がっこうぐらし! 称号『しょうがっこうぐらし!』獲得ルート【本編完結】 作:水色クッション
花言葉【絶望】【別れの悲しみ】
特大級のガバがやってきた4日目はーじまーるよー!
【WARNING!!】
・感染しました。徐々に自我を失い、やがてかれらとなってしまいます。感染進行度100%になるまでに治療薬を使用してください!
・感染により、『悪夢』が『かれらの幻覚』に悪化されました。
ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!?????
…………えーと……表示の通り、まりーちゃんが、感染しました。
空気感染か、噛み付きがかすっていたのか、何回も血塗れになったのが悪かったのか、原因は不明ですが、このあと三日くらい経過したら……お前、消えるのか……?
パート1で説明した通り、小学校に治療薬はないので高校や大学、駐屯地に向かうか、ランダル社まで取りに行く必要があります。車は乗れずに、子どもの足で。つまり無理ですね。スタミナ切れで殺されます。
大学や駐屯地に行こうものなら熱烈に歓迎されますね。感染状態で向かうと警告無しの敵対扱いになってしまいます。いたい気な幼女に威嚇すら無しとかあいつら鬼かよ。
残された可能性は今すぐ学園生活部に助けを求めることですが……これも選択肢としては入りません。こちらに迎えに来る時と地下まで薬を手に入れに特攻する時、どちらかで誰かしらが犠牲になります。具体的にはマニュアル見て精神がほぼ逝きかけのめぐねえがやられます。
プレイヤースキルでどうにかしようにも、子どもだし病人ゆえ、縛り付けてでも戦闘は止めさせられるので何も干渉できないのです。
その後自分たちのせいでと小学生組が精神崩壊→壊れたるーちゃんを見たりーさんも発狂→雨の日に足手まとい三人発生→全滅。うわぁあだめだこりゃ。
そもそもこれがあるから七日目まで迎えを控えているんですよ。これでは本末転倒もいいところ。
詰みました。生存の道が闇に閉ざされています。
…………。
……………………。
…………………………続行します。
この先全てノーミスだろうが死亡確定、最強理論すら通らない絶望的状況ですが続行します。
何言ってんだこの大ガバ野郎、と思われるかもしれませんが理由はあります。
まずは一つ目。進行のスピードから、ギリギリ雨の日までは耐えられそうなこと。八日目以降は捨てます。
そして二つ目。まだ称号獲得の条件を満たせる可能性があるからです。ここで獲得条件を詳しく表示しますね。
『しょうがっこうぐらし!』
条件:『滑川小学校』を拠点に設定後、『雨の日』後のエンディングを見る。(注)使用キャラは小学生であること。
……気がついたでしょうか。条件の中に、生存の二文字は含まれていません。つまり、どちらかが最後まで生き残ってしまえばいいんです。全滅してしまえばENDではなくGAMEOVER突入なので、一人だけでも生き残る必要はあります。
三つ目。るーちゃんが覚醒していること。これでまりーちゃんの死体を見ても精神がミリ耐えし、自害しないでくれることを祈ります。SSR確定なこの状態をリセットで捨ててたまるか、という意地もありますが。
最後。…………プレイした皆さんは、雨の日ってどう乗り越えたでしょうか?
おそらく大半の方がフラグ立てによる放送、次いで全てのかれらを全滅、無力化させるという脳筋解決方。
そして、もう一つ。原作でめぐねえがやったように、守護霊ルートで走っている先駆者様が行ったように、誰かを生贄に捧げる方法。
ここで小学校の状況を確認しましょう。電気が止まっているので校内放送は出来ません。皆さん知っての通りまりーちゃんのクソザコステータスではラッシュを受け止めるなど夢のまた夢。
はい、最後の一つが残りましたね。
つまりどういうことか、はっきりと言います。
感染しなくても、最初からまりーちゃんは七日目に生贄にさせる予定でした。
七日目までどんな形であれ身体が持てばいいんです。ですからプレイは続行します。
先日のフラグ会話も、学園生活部に教えてあちらを生存させるため。あちらが全員生存しなければその日中に迎えが来ないからね。
嘆いてばかりもいられません! 死ぬ前にやるべき事はまだ残ってます。(学園生活部のための)雨の日フラグ回収、(るーちゃんが)雨の日終了時間まで時間を稼げるよう二階の制圧とバリケード設置、最後に発狂しないよう(るーちゃんの)正気度維持! 馬車馬の如く働くぞフハハハハ!
