面白いと思います。
今総司は幽州にいる。
数日間情報収集していたが公孫賛が袁紹に負けた。
最初は兵士の練度差で何とか粘っていたが公孫賛の従妹の公孫越と公孫範が戦死したことで
戦況は一気にひっくり返り物量で勝る袁紹が勝った。
そして総司の予想通り袁紹は貼り付けにしたうえで公孫賛を公開処刑するようだ。
「ここまで予想が当たるとはな」
「驚きはしませんわ。それだけ袁紹が総司様の予想の範囲内の行動しか出来ない女というだけの事」
「確かに」
「隊長の言う通りですぜ」
総司の隣にいる孫乾の言葉にそのほかの部下が同意する。
孫乾の部下のほとんどが元は漢の闇の世界では有名な暗殺組織の団員だった。
権力者、要人、貴族、将軍。あらゆる者を殺してきた。
子供のころから暗殺者として育てられて組織の道具として生き、
老いて使い物になら無くなれば殺される。
そんな組織で生きてきた。
だがあくまで暗殺組織だ。正面の戦闘は無理だった。
正面から総司たち第四師団に攻められて結果棟梁を中心に幹部連中は全員捕らえられたのち処刑。
残ったのは若い連中約百名だけとなった。
食いぶちも居場所もなくあるのは暗殺や諜報の技術だけの彼らに総司が用意したのがこの部隊だ。
孫乾を隊長として諜報や密偵、妨害工作などを担当する為、
彼らにとって自分たちの技術を最大に活かせて更に待遇がいい。
今まで奴隷のように組織から使われ質素な食事と筵一枚寝床という生活だった彼等からすれば
まさに天国だった。
だからこそ彼らはそれを失わない為にしっかり働く。
「さて、始めるぞ。目的はあの村のどこかにいる公孫賛の救出だ。それと出来る限り情報を集めろ」
総司は指をさして村を指す。
今総司たちは村を見渡たす事ができる丘の頂上に立っている。
村には冀州兵が見張りとして行動している。
更に村の周囲は壁で囲まれていて容易には潜入出来ないだろう。
『はっ』
だが彼らは何の躊躇もなく返事をする。
「行け」
総司の合図で隊員は散らばって眼下の村に潜入していく。
その場に残ったのは総司と孫乾だけになった。
「総司様はいかれないので?」
「あいつらに任せればいい。それに俺は潜入任務の技術はない。
返って邪魔だ。それに俺の故郷には餅は餅屋という言葉がある」
「餅は餅屋ですか?」
「その道のことはやはり専門家が一番であるという意味だ。さてしばらく待つか」
「お供しますわ」
しばらくして部隊隊員が戻って来た。
護衛するように紅い髪をポニーテールにした少女を連れている、
「公孫賛 伯珪ですね?」
「そうだ。あなたは」
「俺は水燕 白瑛。これからあなたを劉備殿の元に護衛する」
「あ、ああ。頼む。いやそれよりもだ。すぐに琢県に向かってほしい」
「理由は?」
「桃香、あ、いや、玄徳の母殿が」
「なるほど人質ですか」
「そうだ」
青州を抑えている袁紹にとって次の敵は苑州の曹操か徐州の劉備だ。
そこで劉備との交渉材料にする為に捕まえようと考えたのだろう。
「承知しました。琢県に向かうぞ」
『はっ』
馬に乗り琢県を目指す。
そして着いた先で見たのは信じられない者だった。
「遅かったか」
琢県の劉備の故郷の村は既に壊滅していた。
冀州軍の姿はないがそこら中に村人であろう人たちの死体がある。
若い女性は特にひどい。
犯され乱暴された跡が残っている。
そして村の真ん中には貼り付けにされた人が何人かいた。
「これが人のする事か」
「俺らもさんざんなことしてきたがこれはひでぇ」
隊員たちは口々に思いを口にする。
「あ、ああ」
その時かすかに声が聞こえた。
「おい誰か。まだ生きてるぞ」
「直ぐに全員降ろせ」
隊員が一人ずつおろして安否を確かめる。
「この人だ」
その人は劉備と同じ髪色の女性だった。
「彼女が?」
「ああ。玄徳の母君だ」
母親は全身に傷を負い既にかなり血が流れている。
既に治療してどうにかなる段階ではない。
持って二日といったところだった。
「急いで徐州に運ぶぞ」
「はい」
荷馬車を作りそこに母親を寝かせて公孫賛に面倒を任せて馬を走らせた。
冀州の関を突っ切りあらかじめ曹操に使者を送り通行許可をもらい、
更に馬を走らせる。そして二日目の夜、徐州に入った。
そこから更に馬を走らせる。
