恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第二十九話

「総司はなにか芸とかできるのよね?」

 

それは孫策のその一言から始まった。

なんでも孫家では月に一回ほど武官、文官総出で無礼講の宴会が開かれる。

そこで新人は何かかくし芸的なものを披露しなければならないとか決まりがある。

もとは先代孫堅が言い出したことでそれから新人たちはそれを披露することとなっている。

特に今回は袁家支配の中では宴会などできるはずもなく今回はその袁家から解放されて

初の宴会だという事で特に派手に行うという事だ。

過去には甘寧はナイフ投げを披露し太史慈は槍の演武を披露している。

その宴会が一週間後に行われ今回は八咫烏隊を代表して総司と瑠香が

披露しなければならないという事になったのだ。

 

「どうするよ」

 

「どうするといわれてもな」

 

「あんたならさっといい考えだせるでしょ」

 

「案はある。後はお前次第だな」

 

「私次第?何か作れと」

 

「そうだ。実はな。」

 

総司は瑠香に自分の計画を話す。

 

「そういう事なら任せなさい」

 

「頼んだ」

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間

 

 

 

 

 

 

遂に始まった宴会とかくし芸大会(総司が勝手にそういっている)。

宴会には総司と瑠香以外に趙雲、張遼、荀彧が参加している。

他にも少ないが新人がいるので先に披露される。

成功して歓声を受けるものがいれば

失敗してもそれはそれで笑いが起こる。

だがそれはあざ笑う笑いではない。

そのあたりからも孫呉の人柄が受け取れた。

そして最後のとりとして総司と瑠香がでる。

それと同時に大きな機材が布がかぶせられたまま運び込まれてきた。

布がとられると現れたのはグランドピアノだった。

それとは別にチェロと横笛持ってきていた。

それは瑠香がこの国の楽器職人たちと作り上げたものだ。

総司はピアノの音が出ればいいといったのだがそこは職人。

見たことない楽器を見た瞬間張り切り総司が想像していた以上のものを作り上げたのだ。

そして今日この場にそれを持ってきている。

そしていざ演奏が始まった。

選んだ曲は二曲JupiterとHe's a Pirate

Jupiterではピアノを瑠香が横笛を総司が弾きを

He's a Pirateでは二人でチェロを弾く。

二人は宴会にふさわしいかではなく引きなれているものと好みで選んだ。

そして演奏が始まるまずはJupiter。

これは瑠香が選んだ。

演奏が始まれば全員が黙って耳を傾ける。

演奏が終われば拍手が聞こえてくる。

そして次がHe's a Pirate。

これは総司が選んだ。

総司は曲を選ぶときずいぶん悩んだ。総司は宴会に似合う曲はあまり知らない

そこで完全好みで選んだのだ。

演奏が終わると少しの間を開けて拍手と大歓声が起こった。

特に武官には受けが良かった。若い文官にも受けている。

だが孫静を中心とした年寄り文官たちは面白くないのか静かにしているままだ。

二人で一礼して機材を直し席に戻った。

それと入れ替わるように孫家お抱えの楽曲隊が登場し曲を引き出す。

 

「いやぁ水燕殿、孫尚殿。お見事でした」

 

「ええ。感動しました。また機会があればぜひお願いします」

 

「将軍は武だけでなく音楽にも精通しているとは感服いたしました!!ささっ、どうぞ一献」

 

「いただきます」

 

酌を受けると一気に盃を傾け酒を呑み干した。

 

「よき飲みっぷりですな。さすがは必勝の神使」

 

「とんでもない酒豪ですな!!私の酌もどうかお受け下され」

 

総司と瑠香を中心に武官たちが集まり人だかりができるがそれが二つに割れた。

孫策と孫権が黄蓋と程普を連れて総司の元へやってきたからだ。

 

「談笑中ごめんなさい。とても素晴らしい曲だったわ。総司、瑠香」

 

「ほんと、感動したわ、ねえ祭」

 

「まっこと感動した。特に二曲目がよかった。聞いているだけで武人の一騎打ちを想像した」

 

「確かに。文官たちには一曲目のほうが受けていたけど二曲目は武官たちに受けたんじゃない」

 

「そう言っていただけるならよかったです。」

 

「ほんと。しかも本職の前に披露するから心配でしたし」

 

「むしろ負けじとこの場の演奏に張り切っているようじゃ」

 

「そうよ。自信持ちなさい。ほら」

 

「ありがとうございます」

 

総司は孫策に注いでもらった酒を一気に飲み干す。

 

「ほら瑠香も」

 

「ありがとうございます」

 

瑠香も同様に注いでもらい一気に飲み干した。

 

「さあ、宴会はここからが本番よ。みんな、存分に楽しみなさい。

今夜は無礼講。いきすぎなければ多少の無礼は許すわ」

 

『おおーーーーー』

 

そのあと五人は存分に宴会を楽しんだ。

そして夜も更けたころ孫策の一言で宴会は終了。

総司たちは全く酔うことなく建業の宿に戻って寝た。

 

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