小日向さんのバイト日記   作:龍狐

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16話~20話

~16話~ 【学校帰り】

 

 

「ふゥ~~」

 

「響、今日は一緒に帰れる?」

 

「うん!大丈夫だよ!」

 

 

今は学校が終わった教室。今日は一緒に帰れそうだ。

それに今日はシフト入ってないしね。

 

 

「ビッキー、ヒナ、今日一緒に帰ろう!」

 

 

そこに、創世ちゃんたちが来て、今日は五人で帰ることになった。

そして、校門に来た時、その人は来た。

 

 

「あ!ニーチェ先生!!」

 

 

そう、創世ちゃんが叫んだ先には、

 

 

「……?」

 

 

イヤホンを耳につけ、私服姿で歩いている、ニーチェ先生の姿だった。

 

そしてこの瞬間、終わった、と思いました。

 

や、やばいよ…。隠してたニーチェ先生の――仁井さんのニックネームが即バレた!

 

 

「く、創世ちゃん…!それだめ!」

 

「え?なんで?」

 

「いろいろとあるんだよ!」

 

 

そして仁井さんはそのまま私たちの方に近づき…。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

イヤホンを取って、私たちに話かけた。

 

 

「こんにちは!晴也さん!」

 

「こんにちは立花さん」

 

「…あ、あれ?今の、聞いてました?」

 

「なにが、ですか?」

 

 

よ、よかったぁ~~~!!

今の聞かれてなかったぁ~~!!

 

 

「そ、そうですか!なにも聞いてないんですね!」

 

「えぇ、そうですね」

 

 

 

「ボクを【ニーチェ先生】と変な呼び方をしていたこと以外は」

 

 

 

……バレて、ました。

 

 

 

 

 

 

 

~17話~ 【ニックネーム(あだ名)】

 

 

 

 

「あ、あの…これは、ですね…」

 

 

ヤバイよヤバイよ!どうしよう!このままじゃ創世ちゃんが!

 

 

「これは、私が考えたニックネーム!いいと思わない!?」

 

 

だが、創世ちゃんはこの空気が読めないのか言ってしまった。

まずい…!

 

 

「あ、あの…」

 

「どうしたの未来?顔色変だよ?」

 

「なにやら、顔が青くなってますが…」

 

「もしかして未来、体調悪いの!?」

 

 

響たちも仁井さんのことを話でしか聞いたことがないから、そう言えるけど、直接見ている私は知っている。この人はなにかしでかしたらヤバイということを…!

 

 

 

「そうですか…。まぁいいでしょう」

 

「え……?」

 

 

だけど、返ってきたのは予想外の返答だった。

 

 

「ニックネームをつけるのは、別に問題ありません。表現の自由…と言うものですよね」

 

「おーわかるねニーチェ先生!」

 

 

な、なんだ…彼にもちゃんと協調的なところがあるんだ…

 

 

「よ、よかった…」

 

「あ、いつもの未来に戻った!」

 

 

「ところでさ、ニーチェ先生は誰かにニックネームとかつけないの?」

 

 

と、思ったのもつかの間、

 

 

「……安藤さんは、ラインから延々と流れてくる量産品の一つ一つに愛称をつけてるんですか?ボクは少なくとも面倒なのでやりませんね」

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「どうしたんですか?」

 

「いえ、なんでも、ないです…。仁井さん…」

 

 

この時から、創世ちゃんは仁井さんことをニーチェ先生と呼ばなくなった。

でも、私はせめて自分の心の中だけでも、彼女の生み出したこのニックネームを生かしておくことにする。

 

 

 

 

 

 

 

~18話~ 【布教の波】

 

 

 

「今日は、確か未来さんは今日はシフトは入っていないんでしたよね?」

 

「はい。そうですが…」

 

 

さきほどの人を量産品扱いした発言により、私を含めた五人に怖がられているニーチェ先生。

 

 

「そうですか。実はボクも今日はシフトがありません。それで余裕ができたので、先日のライブの感想を、立花さんたちにも聞こうと思いまして」

 

 

そしてニーチェ先生は響たちの方を向く。

 

 

「え、えぇ~~と…」

 

「あ、あの…」

 

「な、なんていうか…」

 

「ざ、斬新的でしたね!」

 

 

詩織ちゃんナイス!

