち合っている。

 

「―――っ!?」

 

戦慄を覚えた、これだけ離れていても感じられる怖気と寒気、恐れたら負けだとあずみさんが良く言っているがそうだと分かっていても足が震える。

 

同じようにあの気を受けてしまったのだろうか、従者部隊が数名とあちら側の者が何人もバタバタと泡を吹いて倒れていく。

 

「・・・・なぜ・・・・」

 

これだけ離れている自分たちですらこうなのだ、あの少年が受けている気は尋常ではないだろう。なのに少年は恐れず立ち向かっていく。

 

「私は・・・・」

 

情けない、見ていることしかできない自分が・・・・そして思う、あの少年のように自分もと。

 

―――

side 秋山悠理

 

強い・・・・一撃一撃が確実に俺の急所を突きに来ている、今のところ防げてはいるがそれだけだ。反撃する隙間を見いだせないでいる。

 

「ハハハハハハハハハッ!!楽しい!楽しいなぁ少年んっ!!」

 

まったくもって楽しくない、まだルー師範代や釈迦堂さん、オヤジにボコボコにされて負けてた頃の方が楽しかったように思える。

 

「ぐっ・・・・」

 

徐々にさばききれなくなってきた、疲れか、もともとの実力差故かは分からない。だがなんとなく分かる・・・・今の俺ではこいつには勝てない。

 

「っ!?・・・・っは・・・・」

 

ほら見ろ、戦ってる最中に考え事なんてするから・・・・

 

「んーん、今殺すのが実に惜しいよ少年。あと五年・・・・いやせめて三年あったならもっともっと戦いがいのあるいーい武術家になってただろうにねぇ・・・・」

 

ああ、ダメだ。まともに呼吸も出来なけりゃ視界まで霞んできた、少しづつ意識が薄れていく・・・・

 

「でも今は今、君はここでTHE END・・・・じゃあねぇ♪」

 

振り下ろされた殺気塗れの抜き手、そして俺の意識は『ここで』途切れた・・・・

 

―――

side 黒条漆(こくじょう うるし)

 

あーあー、本当に惜しいなぁ。もっと鍛錬積んでからならとってもとっても面白い戦いができただろうに、いや今でも十分面白かったんだけどね?それでも仕事は仕事、例え子供だろうと『皆殺し』のオーダーが出ている以上遠慮も躊躇もないけどねぇ・・・・

 

「!?」

 

振り下ろしたボクの手が止められてる?意識、もうないはずだよね?

 

ミシッ

 

「!!?」

 

いやいやいや、ちょっと掴まれてるところが軋んで・・・・

 

ボキッ

 

「―――――――――っ!!!?」

 

っああああああああああああっ!!?なんっ!?

 

「ぎぁっ!?」

 

何なんだこれ!?さっきまでの彼に握力だけで気で強化されたボクの体を破壊するだけのパワーなんか無かったはずだ!!だが現実として今ボクの左手は一瞬でぐしゃぐしゃにされてる。うわぁ、骨まで突き出てるよ。

 

「何なのさ君は・・・・」

 

というか・・・・状況そのものの異常さに気づいてなかったけどさ・・・・この気の奔流は少年、君のモノなわけ?ああ・・・・ボクの見立ては間違っちゃいなかった、少年・・・・確か秋山悠理って名乗ってたっけ?彼は絶対に強くなる・・・・そんな強くなった少年とは戦えそうにないなコレ、いつの間にかもうかたっぽの腕とかも折られてるし。ああ・・・・本当に残念だ・・・・

 

――――――

side 秋山悠理

 

眼を開けるとそこには白い天井、痛む体を起こせばそこが病院だという事が分かる。

 

「起きたか悠理」

 

声に反応すればいすに座ったヒュームさんがいる。

 

「俺は・・・・あの黒い奴と戦って・・・・それで・・・・」

「結果論は君の勝ちだよねぇ」

「っ!?」

 

隣のベッドにいるのは間違いなくあの時の黒い男、しかし両腕にギプスを嵌めているが・・・・

 

「ああコレ?君にへし折られたんだけど・・・・その様子じゃあ覚えてないみたいだねぇ」

「俺・・・・が?」

 

記憶にない、それに俺にそんなパワーがあるわけがない・・・・百代じゃあるまいし。

 

「それで黒条とやら、お前は悠理のその時の状態をどう見た?」

「うーんん、説明は難しいんだよなぁ・・・・自己防衛本能と言う割にはあまりにも攻撃的すぎる、どちらかといえば自己生存本能とでも言うべきかな?奥底に秘められた莫大な潜在能力の・・・・それも一端が今回表に現れたって感じかな?」

「成程、道理で立花が時間をかけろと言うわけだ」

 

何やらヒュームさんが愉快そうに嗤う、しかし莫大な潜在能力?俺に?

 

「それは置いておくとして黒条漆、お前に選択肢は二つだ」

「んん?」

「怪我も完治せぬまま放り出されるか、怪我を完治させ九鬼に仕えるか」

「実質それ一択だよねぇ?まぁ・・・・そろそろ腰落ち着けたいしね役職と待遇は?」

「当面は従者部隊の一員として働いてもらう事になる」

 

従者?この人が?・・・・似合わねー

 

「ボクが従者?またまたご冗談を」

 

自分でも思っているらしい。

 

「安心しろ、俺と数人で代わる代わる付きっきりで従者のイロハを仕込んでやろう。元々戦闘能力は高いのだから直ぐに序列も上がるだろう」

「あっはっはっはっは・・・・マジですか?」

 

うん、俺も思うが黒条さんご愁傷様ってことで。

 

「さて、次はお前だ秋山悠理」

「はい」

「黒条からの攻撃による怪我はほぼない、黒条が浸透勁の使い手であった事を感謝するんだな」

 

浸透勁、体の内部に直接ダメージを与える厄介な代物と釈迦堂さんが確か言っていたような。

 

「来週から九鬼家従者部隊の見習いとして働いてもらう、俺の弟子になるとは言えタダ飯ぐらいを置いておくつもりはない」

「はい」

「黒条も同行させて俺と共に世界各地を巡ってもらう、俺の人脈で様々な武芸者と対戦もさせる。わずかな鍛錬と多くの実戦でお前を育てる、だから意地でも食いついてこい」

「はい」

 

ようやく修行だ、それに黒条さんが言うとおりに俺に莫大な潜在能力があるというならばいずれそれも使いこなせれば・・・・

 

「んじゃあ改めてさ」

 

黒条さんがベッドから身を乗り出して。

 

「手ぇこんなんだから握手は出来ないけど・・・・ボクは黒条漆だよ、宜しく」

「秋山悠理です、宜しく」

 

これが意外と付き合いの長くなる九鬼家の知り合いである黒条漆との出会いだった。




TIP集

・序列???番????
後々登場します。

・「怪我も完治せぬまま放り出されるか、怪我を完治させ九鬼に仕えるか」
事実上一択、それでも前者を選んだ貴方は勇者になれる(直後に魔王(ヒューム)に殺される)。

・意外と付き合いの長くなる
√分岐示唆?
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