長坂坡。
八咫烏隊はそこで陣を張り劉備軍の到来を待っていた。
見張りの兵士たちが話していた。
「おせぇな」
「無理言うな。向こうは民間人の大行列を連れてんだ。自然、遅くなるってもんだろ」
「そこまでしてついていくもんかね?」
「俺達も水燕様について司隷から揚州まで来ただろうが」
「つまり、お前は劉備に水燕様ほどの魅力があると?」
「知るか。俺は劉備に会った事ほとんどねぇんだからな。
でも民がそこまでしてついてくるんだ。それなりのもんがあるんだろ?
あるいは御使い様かもな?」
「そうかよ」
その時、遠くに行列が見え始めた。
その一つの天幕。
そこで周瑜と総司は話していた。
「その後劉備軍の動きはどうなっている?」
「美花の報告でもう少しの所まで来ている。
殿に着いた負けて敗走したが国境付近で捕まったようだ。
ま、物量差が違いすぎるからな。無理もない」
「曹操軍の方はどうだ?」
「関羽捕らえた後、全力で追っている。
劉備軍がこちらに合流するのが先か。曹操軍が劉備軍が先に追いつくかは五分五分だろう」
「そうか」
周瑜が聞き総司が答える。
「さてこの状況どうするか。参謀殿?」
「とりあえずこちらは待つしかないそこからは総司に任せてもいいか?」
「勿論、荒事は将軍の領分。ただし一つ頼みを聞いてほしい」
「なんだ?」
「今回の戦で関羽を奪還する。それを劉備に黙っておいてほしい。
少なくともこちらからは話しかけないでくれ」
「理由は?」
「俺の方で勧誘して戦力にしたい。今後の呉の事を考えると
人材は多くいて損はないからな」
「しかしそんなことをすれば劉備との同盟が壊れるぞ」
「遅かれ早かれそうなるだろ。同盟だって別に対曹操に向けての同盟だったはずだ。
正直、今の劉備軍に御使いがいなければこっちにとって旨味はほとんどないはずだ。
同盟を維持したいなら俺達は是が非でも彼らに益州を攻略させないといけない。
そうしなければ同盟の意味がないからな」
「確かにな。劉表の所でのんびりするならこちらにとって旨味はないに等しい。
勿論曹操に荊州を取られるよりはいいが、どちらにせよ。
劉表の動き次第で荊州も手に入れる計画を立てていたんだ。
確かに遅かれ早かれそうなるな」
「そう言う事だ。だから関羽を勧誘するつもりでいる」
「わかった。関羽の事は任せる。こちらも沈黙を決めよう」
「感謝する」
その時天幕に趙雲が入って来た。
「主!周瑜殿。劉備軍がこちらに来ているとの報告だ!」
「来たか。わかった。第一旅団は敵を迎え撃つ準備だ。
第二師団は天幕を撤去したのちに先行する劉備軍を護衛しろ。
星そちらの指揮は任せるぞ」
「わかりました。完璧にこなして見せましょうぞ」
総司は出迎えに向かう。
一方劉備軍はようやく長坂波にたどり着き少し安堵していた。
そこに先頭の兵士が道をふさぐように立つ総司と周瑜に気付いた。
「水燕様!」
「ん。俺の事を知っているのか?」
「自分は朱儁将軍の旗下の兵士です。何度か司隷で集団稽古に参加させてもらいました」
「朱儁殿の兵士だったか!悪いな」
「お久しぶりです。してここにあなたが来たという事はまさか!」
「ええ。援軍として来た。すぐに劉備殿に取り次いでくれ」
「直ぐに。皆喜べ!呉からの最強の援軍だ!」
『おお~~~~』
それだけで兵士たちから安堵と喜びの声が上がる。
それから総司は一刀の所に通された。
「援軍、感謝します。周瑜殿、水燕殿」
「いえ、とにかく今は時間が惜しい。現状はこちらでもある程度理解している。
これより殿は我ら八咫烏隊が務める。今は進んでください。御使い殿」
「わかりました。ご厚意に甘えさせてもらいます」
劉備軍は行軍を再開した。
それを見守っていると途中で馬に引かれた誂えのいい車が目の前に止まる。
「お久しぶりですね。水燕」
「これは献帝陛下」
総司と周瑜は慌てて跪いた。
「今回の援軍感謝します。頼みますよ」
「「は!」」
車は再び進みだした。
「まさか、ここで陛下に会うとはな。旧董卓の臣下が劉備に仕えいる事から
もしかするととは思っていたが納得だな」
「そうか?」
「ああ。他の勢力なら既に表に出ているはずだからな。
曹操然り雪蓮然りだ。未だ出ていないのならそれは律儀に約束を守る劉備しかありえない」
「黙ってて悪かったな。陛下の命令だったんでな」
「陛下からの命令なら仕方ないさ。それよりあとは頼んだぞ」
「任せろ!」
総司は軍を率いて行列の最後尾に向かっていった。