恋姫夢想 御使いの友(凍結)   作:秋月 了

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第五十三話

総司は拠点の自室で瑠香と定期的に行っている報告会を行っていた。

 

「報告が遅れたわね」

 

「ああ。例の小型飛行船どうだ?」

 

「結果から言えば成功。弓矢の射程の外から爆薬を落とすから

こっちは一方的に敵を倒せるのは大きいみたい」

 

「そうか。だが量産はこれ以上はきつい」

 

「わかってる。完成したのが十でパーツ交換用にあと五隻はつくれる様にしてあるから」

 

「了解。しかしまさか紀霊殿が交州で一軍を率いているとは驚いた」

 

「私もよ。どうやら送った手紙が届かなかったみたい。

それで私らが美羽が殺したと思った感じみたい。

結果として美羽に説得してもらったから何とかなった感じかな」

 

「なるほど。それで冥琳の方はどうだった?」

 

「冥琳の方は専門医じゃないし知識だけだけどほぼ結核で間違いないと思う。

サルファ剤作って置いてよかったよ。

薬は飲ませて何度か聞いたけど最近は症状は出てないって」

 

「そうか。劉備軍撤退戦の時、何度かせき込んでいたから気になっていたんだ」

 

「放って置いたら死んでただろうから危なかったわね」

 

「そうだな」

 

「あとは」

 

「赤壁だな。その前に荊州攻略戦。そして」

 

「恐らくその援軍に出るであろう劉備軍との決戦か。大将は一刀かな~。

正直戦いたくない」

 

「いずれはそうなる。わかっていたことだ」

 

「相変わらずあんたは切り替えが早いわね。ま、それが頼もしくもあるんだけど」

 

「そうか?これぐらい普通だろう」

 

「いやいや、全然普通じゃないからね。もはや才能の域よ」

 

「洛陽ではそうしてないと生きていけなかったからな。それもあるんだとは思うが」

 

「なるほど、経験からくる感じか。そりゃあわたしにはむりだわ」

 

二人は笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何太后は今、蜀の土地で働いていた。

 

「ほら、瑞姫。これも早くかたずけてよ」

 

「は~い」

 

上司の賈駆に怒鳴られながら食器類をかたずける。

今の彼女は劉宏と劉協の侍従として働いていた。

本来ならば劉宏の妻である彼女は侍従される側なのだが

その関係も劉協によって切られた為、侍従として

何太后の名を捨てて瑞姫として軍司兼メイドである賈駆の下で働いている。

そもそも彼女がなぜこの場にいるのか?

それは反董卓連合の頃にまで遡る。

牢屋にいた彼女は番兵をたぶらかして牢獄を脱出。

逃げようとしたのだがその頃は丁度総司たちが洛陽に撤退してきたばかりだった。

ばれればさすがにまずいと感じた彼女はとっさに近くにあった荷馬車に隠れて脱出を図った。

結果は脱出には成功。そのまま劉協たちのいる城に入った。

見つかったときは一騒動あったが結局、現在の地位に居ついた。

最も一刀にしてみればいつの間にかいたという感じなのだが。

 

「はぁ~。本当は総司様の所が良かったわ」

 

「瑞姫。早くしてよ」

 

「はいは~い」

 

彼女の多忙な日々は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姜維は兵士の訓練に精を出す。

 

「そこ、遅いですよ」

 

「申し訳ありません」

 

「気をつけなさい」

 

八咫烏隊の中でも副官として働く彼女は総司の直属である八咫烏隊の訓練をしている。

そして今の彼女には一つ不満があった。

 

「最近、総司様と出撃していませんね」

 

そうそれこそが姜維の不満だった。

彼女は八咫烏隊の中で唯一総司の狂気を抑えることができる人材であり、

それを理解している総司は彼女を副官として己のそばに置いていた。

しかし運が悪いことに先日の曹操軍との戦では劉備軍の支援として

現地に残っていたので参戦していなかった。

彼女にはそれが不満だった

 

「本来なら私が止めなくてはならないのに。申し訳ありません」

 

姜維は一人つぶやいた。

 

 

 

 

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