がっこうぐらし! 称号『しょうがっこうぐらし!』獲得ルート【本編完結】 作:水色クッション
至らぬ点が多々ありますが、優しい目で見ていただけると幸いです。
2人の幼女が頑張るゲームの実況、はーじまーるよー。
先駆者様との差別化を考え、今回走るルートは【滑川小学校】ルート! 小学校で7日目の雨の日を終えた先の称号【しょうがっこうぐらし!】の獲得を目標とします。
7日って短くなぁい? と思う方もいるでしょうが、しかしこれがなかなか厳しい。その理由はいくつかあります。
・プレイヤーキャラは当然小学生。ステータス、所持スキルともに高校生以下。
・購買部や地下室といった豊富な資源回収部屋が存在しない。(当たり前だが治療薬もなし)
・高校と違い電気や水などインフラが停止してしまう
他にも様々な点が高校とは違っていますが、総じて不利に働いています。特に総資源量は非常に厳しく、雨の日を迎えた頃には空っぽになっていることでしょう。そのための7日目設定?
細かな解説はプレイ中に説明するとして、早速キャラメイクに移りましょう。
名前は……「
そしてこのキャラメイク中に周回特典アイテム「ランドセル」使用! 本ルートに入る上で欠かせない存在です。
「ランドセル」は名前から想像できる通り、作成中のキャラを小学生にするアイテムです。これがなければ「しょうがっこうぐらし!」は獲得できません。大人は称号獲得の対象外みたいですね。
あっ、ちなみに取得条件は「身長」が学園生活部の誰よりも低い……つまりゆきちゃん以下のキャラで5回最初からプレイすることです。バッドエンドでもカウントされるので、初日に速攻でかれらの食事になれば取得は容易いでしょう。
さて、キャラメイクが終わりましたね。外見は……ちょっと癖がかったオレンジ髪の、活発な印象の女の子です。 とてもかわいいですね、心が癒やされます。
そして肝心のステータスは−−−
体力:よわい
筋力:とてもよわい
知力:よわい
直感:ちょっとよわめ
持久:よわめ
精神:ふつう
スキル:不屈I(一度だけ、死亡する攻撃にぎりぎりで踏ん張る。クールタイム:24時間)
………………
………………
…………………………これマジ? ステータスが貧弱すぎんだろ……。
はい。この貧弱極まりない戦闘ステが「しょうがっこうぐらし!」獲得の妨げの一つです。ここにシャベルゴリラ殿は不在なので、必然的に自分が最前線に出る必要があります。が、かれらとまともに戦えるだけの力がまりーちゃんにはありません。
幸い精神は(小学生にしては)そこそこの値なため、かれら殺害に躊躇はいらないでしょう。
何度ダイスを振り直したところで戦闘で頭を抱えることは変わりません! セーブデータ選んではーいよーいすたーと。
親の顔より見ただろうオープニングですが、開始場所が違うので一部変更がありますね。飛ばせないのは変わりませんけど。
操作可能になりました。場所は教室、アウトブレイク直前からのスタートのようです。下校時刻らしく、みんな荷物背負って部屋から出ていってます。
「まりー、いっしょにかえろ!」
ぬっ! るーちゃんが話しかけてきましたね。話し方からして信頼度も高めです。
そうです。主人公を小学生にしていると、確定でるーちゃんが出現するのです。バタフライ・エフェクトか何かで事故に合わずに済んだんですかね?
しかしここから生き残れるかはプレイヤーに委ねられます。是が非でも救いましょう。
イベント前にるーちゃんについて解説をしましょうか。
プレイヤーを除けば、るーちゃんは小学校での唯一の生存者です。あと1人2人隠しキャラがいない事もないんですが、今回は出現させません。
ステータス、スキルはりーさんをそのまま小さくしたような傾向にあり、前衛には向いてません。正気度低いところも受け継いじゃってます。まぁ、まりーちゃんも戦闘は向いてないんですけどね。
るーちゃんが死亡すれば7日間プレイヤー1人で過ごすハメになり、雨の日前には確定で発狂、そのまま自害しかねません。そういう意味では生存のための必須キャラと言えるでしょう。
(小学生は化物達の中、1人ぼっちでいれるほど心が強く)ないです。
以上解説終わり! そろそろ例のイベント始まりますよぉー。
「……今のおとって……なんだ……ろ──きゃっ!?」
来ました! 初日名物アウトブレイク発生イベです! 校門からかれらが侵入し、同時に学校内の数名がかれら化、モブを襲って感染させていきます。
「まりー!? どこに行くの!?」
最初期はまだかれらも少なく、比較的安全に動けます。これを逃せば死あるのみ。まず最速でUターン、るーちゃんの手を引いて3階へ逃げ込めー!
