あァ…悪正記の戦闘シーン考えるのめんどくせぇ。
大抵の小説って、戦闘シーンが投稿頻度の妨げになるよね。
まぁ、それではどうぞ。
今日は、私の誕生日。響も張り切って誕生日パーティーの準備をしてくれている。密かにやっているつもりなんだろうけど、もうバレバレ。でも、そういうところが響らしいというか…。
クリスや切歌ちゃん、調ちゃんもせっせと手伝っている。クリスは嫌々やっているように見えるけど、実は結構乗り気なところもまたご愛敬だと思うんだよね。
さて、そんな肝心の私ですが…。
「大根とはんぺん一つください」
「つくね2個とロールキャベツください」
「大根3個!」
「はんぺんとたまごを2個!」
今現在、おでん70円セールの餌食になっている。
事の始まりは学校の終わり。コンビニからの着信が35件もあるからなんだろうと思ってその電話に出てみたら、渇いた声で店長から、
『小日向…チャン…イマ…バイト…デラレナイ…カナ…?』
と、荒い呼吸とともにSOSのコールが初回の挨拶だった。
その只事ではない事態に、私はすぐに直行した。誕生日会の準備が出来るまで、私はいない方が良かったからちょうどいいと思ったのも理由である。
だが、すぐに私はその選択を後悔した。
着いてすぐ、着替えてこのおでんのコールの雨だったから。
「つくねとタコ串とこんにゃくと大根を3個ずつ!」
「はんぺんとたまご二つずつ、しらたきと昆布一つずつ、ちくわとソーセージとがんも3つずつ!」
「あ、やっぱ今の全部やめてロールキャベツを2個とごぼう巻きを2個と牛すじを2個。あ、やっぱ全部三個ずつで!」
―――よく、聞かれるんです。
おでん70円セールって、そんなに大変?――って。あれ、こんなこと聞かれたことあったっけ?もう記憶が
でも、そう聞かれたら早急にこう答える。
店内を埋め尽くす
勤務時間外でも入店音の幻聴が聞こえ始め!
火傷と隣り合わせの作業を強いられ!
煮詰まったおでんの香りが
――そして、
バックルームの夜食では、おでんが温かく迎えてくれる――。
「要は、おでんに五感全てを奪われます…」
「未来ちゃん!これお願い!」
「は、はい!!」
ちなにに余談だが、このセールは毎年あるらしい。これを何年も続けてきた店長や松駒さん、渡利さんがどれだけの修羅場を
―――。
――――。
―――――。
「そう言えば、柴田さん遅いな…。何してるんだろう?」
あの逆襲?のおでんセールが終わったあと、私たちはぐたっとしていた。時間は夜の7時15分。あと一時間もしたら帰れる。
とても辛かったけど、
と、そんなことを考えていて気を紛らわせようと別のことを考えて真っ先にコレが浮かんだ。今日は柴田さんのシフトは15分前に始まっているが一向に来る気配がない。本当に、あの地獄を体験しなくて羨ましい…。おっと、この声は心にとどめておこう…。
そう呟くと、近くにいた松駒さんと渡利さんが話に乗って来た。
「寝坊ですかねぇ」
「ま、バイトの遅刻といや寝坊かシフト忘れのどれかだよな」
「夜の七時ですよ?寝坊はありえませんって。響じゃないんだから」
「ん?未来ちゃん今何か言った?」
「いいえ、なにも?」
「そっか…。そうだ、遅刻の言い訳で、「向かい風が強くて」「学校に軟禁された」なんて珍回答も聞いたことが――」
その時、ダダダダ!!と大きな音が聞こえたと同時に、柴田さんがバックヤードに飛び込んできた。
――血塗られたスーツ姿で
「遅れてすみません!止血に手間取っちゃいまして…!」
「「「――――」」」
んー―――?
