がっこうぐらし! 称号『しょうがっこうぐらし!』獲得ルート【本編完結】 作:水色クッション
level UP!
二人で幸せを作る三日目はーじまーるよー!
前回やることやった後、信頼イベントに突入したんですが、何故かずっと画面が黒塗りだったんですよね。ロリ二人がイチャイチャし合う、ある意味一番の見どころさんだった筈なんですが、とても残念です。
え? 百合の間に挟まるな殺すぞ?
………………それでは続きを始めましょうか。まずはまりーちゃんのステータス確認から。
なかなか悪くない体調値ですね。『悪夢』のせいでもう少し回復が鈍いかと思いましたが、信頼イベントで中和してくれたらしいです。
ついでに大量の経験値も獲得、これは流れ来てます。このまま無事進めば七日生存など朝飯前ですね。勝ったなガハハ!(早とちり)
スキルポイントは……よし、ここは『暗殺』を取得します。未発見時に音なく、確実にやつらを殺せる強スキルの一角。RTAの第一人者にしてWR保有者の動画でもステルス無双をかましていたことから、その強さに疑いようもありません。
やっと、あの糞ザコモーションとはおさらばできるんやなって……。
始めに行うことは、学園生活部への電話です。一日一回は必ず連絡を取り合うようにしましょう。さもないとりーさんが心労で病みます。だらしねぇな。
こちらの正気度回復したり、他メンバーがかれらの対処法をレクチャーしてくれたり、プラス効果もちゃんと用意されてるので、サボる理由も特にありません。
チャートにちゃーんと忘れないよう記載しておきます。
それではりーさんに電話を…………繋げません。
学校全体が停電しやがってます。うんちが! (悪態美幼女)
こんな時のための救済物として、回線無しでも繋がるトランシーバーが用意されてます。しかも高校とギリギリ繋がる距離設定の物が。製作者の優しさが身に染みますね。
高校の番号は前回の電話で聞き出しました。もし聞いてなくても周回プレイ時に記憶しているので大丈夫です。
繋がってくれよなー頼むよー頼むよー。
『──わわわ! くるみちゃん早くこっち来て! 本当に誰かと繋がったよ! ちっちゃい女の子みたい!』
うるせぇ!!(音量設定ミス)
今の声はゆきちゃんですね。ドタドタ走っている音も聞こえます。「本当か!」「もしかしてあの子が──」続いてゴ……くるみちゃん達が近づいて来ています。
『もしもーし! 私は学園生活部の丈槍由紀でーす! あなたの名前を教えてください!』
わが名は小学生!!!!
……はい、真面目に答えましょう。まりーちゃんとゆきちゃんはどうやら波長が合うみたいなので、ふざけあっても撮れ高結構ありそうですが。
『せんじゅ、まりか……そっか、あなたがりーさんが昨日言ってた子だね!』
そうだよ(肯定)向こうでは事情を理解して、りーさんに通信機を渡したようですね。
『万里花! 心配してたのよ、電話も繋がらなくて、どうしようかとこっちの皆と話し合ってところなんだから!』
すいまへぇ〜ん停電が起きたみたいで。……思ったより心配されてますね。学園生活部のメンタルを重視するなら、電話は一日二回にした方がいいのかもしれません。
『電気が使えないって……大丈夫なの? それに、そっちはお水だって止まるかも……』
へーきへーき、へーきだから。それに備えて準備はできてるから大丈夫っすよ。それよりそっちは何か変わったことありませんでした? 具体的にはチョーカーさん救出してないかなって。
『私達の学校に、まだ生き残ってる人がいたの、あなた達と同じように、トイレに隠れていたんだって。ずっと暗い場所にいたせいで、まだ何かに怯えてるみたいだけど……大丈夫、きっと良くなるわ』
よっしゃあ! 貴衣ちゃん生存確定! 別に小学生ルートでは生存の有無は関係ないんですが、運ゲーを制した証にはなります。 嬉しい話は精神がプラスになりますしね。
『ところでるーちゃんはいるかしら。少し声が聞きたいのだけど……』
「りーねー? わたしならまりーの横にいるよー」
ということなのでるーちゃんに会話を繋ぎます。向こうでは四人の声が重なっていますね。明日は五人になってもっと騒がしくなります。
こちらはたった二人から増えないので少しだけ寂しい気もします。せーちゃん……(未練)
しかしここで停電しましたか。三日目の朝で発生というのは早くもないけど、遅くもない、つまり普通ですね。水道も死んでることでしょう。
イージーモードならあと三日くらい持つんですけど。職員がかれらになっても働いてるのかな?
