恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第四十七話

 荊州新野城に劉備たちは入った。

そこから送れるようにして総司たちも新野城に入る。

総司と周瑜は話がながら謁見の間に向かう

 

「よく劉表を説得できたもんだな」

 

「劉表は曹操対策として兵力は欲しいからな。特に我らとの戦いで黄忠、魏延を失ったからな。

取れる人材は一人でも多く欲しいという事だろう。

後は同じ劉性というのも大きいのかもしれんが」

 

「なるほど」

 

そして謁見の間に着き、中に入る。

既にそこでは会議が始まっていた。

総司たちが入って来た事に最初に気付いた劉備がこちらを見る。

 

「水燕さん、周瑜さん。護衛と曹操さんの撃退、ありがとうございました」

 

「お気になさらず。徐州に曹操は撤退しました」

 

「そうですか」

 

「それで今後、劉備殿はどういった行動をとられるおつもりか?」

 

「それを話し合っていました。私達は今後、益州攻略に向けて行動するつもりです。

でもその前に私は愛紗ちゃんを救いたい」

 

「桃香いう事は分かるつもりだ。だけど今は無理だ。こちらには愛紗を

救う為の力も方法もない。いくら旧董卓軍が参入してくれたと言っても

こちらの動かせる兵力は今、三万もないんだぞ。

そんな状態で十万近い兵力を持つ曹操とまともな戦になるわけないだろ。

軍事を預かる者としてそれは出来ないよ」

 

対立しているのは劉備と一刀だった。

何としても関羽を助けたい劉備と現実的に見て今はそれは不可能だと考える一刀。

どちらも譲らない。

 

「なら、ご主人様は愛紗ちゃんがどうなってもいいって言うの?」

 

「そうは言ってない。俺も愛紗は助けたいさ。

でも今は俺達にはそれは不可能だ。

まずは益州を攻略して万全な体制と武力を整えれば孫呉とも協力できるようになる。

元々そういう同盟だからね。

そうしないと曹操の強兵は戦えないよ」

 

「そんなの曹操さんと話し合えばいいでしょう!」

 

「曹操がそれをしてくれるとは思えないがな」

 

総司の声にその場にいた全員が総司を見た。

 

「どういう意味ですか?水燕さん」

 

「そのままでしょう。より多くの利益を得られる可能性があるのに

何でその利益を捨ててまで話し合いの席に着く?着くわけがない。

この状況で俺が曹操なら話し合いなんかしないしする理由もない。

今、曹操がこちらを狙わないのは俺達孫呉がいるからだ。

ただでさえ今、徐州の完全平定に力を入れたいのに

孫呉まで敵に回す余裕は曹操にもないでしょうからね」

 

総司の話を聞いて劉備と同じ考えを持っていた者たちが黙ってしまう。

そこに総司は更に話をいれた。

 

「そんなあなた方に会わせたい人がいる。入れ!」

 

扉が開き入って来たのは一人の八咫烏隊の兵士だった。

顔はフードを被っているがそれが女性である事は見ればわかる。

兵士はフードを取り、顔を見せた。

 

「愛紗ちゃん!」

 

それは八咫烏隊の兵士の恰好をした関羽だった。

走って関羽の元に走り抱き着く劉備。

だが関羽は劉備を優しく振りほどきその場に片膝を立てて跪いた。

 

「本日は桃香様、いえ劉備様にお暇を申し上げに来ました」

 

「どうして?」

 

「私は劉備様の理想に共感してこれまでついてきました。

しかし劉備様の行動がそれに伴っていないところが多々存在し

今の私はそれを信じる事が出来ません。

そして私は私自身の理想を追う事にし、同じ理想を持つ

孫呉、ひいては総司様に仕える事にしました。

真に勝手な事ではありますがお許しください」

 

「そんなの嫌だよ。愛紗ちゃん帰ってきてよ」

 

「申し訳ありません」

 

劉備が何を言おうが関羽は謝るだけだ。

そもそも戻るとは言えない。既に下ると決めて臣下の礼まで取ったのだ。

今更反故には出来ない。

 

「失礼します」

 

関羽は劉備の手を再び振りほどきその場を後にした。

劉備はしばらく泣いていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

新野の城壁で酒を飲んでいた総司の元に一刀が訪れた。

 

「どういうつもりです?」

 

「何がだ?」

 

「とぼけないでください。貴方でしょう?愛紗を勧誘したのは」

 

「否定はしないがな、決めたのは彼女だよ。

関羽が劉備殿に対して不信感を持っていたのは事実だろ?

おまえも言っていたじゃないか。それで俺を責めるのはお門違いだろ。

そもそもお前もお前だ。同盟相手と言っても俺とお前は他国同士だ。

自分の弱いところを見せてどうするんだ。そんなの勧誘してくださいって言ってるようなものだ」

 

一刀は片手で顔を覆い空を見た。

 

「あの時か。俺もまだまだだな」

 

「そう言う事だ。でも自分の魂に恥をかかせる生き方はするなよ」

 

「え?」

 

「自分で決めたんだろ?劉備の生き方に共感して支えるって。

俺はこれから先、何度でも劉備の道を塞ぐことになる。

それが物理的なのか心情的なのかはわからんがな。

それでも劉備が前を向けるか、それともそこでくじけるかは

お前次第だろう。だからこそ生き方は選べよ。

狡猾に生きるもよし、真っ直ぐ生きるのも有りだ。

だが自分の魂に恥をかかせる生き方はするな」

 

「総司さんはどうなんです?」

 

「俺か。俺はそうしてるつもりだ。手段は選ばないがな」

 

「そうですか。もう一つ。孫呉はどこまで協力してくれるんです?」

 

「とりあえずはここまでだな。そちらが要請するなら益州攻めにも協力するが」

 

「わかりました」

 

 

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