真剣で私に恋しなさい!~零~   作:伯楽星

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そう言えばお気に入り登録件数が50を越えました!どうもありがとうございます。この話から本格的にマジ恋Sのストーリーに突入していきます。


第八話 Sの序章

転入してから一週間が経つ、転入当初こそは騒がれたものの風間ファミリーに加え英雄と知り合いと言う事であっという間に川神学園に馴染んでしまった。そんなある日の事・・・・全校朝礼での鉄心さんの一言だ。

 

「今週末、福岡の天神館と学年対抗の200対200の団体戦を行う事になった。これを『東西交流戦』とし各々全力を尽くし臨んでもらいたい」

 

当然ながら、学園全体が騒然とする。

 

嬉々として着手する者・・・・こちらは百代や翔一、一子、岳人が主である。

 

目標を設け挑む者・・・・由紀江や武蔵小杉と言った生徒が主となる。

 

正直どうでも良いと思う者・・・・京や大串スグルをはじめとした者が主である。

 

そして俺はと言えば・・・・

 

―川神学園屋上―

英雄やあずみさん、ヒュームさん、クラウディオさんと言ったメンツに囲まれています。俺何か悪い事でもしただろうか・・・・

 

「いえいえ、悠理にはお願いがあって参りました」

「正確にはお前への課題、だがな」

 

二人の言葉に内心ホッとしている、俺が何かしでかしたので無ければ問題はあんまりない。

 

「先ずは一つ、今週末の東西交流戦に関してです」

 

クラウディオさんが一歩前に進みながら話を始める。

 

「今回の東西交流戦ですが・・・・諸事情によりあずみが参加できません」

「・・・・大きな案件でもあったんですか?」

「ええ、丁度東西交流戦の三日目に帝様が霧夜コーポレーションの社長と会合を行います。その際、テロリストの一団がこの場を狙っていると言う情報が入りまして」

「成程、ヒュームさんやゾズマさんは?」

「俺は紋様の護衛でイギリスに飛ばねばならん、ゾズマもアフリカでテログループの相手で忙しいそうだ」

 

となれば残る戦力はあずみさん、クラウディオさん、九位の鷲見さん、十一位のチェさんぐらいだろうか・・・・李さんやステイシーさん、漆さんもいるだろうが本部の戦力も必要となればあずみさんとクラウディオさんの二人体制が最善なのだろう。

 

「俺が当日は英雄の護衛を、と言う事ですか」

「うむ、従者部隊内の戦力を参加させられぬ以上は外部の・・・・学園生徒となるわけだ、その場合最も信頼出来る同学年はお前しかいなかったのだ」

「・・・・分かりました、お引き受けします」

 

満足そうに微笑むクラウディオさんが一歩下がると入れ替わりにヒュームさんが前へと進み出る。

 

「では続けて俺からの話だ」

 

なんだろう、嫌な予感がする。

 

「来週頭から紋様を含め九鬼の関係者が七名、川神学園に転入する事になっている」

「・・・・それはまた」

 

何をする気なのかは知らないが警戒するに越したことは無い、か。

 

「それに際して二年にも従者部隊から一名送り込む事になってな、それでだ」

 

さっき感じた嫌な予感が現実味を帯び始める。

 

「まさかとは思いますが・・・・」

「そのまさかだ、悠理・・・・その従者の師となり武術と従者としての仕事を教えてやれ」

「お言葉ですが俺は既に従者部隊ではありません、その俺が教育を施す事に関して不満などが出る可能性があるのでは?」

「問題はあるまい、帝様にも許可は得た。それにお前には前歴がある、誰も異論を挟む余地などあるまい?なぁ?『序列176番』」

 

序列176番・・・・そう、三年半と言う期間で俺が九鬼で成した功績に対する評価がそれだった。九鬼を離れる時に勿論序列も返上したのだが帝様から「持ってて困るわけじゃねぇし?他に就職が決まるまでは持っとけよ」と言われ止むなく現状も従者部隊の序列に俺の名が残ったままなのだ。

 

「・・・・ならば仰せのままに」

「それとその従者は島津寮に入る事になる、少々世俗や常識に疎い事もある・・・・そのへんも頼むぞ」

「・・・・御意に」

 

