がっこうぐらし! 称号『しょうがっこうぐらし!』獲得ルート【本編完結】   作:水色クッション

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穏やかな日常

 灯滅せんとして光を増す五日目はーじまーるよー! 

 

感染進行度:35%

 

【WARNING!!】

 ・感染が進行しています。急いで治療薬を使用してください! 

 

 うるせぇ! ねぇもんはねぇんだよ畜生め! ここからランダル本社まで歩いて行けって言うのかよ時間切れになるわ。

 

 前回はるーちゃんの帽子拾って彼女の正気度回復できたのでのでいいゾ〜これ。少し無理してでも一階に降りたかいがありましたね。やっぱ子どもの笑顔を……最高やな! 

 

 これで計三回、同じ人物と信頼イベントを起こせたことで、関係する称号も獲得しました。三回だよ三回。きっと信頼度も上限近くになったことでしょう。

 本当は嫌われてた方が離別の精神ダメージ少なくていいんですけどね……。けどこんなにええ子の信頼度下げるとか出来るわけないやろ。

 

 まだ隣で寝ているるーちゃんはそっとしたまま起床しま──おっと、貧血気味にふらついてしまいました。

 進行度が高くなると様々なデバフが付いてしまうのでやりづらいですね。50%超えればステータスの低下、80%にもなればかゆうま化が深刻になり、発音さえも怪しくなってきます。筋力バフ? 治療薬がないとそれ以上のデバフが打ち消してきます。

 今日はまだ問題なく動けそうですが……雨の日まで持ってくれれば問題ないんです。お願いしますなんでもしますから。

 

『苦しいよね、隣にいる親友の喉に、喰らいつきたくて仕方がない。無防備に曝け出されて、とっても美味しそう』

 

 さっさと朝飯流し込んでしまいましょう。空腹値が低いと合わせて衝動が強くなってしまいます。葛藤によるストレスの蓄積や自傷行為をされると洒落になりません。

 寝ているるーちゃんには悪いですが、一人お先にいただきます。これで残りの食料は……やっぱギリギリですね……。あと二人で一日分。雨の日は抜くと(死ぬと)仮定すれば、次の日に回収されてもなんとかなりそう。

 

『でも君は耐えなきゃいけない。友情を裏切るくらいなら死を選ぶ、そうでしょ?』

 

 これ以上、学校内での物資の回収は見込めません。遠足に行くにも足がないので今あるものが全てです。開き直ってここからは防衛設備の特化を進めていきましょう。

 これ以上一階近くの部屋に踏み込むと、間違いなくかれらに袋叩きにされてしまいます。というわけで結局開放できたのは三階だけでしたね。二階は一部の部屋のみ攻略しましたが、時間が経てば再占拠されてしまうでしょう。

 小学生二人という戦力ではあまり手が回りませんでした。くるみちゃんの戦闘力が恋しいなぁ。

 

『きっと大丈夫さ。だってこんなにあの子を思ってるんだもの。だから安心して、少し休むといい──』

 

やめろォ!! 

 

 ふざけるな! オレは貴様らの同類(なかま)なんかじゃねえ! 貴様らは死んだんだよ! 何の意味もなく虫けらのようにな! 死人はひっこんでろ!! 

 これはオレの戦いだ!! ()()を持った、このオレのな!!(BERSERK)

 

「ひっ……ど、とうしたの、まりー……!?」

 

 やっべぇ!? いつの間にか起きてたるーちゃんにさっきの醜態を見られました。

 傍から見れば虚空に向かって迫真極まる声で叫び出したイカれた奴です。友達のこんな姿見たら正気度こわれちゃ^〜う。

 

「よく見て、ここにあいつらはいないから……だから、だからおちついて……!」

 

 るーちゃんに顔を掴まれてじーっと見つめられました。

 そうそう、信頼度が極高の相手の顔をどアップで見ると、狂気が静まることがあります。ちょうど今やられてるこれです。やっぱり信頼度必要じゃないか! 

