恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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どうも
第四話です。
よろしくお願いします。


洛陽動乱編
第四話


 洛陽に戻った総司はその足で城にいる霊帝の下に向かう。

丁度北で黄巾討伐に出ていた皇甫嵩将軍や朱儁将軍らと城の前で鉢会い共に向かう。

玉座の間に入ると床よりも高い所にある玉座に座り高級菓子を食べる女性、霊帝を中心に

右に大将軍の何進とその派閥の者、左に十常侍が並んでいる。

ただ十常侍の趙忠と霊帝の妻何太后だけは霊帝の少し後ろに控え、

趙忠は霊帝に菓子を手渡し、何太后は霊帝と一緒に菓子を食べていた。

そんな事を気にせず指定の場所に跪き、臣下の礼をとる。

 

何進「水燕、および皇甫嵩、朱儁。黄巾討伐への出兵、ご苦労だった。報告を聞こう。」

 

朱儁「はっ。北の黄巾党。袁家及び馬家、公孫瓚殿との協力により討伐、完了致しました。」

 

総司「南の黄巾党。孫家、曹家、劉備義勇軍との合同で討伐完了いたしました。

此方では曹操殿が首領張角及びその姉妹を始末いたしました。」

 

何進「ご苦労下がれ。」

 

総司・皇甫嵩・朱儁「「「はっ。」」」

 

三人はそのまま退出する。

宮中を出てしばらく進んだ所で総司の右を歩いていた男性、朱儁が口を開く。

 

朱儁「今のいるか?」

 

総司「言わないでくださいよ、朱儁将軍。全員が思ってることを。」

 

朱儁がそう思うのもしかたない事だ。

大将軍である何進や十常侍は勿論、あの場にいた全員が自分の事しか考えていない。

それを皇帝も咎めもしない。というより傀儡と化している。

皇帝の劉宏も治世に興味が無く、ただ美食に耽るだけの毎日を過ごしている。

好奇心は人並みにあるが、人並み外れた世間知らずである。

その性格を利用して皇帝に情報が行かないよう操作し、何も知らない事をいいことに

皇帝の名を使い好き勝手しているのが十常侍や大将軍何進である。

趙忠だけはただ霊帝を甘やかし世話をする事に楽しみ、悪事もしないが善行もしない。

それらのせいで洛陽は腐敗しきっていた。

それを正したいと考えるものも多い。

だがそういうもの達も十常侍によって嘘の罪で殺されて押さえつけられていた。

事実先日も皇帝の目を覚まそうと直接訴えた張鈞という文官が

十常侍の筆頭張譲に殺されるなどの事件が起きていた。

朱儁はそれが気に入らなかった。

本来は皇帝やその妃の世話係が主な仕事である。

つまり本来彼らはあの場にいる資格も権力も無いはずなのだ。

なのに権力を手に入れ好き勝手に振る舞う始末だ。

朱儁はそれが気に入らなかった。

先程、玉座の間でも霊帝は全くこちらに興味を示さずただ菓子を食べていただけ。

それを良しとしている妻の何太后も朱儁の中では気に入らない対象でしかない。

朱儁は真面目な忠義者だ。

彼は十年以上漢に仕えてきた。だからこそこの腐敗しきった世を変えたいと思っている。

だが朱儁には地位も発言力もあるが勇気がなかった。

朱儁には十四の時に結婚した妻と三人の子がおり、

それらを犠牲にしてまで動く勇気がなかった。

 

皇甫嵩「大丈夫ですか?朱儁将軍。かなりお疲れのようですが。」

 

朱儁「かもしれないな。すまんが先に休ませてもらう。」

 

総司「お疲れ様です。」

 

そう言って朱儁は自宅の方へ帰っていった。

 

総司「随分お疲れのようでしたね。楼杏(皇甫嵩の真名)さん。

北の出兵は余程酷かったようですね。」

 

皇甫嵩「ええ。袁家が指示に従わなくてね。命令違反や

逆に彼らが略奪を行うなど酷くてね。馬騰殿や公孫瓚殿、盧植将軍が

頑張ってくれたからどうにか撃破できたけどかなり危い場面が多かっったの。」

 

聞けば黄巾討伐に際し、北方軍は幽州に追い詰めていたらしい。

その中で袁家の兵士が一部の村を略奪を行ったり、

降伏した黄巾兵をむごいやり方で虐殺するなどの行動が見られた。

それで幽州牧が途中で亡くなりその代わりを務める公孫瓚が袁紹に苦情を言い

一触即発な状態が度々あった。

それを止めていたのが朱儁だった。

それ以降連合をまとめるだけで精一杯でかなり被害が出たらしい。

しかもいざ戦いになれば袁家は後ろで見ているだけで決着が就きかけたころ

囲みを無理やり破り、参戦してきて危うく包囲陣形が破れるとこだったらしい。

 

総司「なるほど袁家の世話を朱儁将軍が行っていたのですね?」

 