小学生ルートはどんな設定でも実質ハードモードなんだけどな! HAHAHA!
くだらねえ無駄話をしてる内に、今日の通話は終わったらしいです。長話をしてるとバッテリーが持たなくなるからね、しょうがないね。
「きょうはなにをするの? きのう三かいはあんぜんにしたけど……」
今日は二階の家庭科室に行きましょう。校内図を指差してるーちゃんに教えます。
「かていかしつ……あんまり入ったことなかったな……」
低学年で入る機会ってないですよね。家庭科の授業だってありませんし(昔を懐かしむ)
それは置いといて、家庭科室は小学校でほぼ唯一のまともな食材が手に入る部屋です。停電で冷蔵庫が止まった今、中の物は一日で死ぬことでしょう、季節設定は夏ですし。是が非でも本日中に確保しなければ。
「たしかあの日、あした六年生がカレーをつくるって言ってたような……そうだね、行ってみよっか」
なぬ、カレーとな!? それは上々。今日のご飯は豪華になりますね。
ちなみにるーちゃんのこの発言か、事件発生前に噂を聞くことで中身が確定します。カレーは当たり。生姜焼きとか野菜炒めとかも当たりの部類です。
ぶっっっちぎりの大ハズレはお茶の入れ方の勉強とかいう話を聞くこと。当然腹の膨れる物などありません。お茶っ葉だけでどうすりゃいいんだ……。
ともかく今回はカレーで固定です。前日とはいえ、先走って材料の準備したやつくらいはおるやろ。
「わたしもいくよ。あいつらの注意をひくくらいなら、わたしだってできるから」
なんだか日に日にるーちゃんが積極的になってないか? これはもしかしたら、もしかすると……覚醒イベント、あるかもしれません。見たことはないですし、攻略サイトにも載ってないですが。
NPC中ほぼ最弱ステータスなので、前線に出す機会がまるでないんですよね。正直お留守番してもらった方が……という。かれらと戦わせることもなく、だから覚醒イベントの情報も無いんでしょう。
しかしそれは高校生以上での話。このルートでは主人公をも超える活躍を見せてくれます。
もちろん連れていきますよ。先日助けられたことで、彼女の有用性は証明済ですし。
装備の確認もして、二人で力を合わせてダンジョン攻略にイクゾー!
折れた(折った)モップ棒が少しだけ消耗してますが、まま、大丈夫でしょ。
バリケードを潜り抜けて、二階の階段に来ました。ここからは奴らの占有領域です。余計な音を立てないようゆっくり移動しましょう。
二階のかれらは三階と違って、妙に感覚が鋭い気がします。戦闘中の音でお呼びじゃない奴まで来ることもザラ。
教室や廊下の配置数も約二倍に増えており、危険度は三階とは一線を画します。チュートリアルはここまで、ということですね。
音を立ててはいけないのなら静かに殺すまで。そのために取得した暗殺スキルです。ちょうど階段下のかれらで有用性を証明しましょう。
索敵範囲ギリギリまで近づき、奴が振り向いたと同時に階段から高らかにジャンプ。高所から突っ込んで押し倒し、動脈をカッターの刃で引き裂きます。
これがほぼ無音で行われました。 たった二日で殺人技術を身に着けるとか殺しの才能ありますねぇ。
モーション終了後の、血を払いながらぬるりと立ち上がる姿にもはや戦慄さえ覚えますね。
ぅゎょぅι゛ょっょぃ。ステルス方面だけで、一度見つかればクソザコですが。
「まりー、はやくいこ……?」
おっそうだな。こいつ一人程度でモタモタしてる場合ではありません。家庭科室は階段を降りてすぐ右にあり、ちょうど職員室の下に位置します。近いのは楽でいいことです。
失礼しまーす! ガラー
家庭科室ではまず最優先で包丁を獲得します。部屋内にいるかれらに見つからないよう戸棚を開け、装備中のカッターと交換します。
包丁は十分な攻撃力、固定の入手箇所、スペアも豊富とその短いリーチ以外極めて優れた武器です。欠点もクラフトで長棒をくっつけることで補えます。非力キャラでプレイ時、序盤から最終日までお世話になった方もいるのではないでしょうか。
これは余談ですが、やはり包丁はりーさんが持っているイメージが強いですよね。このゲームでもそれを反映してか、りーさん装備時のみの専用技があります。
どす黒いオーラを纏いながら突貫する、ハイパーアーマー付き、鬼追尾、直撃時に完全即死、連発可能とバランスブレイカー級の壊れ技です。その凶刃に斃れるのは大体、恋愛方面でやらかしたプレイヤーなんですけど(3敗)
みんなは一途になって、(終わった世界を)生きようね!