 

「だいじょうぶ……そう、だいじょうぶだよ……」

 

 ……OK、一旦落ち着きました。ゲロカス亡霊糞ゴミ畜生共も今は静かになってくれてます。

 この見えない誰かとの会話、見ちゃった相手の精神削るんですよね。ただのイマジナリーフレンドとの違いは、自分にもダメージがあること。ゆきちゃん化よりひでえ。

 

 かと言って好き放題に喋らせ続ければそれはそれで闇がどんどん深まります。適当なところで一喝して黙らせるのがいいんですが……なかなか、落とし所が難しいねんな──ウェーッホ、ゲホッ、ゲホッ!! 

 失礼、痰が絡みました。

 

「かぜ、なおってないね……」

 

(もう治ら)ないです。なんて言えるわけないので誤魔化しておきましょう。ただし、ぼかしながら別れの言葉は言っておきます。覚悟させておけば、それだけ精神ダメージは軽減されます。

 俺、消えっから! (ど真ん中豪速球)

 

「そんなこと、うそでも言わないでよ……きっとよくなるから、りーねーたちのところなら、きっとなおるから、ね?」

 

 やっぱ無理です(手のひらぐるぐる)涙腫らしながら呟くところを更に追い詰めるとか人間のやることじゃねぇ! これが人間性を捧られるRTA走者と私の埋められない差なんやなって……。

 

 でぇじょぉぶだ。すぐに元気になってやる、と言って頭を撫でます。ほら、明るい顔になってくれました。

 …………え、笑顔がつらい。どうすりゃいいんですかこれ? 

 

 

 

 ○

 

 

 

 早速バリケード補強を行いましょう。準備いいですかるーちゃん。

 

「お、おー」

 

 それでは図工室から拾ってきた紐で重ねた机同士をギチギチに固めます。はい、るーちゃんはこっち持ってそこに結んで。

 

「ここだよね? ほどけないように……はい、できたよ」

 

 それではまりーちゃんは裏に回ってここを結びます。…………不器用っすね、るーちゃんの二倍の時間かかってるじゃないか。それともこれも感染の影響でしょうか。

 

「うしろに気をつけてね。今はいないし、わたしも見てはいるけど」

 

 るーちゃんはこう言ってますが、心配する必要はないです。

 感染したせいでやつらからの隠密性が上昇しているためよほどの音を立てない限り標的にされることはないでしょう。余命数日と引き換えに得たスキルがしょぼすぎる-931810点。

 

 そんじゃ見所さんがないので倍速だ倍速。

 

 

 ☆幼女加速中……

 

 

「これでかんせいだね。ほかにやることある?」

 

 昼過ぎくらいには終わりましたね、特にアクシデントもなかったです。動画的には地味ですが、たまにはこんな時があってもええやろ。

 

 他にやる事は……そうですねぇ、階段に小物をばら撒いておきましょう。奴らは階段に弱いのは周知でしょうが、何かを踏みつけた時にも面白いように転びます。ビー玉やおもちゃやペンやら何でもいいので散らかしまくってやりましょう。

 後は油を撒くのもいいですね。稀にバク転しながら転がり落ちるコメディアンなかれらが見られることも。

 

「うーん、何もやらないよりはいいのかもね。わかった、わたしはあっちのきょうしつから取ってくるよ」

 

 ではわたしは逆側の部屋を漁りましょう。クラフト先のない無駄物も、こういった点で役に立つのです。さあ目に付いた物から片っ端に拾って──

 

 ──ん? これは……トランプを発見しました。

 

 トランプなどの玩具は、誰かと遊ぶことで信頼度を高める効果を持ちます。元々の信頼度が知り合い以下だったり、切羽詰まった状況下だと拒否されてしまいますが。

 特にトランプは二人でも大人数でもこれ一つで対応できるのが優れてますね。遊びの種類も豊富で、飽きが来ないのもGOOD。

 

 つまりこれが示すことは……

 

 

 

 

四回目の信頼度イベントってみっかぁ!  

