恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第二十話

連合軍が洛陽に入ってみればそこにあったのは静まり返った街並みだった。

聞こえてくるのは袁紹の高笑いくらいだ。

先程まで場外で戦争していたのだ。当たり前と言えば当たり前だ。

街の人たちは静まり返ってこそいるが十常侍や大将軍が洛陽を支配していた時に比べてば

明らかに空気が違う。

それを不思議に思いながらも孫策、曹操、劉備を中心に街の維持にかかる。

一方総大将である袁紹は霊帝と献帝を宮中中を探していた。

だが全く見つからない。

そこで袁紹は曹操、袁術に話を持っていきある少年を新たな帝として祭り上げた。

その少年は少帝と名乗る事になる。

その後全将を集めての論功行賞が行われた。

袁紹はあらかじめ手をまわし自分が大将軍になれるようにしてこの会議に臨んだ。

少帝も自分がお飾りなのは分かっている。

だがこの論功行賞に向かう前に曹操に密会し袁紹のこれまでの事を聞いた。

その上でこの論功行賞を取り行ったのだ。

まず位の高い曹操から始まり袁術、公孫賛、黄祖、孫策と続いて行く。

そして最後が劉備だ。

 

少帝「次が最後だな。劉備玄徳、北郷一刀前へ。」

 

二人「はっ。」

 

二人は何段も高い位置にある玉座に座る少帝の前に立ち

頭を下げる。

その間袁紹は驚いていた。

袁紹自身は呼んだ覚えはない人物だったからだ。

今回の戦で一番功績が大きいのは誰かと問われれば

間違いなく劉備達だろう。

関の突破に皇甫嵩の捕縛。

そのほかにも多く貢献してきた。

だがそれは袁紹にとっては面白い事ではない。

最初の戦闘で捨て駒にするつもりがここまで活躍したのだ。

天の御使いの事もある。

確実に皇帝の目に止まる。

だからこそ皇帝には劉備の功績は報告しいなかった。

だがこの場にいるという事は誰かが報告したのだと袁紹は考えた。

追い出す事も考えたがむりだろう。

周りも反対するだろうし何より皇帝がそうさせてくれない。

いくらお飾りといえどその地位は皇帝だ。

蔑ろにすれば不敬罪で死刑もありうる。

だからこそ袁紹は劉備の発言に耳を傾けた。

 

少帝「此度の戦い、多くの手柄を立てたと聞いておる。大儀であった。

   陶謙の後を継ぎ徐州刺史に正式に任命する。そして北郷一刀、貴方を天の御使いと認める。

   それとそなたらが望むものを朕から送ろう。何がいい?」

 

劉備「では、恐れながら上奏をお許しください。」

 

少帝「聞こう。」

 

一刀「では、こちらにある人物のこれまでの行いを調べたものがございます。」

 

一刀ポケットに持っていた巻物を出した。

 

少帝「ある者とは?」

 

一刀「現大将軍、袁紹でございます。」

 

袁紹「な、何を。」

 

少帝は袁紹を睨んで黙らせる。

 

少帝「それをここに。」

 

兵士「はっ。」

 

一人の兵士が一刀が持つ巻物を少帝に渡す。

巻物を受け取った少帝は暫くそれを読んで一つ溜息を吐く。

 

少帝「曹操。」

 

曹操「はっ。」

 

少帝「読んでみるといい。」

 

巻物を元に戻し一番近くに並ぶ曹操に渡す。

受け取った曹操はその中身を読む。

読み終わったのを確認した少帝は

 

少帝「どう思う?そなたの領地は冀州に近かったな。噂話程度は聞いたことは無いか?

   ああ、攻めているのではない。この内容が正しいのか確認しているのだ。」

 

曹操「事実でございます。言い訳がましいですが私もすぐにやめる様に

   何度も助言したことがございます。この文章の内容は正しいかと。」

 

少帝「との事だが何か申し開きはあるか?」

 

袁紹「そ……そのようなことはすべて身に覚えのないことです‼︎

   でっち上げに決まっております‼︎」

 

少帝「税は通常の20倍。必要外の過酷な労役。物品の横流しに始まり、

   無理な徴兵。それを拒否した者をあらぬ罪をでっち上げて囚人とし、

   その彼らに殺し合いをさせてそれを見物。

   それには飽き足らず捕らえた捕虜に対する虐殺、性的暴行の強要。

   よくここまで出来たものだ。」

 

袁紹「ですからそのような事身に覚えはありません。」

 

少帝「くどいぞ、袁紹!貴様が虎牢関で行った悪逆も耳に入っているぞ。

   敵の捕虜を暴行した挙句はりつけにしたとか?

