1話~5話(4話改稿)
これは、もしもリディアンが『バイトOK』だったらのお話である。
私の名前は【小日向未来】
これからバイト先へ向かっています。
「社会勉強のためにやってみたけど…受かってよかった」
親友の響からも心配されていたけど、リディアンから近くのコンビニだし、それに時間も夕方から夜だけだから。
夜は少し不安だけど、とにかく頑張ってみることにしています。
「よ~し!頑張るぞ!」
私は勇気を出してコンビニの自動ドアから入った。
そして、最初に聞いたのは…
「ああん!!?」
怒号でした…。
「ふざけんなよ!!お客様は神様だろうが!!」
…まだ夕方にもなってないのに、やっぱりこういうお客さんもいるんだな…
そして、目の前で怒鳴られているのは店員さん。
立場的には私の先輩になるんだろう。
その人は男性で、身長はたぶん、170cmはあると思う。
そして、彼は…
「神は死んだ」
と、とてつもないことを言いました。
…私、どうなるんだろう?
1話 【自己紹介】
「こ、これからここで働かせてもらいます!【小日向未来】と申します!よ、よろしくお願いします!」
そう言って私は頭を下げる。
「よろしくね。未来ちゃん」
「どうも、松駒です」
「君の制服って、あれってリディアンのだよね?あ、俺渡利!よろしく!」
「…
あの人は晴也さんって言うんだ。
「ところでさ、リディアンって女子高でしょ?だからさ、なんかいい友達でも紹介してくんない?」
「え、えぇ…」
「ちょっと渡利さん、小日向さん困ってるじゃないですか!」
「俺さ、いずれ絶対6億当てるからさ!」
えぇ~~急にこの人すごく慣れ慣れしいな…。それに今の発言、完全にアウトだし…。
こんな人に私の友達…特に響は絶対に紹介できないよ。あまり関わらないでおこ。
「…渡利さん」
「なんだよ?」
そのとき、仁井さんは急に足を床にたたきつけた。
そのときに特有の音が聞こえる。
「きゅ、急になんだよ…」
「渡利さん。今26歳フリーターのあなたと、将来がある高校生。そんな圧倒的な差がある二人が付き合える確率は、今ボクが足で地面を叩いたときにそのエネルギーが地盤に到達して震度5以上の地震が起きる確率に等しいと思ってください」
「は、はぁ…つまり、お前はなにが言いたいんだ?」
「つまりそういうことです」
「「「……………」」」
「仁井君…。前にも、同じようなこと言ってなかったっけ?」
そのときの仁井さんの言葉は、今まで聞いてきた言葉のどれよりも酷で、一瞬だけ渡利さんが可哀そうになった。
でも、助けてくれたのはうれしかった。
2話 【基本】
「では小日向さん。まずはレジの基本操作を覚えてもらいます」
「わかりました」
「それではボクがいつくか商品を持ってくるので、カウンター越しで商品を受け取って会計をしてください」
そう言って仁井さんは商品棚に向かって行く。
まぁレジ打ちはコンビニバイトの基本中の基本だからね。
そして仁井さんが持ってきたのは…
「これを」
「……あの、これは?」
彼が持ってきたのは、線香と仏壇用ライター、慶弔用の封筒…。
仁井さんが想定するコンビニのお客様がどんな人物なのか、全く想像がつかない。
3話 【ニーチェ先生】
「って、いうことがバイト先であって…」
「それ、大丈夫?」
今の時間、昼食で私と親友の【立花響】。そして友達の【板場弓美】ちゃん、【安藤想世】ちゃん、【寺島詩織】ちゃんの五人で食べていたときのこと。
「その、仁井さんだったっけ?まるでアニメね!」
「…アニメでしかありえないことを平然をするあの人を見ると、いつもひやひやするんだよね…」
「ははは…。まぁ、当たり前だと思いますよ?」
「神は死んだ、か……」
「どうしたの?創世ちゃん?」
「いやぁね。その言葉って、【フリードリヒ・ニーチェ】って言う人の名言なんだけど、それから取って……その人は、『ニーチェ先生』にしよう!」
なんでそんなこと知ってるんだろう…
「ニーチェ先生…。ありかもね!」
「でも、なんで先生、をつけるんですか?」
「だって、相手は年上でしょ?だから敬意込めてって意味で!」
……ニーチェ先生か…。
この日から、彼を心の中でそう呼ぶことにしました。
4話 【友達が来た】
「おーい、未来!」
今日、土曜日なのですが、オーナーに頼まれたのでお昼から夕方までバイトしています。
そして、私の親友と友達の4人が来てくれました。
「へぇ~ここがヒナのバイト先か」
「うち私立だからバイトできるけど、なかなかいい場所じゃない」
「本当に、ナイスですね」
「にしても、コンビニの店員の恰好の未来もなんだかかっこいぃ~~!」
「えへへ、そうかな?」
やっぱり響にそう言われるとうれしいな。
「…お友達ですか?」
「あ、仁井さん」
そのとき、バックヤードからニーチェ先生が出てきました。
「交代ですか?」
「いえ。品出しをしないといけないので」
「あの!」
「……なんですか?」
「私、立花響って言います!未来の親友です!よろしくお願いします!」
「仁井晴也と申します」
「ちなみに!趣味は人助け!誕生日は9月13日O型!身長はこないだの測定で157cm。歳は15歳!体重は秘密です!」
「………」
「もう、響。急なことで仁井さん混乱してるよ」
「あはは、ごめんごめん」
「そうだよね。ビッキーこの前猫を助けたことで入学初日から遅刻してたもんね」
「そうだね。まるでアニメ見たいだったよ!」
「もう、弓美さんったら」
五人で笑いあっていたそのとき、仁井さんが口を開いた。
「立花さん」
「はい!なんですか?」
「自らの情報を出会ったばかりの人間、しかも異性に対してペラペラ喋るとは、情報管理能力が成っていませんね。そんなことではいずれそれがトラブルの元になりますよ」
………あまりの正論に、グゥの音も出ない。
その発言に、私だけではなく、響たちも固まっている。
ニーチェ先生は響に背を向け、こう言った。
「立花さん。もう少し、自分を見直してはいかがでしょうか?」
そう言い残して、ニーチェ先生は品出しをしに行った…。
5話 【資格】
「そういえば仁井さんって、仏教検定とか受けてるんですか?」
「…どうしたんですか、急に」
「いえ、仁井さんって、仏教学部なんですよね?」
「…誰から聞いたんですか?」
「渡利さんからです」
「……そうですか」
一瞬、仁井さんの目が怪しく光った気がしたけど…気のせいだよね。
「まぁ仏教学部に入る以上、仏教検定は必ず受けるでしょう。…賞状の写真、見ますか?」
「えっ!?いいんですか!!?」
「問題ありませんよ。見られて困るものはありせんから」
「それじゃあ、お言葉に甘えて…」
そうして、私は彼のスマホを借りて彼の賞状が映っている写真をを見た。
検定に最初に目が行った。
【仏教検定3級】
【英検準2級】
【数検2級】
【接客サービスマナー検定2級】 ←?
【コミ検2級】(コミュニケーション検定) ←?
【漢検3級】
【サービス接遇検定準2級】 ←?
かなりとってる。
かなり資格はある。だけど……。
私は仁井さんの方を見る。
「?」
この不愛想な顔…。
そして今までのお客さんへの態度…。
一度この検定試験を開催している協会に、もう一度この人の検査をさせたいと思いました。