砂藤が本気を出したなら   作:たなぽ

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1巻分終了です


個性把握テスト2

相澤先生の除籍処分宣言の後、先生はすぐに個性把握テストが始まった。

 

 

最初の競技は50m走

 

 

 それぞれ個性を使う為の準備や柔軟体操などを各自行っている中、俺は相澤先生の元へと歩いていく。

 

 

「相澤先生」

 

 

「どうしたんだ砂藤?」

 

 

このタイミングで来た俺に対して、先生は不思議そうな顔をした。

 

 

「この時間中での糖分の摂取はOKでしょうか?」

 

 

「糖分?…あぁ、お前の個性は糖分使うんだったな。まぁそのくらいなら許可する」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

これで全部の種目でMAXが出せる。

 

 

「だが俺は糖分が摂取できそうなもん持ってないぞ?」

 

 

「心配いりませんよ」

 

 

そう言って俺はポケットから角砂糖を数個取り出す。

 

 

「…なんで持っているんだ。今回だけだぞ。今度から授業に必要のないものを所持していた場合没収するからな。」

 

 

相澤先生に呆れられたが許可は出た。

 

 

俺は角砂糖の1つを2等分にし、その半分を口へ含み、列に並んで順番を待った。

 

 

「次、上鳴 電気と砂藤 力動」

 

 

(個性発動。角砂糖半分だから、身体能力5倍は30秒持つな)

 

 

位置についての合図で個性を発動させる。

 

 

 

 

「よーい、どん」

 

 

 

地面を強く蹴って勢いよくスタートすることが出来た。

 

 

 

「砂藤 力動 3秒49、上鳴 電気 6秒81」

 

 

 

「すげぇ!!また3秒台が出たぞ!」

 

 

 

「ふぅ、まぁこんなもんか」

 

 

 

「おい!お前すげぇな!」

 

 

なかなかの記録が出せたことに安堵していると、一緒に走った上鳴 電気が話しかけてきた。

 

 

「上鳴だよな?ありがとう!」

 

 

「おう!よろしくな砂藤!てか俺は砂藤がぜってーパワータイプだと思ってたぜ!」

 

 

「僕もだよ。君がまさか、スピードタイプの個性だったなんてね」

 

 

上鳴と話していると、先程の3秒04という1位の記録を出した飯田が話しかけてきた。

 

 

「いや、そういう訳では無いんだがな。色々と応用の利く個性なんだ」

 

 

その後も俺は好成績を残していった。

 

 

だが、他の奴らも好成績を残していく。何せ雄英に入学してきた普通とは違う者たちだ。

 当然、好成績どころではないとんでもない結果が出る者も多い。

 

 

ー握力ー

 

 

「すげぇ!! 540kgて!! あんたゴリラ!? いやタコか!!」

 

 

「タコって、エロいよね……」

 

 

「………………」

 

 腕を数本複製出来るような個性なのだろう長身の少年は、複製したその腕全てで握力計を握っている。

 

 

 そのような者もいたかと思えば、

 

 

「フゥ、まぁこんなものですわね」

 

 

 万力か何かのような機械で限界まで握力計を挟む者も。

 

 

てかそんなんありかよ。

 

 

「…っと俺の番か。ーーーうりァ!」

 

「480kg!?お前もゴリラかよ!」

 

 

 

ー立ち幅跳びー

 

 

 

「…クソが!」

 

 

「すげぇ!爆発の奴どんだけ跳ぶんだよ!」

 

 

「…フンっ!」

 

 

「すげぇぞ!砂藤が砂場超えやがった!」

 

 

ー反復横跳びー

 

 

「ハァァア!!」

 

記録98回

 

 

ーボール投げー

 

 

「どっせい!!!」

 

 

「ア゙ア゙?942.4メートルだと!?」

 

 

「さっきはフルパワーではなかったということか」

 

 

「すげぇな砂藤!」

 

 

「おう!ありがとう!」

 

 

(緑谷、大丈夫だろうか?)