矢張りそういうことか、おそらくはその一般常識に疎いのが格別なのだろう。だから押し付けてきた、まったくもって迷惑なことではあるが九鬼には恩義が多々ある以上断る事はできない・・・・できない。

 

「フハハハハッ!何はともあれ先ずは週末の交流戦、頼むぞ!!」

「ああ・・・・過不足無く職務を成そう」

 

―翌日―川神学園会議室―

差し迫った東西交流戦に向けて二年生の首脳陣が一堂に集まり作戦会議に勤しんでいた。参加メンバーは英雄、俺、翔一、大和、冬馬、忠勝、準、マルギッテのを中心とした十数名だ。

 

「先ずは呼びかけに応じてくれて感謝する、S組の方々」

「フハハハハッ!友の呼びかけには応じねばなるまい!!」

 

英雄が何時ものノリで応じてくる。

 

「要件は週末の東西交流戦に関して、だ」

「成程、わざわざこのメンバーを呼び出すと言う事は・・・・」

「相手方の詳細情報が手に入った」

 

冬馬が切り出してくれると話が進めやすくて助かる。

 

「結論から言えば現状の、クラス間が仲違いしている状況で勝てる相手ではない・・・・故に俺をF組側の特使としてS組に一時遺恨を捨て手を繋ぐ事を願いたい」

「うむ、悠理がそういうのであればそうなのだろうな」

「例えどのような敵だとしても全力で当たるのは当然だと知りなさい」

 

マルギッテ・エーベルバッハ、クリスの姉替わりらしく態度はやたらめったら高圧的だが面倒見が良い。

 

「では詳細を説明する」

 

備え付けのホワイトボードに現状掴めている情報を書き出していく。

 

「先ずは敵の特記戦力からだが・・・・あちら側の主力となるのは西方十勇士と呼ばれる者たちだ」

「西方十勇士?」

「ああ、中学時代に西で武と知に優れた学生十名が天神館学園に集まった。それでその十名を総称してそう呼ぶそうだ」

 

翔一が目を輝かせている、まぁ大方対抗してやるぜ!!みたいなノリだとは思うんだが・・・・

 

「が、こちらとて戦力的に劣るわけではない。というわけで基本戦術は敵将の各個撃破を提唱する」

「ふむ、確かに有効な戦術ですが・・・・部隊編成はどうするのですか?」

 

マルギッテからの質問を受けホワイトボードに大まかな編成を書きながら言葉を続ける。

 

「勝率を高めるためにFとSの混成部隊とする」

 

英雄、冬馬、準、マルギッテが頷いたのを確認するとホワイトボードに視線を戻す。

 

「第一防衛部隊隊長、源忠勝・・・・第二防衛部隊隊長、風間翔一・・・・第三防衛部隊隊長、島津岳人」

 

基本万能型で目端が利く忠勝に軽業師も顔負けな身軽さの翔一、そしてパワーなら二年最強クラスの岳人が地の利を活かして戦えばかなり堅牢な拠点となるはずだ。

 

「続けて敵将撃破に動く遊撃部隊・・・・第一部隊、クリスティアーネ・フリードリヒと井上準」

 

少し前にクリスに将棋のルールを教え、やらせてみたのだがかなりのものであった。甘えん坊でアホっ子と言うイメージがあったが軍人の娘なだけはあるようだ。

そこに補佐役に適任な準を副官として付ければ戦場を縦横無尽に駆ける精鋭部隊の出来上がりだ。

 

「第二部隊、川神一子とマルギッテ・エーベルバッハ、椎名京」

 

先ず一対一ならかなり強い一子と現役軍人のマルギッテ、そして狙撃担当の京で隙のない布陣を組む。天神館とて馬鹿ではない、きっと十勇士のうち何人かを組み合わせて侵攻させる事も考えられる。それに対応出来るメンバーがこれだ。

 

「作戦の要となる参謀本部、直江大和、葵冬馬の両名に護衛として榊原小雪を配属する」

 

大和と冬馬には全域を見渡せる場所に陣取ってもらい随時状況を確認しながら能動的な指示を出してもらう。一般生徒だけでは十勇士の誰かが突貫してきた時に応戦しきれない可能性もあるため小雪を、小雪ならば十勇士が来たとしても五分以上の戦いをしてくれるだろう。

 

「そして本陣、総大将の英雄、その護衛として俺が付く。備えとして不死川も駐屯させる」

「本音は?」

「下手に前線に出すと指示を無視されそうだ」

 