そんな話は置いておいて、装備の更新も済んだのでかれらを片付けます。八体と数は多く大変ですが、まあなんとかなるでしょう。
「……なんだか、六年生のひとたちがおおいね。まるでじゅぎょうのこと、おぼえてるみたい」
気づいてしまわれましたか。これで雨の日のフラグ『かれらは生前の記憶に基づいて行動する』の解除です。おバカなまりーちゃん一人では気が付かなかったことでしょう。
こそこそ隠れながら一体ずつ仕留めていきます、直接戦闘は不利だからね。まずは正面にいる、後ろ向いて呆けたあいつから殺ります。
隙を見せたな、背中に一刺し! からの刃を両手で持ち上げ傷口引き裂きながら引き抜く! ちゃんと包丁の向きに拘ってるのがポイント高い。レイプ目で頬を拭う姿がヤンデレじみてセクシー……コワイ!
そう見えるだけとはいえ、ヤンデレ幼女とかゾクゾクしますね。命の危機という意味で、ええ。
一体倒したらすぐ物陰に逃げ込みます。キャラが小さいと隠れやすくていいですね。さあこの調子で二体目のお間抜けさんを探しましょうか。
良さそうな奴を発見しました。その命頂戴致す! 我が剣の錆と成れ、いざ尋常に不意打ち──
「──ギォオアアアア゛ア゛ッ!!」
ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!! フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!! (目力対抗)
あの野郎盛大な断末魔を響かせてくれやがった! おかげで部屋内の全員に見つかりましたねぇ! ふざけんなよお前!
確率で出してくる断末魔を回避する方法は主に二つ! 喉を潰してやるか、口を手で塞ぎながら殺すかです。前者はともかく後者は噛まれるだろいい加減にしろ!
この状況で奴らを索敵状態に戻すのは無理無理カタツムリ。武器をリーチの長い折れたモップに変更し、全員ぶっ掃除してやります。これしかありません。ほらるーちゃんも見てないでこっち来て!
まだ気が付かれたばかりで、かれら共はノロノロ振り向いている最中です。今のうち、囲まれる前に各個撃破して数を減らさねば。
スタミナなんぞ気にしてられねぇ! 攻撃は全力振りの連打一択です。半端な攻撃じゃ毛ほどのダメージにもなりません。幼女の力舐めんな。
まず脇腹をぶん殴る! 更に肩に振り下ろし! 掴みがきたので回避、横に回ってどつきます。隙を晒しました、フィニーッシュ!
眼孔に折れた先端をぶっ刺します! ぬ、まだ動くかこいつ! 眼球をぐりぐりシェイクしてやりましょう、ようやく黙ったので腹を蹴り、その反動でモップを抜きます。
さあ次はお前か、それともてめえかぁ! あ、待って二人同時はやめてくださいお願いします何でもしますから!
「おぉーい! こっちだよっ!」
るーちゃんが大声を上げたことで、約半分があちらに注目しました。るーちゃんはまだかれらを殺せないので心配ですが……うまく逃げ続けることを祈るしかありません。まずはこっちを早く片付けましょう。
足元がお留守だぞクオラァ! 膝を付きました、右手に持った包丁で、全力の横薙ぎを敢行します。その首ぶった切ってやる!
