江夏、長沙を制圧した孫呉は荊州牧劉表と和睦を結んだ。
劉表としても好き勝手に動く黄祖が余程邪魔ものだったのだろう。
更に今も驃騎将軍地位にいる水燕がこの和睦を取り仕切った事も大きく
かなり有利な条件で和睦を結んだ。
和睦を結んだ孫呉は建業に戻った。
その建業では領土が増えたと袁家の老人達がのんきに宴を開いている。
「いやー孫策はいい仕事をしてくれたものだ。」
「これで我らの領土がまた増えましたな。」
「孫策が持つ領土はこの建業のみ。一方南陽からも近い江夏と長沙は
我らに任せざるを得ない。」
「ほっほっほっ。さよう。わざわざ我らがいずれ敵になるかもしれない奴らに
力をつける要因を与えた本当の理由を気づきもしないまま戦をするとはな。」
「傷は孫呉に蜜は我らにじゃよ。」
「「「ほっほっほっほっほっ。」」」
数人の老人たちが自分の部屋で話している。
いざとなれば玉璽があるのでそれを盾にすればいいと考えているのだ。
その時兵士の一人が駆け込んできた。
「大変です。孫策が。」
「これ、いきなり飛び込んでくるとは何事じゃ。」
「不敬じゃろう。」
「それどころではありません。孫策が」
「孫策がどうした?まさか落馬でもしたか?」
「それは僥倖。祝いの席を設けなければ。」
「違います。孫策が急に謀叛しました。」
「なんじゃと。どういう事じゃ。」
「はよ、防衛体制を整えろ。」
「そうじゃ。住民を盾にするのじゃ。そうすれば孫策も動けまい。」
「もうすでに外の城壁を越えられ街に侵入されています。後はこの城の城壁のみです。」
「なんじゃと。なぜ早く言わなんだ。」
「それがいきなり壁門が吹き飛ばされて。」
孫策がこの謀叛を企てるにおいて一番懸念していたのは建業の住民を人質にされることだ。
だからこそそこは入念に話し合われていた。潜入や騙し討ちなど地理を知り尽くしている
孫呉には多くはないが策を立てる事が出来た。
だが人質が既に用意されている場合を考えたら時間がかかってしまう。
そこで総司が出した案が大砲による奇襲だ。
まず複数の大砲を城門に一斉に斉射。それでいくら鉄とはいえ城門を破壊。
その後突入。歩兵は城壁を制圧しその間に一気に老害どもを排除し袁術と張勲を保護する作戦だ。
この作戦のかなめは孫呉の騎馬を操る程普と太史慈、黄蓋だ。
そこに総司の騎馬隊も加わる。
それに備えて船上で大砲を空砲で何度も放ち、兵士や馬を慣れさせた。
そして全ての準備を終えた孫呉は城壁近くまで押し寄せている。
「さて始めるわ。」
「策殿、やってくれ。」
「合図は孫策様がだしてください」
「あら、いいの?」
「今回は戦の前に長く口上を言う事が出来ません。
ならそれに代わりにはなりますよ。
旗が上がれば合図をお願いします。」
「分かったわ。さて総員準備はいいわね。」
「「「「「おおーーーー。」」」」」
整列した孫呉の兵士、全員が声を上げる。
この日を待ちわびたと。それぞれがこれまでの苦労を思い出しながら。
袁家から来る無理難題を何とかこなしながら連戦に次ぐ連戦。
豪族の反乱に領土の拡大。何とか終われば袁家の人間の好き勝手の尻ぬぐい。
その横で馬鹿みたいに金を使う袁家の面々。
一年だが思い出されるだけでも数えきれない。
「今までよく耐えてくれたわ。それも今日この日で最後よ。
これより作戦を開始する。八咫烏隊。砲撃準備、照準、建業城門。他の者は突撃準備よ。」
八咫烏隊の砲兵が砲撃準備を整えて旗を上げた。
それを合図に孫策は声を張り上げる。」
「放てぇーーーーーーーー。」
合図を受けて全ての大砲が放たれる。
放たれた弾は全て城門に当たり城門を破壊。
守りの兵士達が慌てだす。
「総員突撃。太史慈、程普、黄蓋、八咫烏隊は即座に城へ向かい制圧せよ。
後の者は蓮華の指示に従い外門上を制圧。突入部隊を掩護する。」
指示に従い突撃を開始。
孫策を先頭に市街になだれ込み中央通りを突っ切って城の内門に取りついた。
住民は少数が騒ぎを聞きつけて家から出てくるが状況を察して大通りに出てくることは無かった。
それどころか大通りに面した小道から見ていた人から掛け声すら上げている者すらいる。
「孫策様だわ!直ぐ後ろに神使様もいるわ」
「程普将軍だ!黄蓋将軍もいる!」
「太史慈さまもだ。」
「ついに袁家から解放されるんだ。」
「将軍頑張ってください。」