不死川心、日本三大名家である不死川家の跡取り娘であり典型的な家柄至上主義。多分こちらが指示を出しても無視される可能性があるので下手に動かすよりは手元に置いていた方が賢明だ。同じ事を思ったのだろうか大和と冬馬も納得の表情だ。

 

「これは学園の名を賭けた大戦ぞ」

 

中央に座す英雄が、口を開いた。

 

「学び舎の名を高め、己が名を西にまで知らしめる好機でもある」

 

そこまで大きい声ではない、だが周囲の喧騒などないかのようにハッキリと聞こえる。

 

「各人奮起し諸事万端に挑め」

『応!!』

 

これだ、英雄をはじめとした九鬼家の人たちが持つ人を従わせる覇気。誰もが持ち得るものではない、俺が知っている限りでも霧夜のご令嬢がそれを持っているぐらいだろうか。

 

「悠理よ、勝てると思うか?」

「愚問だ」

 

皆が会議室を出る中、背後からの英雄の声に自然と笑みを浮かべる。

 

「勝つ、それだけだろう」

「・・・・うむ、そうだな」

 

―島津寮―

さてさて、会議も終わり京、クリス、由紀江と合流し寮へと戻ってきたら・・・・

 

「お帰りなさいませ」

 

メイドさんが出迎えてきました。

 

「お初にお目にかかります皆様、九鬼家従者部隊序列995番・・・・レベッカ・リーエンと申します」

「・・・・ヒュームさんの言っていた娘か」

「と言う事は・・・・貴方が秋山悠理様、ですね?」

 

この娘が・・・・ねぇ。戦闘技術はともかく見たところステイシーさんなんかよりも基本は出来てそうだし俺が教える事がどれほどあるかが疑問なんだが・・・・

 

「ああ、確かに俺が秋山悠理だが・・・・」

「本日より悠理様の下で諸事万端学んで来るようにとヒューム様より仰せつかって参りました」

「諸事万端って・・・・ん?」

 

ふとケータイが鳴ったので画面を見ると「ヒュームさん」の文字が画面に表記されていた。

 

「もしもし」

『悠理か、そろそろレベッカとも顔合わせをした頃だと思ってな』

 

なんだろう、壁を超えた人たちはたまにこういうことを言う。まるで千里眼でも持っているかのような。

 

「ええ、それで・・・・戦闘技術以外の何を教えろと?少なくともステイシーさんなんかよりは敬語もしっかりしているように見えるのですが?」

『敬語は生来からの性分のようなものらしい、ただ貧民街育ちでな・・・・少し一般常識、教養に疎いところがあるのでそこを重点的に教え込んでやってやれ』

「そういう事ですか、戦闘技術の方はどうでしょう?」

『基礎は叩き込んである、お前の方で適宜技術的指導を行いつつ基礎鍛錬を怠らないようにしておけ』

 

それから二言、三言交わしてから電話を切り再び視線をレベッカへと向ける。

 

「まぁ俺もまだまだ若輩だ、可能な限りで教えていくが至らぬ点があれば指摘して欲しい」

「はい」

「川神学園に編入してくるんだったな?ならば二年になってから授業で行った内容全てを叩き込むからな」

「はい!」

 

まったく、忙しくなりそうだぞ・・・・これは。




TIP集

・東西交流戦
川神学園学長の川神鉄心と天神館学園学長の鍋島正が思いつきで発生させた集団戦闘イベント。のちに「MOMOYO無双」「秋山乱舞」「小杉散華」の三大名詞がつけられる。

・序列176番
仮入隊だったにも関わらず「どうせ来るんだろ?」と言う九鬼帝の言葉で悠理に与えられた序列。「見習い期間だから控えめにつけた」との事なので正採用ならどこまで行くかが見ものである。

・西方十勇士
通称「かませ犬」。野心家、忠臣、ヲタク、ナルシスト、アイドル、守銭奴、双子、花火屋、ヌルヌル、忍者で構成された天神館の精鋭でマジで強いのがヲタクと言うイミフな集団。

・レベッカ・リーエン
ヒュームたちが悠理の就職先を誘導しようと差し向けた新人メイドという名の刺客。実はマルギッテ並に強いのでどこに鍛える意味がある?と皆から言われる。
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