   ここに書かれている内容も正しいと見える。衛兵!」

 

憤怒、憎悪、そして、嫌悪。

それらの入り混じった表情で袁紹を睨み付け衛兵を呼んだ。

 

衛兵「「はっ。」」

 

少帝「つまみ出せ。」

 

衛兵「「御意‼︎」」

 

少帝が命令すると2m近くある屈強な体格をしている2人の衛兵が袁紹の腕を掴んで連れて行く。

 

袁紹「何をしますの⁉︎離しなさいな⁉︎汚ない手で私に触れたら汚れてしまいますわ⁉︎」

 

少帝「袁紹……貴様に処罰を申し付ける。大将軍就任は取り消し。

   加えて貴様の地位及び領土、財産など全て1年以内に剥奪し、

   然る後に棒打ち1000を行なう。命を取らぬだけありがたいと思うがよい。」

 

袁紹「そ……そんな⁉︎陛下⁉︎」

 

少帝「連れてゆけ。そのような者の顔などもう拝みたくはない」

 

少帝の無慈悲な命令に袁紹は再審を求める叫びを上げながら連れて行かれる。

暫くしてから袁紹の声が聞こえなくなり、玉座は静まりかえった。

 

少帝「北郷よ……そなたの忠義と悪を許さない義心に感謝する。」

 

一刀「とんでもありません。わたしこそ正当な裁きを下してくださりありがとうございます」

 

少帝「朕も彼奴の悪行を裁く機会を伺っていたが、

   そなたのお陰で達成することが出来た……感謝する。」

 

一刀「陛下……」

 

少帝「今夜は宴を開く。戦で散った者達の分まで賑わい、

   ここにいる者達の配下の将も連れて来て構わん。因みに拒否は認めん」

 

全員『御意‼︎』

 

その晩少帝主催のこの時代では珍しい無礼講のビュッフェ形式の宴は豪勢に行われた。

一通り騒いだ一刀は勢いで酒を飲んでしまい

回った酔いを覚ます為中庭に出ておかれていた椅子に座っていた。

 

一刀「つい飲んでしまった。未成年なのに。」

 

少帝「気にすることは無い。むしろ年齢を気にして飲まぬ方が無礼だ。」

 

一刀「陛下‼なぜここに?」

 

少帝「そなたと個人的に話したくてな。

   此度の件本当に助かった。そなたが訴えてくれなければ

   あのまま袁紹を野放しにしなければならなかった。

   そうなれば先帝が行った事が全て無駄になってしまう。」

 

一刀「はい。」

 

少帝「しかし、総司は無事だろうか?それだけが気になる。」

 

一刀「陛下その名は。」

 

少帝「お主なら大丈夫だろう。水燕の真名だ。一時期世話になっていた時期があってな。

   その時貰ったのだ。それに水燕 白英という名は偽名らしい。

   本当の名は水城 総司というそうだ。」

 

一刀「そんな、総司さんまでこっちに来ていたなんて。」

 

少帝「やはり知り合いか?ではあいつが御使いの友だったのだな。」

 

一刀「御使いの友ですか?」

 

少帝「管輅の予言は知っているな?」

 

一刀「はい。」

 

少帝「世間一般に知られているものにはまだ続きがあるのだ。

   御使いは既に来たりし御使いの友と何度も争う。

   だが国を巻き込む戦が起こりし時の前に二人は手を結ぶ。

   それに国が寄り添った時天下は御使いの元一つになる。

   そう言われているのだ。」

 

一刀「そうだったんですね。」

 

少帝「この予言が正しいのなら朕はいずれお主に皇帝の席を譲らねばならぬ。

   だがそれでいいと考えている。」

 

一刀「よろしいのですか?せっかく皇帝になられたのに。」

 

少帝「元々皇帝には興味のかけらもない。それより朕は

   世界を見て周りたい。その方が興味ある。

   だからいずれそなたにこの席を渡すときまで死ぬなよ。北郷。」

 

一刀「はい。」

 

一刀の返事を聞き届けた少帝は宴の間に戻っていった。

だが一刀には心の中にしこりを残したのだった。

なお袁紹は兵士も将も奪われた。

顔良と文醜は褒美として劉備に譲渡。

正式に部下になった。

その他の部下はほとんどが冀州もどることを選択。

殆ど何も持たずに帰っていった。

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