え、まりーちゃんの正気度? 『かれらの幻覚』のせいでもう無理です。
『かれらの幻覚』ですが、先述の『悪夢』を強化した上で、凶悪な追加効果まであります。起きている時にも一定確率で亡霊共が現れ、こちらの正気度をゴリゴリ削るよう責め立ててきます。
判定に失敗すれば感染進行度まで上がるおまけ付き、ふざけろ。なので死にゆく者をケアする余裕もなし、これからを生きる、るーちゃんを支えていくだけで精一杯です。
レベルアップのポイントは『伝染力低下』を取得しましょう。説明文によると体内の菌が空気や水に触れるとすぐ活動を停止するようになるらしく、近くで過ごしても他人に感染させることはなくなります。
……どうなってんだこのスキル。研究者に見つかったら脳みそ切り開かれそう。(TLoU)
それと感染のせいでポイントを戦闘系に振れなくなったのが痛いですねこれは痛い。
それではプレイにモドルゾー
○
『もしもーし、ゆきおねえちゃーん、くるみおねえちゃーん、りーねえちゃーん、きこえてますかー』
「はーい、丈槍由紀ですよー! 昨日ぶりだねまりーちゃん」
「おっ、今日は早く繋がったな」
「ええ、無事なようでよかったわ」
朝の通信。声を聞き、双方の無事を確認し合う行為。ラジオに一方的な放送はあれど、こうして学校の外の人と語り合えるのは彼女らとだけだった。
思いつく限りは通信を試みたが、ほぼ全てが繋がりもしないかノイズとかれらの呻きだけ。絶望的な生存率を感じさせてならない。
小さな彼女たちが生き残れたのは、ありったけの幸運のおかげだろうか。
『きのうはね、るーといっしょにおりょうりしたんだ! カレーつくったの、すっごくおいしかった!』
「へえ、小さいのにすごいな。料理できるなんて」
「……あら? るーちゃんもあなたもそんなこと出来たかしら……」
『はじめてだよ。でも、るーがいっぱいがんばったんだ』
『……えと、りーねーがつくってたところ、ずっとみてて、だからまねできるかなって』
「そうなのね、ふふ、参考になれたみたいでとっても嬉しいわ」
この場合、妹は姉の背を見て育つと言うのだろうか。姉として手本にされていたというのは恥ずかしいような、嬉しいような、どちらにせよあたたかな気持ちになれるものだ。妹の成長を実感できるなら尚更である。
『それでそれで、ゆきおねえちゃんのところはなにかあったかな?』
「ふっふっふー、聞いて驚け、学園生活部に新しく部員が増えたのだ。その名も──」
『たかえおねえちゃんだっけ? きのう言ってたよねー』
「柚村たか──え? 知ってたの?」
肩透かしを食らい、しょぼんと項垂れる由紀、その間をずいと押しのけた人物が口を開く。
「よう、紹介に預かった柚村貴衣だ。どうやら二人ともアタシの命の恩人だって聞いたぜ。ありがとな」
『……なにかしたっけ、わたしたち。ずっとここにいたよね』
「あんた達がトイレに隠れてたみたいに、まだ中に生きてる人が居るかもしれないって探しにきてくれたんだ、ゆき達がな」
『ほへー、そうなんだ。でも、たすけたのはあたしじゃなくておねえちゃんたちだよね。だから、ありがとうはそっちに言うべきだよ』
「はは、謙虚なやつだな。じゃあ……ありがとな、ゆき」
「たかえちゃん、恥ずかしいよ、えへへ……」
帽子を撫でられ、ふにゃりと笑う由紀。撫でれば撫でるほど顔がへにゃへにゃになっていく。
「そんなわけで昨日からこっちは五人に増えたんだ。そっちは……やっぱり、変わらず二人のままか?」
『うーん、ぶじな人はやっぱりいなかったね。一階はまださがしにいけてないけど……』
「……そうか、もう四日目だ。言いたくはないが、あまり希望はないかも知れねぇ……」
『……そうだよね』
「それより、無理はしないで。まずは自分と、二人の身を守るのを優先するのよ」
『わかってるよ、りーねえちゃん。あ、そうだ、あいつらのことでちょっと分かったことがね──』
それからは双方の間で、かれらについての情報共有を進めていく。曰く、生前の記憶に従っている、夜は学校から帰宅し朝に登校する、大きな音に優先的に反応する。
既知の情報も多くあったが、気が付かなかった部分もある。子ども故の先入観に囚われない見方が二人に気付きを与えたか。
