砂藤 力動:オリジン
個性
中国の軽慶市での「発光する赤児」の報道以来世界各地で超常現象が報告された。
いつしか「超常」は「日常」に、「架空」は「現実」に。
世界総人口の約8割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会。混乱渦巻く世の中で今、かつて誰もが空想し憧れたひとつの職業が脚光を浴びていた。
俺がまだ幼稚園だった頃、その日のおやつであったショートケーキを食べた後に体が飛んでいるような感覚に陥った。小さかった俺はその感覚が怖くて泣いてしまい、早退をし、先生から連絡をもらって駆けつけた母ちゃんと一緒に医者に見せに行ったところ、俺は個性が発現したことを知った。
個性『シュガードープ』
最初はよく分からなかったが、母ちゃんがお医者さんから聞いた話によると。
砂糖10グラムにつき通常の5倍の身体能力を3分間発揮できる
という個性だったらしい。
「ガハハハハハ!!こいつはすげぇ個性だな!」
「えぇ、ヒーロー向きの個性ね」
当時の俺は自分に個性が発現したことにすごく喜んだ。
父ちゃんはヒーローを目指していたらしい。だけど父ちゃんは“無個性”だった。
それでも父ちゃんも母ちゃんも自分の事のように喜んでくれた。
父ちゃんは“無個性”だったけど、困っている人がいたらそこに利害なんか求めずにどんな事でもすぐに助けの手を差し伸べていた。近所の人達からも父ちゃんはとっても好かれていた。
俺にとってはそんな父ちゃんが誰よりも『ヒーロー』に見えていた。
「父ちゃん!」
大声を出した俺に驚いた父ちゃんは
「うわっ!?びっくりするじゃねぇか力動!いきなり大声上げてどうしたんだ!?」
と聞いてくる。
「俺は父ちゃんみたいな最高のヒーローになる!」
「おいおいおい!その気持ちは嬉しいがなぁ。…俺の事なんか気にせずにお前のなりたいヒーローになればいいじゃねえか」
「知ってる!だから俺の中の最高のヒーローである父ちゃんみたいになるんだ!」
「か、母さん!俺は今、最高に感動している!…うぅぅぅ、涙が止まんねぇよ…!」
「良かったわねあなた。ほら、よしよし」
「かぁさん…グスッ」
涙を流しながら顔をしわくちゃにしていた父ちゃんを横目に、この日俺はヒーローを目指し始めた。
それから俺はヒーローになるために、父ちゃんと母ちゃんに頼みこんで格闘技をならい始めたり、体づくり、個性の練習など様々なことを始めた。
「砂藤!今日は俺の家で集まってゲームやるけど来るか?」
「今日こそ来てくれよ!」
「悪ぃ!今日もトレーニングだ!すまないなみんな!」
「じゃぁねぇな〜。その代わり日曜日はみんなでサッカーな!」
「任せろ」
「「「絶対だぞ〜!」」」
同級生の友達は遊びに誘ってくれたりしてくれてたけど、俺は余り行かなかった。
それよりも、日々成長している自分を感じるのが何よりも楽しかったからだ。
個性は未解明な部分が多い
テレビで偉いお医者さんが言っていた。
俺の個性は強いが燃費が悪い。俺の個性は個性を使うと決めたらそこから個性が切れるまでは糖分がノンストップで使われるし、途中で個性を止めたり、糖分の消費調整もできない。
何とかできないものかと試行錯誤を重ねていると、中学生に上がる頃、個性に変化が訪れた。
身体能力強化の倍率を感覚ではあるが調節できるようになり、10グラムで5倍の時は3分間、2.5倍で6分と糖分の消費量も調節できるようになったのだ。
個性は成長する。
その時俺は確信した。
そこからの3年間が過ぎるのはとても早かった。
時間が経つにつれて、個性も身体もどんどん成長していった。
個性が使いこなせるようになってくると俺の個性のヤバさが改めてわかった。
“身体能力”が倍になるというのは単純に力が倍になる訳では無い。
腕の筋肉も、脚力も、反射神経も“全て”が倍になるのだ。だから実際俺の個性は倍どころではないパワーが出せるのだ。
「お前がもしプロヒーローになったら1番にサインくれよ!」
「有名になったら女の子紹介しろよな!」
「砂藤くんなら絶対プロヒーローになれるよ!」
中学に上がっても、余り友達と遊ぶ時間は取れなかったが、そんな俺に対してもみんなは俺と仲良くしてくれた。それがたまらなく嬉しかった。
そして迎えた中学三年生の冬
「ここが雄英高校…!」
俺は雄英高校の門を通る。
これは俺、砂藤 力動が最高のヒーローになる物語だ。
続くかは未定