恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第二十四話

 互いに一歩も引かない長江での戦い。

銃を使う孫呉に対し弓で応戦している。夕暮れごろから始まった戦いは既に一刻続いている

だがここで弓と銃の差が出始めた。

一発撃てば確実に誰か殺されて行く。

その恐怖に兵士が耐えられず船員たちが逃げ出し持ち場を離れ始めたのだ。

むしろここまでよく耐えていたと言えるだろう。だが流石に限界を迎えたのだ。

それに追い打ちをかける様に孫呉の船から大砲が放たれた。

一発撃てば数隻がまとまって沈む。

そのせいで江夏水軍は総崩れ。流石の黄忠も立て直すことがかなわず撤退を余儀なくされた。

同時刻長江での戦いが敗色濃厚になっているのを全く知らなず

今も持ちこたえていると考えていた黄祖は孫呉の本陣に攻撃を開始した。

 

「孫策は今悠々と本陣で構えているであろう。今が好機だ。攻めかかれ!」

 

黄祖の合図と共に兵士達が攻めかかった。

だが陣には誰もいない。

 

「何故だ?孫策はどこに行った?」

 

共に進軍した黄祖はもぬけの殻の孫呉本陣を見て疑問を口にする。

 

「ここよ。」

 

後ろから聞こえた声に黄祖は振り向く。

そこには孫策と呉の将兵が黄祖たちを囲んでいた。

当初黄祖の予想では孫呉は兵士のほとんどが船に乗っており本陣には

少数の兵士しかいないと考えていた。

だが実施は船には総司達八咫烏隊の兵士達が各船に三小隊規模ずつ配置されているだけで

殆ど孫呉本隊は陸上で黄祖の奇襲に備えていたのだ。

 

「流石、冥琳の読み通りね。」

 

「ここまでうまくいくとは思わなかったがな。」

 

「何でもいいわ。成功すればね。さて・・・全軍・・・・かかれー。」

 

兵士達は叫び声をあげながら突撃を開始する。

 

「黄祖様を守れ~。」

 

一方黄祖側も迎撃の準備を整える。

数では孫呉が圧倒している。

その数を生かし攻めかかる。

黄蓋隊の援護を得た程普と太史慈の隊を中心に孫策まで先頭に立ち前に進むが

黄祖軍は一兵士までが黄祖を守ろうと戦ってくる。

そのせいでなかなか前に進めない。

 

「はあああああ。全く切っても切っても全然崩れない。」

 

「余程部下に慕われてるって事かもね、雪蓮。」

 

「無駄口、叩いている暇はありませんよ。雪蓮様!次が来ます。」

 

「今どれだけ抜いた?」

 

「五層。でもまだ黄祖までは遠いよ。」

 

「とにかく進むしかないわ。進めえええ~。」

 

孫策に掛け声をかわきりに余りの守りの硬さに落ちかけていた兵士達は士気を取り戻した。

次第に黄祖軍は押されていく。

 

その時轟音と共に河側の兵士が一斉に倒れた。

黄祖が振り向けば河の方から船が近づいてきており

そこから鉄砲により銃撃を加えられているのだ。

黄祖や指揮官級の将校はそこで負けを悟った。

後は全滅するだけだ。

既に黄祖自身も黄蓋の矢を受けて血を流している。

将校たちが考えたのは一つ

 

「黄祖様お逃げください。」

 

「あなた様さえ生きておられればまだ勝機はあります。」

 

「殿はそれがしにお任せを。」

 

何としても黄祖だけは逃がす。それだけだった。

 

「済まない。」

 

黄祖は武昌を目指して西に少しの兵士と共に逃げた。

 

「黄祖が逃げる。追えー。」

 

孫策といつの間にか先程から隣で戦っていた孫権や甘寧を先頭に逃げる黄祖を追う。

だがここでも江夏軍の守りの壁が追撃を遮る。

突破に苦戦する孫策に轟音と共に銃弾が届き次々敵兵士が倒れていく。

 

「孫策殿援護する。進めれよ。」

 

「悪いわね。任せるわ。進め―。」

 

船の上から八咫烏隊の援護をもらい孫策は進む。

だが進んだ先に黄祖はいなかった。」

 

「黄祖がいない。」

 

「街道を西に逃げたな。」

 

「連華。ここは任せるわ。私は追撃の指揮を執る。」

 

「お任せを。必ず黄祖の首をお取りください。」

 

「当然よ。」

 

孫策は追撃部隊と共に走って逃げた黄祖を追った。

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