反董卓連合劉備軍陣地。
そこでは所属は関係なく負傷者の手当てが行われていた。
負傷者は多く、怪我をしていない人間は後方で待機していた予備部隊が必死に
怪我を治療し包帯を巻く。だがそれでも亡くなる者が多い。
そんな中、呉軍と幽州、徐州連合軍の主だった者達が集まっていた。
劉備「雷みたいな音が鳴ったと思ったら皆が前の方からに倒れた。あれは何だったの?」
劉備が口にした事はその場にいる全員が思っていた疑問だった。
その場にいる先の戦闘に参加した誰もが動揺の色が顔に出ている。
それは孫呉の当主である孫策も同じだった。
表向きは冷静さを保っているが内心は動揺しまくりだった。
殆どの者があんな兵器を前にどうやって攻城しろというのかと絶望している中
一刀は違う理由で動揺があった。
何故あの兵器がこの時代にあるのか?そういう動揺だった。
本来火薬兵器が初めて登場するのは少なくとも後千年は先の話だ。
火薬だって生まれるまでおおよそだが百年は先なのでまさかここで
出てくるとは思ってもいなかったのだ。
沈黙がその場を支配する中孫策が口を開いた。
孫策「黙ってても仕方ないわ。それより聞きたい事があるの。
北郷殿。これに見覚えあるわよね。」
いいながら孫策はずっと持っていた物を中央の地図が置かれた机にのせて周りに見せる
それは血が付いた弾丸だった。
孫策「これは負傷者や死者の傷口から出てきたの。触った感じ鉄でできている。
そしてさっきの大きな音が鳴る前あなた大声で伏せるように叫んだわよね。
そんな事知らない人間には出来ないわ。ま、私も周瑜もそのおかげで助かったのだから
攻めるつもりはないわ。でも知っているなら話してほしい。」
孫策はまっすぐに一刀の方を見た。
一刀自身説明するつもりだったので
一刀「あれは鉄砲もしくは銃と呼ばれる兵器だ。俺の世界で使われている
主な武器でそれはその銃から打ち出された弾丸もしくは銃弾と呼ばれていて
銃で火薬を爆ぜさせてその銃弾を撃ちだす兵器だ。
距離にもよるけど鎧なんて簡単に貫通する威力はあったと思う。」
孫策「なるほどねー。弱点はあるの?」
一刀「まっすぐしか飛ばないから大きくて分厚いの鉄の盾を壁にすれば近づけるかもしれない。
でも目に見えない速さで撃ち出されるし銃弾がこの形状なら連射してくるかもしれないし
中々難しいかも知れない。」
孫策「なるほど有難う。だからと難しいからと言って出来ませんでしたとは言えないわ。
私達は洛陽に攻め入ってる。負ければ反逆者にされかねない。
つまり何としても勝たなければならないという事よ。」
劉備「でもだからと言ってこのまま無策で突っ込むわけにはいきません。
それこそ無駄に死者を出すだけです。」
それから長い時間話し合われたが特にこれと言って解決策が出るわけではなく、
その場は解散となった。
孫策は自陣に帰りながら今後の事を考えていた。
孫策(ただ突っ込むことは出来ない。それをすれば甚大な被害がでる。
それで攻略できればいいけどもしかしたら出来ないかもしれない。
あの御使い殿もそんな感じで話していたものね。なら方法は一つしかないわ。)
孫策「冥琳。」
周瑜「どうした、雪蓮。」
孫策「直ぐに私の天幕まで将達をよんで。」
周瑜「わかった。」
周瑜は部下に呼びに行かせた。
孫策(さて。攻略する気満々の玄徳ちゃんには悪いけどこっちはあまり被害を出すわけには
行かないわ。向こうもこんな戦いをいつまでも続けようとは思ってないはず。
ならやれることはあるわ。)
孫策はそのまま自分の天幕まで戻った。
しばらくして孫策の天幕に将達が集まる。
孫策「さてまずは先の攻城戦はご苦労だったわね。祭、粋怜、梨晏、まずは無事だった事を
喜ばせてもらうわ。前の方にいた者はかなりの被害だったから心配してたの。」
黄蓋「危なかったがの。轟音で馬が跳ねて馬から落とされていなかったら死んでたわい。部隊の者も同様じゃ。」
程普「同じく。運が良かったとしか言えないわ。」
梨晏「私も―。正直あれを攻略するとなるとかなりの被害になるんじゃないかな。」
張昭「うむ、儂も同意見じゃ。今後の孫家の事を考えるとここでこれ以上大きな被害は出せん。」
孫策「その事なんだけど私は相手側に交渉を持ち掛けたいと思っているの。」
黄蓋「何と。策殿本気か。」
孫策「本気よ。私の勘だけど向こうはあくまで時間稼ぎをしている感じがするの。
つまり相手は私たちを本気で負かす気はない。」
孫権「本気ですか?姉さま。相手はこちらの兵をこれだけ殺しに来てるのですよ。」
孫策「私は何も根拠のない事を言ってるわけではないわ。蓮華(孫権の真名)。
彼らが本気なら最初から使ってこれたはず。
恐らくだけど私たちが華雄を挑発しておびき寄せるなんてしなければ
使うつもりはなかったでしょうね。」
周瑜「私もそう思います。蓮華様。事実、前にいた隊でも指揮官の周辺の兵士は