私は思考が停止して、目の前の状況を理解できない。いや、理解したくなく必死で脳の回転を止めようとするが、意識とは別に脳が勝手に状況を処理してしまった。
「あっ僕はなんともないです!お父さんたちと食事してたら大ゲンカ始まっちゃってー」
――なんらかの事件性しか感じない。
―――。
――――。
―――――。
―――翌日。
皆で私の誕生日を祝ってくれた次の日。学校が終わって、いつのものメンバーで校門をくぐり抜けたその時。
「あ、仁井さんではないデスか!」
切歌ちゃんが通りすがりの仁井さんを発見した。何度も言うが、彼は駅を
しかも、ちょうど帰りの時間帯に。
「おや、小日向さんに暁さん。今から帰りですか?」
「はい。仁井さんは今日シフト入ってるんですか?」
「えぇ。でもまぁ、本命は別にありまして…」
「――?」
そう言うと、彼は懐から一枚の紙きれを取り出して、私に差し出した。よく見ると、それは映画のチケットだった。
(あッ、これ気になってた映画のチケット…)
「昨日が誕生日だと聞きまして。よろしければこれをどうぞ」
「いいんですか?」
「えぇ。もらってください」
「ありがとうございます!」
そうして、私はニーチェ先生からチケットを貰った。……アレ、何気にお父さん以外の男性から贈り物を貰うのって初めての経験だ!
「よかったね、未来!」
「いいなー!私もその映画気になってたんだ!」
「じゃあさ、皆で明日見に行かない?ちょうど土曜日だしさ!」
「ナイスな提案ですわね!早速準備しないと!」
「いいデスねいいデスね!行きたいデス!」
「うん…。良いと思う」
「ま、まぁ?アタシは別に興味ねぇけど、皆が行くってのなら…先輩として顔を立ててやらないとな。アタシも行くよ」
よーし。それじゃあ明日は皆で映画を見に行く準備をしないと。本当に、仁井さんには感謝しかない。本当アルバイトがある日は
「本当にありがとうございます、仁井さん!」
「いいんですよ。一人目は車にはねられ入院。二人目は階段から落ちて骨折。三人目は強盗に襲われ全治一か月。……と三人の持ち主の元を渡り歩いて僕のところへ回って来たのですが、こういうものはあまり見ないので」
「「「「「「「「―――――」」」」」」」」
何故それを私に渡そうかと思ったのか小一時間問い詰めたい。
―――。
――――。
―――――。
結局、ニーチェ先生を入れた9人で映画館へ。あんな呪われてるとしか思えないチケットを渡してきたのだ。無理やりながらもついてきて貰った。
それに彼は曲りなりにもお坊さん志望。きっと呪いとかそう言い危険なモノに対して耐性を持っているに違いない。
事実、私たちに近づこうとしていたガラの悪い人たちが謎の腹痛を引き起こして病院に直行したから
彼は耐性と言うよりその扱いに長けているのではないかと私を含めた全員が思ったであろうが、誰も口にしなかった。
そして、映画のラストシーン。
『やったよメリッサ…。ホラ、君の仇は打ったよ…』
そしてその帰り道。私たちは映画の感想を言い合っていた。
「なかなか面白かったね!」
「そうだね、やっぱり最後のアクションシーンとかが最高だったよ!」
「私は、仇を打ったところが――」
「仁井さん!仁井さんはどんなところが気になりましたか!?」
響が仁井さんの横に並んでその質問をした。対して彼の答えは――
「そうですね…。何故主人公は犯人を殺してしまうのか理解できなかったです」
「仁井さん……」
「そう、ですよね…。戦うより、話し合いで解決した方が、良いに決まってますよね」
仁井さん……。流石にお坊さん志望なだけあって、仇にすら貫禄を貫くのか…。こういう人が、弦十郎さんみたいな良いOTONAになるんだな―――
「生きていることそのものが最大の苦しみなのに解放するなんて」
「「「「「「「「―――――」」」」」」」」
そう言い放ち堂々と歩くその後ろ姿は、まさしく歴戦を勝ち抜いてきた戦士の背中だった。
――今日も平常運転だった彼に、安心すればいいのか、呆れればいいのか分からない一日だった。
―――。
――――。
―――――。
おまけ。
月曜日の帰りの時間。雨が降った。バックを傘代わりにして頭を守る。
今日の天気予報は晴れだったのに――、いろいろと濡れちゃった。
「おはようございま~――」
お店の裏側に回って、バックヤードに続く扉を開ける。
その時私の目に映ったのは、大量の逆さてるてる坊主だった。
「――――」
その光景に、私は力が抜けて荷物が手から落ちる。
「おはようございます。今日も暇になりそうですね」
【神は死んだ】と豪語する彼が、民間伝承を用いてまで来店客数を減らすことに余念のない姿勢を見せたことに身震いしています。
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