「お願いします。」
「でも大丈夫かしら。見ただけだけど袁家の兵士も多いわよ」
「馬鹿野郎、神使様もいるんだぞ。勝ちは決まったようなもんだろ。」
「そうよね。神使様。どうか我らの未来をお願いします。」
そんな声が聞こえてくる。
孫呉の兵士はそれで益々勢いを増していく。
「孫呉は民に愛されていますね。」
「当然よ。孫呉は常に民と共によ。」
「なるほど。」
「策殿。内門じゃ。」
「ええ。水燕、黄蓋は弓と鉄砲で城壁の敵を攻撃。大砲の手はずは?」
「攻城開始と共に城門近くの家に隠してあるのを周倉と馬鈞に運ばせて手筈を整えてある。」
「流石水燕君よね。しかしよくばれずに済んだものだわ。」
「それだけ袁家の警備がぬるいという証拠じゃ。」
城門にたどり着くと数人の兵士と周倉と馬鈞が既に砲撃準備を整えてまっていた。
黄蓋と瑠香がそれぞれ弓騎馬隊と鉄砲隊を率いて城門周りの兵士を排除するべく配置につき
攻撃を開始する。
そして孫策と総司、太史慈は周倉の下にたどり着いた。
「大将、孫策様。待ちわびましたぜ!」
「既に準備は整えてあります。いつでも撃てますよ。」
「撃って。」
「了解。総員、城門に向けて撃てーー。」
周倉の合図と共に砲撃の一斉射撃を開始する。
内門もあっという間に破壊された。
「程普隊、太史慈隊突入。各部署を制圧して。水燕、ついてきて。」
「承知。瑠香悪いが一個小隊を回してくれ。星と孫乾は俺と来い。外は桂花に任せる。
霞は程普殿たちに同行。制圧部隊に加われ。」
「「「了解。」」」
「任せえや。」
荀彧、趙雲、張遼はそれぞれ部隊を率いて動く。
孫策は総司、趙雲と計二個小隊を連れて中に入る。
目指すは袁術がいるであろう謁見の間。
途中逃げ出した悪徳文官や権力に笠を着て好き放題していた老害どもを排除する。
「せい。」ザシュッ
「はああああ。」グサッ
「二人を援護だ。放て。」
そうしながら進む。謁見の間に付き扉を開ける。
そこには人質にされた袁術と張勲。そして老人数人がいる。
「二人を話しなさい。」
「二人の命が惜しければ来るな。儂たちを逃がせ。」
「そうじゃ。」
「大体こんなことして黄祖から助けてやった恩を忘れおって。」
「その恩は忘れてないわ。しかし民を苦しめたのも事実。」
「うるさい。民などいくらでも湧いて出てくる。どうなろうと知った事じゃないわい。」
「そうじゃ。そんなものよりわしらの方が重要じゃ。」
「呆れたな。ガキかよ。」
「いやいや、主様、童でもここまでは申しませんよ。」
「そうだな。鉄砲隊構えろ。いつでも撃てるようにしておけ。」
鉄砲隊の兵士は構える。
同時に総司も背負っていた銃を構えた。
「だめよ。まだ撃たないで。」
「しかし。・・・・分かった。」
撃とうにも袁術を盾にした老人が刃を袁術の首元に添えているせいでなかなか撃てない。
孫策は現状を打破する方法が思いつかず焦っている
「孫策ーー。妾ごと撃つのじゃああああ。」
「お嬢様!」
「元々このような状況を生んだのは妾じゃ。その責は妾しかとれぬ。」
「黙れーーーーーーー。」
老人は持っていた小刀を振り上げた。」
「(今だ)」パンッパンッ
「うわあああああ、痛い、痛い。」
その瞬間総司とは持っていた銃で二人の老人の手を撃った。
手を撃たれた老人は余りの痛みに思わず袁術と張勲を離し叫ぶ。
「(離した。)張勲!袁術ちゃんを。」
「は、はい。」
張勲が孫策の指示の意図をくみ取り袁術を抱えて老人達から離れる。
そこから間髪を入れず銃弾が撃ち込まれて老人たちは死亡した。
「ふう。何とかなったわね。」
「ああ。一時はどうなるかと思ったがな。」
「そうね。そこは袁術ちゃんの勇気に感謝ね。」
共に袁術の方へ向かう。
袁術は張勲に抱き着きながら泣いていた。
「七乃ーー、怖かったのじゃ~~。」
「お嬢様~~。ご無事で何よりです。」
「よく頑張ったわ。袁術ちゃん。」
「かっこよかったぞ。」
孫策と総司は袁術の頭をなでた。
袁術は涙ながらに嬉しそうに笑っていた。
それからほどなくして程普と太史慈から悪徳文官の排除と各部屋の制圧が完了したこと
外から孫権が全ての軍事施設を制圧したことが報告された。
ここに揚州は孫家の手に戻ったのである。
今回で祖国解放編は終了です。
次回から新しい章に入ります。
よろしくお願いします