軽症や無傷の兵が多いです。これがわざとならその可能性があります。」
黄蓋「しかし「軍議中失礼します。」なんじゃ今は忙しい。後にせよ。」
黄蓋が軍議中に入ってきた兵士に怒鳴る。
孫策はそれを治めて兵士に内容を聞く。
孫策「まあまあ落ち着いて。でどうしたの?」
兵士「孫策様に面会を求める方がいらっしゃっているのですが?」
孫策「そう。そのまま通して頂戴。」
兵士「はっ。」
黄蓋「策殿、話は終わっておらんぞ。」
孫策「その話はあとで聞くわ。今は客人に会わないと。」
兵士は案内されてやって来たのはフードが付いた黒い服を着た青年。
そしてもうもう二人は背丈に差がある。
更にそれぞれが服にその上からフード付きのマントを着た女性だった。
二人ともフードで顔が隠れて顔は分からない。
黄蓋「なんじゃ。顔を隠すとは礼儀も知らんのか。」
???「顔を出してもいいのか?孫策殿。」
孫策「構わないわ。」
その人物はフードを取る。顔を見た瞬間その場にいた孫呉の将達は驚いく。
それもそのはずそこにいたのは総司と趙雲そして荀彧。
つまり先ほどまで敵として戦っていた人物なのだから。
黄蓋「なぜ貴様れがここにおる?」
程普「そうね。いくら何でもここにあなたがいる事はおかしいんじゃない?」
孫策「皆沈まれ。」
騒ぎ出す将達に孫策が一言で静かにさせる。
総司「言いたいことは分かるが随分な歓迎だな。孫策殿?」
孫策「ごめんなさい。まだ皆には話していないのよ。」
総司「なるほど、なら少し待とう。」
孫策「感謝するわ。」
会話が終わったのを見計らい孫権は姉を問いただす。
孫権「姉さまどういうことですか?なぜ敵がここに?」
孫策「それは私が呼んだからよ、蓮華。」
孫権「何故ですか?」
孫策「孫呉の未来の為、何よりこれ以上損害を出さないためよ。」
孫権「ですが?」
周瑜「蓮華さま。今回の件は私の発案なのです。」
黄蓋「公瑾、どういう事じゃ。」
周瑜「今日の戦で我々は二千五百の兵を失いました。
戦は汜水関で終わりではありません。
虎牢関、そして洛陽とまだまだ続きます。それにこの戦が終わっても
戦乱の世が続くでしょう。それをこんなところで大幅に失うわけにはいかないのです。
水燕との取引の場を設けました。」
張昭「納得じゃな。じゃがその前に水燕よ。一つ聞きたい。」
総司「なんでしょう?」
張昭「帝の事じゃ。わしが集めた情報では霊帝陛下は董卓に退位させられたと聞いた。
それはどうなのじゃ?」
総司「半分正解です。ですが今回の一件は全て献帝陛下の御指示の元、
董卓様が行われた事でございます。」
張昭「誠じゃな。」
総司「はい。我が真名と命にかけて。」
張昭「承知した。」
黄蓋「おい雷火、良いのか?」
張昭「もとより儂は周瑜の意見に賛成じゃ。
勿論取引の内容にもよるがな。」
程普「まあ、聞くだけ聞いてみればいいと思うわ。」
黄蓋「おい、粋怜!」
程普「勿論聞くだけよ。水燕君の性格はそれなりに分かっているし
全く信用出来ない程悪人という訳でもない。
そもそも私はずっと疑問だったの。
いくら古い知り合いとはいえ水燕君の性格からしてもし董卓が檄文通りの悪人なら
何があろうと水燕君は参加しないだろうと考えていたの。
なら檄文は嘘で都では圧政など行われていないと考えた方が
水燕君の行動にも納得できると思わない?」
黄蓋「ふむ。」
孫策「祭の気持も分かっているわ。でもここは孫呉の未来の為に
折れてくれないかしら。」
黄蓋「策殿もずるいお方じゃ。そう言われたら聞くしかあるまい。」
孫策「有難う。蓮華も他の者もいいわね。」
孫権「はい。」
その他の者達も頷く。
孫策「待たせたわね。水燕。で取引の事だけど
此方からの要求は汜水関の突破と戦後の孫呉への帰順。
でどうかしら?」
総司「構わない。孫呉への帰順はこちらとしても
願っっていた事だからな。
此方からはこの戦の中でのある程度の相互不可侵だけだ。」
孫策「それだけでいいの?」
総司「構わない。もとより多く望める立場にないからな。
もしかなうならそうだな戦後に帰順後の待遇の交渉の場を設けるでどうだ?」
孫策「私は構わないわ。皆はどう?」
誰も否を唱える者はいなかった。
孫策「ならこれで決まりね。雷火直ぐ文書にして。
この場で締結とするわ。立会人は此方からは張昭と孫権でいい?」
総司「構わない。此方からは趙雲と荀彧を立会人とする。」
孫策「構わないわ。それじゃ、少し待ってね。」
それからしばらくして張昭により文書が完成し、
それにそれぞれ署名しそれを立会人が確認し締結とした。
そして翌日孫呉と劉備軍は汜水関に突入。見事汜水関を奪った。
また更に欲張った劉備軍の部隊数隊が制止を無視して追撃をかけ、
第四師団の殿部隊に死に物狂いの攻撃を受け殿部隊は全滅したが
同時に追撃部隊も壊滅的な被害を受けた。
生き残りの報告を受けた劉備と一刀と孫策は
殿部隊の攻撃方法に背筋が凍る思いだったと言う。