 

 

上鳴からの賞賛に反応をしつつも、やはり緑谷が気になってしまう。

 

 緑谷はこれまでお世辞にもいいとは言えない結果である。

 

離れた場所にいる緑谷の表情は、あまり良い表情とはいえない。

 焦りと不安が顔に出てしまっている。

 

 

「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…?」

 

 

近くにいた飯田が話しかけてくる

 

 

「だな。だがどうして個性を使わないんだ?」

 

 

「ったりめーだ!無個性のザコだぞ!」

 

 

「無個性!?彼が入学時に何をなしたか知らんのか!?0P敵を倒したんだぞ!?」

 

「は!?」

 

 

いつの間にか会話に入ってきた爆豪と飯田が言い争いだした。どうやら緑谷は俺と同じで0P敵を倒したらしい。

 

 

(なんで個性を使わないんだ?まさか簡単には使えないほどのデメリットがあるのか?)

 

 

 

「――でぇい!!」

 

 

 

 必死の形相で投げられたボール。

 飯田が言ったことが事実なのならば、俺と同様、もしくはそれ以上の大投球になっているはずだ。

 

 

だがー

 

 

「ー48m」

 

 

「だから言っただろうが!」

 

 

「な!?どうしたんだ緑谷くん…」

 

 

 立ち尽くしている緑谷と、何かを緑谷に向かって話している相澤先生を見て、心配する飯田。

 

 

「大丈夫。ソフトボール投げはあと2回ある。緑谷を応援しよう」

 

試験会場で見た緑谷の手。あれほど努力を重ねているだろう人間がこんな所で終わるはずがない。

 

 

 緑谷なら大丈夫

 

 

頑張れ緑谷。心の中で何度も応援する。

 

 

 もう一度円の中心に立った緑谷の顔は、未だ冴えない。

 

 

 「…」ブツブツ

 

 

「指導を受けていたようだが」

 

 

「除籍宣告だろ」

 

 

「ダメだ…ダメだ…!!」

 

 

緑谷が振りかぶる

 

 

「今!」

 

 

 

 バコーンッ!!

 

 

 

 ボールは大空へと飛んで行った。

 緑谷の方を見るとの指は腫れ上がっていた。それでもその痛みに耐え、拳を握りしめながら、相澤に向かって言った。

 

 

 

「先生……まだ、動けます!」

 

 

 

 「…かっこいいじゃねぇか緑谷」

 

 

先生に向かって顔をあげ、そう言った緑谷は、とてもかっこよく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全ての個性把握テストが終わった。

 

 

 

 皆全力を出し切っただろう。俺も今出せる全力を出したつもりだ。

 

 

「んじゃ、パパっと結果発表。

 トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので、一括開示する。」

 

 

 

俺の成績は2位だった。さすがにあの創造女子…八百万という子には勝てなかった。

 

 

 ーー相澤先生が最初に提示した「最下位除籍」。

 

 

緊張感は間違いなく皆同じだろう。

 

 その緊張感を壊すかのように

 

 

 「ちなみに、除籍はウソな。

 君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

 

「「「………はぁーーーーー!!???」」」

 

 

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えれば分かりますわ」

 

 

 

 前に立っていた飯田や緑谷が絶叫を上げる。

 

 信じていなかった者はですよねーといい感じだが、信じていた者は緑谷程ではないにしても驚いている。

 

 

「びっくりしたよな砂藤。教師が嘘で鼓舞するなんて」

 

 

「あぁ。でもあれは」

 

 

嘘ではなかったような気がする。

 

 

 

 俺は成績の一番下の欄に記された名前を見る。

 

 

 

ーー20位 緑谷出久

 

 

 

もしかしたら先生も、緑谷に何か感じるものがあったのでは無いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、帰るか」

 

 

高校生活一日目が終わり、俺は帰宅しようと教室を出た。

 

 

「おい待てって砂藤!一緒に帰ろうぜ!」

 

「俺もいいか?」

 

 

上鳴と先程テストの後に話しが合い、仲良くなった切島と帰ることになった。

 

 

「しかし、お前の個性マジチートじゃねぇか!」

 

 

「マジでそれ!俺なんて雷出すだけだぜ?…出しすぎるとバカになるし」

 

 

「いや、そんなことは無いぞ。近くに糖分がなければ何も使えないからな」

 

 

緑谷を見て改めて思った。出来ないことを出来ないままにしていてはダメだ。俺ももっとデメリットを克服するためにはどうしたらいいか考えないといけない。

 

 

もっと頑張らなければ

 

 

 

でも

 

「でさ、トイレが見つからなくてよ」

 

「うわ、お前案内図読んどけよ…」

 

 

友達と帰るこの時間だけは楽しむとしよう

 

 

 




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