Reincarnationer with Will.Century Of 21 in Infinite Dendrogram   作:RAINY

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 更新、ド忘れしてました。


第十三話 撒かれた布石

 俺こと、川村英司の話を聞いてほしい。

 

「賊からお守りいただき、ありがとうございます!」

 

 ファトゥムから依頼されたエルドリッジの殺害を遂行したら、カルディナからドライフとアルターに商品を卸す輸送団に感謝された。

 その輸送団のトップらしき男が、俺の手を握り絞めている。

 そんな状況に至り、俺は背筋が冷えるような恐怖心を抱いていた。

 それは何故かって――

 

「こちらが、議長より渡すよう承っていた品です」

 

 その輸送団のトップから今回の依頼報酬を受け取ったからだ。

 一瞬おかしくないように聞こえるだろうか。でも、よく考えてほしい。

 

(なんでこの場所で輸送団とエルドリッジたちがかち合うって分かってたんですかねぇ……)

 

 普通だったら、エルドリッジが何処で誰に仕掛けるかなんて、分かるはずがない。ならば、報酬の支払いを他人に代行させるような事はできない。そもそも俺が依頼を受注する事と依頼を達成する事、その2つが分かっていなければ、報酬支払い代行を頼んでも無駄骨となる。

 

(ほんと、ここら辺に潜伏してれば良いってメールに書いてあった時は、頭を疑ったぜ。正気かどうかと、どんだけ演算能力のある脳みそ積んでのかっていう2つの意味で)

 

 カルディナ議長は、何もかも読み切っていたのだ。俺が依頼を受け、達成する事も。エルドリッジが何処で誰を襲うかも。

 未来当てすぎである。未来演算なのか未来予知なのか。どっちでも寒気を感じざるを得ない。

 

 とかく、俺は依頼を達成したので、輸送団からアイテムボックスを受け取った。

 輸送団を見送ってから中身を確認すれば、メールにも書いてあった通り、多額の金銭及び救命のブローチと身代わり竜鱗が入っている。エルドリッジ以外に第6段階〈エンブリオ〉持ちが2人も居たとはいえ、破格の報酬だ。

 最初その提示されてた報酬を目にした時、「これ、『騙して悪いが』じゃね?」と疑った。

 

「でも結局、報酬に目が眩んで受けちゃっているのですよー」

 

「仕方ないだろ、この収入は今後にとって大事なんだ。どこの国家にも所属してない俺はギルドからの依頼を受けられない。広域殲滅ばりにモンスターを狩りまくってドロップ品を売るにしても、ブラックグリントは目立ちすぎる」

 

「ええ。シュウのバルドル程ではないですが、中々に目立ちますね。それに、あの自律兵器は独特ですから、すぐに〝喪失時代(ロストエイジ)〟の物と分かるでしょう」

 

「ほらな?だから、できる限り目立たないようにするには、1回の戦闘でドンと稼ぐしかないんだよ」

 

 男性からの同意も得られた事で、俺の意見は補強された。

 そう。これは致し方ない事なのだ。騙されている気がしてならないし、手のひらで踊らされている感が否めないが、この高額収入は手放せない。

 

「とりあえず、今回は無事終われたんだ。それを喜ぶとしようじゃないか、ウィル子」

 

「……」

 

「ウィル子?」

 

 何故だか、ウィル子は顔を青くして返事をしない。さらには、その視線が俺の後方へと注がれている。

 何かあるのかとその視線の先を追えば、男性が立っていた。俺に同意したと思われる男性である。

 

「なんだよ、人が居るだけじゃないか。…………誰だお前は!!??」

 

 俺は冷静に頭を回してから、盛大に男性の傍から飛び退いた。

 先述しているが、輸送団は全員見送っている。こんな所に留まった者は1人も居ない。とするなら、この男性は突然現れた事になる。付け足すなら、俺を〝喪失時代〟と知ってなお近寄ってきてもいる。十中八九只者ではない。

 

「初めましてになりますね。私はゼクス・ヴュルフェルと言います」

 

 物腰の柔らかさに反して告げる事実がとんでもない事に、俺は思わず目を見開いた。

 

「な、なんだってこんな所に【犯罪王(キング・オブ・クライム)】が!?」

 

 そう。男性の自己紹介が真実ならば、俺の目の前に居るのは【犯罪王】ゼクス・ヴュルフェル。アルター王国現最強のPKにして、就いているジョブ通り、罪を犯しに犯しているヤベー奴だ。

 ゲームログイン時にサイコロで己のロールを決め、犯罪者の出目が出たから犯罪者やってるという点でも、色んな意味でヤベー。

 

「〈IF(イリーガル・フロンティア)〉への勧誘に来ました」

 

「……は?」

 

 ゼクスは俺の質問に素直な返答をくれたのだが、その答えに呆ける事となった。

 

「……なんで俺を勧誘に?」

 

 ゼクスがオーナーを務めるクラン、〈IF〉。そのメインメンバーは全員〈超級(スペリオル)〉プレイヤーにして指名手配犯という、指定暴力団も裸足で逃げ出すような犯罪者の集団である。

 なんでそんなところから、俺は勧誘を受けているのだろうか。

 

「ラスカル……、サブオーナーから提案されてまして。準〈超級〉すら容易く屠れるような自律型機動兵器を作れてしまうその力が欲しいとの事です。私もその意見に賛同し、お伺いしました」

 

 うん、動機は理路整然としていた。そりゃ、ブラックグリントを作っちゃうウィル子の事、欲しくなるよな。正直、いつカルディナから動力炉の制作依頼が来るものかと、冷や冷やしているし。