そしてようやく徐州の州都にたどり着いた。
だがすでに門は閉じている。
「何者だ?」
門番が城門の上の通路から声をかけてきた。
「俺は揚州の水燕だ。緊急で劉備殿と面会したい」
「ダメだ。既に閉門の時間は過ぎている」
「劉備殿の御母堂をお連れした。だが既に危篤状態だ。頼む。
最後くらい母親に合わせたいんだ」
「それが本当かわからんだろう」
全く動こうとしない門番に総司はじれ始めたころだった。
「どうした?」
「これは華雄様」
総司たちにとってこの場の問題を乗り切る救世主が現れた。
「華雄。俺だ総司だ。緊急で劉備殿と会いたい。開けてくれ」
「総司!なぜここに?」
「それは後で話す。急いでくれ」
「わかった。すぐ話を通す」
華雄は奥に下がっていった。
劉備はここ数日眠れない夜を過ごしていた。
「桃香。寝ないとだめだよ」
「ご主人様。でも白蓮ちゃんが心配で」
「信じるしかないよ。大丈夫」
一刀の慰めの言葉で少し落ち着いた劉備の部屋に兵士が駆け込んできた。
「劉備様。水燕将軍が城門前で緊急で劉備様と面会を求めております」
それは最初に総司あった兵士だった。
「水燕さんが?」
「どうした?」
「なんでも、劉備様の御母君をお連れしたと」
「お母さんを?」
「はい。ですが既に危篤状態とのことで」
「え?」
劉備は城門前まで走った。
そこには既に関羽や張飛など劉備軍の幹部が集まっていた。
そして公孫賛に上半身を抱かれながら寝かせられた母親がいた。
「お母さん!」
「とう・・・か」
既に声はかすれている。
「なんで?」
「冀州軍が劉備殿の故郷を襲ったようだ。公孫賛殿に聞いて向かった時にはもう」
総司の説明を聞いた劉備は再び母親を見る。
「桃香。立派になったわね。母さん。誇りに思うわ」
「お母さん。いや、死ななないで」
「なんだ、なんだ?どうしたんだ?」
全員がそちらを向く。
そこに立っていたのは赤い髪の若い青年だ。
「む、患者か。俺に見せろ⁉」
「その前に貴様何者だ?」
「俺は華佗。医者をしている」
「「まじか」」
「ご主人様?」
総司と一刀が驚きながらそちらを見るが
そこで一刻も猶予がないことを思い出して一刀は華佗を近くに来させる。
「この人です。治せますか?」
「かなり痛めつけられたようだな。だが任せろ。すぐに病魔を退治してみせるぜ‼」
そういうと彼は何処からか鍼を取り出し、それで身体を押し始める。
「ここか・・・違うか、こっちか?」
何をしているのか聞こうとした瞬間、彼は鍼を持った右手を高く掲げた。
「見つけたぁ‼かなり厄介な病魔だ・・・だが患者を死なせたりはさせん‼貴様等病魔など‼
この鍼の一撃で蹴散らしてやる‼はああああああああああ‼‼」
「我が身、我が鍼と一つなり‼一鍼同体‼全力全快‼必察必治癒‼病魔覆滅‼ゴッドヴェイドゥーー‼‼」
「・・・・・・・・・」
誰もが目の前の熱血青年を見て大丈夫かと少々不安になる。
「げ・ん・き・に・なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
凄い掛け声と共に鍼を母親の腹筋付近に突き刺した。
「貴様の野望‼もはやこれまで‼病魔退散‼‼」
余りの出来事に周りは呆気にとられながらそれを見ていたが
そこで一番近くで見ていた一刀が母親の状態が変わっていることに気付く。
「・・・傷跡が・・・無くなってる・・・」
「は?」
「マジかよ」
周りが驚きながら見れば傷口は消え、荒かった呼吸も整っている。
彼女自身も披露こそあるが顔色もよくなっているようだ。
今は眠っているようだが。
「これで大丈夫だ。間に合ってよかったな。かなり危ない状況だった」
「私のお母さんをありがとうございました」
「気にするな。俺は苦しむ人々を救うこそが俺自身の使命だと思ってるだけだ」
華佗の印象は一言でいえば熱血のいい奴だった。
「(消す奴もいれば直す奴もいる。当然で当たり前だがやはり医者というのは尊いな)」
総司は華佗を見ながらそう思っていた。
が
「あんらぁ〜華佗ちゃん♪ここにいたのねん♪」
「な」
『ば』
「ば~?」
『化け物~~~~~~~』
「だ〜れが一度みたらむこう一月は悪夢に出て来そうな筋肉ダルマですってぇえ⁉」
波乱はまだ終わらない。