流石に斬首はできませんが、半ばまでめり込んだのでヨシ! 血を吹きながら倒れ、ビクンビクン痙攣しています。包丁が刺さったままですが、回収の時間も惜しいので放りましょう。
次だ次、三体目のどてっ腹にバチコーン──
──パキン。
は? 待って待ってここで壊れるのはまずいって!
『──折れた(折った)モップ棒が少しだけ消耗してますが、まま、大丈夫でしょ』
なんて抜かしてたが大丈夫じゃなかったなぁおい! 慢心が窮地を呼んだ気分はどうだ? 感想を述べよ!
やべぇ攻撃くる回避を、あ無理だ間に合わねぇ壊れたモップ棒でガードするしかグボエェェ!!
掴みは防ぎましたが力負けてど突かれました。体重も軽いせいで机一つ分スッ転がされましたねぇ。
「うしろにいる! はやく立ってよまりー!」
あ、やばい、頭から倒れたせいでちょっと動けない! ひいいお慈悲ぃ〜! お慈悲ぃ〜〜!
「ほらにげるよ! ねぇ、いそいでよ!!」
るーちゃんが手を貸してくれました。これでようやく移動できあああ足首掴まれた!?
流行らせコラ! 流行らせコラ!(がっこうぐらし!実況プレイ)
ゴキ、と首のへし折れた音が響きます。幼女渾身の足蹴で死ねるなら本望ダルォオ!?
ずるずると引き摺られながらドア前まで一時撤退します。この間にスタミナを回復させてしまいましょう。
「どうしよう……いっかいもどったほうがいいんじゃ……」
ダメです。(ブリュリュリュ)戦闘中の部屋から離れてしまうと、戻った時にはそっくりそのままリポップしてしまいます。ここまでの頑張りが無駄になるのはどうにか避けたいところ。
あと半分なんです! お願いしますなんでもしますから! 大丈夫、職員室よりちょっと難しいだけだ! かれらが子どもな分逆に楽かもしれませんし。
「ああもう……むちゃは、しないでよね?」
おう、考えてやるよ。
こうならヤケだ! クソでもミソでもかかってこいやぁ! 今日の晩飯はカレーじゃなくておめぇらのミルフィーユにしてやるよ!
○
家庭科室に残った最後の一体、甦る躯を黙らせた。首に刺さり、半ばで止まった包丁。仰向けの喉に靴裏を叩き付け、後頚まで貫通させる。
神経を断絶してなお伸ばされた手を振り払うと、もう『それ』が動くことは無くなった。
「これで、さいごだよね。……だいじょうぶ?」
「うん、まあ、おとといよりはへいきかな。それよりごめんね。またヘマしちゃった」
深々と潜っていた包丁を引き抜いた万里花。ほじくり出した、と言う表現の方が正しいか。
「ううん、それよりまりーがぶじでよかった、あれは本当にあぶなかったんだから」
「あはは、モップが折れるなんてさすがに思わなかったな」
血と肉の貼り付きを布で拭き落とし、光沢の戻ったそれをまじまじと見つめる。反射して映された顔は、またしても血化粧に彩られていた。
「しょくよく、ある?」
「……いまは、ちょっとムリかも」
先日と違って嘔吐するまでは行かなくても、何かを口に入れた途端に戻しそうな気分ではあった。そも、嗅覚以外にまで作用しかける程、紅き臭いでむせ返る部屋で食の話をすることが間違いではある
「なくても、れいぞうこから取っておかなくちゃ。ていでんしたから中身はすぐ腐っちゃうよ。あしたのごはんが足りない」
「それより、その手でとっちゃだめだよ。あらいに行かないと」
「じゃあそこに水が……あ、すいどう止まっちゃってる」
万里花は仕方ない、と肩を落とす。水は今、職員室で保管しているため戻らなくてはならない。まったく不便だと呆れながら出入口の扉に歩き始めた。
瑠璃はその後ろについて行こうとした時、微かな呻きを拾った。
「まって……まりー、右のそれ」
「…………あ、生きてるね。近くをとおったから、はんのうしたんだ」
足元にいるそれは、首に包丁を叩きつけられたまま痙攣を続けていた。