 

 

 こうなったら最大値まで上げてやります。その状態で離別した時の称号も一緒に獲得してやりましょう(ヤケクソ)

 

 

 

 ○

 

 

 

 というわけで今からババ抜きやります。るーちゃんには当然のように快く頷いてもらえました。

 

「ちょっとわくわくするね、くらい中でやるのって」

 

 外は既に真っ暗で、停電してるので小さなランタンの光だけが頼り。今回はベッド代わりのソファにトランプ広げてやっています。

 

 私は学園生活部とは何度も対戦してきましたが、るーちゃんとやるのは初めてですね。

 カードを配るのに時間かかりそうなので倍速もいいですか、ちょっとキャラごとの思考の解説挟んじゃましょう。

 

 ゆきちゃんはすぐ顔に出るタイプなので、勝つのはまあまあ簡単です。ジョーカーと上がり札を往復して選択してやると、コロコロ表情が変わって面白いです。あとめっちゃかわいい。

 しかし原作主人公故の何か『持ってる』ものがあるのか、たまにとんでもない豪運を発揮します。例えばストレートフラッシュを二連打してきたり。その時は素直に諦めましょう。

 

 くるみちゃんは……ゲームのver.によって思考が変わります。私が今プレイしているver.では意外にも堅実派で、冒険はしてきませんね。確か前はガンガン行こうぜ系だった覚えがあります。

 

 りーさんは言わずもがな慎重系。表情は鉄仮面の如く強固で、完璧なポーカーフェイスから何も読み取ることは出来ません。『ツイてる』状態のゆきちゃんを除けば一番強いと感じました。

 

 めぐねえは……そうですね、一番弱いです。ゆきちゃん並の面の薄さと逆補正掛かったような運の悪さ。不憫枠かな? 

 

 

 カードも配り終えたので実況に戻ります。るーちゃんがどんなタイプなのかは分かりませんが、小学生に負けるわけないやろ! 

 

 ババ抜きって三人なら最初から勝負になるのですが、二人だと最後のペアまでは正直ただの作業でしかありません。なのでそこまで飛ばします。

 

 

「むむ……」

 

 はい。現在私がジョーカー持ってて、るーちゃんが引く番です。るーちゃんがこっちをじーっと見てきながら選ぼうとしてきます。かわいい。

 ここで表情を変えましょう。右の上がり札に伸びかけた瞬間に、逆に怪しく笑います。すると不思議、ジョーカーをするっと引いてくれました。

 

「ん、こっちだね! ……あっ」

 

 ポカンとした表情がかわいい(二度目)後ろで念入りにシャッフルして差し出してくれました。さーてどっちかなー? 

 

 右。

「…………」

 

 左。

「…………」

 

 右。

「っ…………」

 

 反射的に瞬きしました! 右だっ! 

 ……あれ、引けない? なんで? 

 

「そ、そっちはひいちゃダメ!」

 

 さてはカードをがっちり挟み込んでやがるな! 物理的に引かせないとかなんだその戦法、小学生か!? 小学生だったわ。

 

「んん、わかったよ……はい」

 

 勝てました。やったぜ。

 こんなふうに本当に細かい表情の変化が楽しめて、勝敗に関わらず眺めてるだけで面白いです。製作者の拘りっぷりがマジでやばい。

 

「ね、もう一回やろっ。つぎはまけないから」

 

 リクエストに答えるのもいいですか、動画映えを気にして違うものにします。るーちゃん、『スピード』ってやったことありますか? 

 

「しってるよ、まりーともやったことあったでしょ?」

 

 ならば上々。説明の必要はないみたいなので、早速カードの束を二つに分け、四枚表向きに並べましょう。ジョーカーはワイルドカードに設定します。細かなルール変更も出来るんですねこれ。

 

「じゃあいくよ、いっせーのー……せ!」

 

 決闘(デュエル)開始イイイ! 

 

 えーっと、……台札がスペードの3だから……あ、これか。2を出して、また3に戻って、隣がKなのでQを──

 

「──はい!」

 

 ア゛! 先に重ねられてしまいました。いや見ている場合じゃありません次の手札を──

 

「そこ!」

 

 あのさぁ……いや、年を取ると頭の回転が鈍くなってくるんです……。若い子のピチピチニューロンには敵いませんね。

 あれ、でも操作してるまりーちゃんは小学生では……つまり私も小学生の可能性が微レ存……? 