道中のかれらは振り切ればそのへんのモブに標的を移します。悲鳴と光景に精神が削られますが、必要経費です。(画面内で)死なないよう祈ることしかできません。
3階からいつも通り屋上に──と行きたい所さんですが、なんと滑川小学校、屋上が施錠されています。小学生の力じゃドアはぶち破れません。
高校のノリでプレイした兄貴達を陥れる初見殺しですね(1敗)
じゃあ何処に逃げ込むんだという話ですが、私はトイレを選択します。
チョーカーさんが生存した実績がある安牌です。
ちなみに時間が経つとトイレの個室は埋まり、使用不能になります。だから急ぐ必要があったんですね。
トイレまであと少し! なのですが大人かれらが2体道を塞いでいますね。しかも通り抜けにくい絶妙な配置です。
これはぶっ飛ばしてその隙に逃げるしかありませんね。現状、殺傷道具もないため頃すには時間がかかり過ぎます。
背中のランドセルを装備して──ーダッシュしながらフルスイング!
喰らいやがれオラァアアア↑アアア↓アぁぁあるぇ? (ポスン)
先制強攻撃で怯まないとかウッソだろお前wwwwって笑ってる場合じゃねぇやばい掴まれる回避回避回避セーフ!!!
……うーん、ここまでダメージ低いのは想定外ですね。中に教科書ぎっちり詰めこんでおくべきでした。
しかし掴み移動のおかげで2体とも左に寄りましたね。逆側を通れるので結果オーライ。倒す必要もなくなったのでさっさと尻尾まいて逃げましょう。オボエテロー!
さーてトイレに着きましたね。あとはるーちゃんといっしょに中に篭ってましょう。あとは音を出さずに一定時間経過すればイベント終了です。
代わり映えしない景色を眺め続けるのも退屈でしょうし、
み な さ ま の た め に
ドンドンドン
「お願い、中に入れて! 早くこのドアを開けて!?」
ア゙ア゙ッ! 不味あじイベが起きてしまいました。同じ場所で篭城し続けていると感染済モブが乱入を試みるマイナスイベントが発生します。
受け入れれば感染者が内部で発生、その始末に追われてしまいます。見捨てれば目と鼻の先で惨劇を見届け正気度と同行者の信頼度を投げ捨てるまごうことなきゲロマズう○こイベント。
私は正気度を生贄に捧げ、完全に無視を決め込みます。こんな狭苦しい中でかれらの相手なんてできるわけないだろ!
「ぃやだぁ!! じに、たくな、ぁあああああああああ゛あ゛ぁ!!?」
彼女の断末魔を聞き届け、イベント終了です。ここで音を立てると次の標的にされかねないので口は塞いでおきましょう。
あとはだんまり決め込むだけなので倍速だ倍速だ倍速だ!
…………倍速中に乱入が2回発生してますね……。糞みてぇなリアルラックしてんなお前な。当然2回とも見捨てますが、これは後々に響くかもしれませんね……。
(少女長トイレ中……)
ゲーム内時間で3時間程経ちました。灯りもブッ壊されてますし、部屋ン中真っ暗で何も見えねぇ。
「…………まりぃ……? ……ねぇ、まりー……?」
なんだねるーちゃん。
「……あれって、なんなの……?」
私にもわからん。
「……ともだちやあのひとは、どう、なったの?」
(わから)ないです
「…………しんだの……?」
知らん!!
