向き合う一夏と鈴、この2人を見る観客達は異様な緊張感に包まれていた
「お、重々しいな……」
零も思わずそう呟いてしまう程に、この2人の雰囲気は重々しかった
織斑千冬の弟にして代表候補生に圧倒的な実力の差を叩き付けた歩く絶望、織斑一夏
中国の代表候補生、凰鈴音
「さて、一夏」
「なんだ?」
「負けても問題ないわよ、私も充分強くなって帰ってきたんだから!」
「……おう。負ける前提で話すのやめろ」
「そうね!私が負ける可能性も十二分にあるもの!」
「その割には楽しそうだな?」
「一夏と殴りあえるのよ?楽しみに決まってるじゃない!」
嬉々としてそういう鈴に一夏は若干の呆れを伴いつつもサイキョーギレードとジカンギレードを取り出す
「変わってるわね?一夏の剣」
「異色な剣は好みじゃないか?」
「まさか!大好きよ!」
いつの間にか打ち解けていた雰囲気の中、カウントダウンが鳴りお互いの持つ武器を構える
「一夏!行くわよ!」
「楽しませろよ、鈴!」
そして開始のアラームがなると同時に2人の姿が消え、同時に炸裂音のようなモノと一緒にお互いが壁に吹っ飛んでいく
「!?」
「何が起きた!?」
観戦していた零と箒は目の前で起きた現象に思考が追いつかず、そんな風に叫んだ
「重いわね……アンタの剣!」
「お前の剣もな!」
そう言うと一夏はサイキョーギレードの顔の側面のレバーをずらす
するとサイキョーギレードの顔の文字が【ライダー】から【ジオウサイキョウー】に変化する
ジオウサイキョー!
待機音が流れるとトリガーを引きながら剣を振るう
覇王切り!
7色の光のエネルギーが鈴へと飛ぶ
「嘘でしょ!?」
想定外の位置からの攻撃は鈴を驚かせ、双天牙月で防ぐも、その勢いを殺しきることは出来ず、アリーナのシールドに叩き付けられ、双天牙月も1本がひしゃげて使い物とならなくなる
「1発でこれ!?トンデモアイテムじゃない!」
「残念なことにファーストシフトした時の標準装備なんだよな」
「おかしいわよ!?」
そう言いながらも使い物とならなくなった方の双天牙月を投げ捨て、指を鳴らす
直後一夏は後方に吹っ飛んだ
「!?」
「なぁ!?」
「……ほう」
観戦していた零達は驚き、千冬は微かに驚きつつも納得した表情となる
「衝撃砲だな。アレは」
「衝撃砲?」
「超火力の空気砲だと思ってくれ、不可視の攻撃が可能だ」
「じゃあそれを見切らないと……」
「勝つ事は不可能だな」
絶句する2人だが、一夏の様子が変わった事に気付き息を飲んだ
「いってぇ……」
「どうよ、私の専用機の兵装!」
「見えねえのか……そんでこんだけの火力かよ」
驚きが隠せない様子の一夏だが、視線を鈴のある部分に集中させた
「さて、吹っ飛びなさい!」
「やなこったい!」
鈴の龍砲から放たれた不可視の砲弾は──躱された
「え!?」
「大方予想通りだな」
「ッ……」
「鈴、その攻撃はもう俺に当たらないぜ!」
「当ててやるわよ!」
ジオウサイキョー!
覇王切り!
放たれる直前、一夏は覇王切りを地面に向けて放つ
土煙が覆い、驚く鈴の隙を突き、四方八方から覇王切りが放たれる
「ちょいちょいちょい!?」
回避に徹しつつ鈴は一夏の狙いを悟った
「(煙で隠れる気ね……。いえ、それ以上に龍砲の軌道が分かるようにする為にやったのかしら……どちらにせよ、厄介なのには変わりない。それに何処にいるかは一夏の方がよく知ってる。移動しながら覇王切りを繰り出されたらこっちが不利……なら!)」
鈴は一気に高度を上げ、龍砲を地面に向けて連射する
「炙り出してやるわよ!」
土煙が上がったことにより鈴が一夏の動向を把握出来ないのと同様に一夏も鈴の動向を把握出来ない
上空から出された覇王切りは一夏を炙り出すには充分な脅威である
「上からかよ!?」
「どうよ!」
サイキョージカンギレードを持った一夏が土煙から抜け鈴にサイキョージカンギレードを突き出す
サイキョー!フィニッシュタイム!
キング!ギリギリスラッシュ!
突き出されたサイキョージカンギレードから出てきた《ジオウサイキョー》のエネルギーは鈴が自身の龍砲の1つを引き換えに回避した
「まだまだ行けるわよ……!」
「こっちもだぜ……楽しませてもら──」
その直後、魔法陣から2人のアナザーライダーが現れ、一夏達に戦闘を仕掛け始めた
試合「何でまともに終わらないんスか?」