逆に小さな彼女達への助言も忘れない。かれらをより知ることは生存の可能性に直結する。生き残ってほしいのなら、知識はあればあるほどいい。
『そーいえば、めぐねえせんせい、だっけ? せんせいそこにいないの?』
「めぐねえでいいよー、本人は佐倉先生って呼んでほしいみたいだけどね。うーん、今どこにいるんだろ」
「たしか職員室だろ。ってか、やっぱ先生呼びは似合わねぇよな、雰囲気から」
「でもそこがいいところでもあるわ、きっとあなたたちも仲良くなれるわ」
「やっぱあの人、高校の教師じゃなくて小学校の方が向いてるんじゃないか?」
「あはは、違いない」
そこからは雑談に花を咲かせ、年頃の女性の話題にあちらが疑問符を浮かべ、小さな彼女達の体験談から昔の良き思い出に思いを馳せて。
『ばいばーい、おねえちゃんたち』
『またね、りーねー』
「ええ、
最後は互いに明日の無事を願い、通信を切る。
「っしゃぁ! 今日もやってやるぞ! あいつらを助けるためにもな!」
「ええ、きっとるーちゃんもあの子も無理をしてるから。早く行ってあげないとね」
気合十分。胡桃がシャベルの煌きを見て豪語した。小さな子ども達のために、守るべきもののためなら、自然と気合が湧いてくる。
順調に行けば、三日あれば外まで手が伸び、安全を保ちながら迎えに行けるようになるだろう。あと少し、持ちこたえてくれればそれでいい。ただ生きてさえくれれば、いくらでも救ってやれるのだから。
○
「じゃっじゃーん、るーにもんだいです、これなーんだ」
くるくると無駄な回転運動を行いながら登場する万里花。瑠璃の目の前に躍り出た後、格好つけて被った帽子を指差した。
「あ、それわたしのぼうし! どこにおちてたの?」
「げた箱のちかく。あいつらがすくないうちにちょちょいっと行ってきたんだ」
万里花は頭の上でつばを回しながら答える。なんでもないことのように言うが、一階まで降りる危険な行為であったことは想像に難くない。
「なにやってんの! あぶないことしないって何回もやくそくしたでしょ?」
「ごめんごめん、でも、おちてるのを見たら取りにいかなきゃって思っちゃって」
「かえすね」と言いながら持ち主の頭の上に帽子を乗せる。帽子を被った瑠璃を見て、万里花は満足気に頷いた
「うーん、いつものるーがもどってきた。やっぱりぼうしがないとるーじゃないよね」
そう言って笑う彼女に心外だと瑠璃は思う。確かに四六時中着けていた記憶はあるが、帽子が本体と思われていたとは失礼な話である。
無言かつ半目で睨む瑠璃に気づき、万里花は慌てたように取り繕った。
「だ、だってるー、そのぼうし取りに赤しんごうわたろうとするんだよ? いのちより大切みたいなもんじゃん、ね、ね?」
「あれはその、ちょっとあわてて……やめよっか、この話すると、あのときのりーねーを思いだしちゃう」
「あはは、一日じゅうおこられっぱなしだったね、あたしたち……」
今となっては笑い話にもなるが、一歩間違えれば二人とも大事故になりかけた帽子の話。
風に飛ばされた帽子を追って瑠璃が道路に飛び出し、一緒に釣られて追いかけた万里花。道路間際で滑った拍子に前にいた瑠璃を引っ掴んで共に転ばせ、紙一重で車の衝突を避けた。
偶然が重なった現象だった。目の前を豪速で横切った鉄の塊を前に、二人して青褪めて震え上がったものである。
遅れて来た姉に泣かれ、抱きつかれ、そして最後にたっぷりのお説教をかまされた。その時の悠里の顔は、彼女達の中で苦い経験として鮮明に残っている。
「そういえばさ、なんでそのぼうしがだいじなの? ずっと聞いてなかったよ」
「……ないしょ」
「えー、そりゃないよ、ねぇおしえてよー」
「りーねーのところに行ったら、またあとでおしえるから、ね?」
「……やくそく、だよ」
取りつけた約束。しかし、万里花の顔が浮かない。不満があるのか、それとも──
「それで──けほ、ごほっ」
「……だいじょうぶ? かぜひいちゃったのかな……ねつは、ないみたいだけど」
万里花が唐突に咳き込んだ。瑠璃がおでこを触って体温を確認するが発熱は無いと判断した。感覚的な判断ではこれが限界だろう。
「ちょっと待ってて。しょくいんしつに、薬ないかさがしてくるね」
