恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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日常編
第二十七話


 建業。

その謁見の間に孫呉の武官、文官が勢ぞろいしている。

そして一番奥の当主の席に孫策は座る。

その前に八咫烏隊隊長である総司と副隊長の趙雲、第四旅団隊長である張遼が片膝を付いている。

 

「今回の黄祖攻め、および揚州奪還ではとても助かったわ。

約束通りの物を用意したわ。冥琳。」

 

「ああ。会稽群の北にある砦を用意した。場所は後で案内させる。

そして「少々お待ちを。」いかがなされた孫静殿?」

 

「やはり会稽群に与えるのは反対です。盧陵の開いている適当な要塞で良いのでは。」

 

「よせ。いくら先代の妹君と言えどそれはならん。

黄祖攻めや揚州奪還がここまで早く終わったのも水燕のおかげ。

それは紛れもない事実じゃ。それをそのような州の端を与えれば孫家の程度も

知れたともいえるじゃろう。本来なら群を与えてもよい手柄じゃ。」

 

「それは言いすぎでしょう。孫呉でもいきなり高い地位を与えられているのです。

不満はないのでは?」

 

「お主とて水燕のこれまでの活躍は知っておろう。孫呉が受けた恩も多くある。

更に必勝の神使や御使いの友の名を使わせてもらうのじゃ。それ相応の地位を与えなばなら

おかしい事になるし期待する効果を得られる事は出来ぬ。先行投資と思えぬか?」

 

「思えませぬな。そのせいで益々戦が増える可能性すらある。

人は欲には弱いもの。必ず勝てる兵器があるのなら使いたくなるものでしょう。

策がそれを用いて支配領域を拡大しようと考えるのは目に見え得ております。」

 

「黙らぬか。孫静!いくら何でも言っていい事と悪い事があるぞ。」

 

「祭の言う通りだわ。先ほども雷火殿も申していたけど水燕君の活躍は大きい。

彼のおかげで受けたであろう被害をかなり減らせている。

それを無視して揚州の辺境に送ろうなんてよく言えたものね。

更に当主の悪口を堂々と言い放つとは。」

 

「いくら宿老と言えど立場をわきまえろ。私は」

 

「沈まれ!」

 

孫策の声で静まり返る。

 

「おば様。既に決まった事を今更むし返さないでください。

水燕も悪かったわね。冥琳続けて頂戴。」

 

「分かりました。場所は先程の通りにそして地位に関しても以下の通りとする。」

 

結果総司は将軍の地位を得て正式に孫呉の名を連ねた。

それに伴い真名の交換が行われ、主だった武官と孫策、孫権、孫尚香が真名で呼ぶことを

許した。孫静は終始不満そうな顔をしていたが。

そして孫呉として色々決める事があり直ぐに決め得られていく。

その中で一番もめたのが袁術と張勲の扱いだ。

意見は二つ出た。まずは保護派。

まだ幼いとはいえ袁家の人間だ。

孫呉に不満がある人間にうまく使われて旗頭にでもされたらたまらない。

更に幼いという点からいくら張勲がいるとはいえまだ幼い童を野に放つのはあんまりという意見や

更に張勲の有用性も話に出た。張勲は決して無能ではない。

今回活躍できなかったが過去用兵で倍の敵を潰した経験を持っている。

特に砦などでの防衛戦での活躍はすさまじく優秀な人材であることから二人とも保護するべきだ

という意見が主だった。

反対に追放案や処刑案も出た。

此方は孫呉が受けた被害や袁術を内に匿う事の危うさ。

このまま袁術を匿えばいずれ民にばれて不満が広がるというのが主な意見だ。

どちらも意見ももっともだと孫策は理解している。

 

「どちらももっともな意見だわ。総司はどう思う?

貴方は意見を述べていないようだけど。」

 

「俺は保護です。ただそのまま保護すれば反対派の方々が言われた事も

ありますので全ての権限、地位を取り上げた上で二人には家名などを捨ててもらいます。

その上で新たな名を与えた上で保護すればよろしいというのはどうでしょう。

対外的には戦の最中に死んだという事にすればいいかと。

ただこの案は交州で仕事をされている紀霊殿が勘違いされる可能性があります。」

 

「なるほどそれならば問題はほぼあるまい。紀霊の奴にも文を送れば問題はなかろう。」

 

「そうねなら袁術ちゃんたちはそのように進めるわ。」

 

そうして軍議は終了した。

 

それから数日後総司達八咫烏隊は砦に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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