 

 ちなみに操作キャラの『知能』ステが高いと出せるカードに矢印がついたりしてくれます。まりーちゃんにはありませんよ。(クソザコ知能)

 

「こう、こうだね!」

 

 ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい! 待って! 助けて! 待って下さい! お願いします! 

 

「はい──やった、かった!」

 

 アアアアアアア! (発狂) 負けました……。

 この上なく自分の衰えを感じますね。脳トレ押し入れから引っ張り出そうかな……? あ、るーちゃんまだやりたそうですね。今度こそ勝ってやる……。

 

…………

………………

 

 十回くらいはやりましたね、さあもう一戦……と行きたいところですが、なんだかるーちゃんの目が落ちかけてます。眠いのでしょうね。

 時間的にもいい具合なので、勝敗同数で癪ですが一旦終わらせてやります。次こそ白黒はっきりさせてやるからな。

 ……次、くるかなぁ? 

 

「ふぁ……んん、まりーは、ねむくないの?」

 

 眠いけど寝たくないです。『かれらの幻覚』が睡眠中にも襲いかかるので眠りたくない。『悪夢』と違って友情パワーでもどうにもなりません。

 言えるわけないのでるーちゃんにはあまり眠くないとでも誤魔化しておきます。

 

「そっか、じゃあさきにおやすみ……」

 

 横になったので灯りも切っておきます。真っ暗でなんにも見えません。何かする気もないですけど。

 それでは今回はここまで。ご視聴ありがとうございました。次回は最後の安息日です。

 

 

 

 

 ○

 

 

 

 

 すやすやと友が寝息を立てる中で、万里花は未だ眠らずにいた。自らの掌も見えぬ暗黒、心を侵食していく絶望も似た色をしている。

 

「ゲホッ、ゴフッ……だい、じょうぶ。あしたまでは、たぶん」

 

 起こさないよう、瑠璃の顔にそっと触れる。どんな表情をしているのかは分からない。

 今にもその顔を引き裂いて、中身を舐め取りたい、想像するも悍ましい衝動に駆られてくる。その寝顔を歪め、怯えた顔のまま肉を喰いちぎる、感情のたっぷり乗った肉は蕩ける程に甘美であろう。

 

 漏れ出る闇を、顔を振って否定した。寝ている今の顔が安らぎに満ちていることを願って。

 

「あたしはもうだめだけど、あなたはちがうよ。もっとすてきな場所に、きっといけるよ」

 

 そのまま手を動かし、髪の毛を優しく撫でた。油っこくベタりした手触り。汗と、ほんの少しの血が入り混じった、ボロボロに傷んでしまっていた髪の毛。

 碌に水も使えない中では、身を清めることも最小限にするしかない。血濡れた日を繰り返し、あの日までの透き通るような美しさは失われてしまった。

 

 新たな場所では、そうならない生活であることを祈る。己は共に行けないが、ここよりも幸せであることを祈る。

 

「だからね、気にしないで? るーがしあわせなところに行けるなら、あたしはそれでいいから」

 

 くすぐったいのか身じろぎをする瑠璃。とても長い、腰よりも長い後ろ髪が露わになる。

 

「……やくそく、まもれなかったね」

 

 万里花は髪を持ち上げて、そこに軽く口づけをした。彼女だけの匂い、華の香りを探し出す。

 

「とおくに離れていっちゃっても、ともだちでいてくれるかな? てがみも出せないし、会うこともできないけど…………ううん、だめだよね、そんなともだち、わすれたほうが、いいにきまってる」

 

 近づく死の足音。友の隣で死ねるのならあまり怖くはないのだろう。だがそれは、彼女に危険を及ぼす行為でもあった。死ぬならば孤独でなければ。たった一人で、死が齎す恐怖に耐える必要がある。

 

「……ごめんね」

 

 小さな手のひらには二人分は収まらない。なら自分の全てを賭して、せめてこの宝物だけは──

 

 

 




書きだめがなくなったので次回は遅れます。
来週土曜予定です。
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