「今回は訪問、歓迎するわ。朱儁殿」
「はい。益州も落ち着いたのでかつての援軍への感謝の為、
訪問させていただきました。孫呉は先日曹操の襲撃を受けたと聞いております。
将兵もご無事とも聞いておりましたが実際は意見させていただいて安心しているところでございます」
「(よく言うわ。今回の目的だってい偵察の意味が大きいでしょうに。)孫呉はいまだ健在。
劉備殿にはそう伝えて頂戴」
「そうですね。わが主にはそう伝えましょう」
孫策と朱儁の間で見えない攻防が繰り広げられる。
並みの人間なら怯んでしまう孫策の圧に朱儁は何喰わない顔で飄々と受け流す。
「(流石中央で将軍の地位を実力でもぎ取り十常侍や何進ですら簡単には手を出せないとまで
言われた男ね。威圧しても簡単に受け流してしまう。これは私の負けね。それよりも)
よく顔を出せたわね。どの面を下げてやって来た・・・魏の使者・・・いえ、夏侯淵」
「はっ・・・・・・我が主、曹 孟徳様の謝罪の文と今回の暗殺は孟徳様のご意志では無いことを
お伝えに参りました」
「そのような言葉が信じられると思うのか?」
「こちらがその親書となります。どうかお納め下さい」
「総司」
「はい」
夏侯淵は持ってきた親書を取り出した。傍にいた総司は前に歩み寄り、
それを受け取ると中身を確認する。
「内容はどうか?」
「・・・・・・・責任転嫁もいいところですね。呉へ勝手に侵略してきたくせに
戦を勝手に終わらせ、更には自分は暗殺に関わっていないとほざいている・・・・・・
はっきり言って孫策様がご覧になられる価値もありますまい・・・・・・だが・・・・・・」
「だが・・・どうした?」
「打ち首になるかもしれないのに、覚悟を決めてやってきた勇気に称えて
お情けでギリギリ及第点と言った処でしょう」
「・・・・・・ありがたき幸せ」
そういう夏侯淵の顔は悔しそうな顔をしている。
それを総司は見逃さなかった。
「どうやらあなたは曹操殿と違って納得いっていないようだ。
今回の一件、あなたはどうお考えか?夏侯淵殿」
「それは・・・・・・今回の侵攻の件はこちらの不手際。
さらに許貢のしでかしたことも同様であり、
誠に申し訳なく思っております」
「しかし、あなたの顔はそのように思っていないようですが?」
「そのようなことは!」
まさに針の筵といったようだった。
執拗に夏侯淵を責める総司に流石にかわいそうになった孫策が止めに入る。
「総司、そのくらいにしておきなさい」
「はっ」
「しかし、そのような紙切れ一枚で今回の非礼が白紙となるとは思うな。
貴様達魏は我等の主を傷付けようとし、更には土足で呉の大地に踏み入った。
それだけ許されないことをしたのだぞ・・・」
「承知しております。それとこちらを、楽進」
「はっ」
楽進は後ろに控えていた部下に指示を出し壺を出させる。
「それは?」
「今回の一件に関わっていた許貢とその一党の首でございます。
この者供が今回の騒動の発端となった要因となります。
それと魏から謝罪金を用意させていただきました。
どうかこちらもお納め下さい」
つまりは首謀者達の首を塩漬けにしたものということだ。
魏は首謀者の首と金で今回の一件を収めようとしていると
孫呉の将兵には見えた
「そのようなことだけで帳消しになるとでも思ったか下郎共が⁉ふざけるのも大概にしろ‼‼」
周瑜は怒りをあらわにして叫んだ。
彼女の言葉はこの場にいる呉の将の思いの代弁と言えた。
「冥琳・・・貴女らしく無いわよ・・・少し落ち着いて・・・」
珍しく声を挙げて怒りを見せる周瑜を孫策は宥める。
「その首は受けとるわ。でも金はそのまま持ち帰りなさい。
殺されてもおかしくないにもかかわらずこの場に出向いたあなた達に免じて
ここは収めましょう。即刻立ち去りなさい」
「はっ」
夏侯淵をはじめとした魏の使者団は玉座の間を後にした。
「見苦しいものを見せたわね。朱儁。しばらく滞在するのでしょう?
今夜、歓迎の宴を開くからゆっくりしていって頂戴」
「ありがたき幸せでございます」
朱儁も玉座の間を退出する。
「全く、こうも早く使者を送ってくるとわね。
でもなんか納得したわね、あの孟徳ちゃんが暗殺なんて手を
使うとは思えなかったもの」
「それは私も思っていた。あの曹操がとる手段に思えなかったからな」
「しかし、口惜しいの。どうせなら生かしたままこちらにひきわたしてほしかった。
そうすればわし等の手自ら処断してやっと物を」
「黄蓋殿」
「いうな。八咫烏隊とてすでに我らが同胞。
その同胞を非道な手段で殺されたのじゃ。怒って当然だろうよ」
「ありがとうございます。祭殿。あなたにそう言っていただけるとは
あいつらもうかばれますよ」
「よい」
その様子を見ていた孫策は小さく微笑んでいだ。
どうも。第五十二話いかがだったでしょうか?
ここで2021年が終わるまでにここまで読んでくれた方に連絡です。
設定その二で紹介させてもらった貂蟬ですが、
中々登場させられない状況になりこの度
消去させてもらいました。
それに伴い一部変更を加えさせていただいています。
なにとぞご了承ください