皇甫嵩「そうよ。しかも頼りにしていた副官が殺されてね。

そのせいもあって余計疲れているのかもね。」

 

総司「お二人は十年来の相棒でしたものね。納得です。」

 

暫く重く静かな雰囲気が流れるが総司はそれを払うかのように話を変える。

 

総司「話は変わりますが盧植将軍は?」

 

皇甫嵩「彼女は既に自宅に戻ったわ。右肩に矢を受けてね。

怪我自体は大したことないんだけど数週間は仕事に出られないそうよ。」

 

総司「そうですか。あの方に劉備殿の事を報告しようと思ったのですが。」

 

皇甫嵩「それくらいなら大丈夫じゃないかしら。」

 

総司「そうですか?なら明日にでも伺ってみます。」

 

すると誰かが走ってくる。

 

???「水燕さまーー。」

 

総司「ん?誰か来ますね。」

 

そうじが振り向いてそちらを見る。

それは宮中に仕える大将軍直属の伝令兵だった。

 

総司「どうした。」

 

伝令「はい。大将軍がお呼びです。直ぐに向かってください。」

 

総司「わかった。報告ご苦労さん。では楼杏さん。」

 

皇甫嵩「ええではまた。」

 

総司は皇甫嵩に礼を言いながら何進のいる部屋まで向かう。

大将軍の部屋に入った総司に待っていたのはうんざりするほどの何進の自慢と文句だった。

総司の事を称賛する言葉から始まりそれを指名した自分の賞賛だったり、

劉備がそれを不意にしたことに関する文句や遂行できなかった総司への罵倒。

これらが繰り返しが聞こえてくる。

何進の隣にいた何太后がうんざりした顔で止めなければいつまで続いたかわからない。

 

何太后「それで姉さま。わざわざこのためだけに将軍を呼んだわけじゃないんじゃ

ないんでしょう?」

 

何進「そうだ。水燕、貴様には幽州の劉備の下に向かい、これを渡せ。」

 

何進は筒状にまかれた紙を渡してくる。

 

総司「これは?」

 

何進「本来劉備に渡すはずだったものだ。安心しろ。特に何か含むところはない。

今回の黄巾討伐で戦死した平原の相を引き受けてもらいたいという事だ。」

 

総司(どうだか。何進は劉備やその取り巻きの事を調べていたらしいし、

大方十常侍を視察に差し向けて関羽か張飛辺りに殺させようとか考えてるんだろうな。)

 

何進の言葉に裏に何かあるだろうと考える。

だが立場上断るわけには行かない。

 

総司「承知いたしました。必ず劉備殿に伝えます。」

 

何進「断るようなら貴様の責で説得しろ。」

 

総司「はっ。」

 

何進に返事を返し執務室を出て洛陽の太守の執務室へ向かう。

その人物は董卓、のちの世で大悪人として書かれることの多い総司の元々の上官だ。

 

総司「お疲れ様、月(董卓の真名)。少しいいか?」

 

董卓「黄巾討伐お疲れ様です、総司さん。どうされました?」

 

総司「ちょっとな。ある人物に政治のやり方とかの事を書いた指南書を

渡したいんだ。だから月が作った指南書を貰いたくてな。頼めないか?」

 

董卓「大丈夫です。まだありますから。ついでにその方に手紙をしたためたいので

名前を教えていただけますか?」

 

総司「劉備 玄徳だ。」

 

董卓「まあ、皇帝陛下や劉協様と同じ劉性を名乗られる方なんですね。」

 

総司「ああ。調べた限りだが中山靖王劉勝の庶子の劉貞の末裔らしい。」

 

董卓「そうなのですね。所で総司さん聞きたいことがあります。」

 

月が真剣な顔で総司を見た。

 

董卓「今回の黄巾討伐で何人の方がなくなりましたか?」

 

総司「・・・・・・・五十人。・・・部下が死んだ。」

 

董卓「そうですか。」

 

月は外を見ながら目を閉じて祈りを捧げる。

 

董卓「どうか。安らかにお眠りください。」

 

総司「すまない、月。あいつらも浮ばれるだろう。」

 

董卓「これくらい何ともありません。むしろこれくらいしか出来ない事に

申し訳なさすらあります。」

 

総司「そのやさしさがあれば十分さ。」

 

董卓「有難うございます、総司さん。これ劉備さんにお渡し願いますか?」

 

総司「お安い御用だ。ところで賈駆はどうした?いつも一緒にいるだろ。」

 

手紙と指南書を受け取りながらこの場にいない少女の事を尋ねる。

 

董卓「詠(賈駆の真名)ちゃんなら何進様の所に向かったわ。」

 

総司「ならさっさと帰るか。どうせ文句たらたらで帰ってくるだろうし。

ありがとな、月。それと・・・えーと・・・がんばれ。」

 

董卓「うん。」

 

総司はそのまま自分の屋敷に戻っていった。

余談だが月は総司が帰った後少しして帰ってきた詠の愚痴を微笑みながら聞いていたとか。

 

 

 

 

 

 

 

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