「ごゆっくりー」
瑠璃が離れていく。一人だけの静かな教室。
『──本当は気がついているんだろう? もう少しでお前はわれらと同一に成り堕ちるのさ』
否、この場には二人の少女がいた。少なくとも、万里花の眼には淡紫の、同じ年頃の少女が見えている。
『衝動に駆られるだけの醜いけだものと、思っていたよね。あなたも今まで散々と葬ってきたわれらになるさ』
「なんのよう……しおんちゃん、に似たやつ」
首の刺し跡から血を零しながら、少女はふわりと辺りを飛びまわった。嘲笑う声が頭蓋を鳴らす。
『似た誰かじゃあないかもね。私は君への怨みを晴らすため現れた本人、だったらどうしようか』
「うるさい、おそってくるからやっただけだ! うらむならじぶんをうらんでよ!」
『先に斬りかかったのは君だろう、私はあの時後ろを向いて、君に気が付きもしなかった』
少女は嗤う。万里花の心の罅に浸透するように、言葉を紡ぐ。
『君に気が付いていたとして、それでも襲わない可能性はあった。私と君は、ともだちだったからね』
「そんなのかんけいない、きっと殺しにきたさ! 今までだって止まったやつなんかいないんだから!」
『可能性はあったさ。かれらは生前の記憶を残していることは知ってるだろう。私との友情、私の中にあった思い出たちに、賭ける価値はあったとも』
「それ、は──」
もしかしたら、『しおんちゃん』は本当に。いつだってそう成れた可能性を願っていて、しかしそうあったことを否定する。
本当に彼女が人のままであったなら、それを殺した自分は一体何者なのか。彼女だけではない。今まで奪ってきた命、あれは本当に、一人たりとも理性の無い怪物だっただろうか。確証が持てない。かれらには記憶が残っていると知ってしまったから。
『安心するといい。きっと大丈夫さ。君はきっと、あの子を覚えてやれるから──』
「──うるさいって言ってるだろっ!」
その言葉を聞いた途端、万里花の頭が赤いもので塗り潰された。激情のままに、彼女に向かって割れたガラスを投げつける。
『……ああ、変わったね、ひどく暴力的になった。われらに近くなったのかな?』
「消えろ、消えろ、きえろ! はやく、はやクッ!」
ガラスが当たる度、不自然な程に少女は傷ついていく。投げつけただけで腕が斬れ、腹が裂けた。頭の半分が吹き飛んで、夥しい程の血が床を染めていく。
痛みすら心地よいかのように笑みが深まった。理解できない。理解してしまえば、きっとかれらになってしまうのだろう。
『ふふ、もう少しで一緒になれそう、楽し──』
「死ねッ!」
埒があかないと判断し、渾身の力で頭部を殴りつけた。首から上が吹き飛んでいく。脳を喪っても当たり前のように不自然に直立する躯。やはり奴らは人ではないのだと再認識できる。それがほっと安心感をもたらす。
「は、は、は、ちがう、あたしは、あいつらなんかに」
血も、躯も、頭の声も霞のように消え果てて、有るのは飛び散ったガラスの破片だけ。全てがただの夢の中の出来事。
「けほ、げほっ、く……そ、こんなの、ただの……かぜで……」
口は気丈に豪語する。だが心の内では確信があった。親友を見るたびに少しずつ這いでる何か。きっと委ねてはならないものが、大きくなっていく。
今はまだ耐えられる。明日もおそらく大丈夫だろう。二日、三日目には、もう分からない。
「うぁ、あ、ああ……」
夢の影響か頭痛がし始めた。立っていられなくなったり、机に倒れ込み頭を抱える。
「だい、じょうぶ。るーは、つよいから。ちゃんとお別れできれば、きっと……」
親友との別離。思うだけで心が軋む。瑠璃も同じだろうか。もしそうだとすればやるべきことがある。せめてきれいなお別れを。彼女の傷が薄くなるように、自分の死が、彼女を縛る鎖とならないように。
「……ずっといっしょだってゆびきり、したばっかりなのにな」
そしてかれらとなった自分が親友を殺さないように、その方法を考える。
「うあ゙、ないぢゃ、だめだよ、あだし……。だいじょうぶだよって、わらわないと」
残された時間はもう多くない。親友にどう語り掛ければ、この胸の痛みは消えるのだろうか。
こんなこと書きましたがまだ最後の結末決まってないんですよね……
次回は土曜19時投稿予定です。