立ち上がることはおろか、寝返りさえできないほどの損傷。口元に指を差し出すような自殺行為でもしない限り害は無いだろう。
「
万里花が冷たく言い放つ。興味の失せたように視線を外し、歩行を再開した。血混じりの、か細い咳が吐き出される。
「まってよ……この人、くるしそうだよ」
「…………じゃあ、どうする?」
「……えっと、それは」
殺してやれ、とは瑠璃は言えなかった。そう要求するのは、友としてあまりにも最低の行為だろう。例え彼女がもう戻れないほど殺しを重ねているとしても、ひと一人分の業を積ませることに違いはない。
「わたしが、やる」
「……ほんとに?」
「きのう、やくそくしたから。あなたを、まもれるようになるって。だから、今かくごをきめる」
「……そっか、わかった」
悲しげに笑いながら、先程拭いたばかりの包丁を手渡す万里花。瑠璃はその重さに愕然とした。重い、摘み取った命の残滓たちが、あまりにも重い。
「おさえとくね、しんぱいしないで」
口に布をねじ込ませ、指を踏み砕いて万が一さえ封じておく。一連の動作は滑らかで一切の躊躇いはない。弱りきったそれは、少女の力でも難なく押さえ込めた。
促すように首を振る万里花。膝を付き、両手をかれらの胸の上で合わせる。奇せず、死を看取り、祈るような格好になった。違うのは刃が垂らされていること、看取るのではなく死を与えること。
(……こわ、い)
後悔が頭を埋め尽くす。今になって逃げ出したく、親友に全て任せてしまいたくなる。
昨日、目の前の彼女を助けた時は無我夢中で、思考の暇さえなかったから行えた。今は余すことなく受け止められてしまう。
親友に任せてもいいのでは? いつもどおりに。それで怖い思いは終わりにできる。今日、無理して行う必要性がどこにある? 明日にしようか。先延ばしでもいいだろう。明日ならきっと気持ちの整理がついて──
息が荒くなる。手が震え、うまく刺せる未来が見えない。被るだろう血を予想するだけで恐ろしくてたまらない。親友に、縋って──
それはとても『優しい』目をしていた。ほんの少しだけ、嬉しそうにも見える。
昨日親友が言っていた理想の自分。穢れが無いだけの白いわたし。それが目の前にあるから。ここで諦めれば、彼女の夢に近づくから。
(その目……やめてよ。わたしはあなたを、まもるって、なんども言ってるだろ! そんな目で、見るなっ!!)
ここで折れれば、彼女の暖かさに包まれて、二度と立ち上がれなくなる。
反骨精神が沸き上がった。彼女の思惑に打ち勝つべく、折れかけた心を拾い集めていく。わたしはあなたの理想の人形じゃないのだと、怒りさえ補強材として覚悟を再形成した。
「ぁぁあああああああッ!!」
深く、深く心臓に突き刺した。命の消えた感触が鮮明に走り抜ける。もう
顔をあげた時、世界が一変していた。血の赤が、目を焼く程にくっきりと見える。ひと呼吸で気付いた死の臭い。この世界は哀しき臭いで満ちている。
これが友の見ていた景色。遅れて自分はそこに立った。赤いヴェールが垂らされているのに、凍りつく程に寒々しい。熱に触れたくなる。隣の彼女に、どうしようもなく抱きつきたくなった。
「あ、まりー。わたし、わたし、いや──」
「だいじょうぶ」
万里花が先んじて抱きしめた。ありったけの思いを込めて。狂おしいほどの冷たさが、ほんの少しだけ和らいだ。
「ひぐ、うあ、あああぁぁ──」
「だいじょうぶ。ずっといっしょだよ。……じごくにだって、いっしょにいてあげるからね」
賛辞はしない。責めることもまた。どちらも、今の瑠璃には消えない傷になると知っているから。自分が先に踏み入れたため、ほんの少しだけその気持ちが分かる。
分かるが故に、彼女に掛ける言葉は有りはしないのだ。
次回は日曜19時投稿予定です