「…………こわいよ、まりー……ひぐ、もう、やだよぉ……」
おっ、そうだな。
……別に適当に返事してるわけではないです。小学生だからゾンビ映画の知識も持ってないですし、クラスメイトも完全無視でここまで来ましたから、曖昧な返事しかできないというだけの話。
イベント終わるまでるーちゃんを抱きしめておきましょう。両者の恐怖値の上昇抑制や正気度の安定に繋がります。そして何より絵面が尊い。(重要)
2人は震える体で互いを抱きしめ存在を確かめ合うように涙ぐんだ瞳で見つめ合い荒い息遣いだけが聞こえる静寂の恐怖に耐えながらそのぬくもりに微かな希望を見出し──あぁ^〜たまら──
イベント終わったので今回はここまでです。
御視聴ありがとうございました。
◆◆◆
「まりー、いっしょにかえろ!」
「いいよ! ねぇ、かえりにるーの家にあそびに行ってもいいかな?」
少女は自分の一番の親友に声をかけた。橙髪の彼女は快活に、自分が声をかけるのを待ってましたと言わんばかりに笑顔を咲かせる。
「もちろん!!」
真っ直ぐ家に帰るように、と帰りの会で担任から注意はあったが遊びたい盛りの子供にはあまり響かない。
言われたとおり家で遊ぶから大丈夫、そういう言い訳も通るだろうという子供なりの考え。
他愛もない話をしながら靴を履き替えた時、くぐもった爆発音を2人は耳にした。
「今の音って……なんだ……ろ……」
遠方で立ち昇る黒煙。爆発箇所の一つではない、両手の指では数え切れない幾つもの煙と炎。崩壊を続ける街は明らかに尋常の光景ではない。
言葉を失うには十分な衝撃であったが、続く現象は更に常軌を逸していた。
人が、人を喰らうのだ。肉を引き千切り、血濡れた顔で臓腑を啜っている。血混じりの涎を滴らせた、獣性丸出しのあのいきものが、仮に人であると仮定するなら。
「──ッ」
今度こそ、瑠璃は正しく絶句した。呼吸の仕方さえ思い出せなくなり、視界と思考が黒く染まっていく。
校門から「かれら」が侵入してくる。足が動かない。恐れによって脳が運動の伝達を放棄せしめ、果てには意識さえ──
「にげるよ、はやくッ!」
隣の親友に強引に引っ張りあげられて、瑠璃はようやくといった具合に正気に戻った。焦燥に満ちた顔から、自分が呆然としていた時間は思うより長く、幾ばくかの猶予もない事を理解する。
2人は校舎内に戻りだした。まだ入られていない、いないはずなのだが、何故、どうして、似た光景が中に広がっている。
その全てに無視をし続けた。悲鳴、咆哮、絶叫、それはまるで逃げる者、自分たちに対する怨嗟にも聞こえてくる。
「見ちゃ、だめ、だから」
そこに心がないわけではない。あくまで親友は、自分のために。弱い自分たちだから、隣に手を伸ばすだけが精一杯なのだ。
心を抉る。『かれら』に襲われた者が、やがて新たな『かれら』となる。見たくなくても、悲劇はそこら中に転がっていた。
『ぃやだぁ!! じに、たくな、ぁあああああああああ゛あ゛ぁ!!?』
逃げて逃げて逃げて、隠れた先で聞こえた声。顔は見えなくても、声が雄弁に表している。
『何故だ』その感情は、薄情者に対する憎悪だろう。
『どうして』貪る音と、扉の隙間から溢れる紅。どうなったかなど、答えは1つしかない。
声ならぬ呻きが木霊して、やがてそれも遠く離れていく。
脅威がゆっくりと去っていく。
「…………まりぃ……? ……ねぇ、まりー……?」
「……ん……」
周囲から音が消え去ってから三十分程経ったとき、他の誰にも聞こえないように瑠璃は囁く。
「……あれって、なんなの……?」
「わかん、ない」
「……ともだちやあのひとは、どう、なったの?」
「………………」
沈黙する万里花。俯いて、目を合わせない仕草。
「…………しんだの……?」
「…………たぶん、でも、でも、しかたなかったから……」
自分に言い聞かせるような声。見捨てなければ死んでいたとしても、そう簡単に割り切れるようなものではないのだろう。
「…………こわいよ、まりー……もう、やだよぉ……」
「だいじょうぶ、だから。あたしがまもるから……ね……?」
瑠璃の目から、涙が零れ落ちる。恐怖は既に限界に達していた。今まで泣かなかったのは、声をあげれば死ぬという生存本能でしかない。
「ぎゅーっ、てするから、 ずっといっしょだから。あたしが、まもるから、だから、なかないでよ……」
お互いを抱きしめ合う。どれだけ恐くても、痛くても、2人でなら耐えられる。何か起きても、きっと立ち直れるのだと、根拠も疑いもなく信じられる。
けれど、1人ぼっちなら、親友が自分を置いて何処かに行ってしまったのなら、残された方は、きっと──
夜が深まる。悪夢は、まだ覚める気配はない。