恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第十二話

 虎牢関

 

その城壁が見える位置に陣を構えた連合軍は到着した数刻後、

軍議を行っていた。そこには各勢力の将達が集まっている。

その中には汜水関攻めの際には出席が出来なかった孫策の姿もある。

汜水関攻めの功績を曹操が評価して出席させるべきだと主張、

それに袁術や劉備が賛同した為である。

 

袁紹「劉備さん、孫策さん。」

 

劉備・孫策「はい。」

 

袁紹「時間はかかったようですけど……まっ汜水関の奪取はお見事でしたわ。

   連合の盟主として、褒めて差し上げましょう。」

 

劉備「ありがとうございます。」

 

袁紹「しかし敵将である水燕、朱儁をはじめとした将は討ち取れず、

   また敵兵のほとんどは虎牢関へ逃げてしまいましたわ。」

 

袁紹は最初二人を褒めていた時とは違い、厭味ったらしく将を討てなかった事を責める。

 

袁紹「だからこそ次の戦いこそ真の決戦となるでしょう。そこで……。」

 

そこで桃色の帯で髪をまとめた女性、馬超孟起が名乗り出た。

 

馬超「袁紹殿!先鋒は是非とも我らに!」

 

袁紹「はい?」

 

馬超「この戦がはじまって以来、我らは周辺の警戒ばかり。

   これでは連合に参加している意味がない。」

 

馬超「今こそ、我が西涼兵の勇猛さをお見せしましょう!

   どうか先陣のお役目を!」

 

袁紹「ゴミは黙っていなさい!」

 

馬超「!ゴミだと。」

 

袁紹「涼州の片田舎の物などゴミ同然のではないですか?」

 

馬超「なにを~~。」

 

袁紹と袁紹の一言に怒った馬超、が喧嘩を始める。

そこに袁紹が自分こそが先鋒で出ると言い出した。

呆れて見ていた孫策が袁紹が先鋒で構わないといい、

理由を察した曹操と劉表の名代である黄祖が賛同したことで

明日の戦の先鋒は袁紹軍で決まった。

それを聞いていた外で警備兵に変装して聞いていた孫乾は部下に命じて

総司の下に走らせた。

 

 

 

 

 

同時刻洛陽城

 

汜水関が落ちたという情報を聞いた献帝は心配しながら董卓に話しかける。

 

献帝「董卓よ。し、汜水関が落ちたと聞いたが……?」

 

董卓「御心配には及びません。殆どの兵が虎牢関に退きました。

   それにこれはこちらの計画に乗っ取ったもの。全て予定通りです。」

 

献帝自身今回総司が立てた計画は知っているし賛同すらしている。

献帝自身短い間だが政治にかかわってきた。だからこそ漢が今の形を保ったまま

立て直すのは不可能だという事は分かっている。

劉家とは別の人物による全く新しい政治体制を取るしかないと考えていた。

だからこそ自分は政治の世界から身を引く事にした。

既に姉やそのお世話係をしている趙忠にも都を出る準備を整えてもらっている。

だが何としても次代に残してはならない仕事がまだある。

だからこそ心配してしまう。

別に守っている将を信頼している訳じゃない。

自分が皇帝として最後の使命を完遂しなければならないという使命感からくるものだった。

 

董卓「ご心配には及びません。彼らは必ずや役目を完遂してくれるでしょう。

   御無礼ですが白湯様もご自分のお役目を果たしてくださいませ。」

 

献帝「分かった。どれくらい進んでいる?」

 

董卓「全て予定通りでございます。明日には賈駆が戻るので更に早くなると考えております。」

 

献帝「分かった。」

 

董卓は心の中で無事を祈るのだった。

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、袁紹軍による攻城が始まった。

だがノロノロと遅い行軍に攻城兵器どころか梯子すらも持ち出さず

ただ突撃してくる彼らに呆れる総司。

 

総司「攻城兵器持たずに虎牢関を攻めようとするとは愚かという言葉でも生ぬるいな。」

 

荀彧「はい。ですが数は侮れません。」

 

総司「分かってる。桂花、頼んだ。」

 

荀彧「はっ。弓隊構え。撃て――。」

 

荀彧の合図で弓隊が矢を射かける。

しかも弓兵たちが使っているのはこの時代では一般的な装備で

バリスタなどの兵器は一切使われていない。

使う必要すらない程に袁紹軍は行動が遅い。

事実袁紹軍は弓矢を受けた場所から全く動けていなかった。

この日は一時撤退。翌日もその次の日も同じような攻撃を仕掛けたが結局失敗に終わった。

攻撃開始四日目、顔良と文醜が指揮を執り攻城を開始。

その日はこれまでと違い攻城兵器を使用。ここで総司はある切り札を使う事を決める。

 

総司「恋!」

 

呂布「?」

 

総司「出番だ。」

 

呂布「分かった。陳宮~。」

 

陳宮「ハイなのです。全軍呂布殿が出れば続くのです。」

 

陳宮は全軍に指示した後呂布と二人で門へ出ていき

その小さな見た目からは想像できない大声で叫んだ。

 

陳宮「聞け――――い、弱賊ども!

   最強を名乗る物はこの世に数いれど!まことの最強は天下にただ一人!

   ここにおわす呂奉先こそ、まさしく古今未曾有!天下無双の達人なのです!」

 

呂布「………………」

 

顔良「呂布!出てきた。」

 

文醜「へ……あれが呂布?なんかボーっとした奴だな。」

 

陳宮「さあ、呂将軍!袁紹の弱兵どもを蹴散らし、

   我が董卓軍の恐ろしさを思い知らせて下されー!」

 

呂布「うん………………ちんきゅ………………出る。」

 

陳宮「御意なのです!呂将軍御出陣!者ども、深紅の呂旗を掲げよー!」

 

呂布隊「「「おおーーーっ!!」

 

顔良「敵が来る。全軍攻城兵器を後ろへ。防御を固めろ。文ちゃん!」

 

文醜「よっしゃあ!前は任せな。斗詩(顔良の真名)!」

 

董卓軍は呂布を先頭に防御を固めた袁紹軍へ突っ込み、

一振りで十人単位の兵士を一気に蹴散らして防御を蹴散らして突っ込む。

袁紹軍が敷いた何重もの防御の壁が全く意味をなしておらず

呂布が通る所で大の大人たちが吹っ飛ぶ。

 

顔良「だめ。全然抑えられていない。仕方ないか。撤退の合図を。全軍撤退。」

 

顔良の判断で袁紹軍はその日も撤退。

何も成果を得られず戻ってきた顔良と文醜を自分の天幕で何もせず見ていた袁紹は叱咤する。

 

袁紹「斗詩さん、猪々子(文醜の真名)さん、何をしていますの?

   なぜ何も成果を得られずに戻ってきましたの?

   虎牢関を落とすまで戻って来るなと言ったはずですわよ。」

 

顔良「申し訳ありません、麗羽(袁紹の真名)様。しかし。」

 

袁紹「言い訳など聞きたくありませんわ。」カンッ

 

袁紹は飲んでいた酒の入った盃を投げつけて顔良の発言を遮る。

盃が顔良の顔に当たり額から血が流れる。

 

「もういいですわ。明日は(わたくし)自ら指揮を執ります。よろしいですわね。」

 

その場にいる者達は不可能だとわかりながらも誰も止める事が出来ず従う。

 

だが翌日袁紹がほぼ全軍を率いて出陣、しかし第四師団のバリスタや鉄砲の前に手も足も出ず

撤退を強いられるのだった。

 

 

 

 

 

 

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