冀州州都攻城戦はすぐに終わった。
碌に守りの兵士もなく指揮官も全滅している袁紹軍に連合の進撃を抑える力はなかった。
戦闘開始数分で門が開き連合軍がなだれ込み袁紹を捕らえた。
その時の袁紹は部屋の寝台に潜り込みすすり泣いているだけだった。
この後司隷に連行され裁きを受ける事になるだろう。
連合軍は一時州都にとどまっていた。
総司は荀彧と共に酒を片手に外壁の縁に座っている。
「終わったか。あっけなかったな」
「はい」
「柱花。こちらの被害は?」
「死者なし。ですが数名怪我人が出ております」
「わかった」
するとそこに一人の男が近づいて来た。
「よう、久しぶりだな。黄巾討伐以来か?」
「お久しぶりです。総司先輩」
「な、あなた、総司様の真名を」
「いいよ。相手は御使い殿だ。こちらの道理は通らないだろ」
「はい」
「すまないが席を外してくれるか?」
「わかりました。ですがお気負付けてください」
「わかってるよ」
荀彧はその場を後にする。
「それにしても久しぶりだな。まさかお前もこっちに来てるとは驚いたよ」
「俺の方こそですよ。しかも漢で有名になってるとは」
「ま、俺だけじゃないけどな」
「じゃあ瑠香先輩も?」
「ああ、一緒にの来てるよ」
「やっぱり。虎牢関で鉄砲を見てもしかしてと思ったんですよ」
「会うか?」
「ここに来てるんですか?」
「いや、揚州にいる」
「なるほど、勧誘してるんですね?」
「聡くなったな、お前も。昔なら疑う事もなくほいほいついて来ただろうに」
「そうですかね?まあ俺も少しは成長してると思います」
「そうか。ま、あの劉備と一緒にいれば嫌でも成長するよな」
「桃香と話したんですか?」
「同盟相手とはいえ何の躊躇もなく俺に防衛の全権を渡してきた。
そのまま寝返られたらどうする気だったんだか?
あれは俺の事も友達のようにとらえてるんじゃないのか?」
「可能性はありますね」
「お前はすごいよ。劉備に関羽に張張を始め今の劉備軍は見た感じ旗頭は劉備だが
実質お前の軍と言ってもいいくらいだ。違うか?」
「ひ、否定できない」
一刀は過去を思い出しながら冷や汗を流す。
「もう少しポーカーフェイスくらいしろよ。同盟相手とはいえ俺は他家の人間だぞ。
そんなんじゃ、外交は出来ないぞ」
「気を付けます」
「まあいい。それでわざわざここまで来た理由はなんだ?」
「はい。総司さんは管輅の予言の予言は知っていますか?」
「ああ」
「あの予言が正しいなら俺達と呉はいずれ戦う事になります」
「だろうな。確か三国志演義でもそうだったと思う。
ま、横山先生の漫画しか読んだことはないが」
「ええ。俺からの御願いは愛砂、関羽の事です」
「殺さず捕虜にしろと?」
「ええ」
「いいよ。だが勧誘して寝返っても文句は言うなよ」
「その時はそれも運命と思って諦めますよ。
彼女は俺達というか桃香の今の在り方に疑問を感じているようですし」
一刀は三国志の事はあまり詳しくないがそれでも関羽の最後位は
知っている。そして自分が救う事はほぼ不可能と考えている。
だからこそ一刀は頼れる先輩を頼ることにしたのだ。
「元々の彼女の気質と過去を考えればさもありなんといったところだな」
「ええ。彼女の考え方はどちらかというと俺達より総司さんの考え方に近いでしょうから。
今は責任ある立場にいるので心配はありませんがきっかけがあればもしかすれば」
「齢十八かそこらの女の子に歴史上の人物と同程度の気質を持てというのは土台無理な話だからな」
「そうですね。だからこそお願いします」
「わかった。そうだ、お前も飲むか?」
「未成年ですよ?俺」
「周泰達も飲んでるから大丈夫だろ。付き合え」
「じゃあ、ちょっとだけいただきます」
一刀は渡された酒を一口飲む。
「まずっ」
「ははは、慣れればこれがうまいんだ」
「俺にはわからない世界の話ですよ」
「そうか」
二人はそれからも語り合っていた。
注意:この話は未成年に飲酒を進める話ではありません。
いないと思いますがこの話を理由に未成年飲酒を始める事はおやめください。
当方は一切責任を負いかねます。 以上。