 

 

「そ、そうそう!斬新的だったねぇ!」

 

「まさか般若心経をあんな歌にするなんて!」

 

「あんな発想思いつかないよ!」

 

「ほ、本当にそうですね、あはは…」

 

 

皆、苦し紛れに回答している。

実際、私も感想を聞かれたときは苦労した。

 

 

「そうですか。では、今度ボク等のバンドともう一組のバンドが主催する【法礼summerNIGHT】にぜひ来て下ささい」

 

「は、はは…よ、余裕があれば…」

 

 

題名がいかにもな感じで、とても行きたくない。

 

 

「では、ボクはこのへんで「あ、あの!!」?」

 

 

そのとき、女の子の声が聞こえた。

皆で振り返ると、そこには私たちと同じリディアンの生徒がいた。

 

 

「なんですか?」

 

「も、もしかして、「  」(くうはく)の木魚担当の仁井さんですか!?」

 

「そうですが」

 

「や、やっぱり!!私、ファンなんです!握手してください!!」

 

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

私たちは、唖然とした。

 

 

「ねぇ、もしかしてあれって、「  」(くうはく)の木魚担当の仁井さんじゃない!?」

 

「本当だ!!」

 

「握手してもらおう!!」

 

 

これがトリガーとなり、同じリディアンの生徒2,30人が仁井さんを中心に集まった。

これにより周りの人たちも「なんだなんだ」と集まってきていた。

 

騒ぎを聞いて駆け付けたであろう先生が解散させようとするが、騒ぎが止まらない。

逆に、仁井さんの存在を駆けつけた生徒がさらに集まってきた。

 

なんで仁井さんこんなに認知度高いの!?

 

そんな状態の取り換えしがつかなくなったとき、

 

 

 

 

ヒョブオォ~~~~~~~~ッ

 

 

 

 

あの、笛の声が聞こえてきた。

 

その音を聞いた、仁井さんを知っている生徒たちが、膝から崩れ落ち、泣き出した。

 

 

「ひぐっ…えっぐ…」

 

「ううぅ……」

 

 

……布教の波、ここまで広がっていたことに驚愕を隠せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

~19話~ 【おごり】

 

 

 

 

「この度は申し訳ございません。これはボクのおごりですので、どれか一つ好きなセットを注文してください」

 

 

あの後、なんとかあの場を切り抜けられた。

それでニーチェ先生がお詫びとしておごってくれるそうだ。

 

 

「(この人にも、人の情があったんだ…)」

 

「(さっきのあれからは信じられないな…)」

 

「(まさかあの(般若心経)がリディアンにまで広がっていたなんて…)」

 

「(やったぁ~おごりだぁ~~!)」

 

 

なんか、約一名だけ別のことを考えいる感じがする。

いや、顔に出ている。

 

 

そして、カウンターに到着すると、私たちはそれぞれのものを注文する。

そして、最後にニーチェ先生。

 

 

「チキンセットにコーラ、コールスロー……」

 

 

そして、その時、

 

 

「以上でお願いします!」

 

 

ニーチェ先生は、今まで見たことないくらいの笑顔で笑って対応していた。

それに私たちは驚きを隠せずに表情に出てしまっていた。

 

そして、注文の品ができるまでの待っている時間は、私は聞いてみた。

 

 

「どうしたんですか?珍しく愛想がいいですね!」

 

「確かに!すごくいい笑顔だったですね!」

 

 

そして、彼は不愛想にこう答えた。

 

 

「店員も人ですし、良い客には良い部分の肉をくれる可能性が高まるので乱数調整をしたまでです」

 

 

訂正。やっぱり彼には人の情はなかった。

彼には人間の温もりを取り戻して欲しいと切に願っている。

 

 

 

 

 

 

 

~20話~ 【ライバル?】

 

 

 

私たちは席に座り、それぞれの食べ物を食べていた。

 

 

「そういえば仁井さんって、誰かすごい!尊敬している!って人はいますか!?」

 

 

突然、響が仁井さんにそんなことを聞いてきた。

 

 

「どうしたの、響?そんなこと聞いて」

 

「いやぁ、ちょっとねぇ…」

 

「もしかして、最近響がやってる、『特訓』って言うのに関係してるとか?」

 

「あはは…実はそうなんだ」

 

「じゃあ響が尊敬しているのって、あの大きい男の人?」

 

「そうそう!!あの人すっごくいい人なんだ!」

 

「響、話の論点がずれてるよ」

 

「あはは…。で、誰かいますか!?」

 

 

 

「……バイト仲間ですね」

 

 

 

「「「「「ッ!!!」」」」」

 

 

 

まさか、あの中に仁井さんが尊敬している人が!?

すごい気になる。

 

 

 

「最近新しく入って来たばかりなのに」

 

 

 

えっ!?

 

 

 

「どんなお客様でも文句一つ漏らさず仕事をこなし」

 

 

 

ももも、もしかして…

 

 

 

「ボクでもわからない、見逃してしまうミスをしてしまったときに教えてくれる…」

 

 

 

それって、私―――

 

 

 

 

 

「レジスターです」

 

 

 

 

 

―――人ですらなかった。この答えに、硬直する一同。

そういえば、最近新しいレジスターに変えたって、店長が言っていたような…。

 

今日は、なんだか変な一日だったなぁ…。

 

 

 

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