 でも、俺の力が欲しいとは言え、ゼクスが〈IF〉に勧誘してくる事はおかしい。

 

「……〈IF〉って、犯罪者しか入れないんじゃないの?」

 

「はい。より明確に言うなら、正式メンバーは〈超級〉に限定されます。クランの箔に関わると、ラスカルがよく言っています」

 

「……俺、犯罪者じゃなくね?」

 

 おかしいのはそこだ。俺は、加入条件を満たしていない。〈超級〉プレイヤーでなくてもサブメンバーとして籍を置かせる〈IF〉だが、犯罪者である事は絶対条件のはずだ。

 

「おや、ご存知ありませんでしたか?貴方、カルディナで指名手配されてますよ?」

 

「……は?」

 

 呆けたまま素っ頓狂な声を上げた俺。そんな俺に、ゼクスは1枚の紙を差し出す。

 それは指名手配書だ。俺の顔写真がしっかり添付されている。普通、こういう指名手配書なら「Dead or Alive(生死問わず)」なのだろうが、「Alive Only(生存のみ)」となっている。懸賞金も500万リルと、自分で言うのもなんだが、苦労に見合っていない報酬だ。

 そんな珍妙な手配書に記載されている罪状は、公務執行妨害。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 全く身の覚えのない罪状に、俺はもう頭が沸騰しそうだった。指名手配した意図が難解すぎて出そうな知恵熱と、あれだけ友好関係とのたまっておいて指名手配した怒りが、沸騰しそうな原因である。

 

「チクショウ、カルディナ議長の野郎!下手に出れば意味わかんねぇ事しやがって!マジで公務執行妨害してやろうか!?」

 

「やるのですか?公務執行妨害。少なくともファトゥムは出てくるのですよー」

 

「…………そのうち、適切な抗議をしに行こう」

 

 ウィル子が危険性を指摘してくれた事で、俺の頭は冷えた。

 あのカルディナ議長が何を画策しているか全く分からないが、だからって暴力で訴えるのは俺の命が危ない。暴力反対。

 人間なのだから理性ある解決方法を模索しよう。「話せば分かる」と、どの代かの日本総理大臣が言っていた。

 

「……何やら、カルディナに嵌められたようですね」

 

「ああ、そうっぽいが。……まずは、そちらの勧誘に返答しよう」

 

 ゼクスから微妙に同情されるが、今はどうしようもない話なので横に置いた。

 そうして、指名手配書を雑に丸めてから、俺は彼を真っ正面に見据える。

 

「答えはノーだ。お前らとは絶対に組まん。俺は、人命を蔑ろにするつもりはない」

 

 犯罪者クラン〈IF〉。その活動はほぼ確実に人を、ティアンを殺す。ティアン不殺を誓う俺としては、どう足掻いても組めない集団なのだ。

 

「そうですか、それは残念です」

 

「……え?それだけ?」

 

 俺の拒絶を聞き届けたゼクス。彼はそのまま何事もなかったように踵を返そうとしている。

 

「『それだけ』とは?」

 

「いや、なんか八つ当たりと言うか。「なら死んでもらおう」って感じに襲い掛かってくるもんかと……」

 

「貴方を殺しても罪には問われませんし」

 

「……さいですか」

 

 実に初志貫徹なゼクス。そんな彼のぶっ飛んだ精神性により、落胆すると言うか、肩を落とすのはこちらになった。

 マジで一戦やるもんかと、念のため逃走方法を考えてたのだが。幸か不幸か、それは無駄になった。

 ちなみにその逃走方法は、《十二分の用衣(キングス・オーダー)》のバリアがあるうちに煌玉馬(ジルコニア)を全力で走らせるという、とても単純な作戦である。

 ……マジでやり合わなくて良かった。

 

 ともかく、ゼクスは何もせずに去ってくれると言うので、俺はその背を超絶警戒しながら見届けている。

 そんな時だ。

 

『ゼクスよ、聞こえているか』

 

 声が響いた。尊大で神々しさのある、まるで人のモノではないようなそれが。しかし、声の主は何処にもない。

 

「ドラグヘイヴン?どうされましたか?」

 

 その声の主、その姿は依然不明だが、ゼクスの言葉によって正体は割れた。

 

(ド、ドラグヘイヴン!?声の主は〈イレギュラー〉認定された上で管理AIたちから見逃されてる、あの【天竜王 ドラグへイヴン】なのか!?)

 

川村英司(マイマスター)、なんか漫画の解説役キャラみたいな台詞吐いてるのですよ……)

 

 ウィル子から微妙に同感しちゃう感想をいただくが、そんな事に構っている場合ではない。

 【天竜王 ドラグへイヴン】は管理AIといくつかの約束を結んで見逃されている〈イレギュラー〉。管理AIたちも泳がすしかない厄介な存在だ。

 俺もその枠なのはともかく。この世界に恐ろしい程長い時間存命し、それ故にこの世界の真理的なモノをいくつか知っている奴が、何故だか俺も居る場でゼクスに話しかけている。

 俺は、嫌な予感しかしなかった。

 

『〈雷竜山〉の方で少し変わったドラゴンが現れたのだ。アルクァルをも屠るような手合いよ』

 

 〈雷竜山〉、少し変わったドラゴン、〈神話級UBM〉【雷竜王 ドラグヴォルト】(アルクァル)をも屠る手合い。

 俺はそれらのワードで原作知識を掘り起こす。

 

「ジルコニア!目的地設定、アルター王国ルニングス領!超特急で向かえ!」

 

 すぐさま俺は魔法馬車の御者台に跳び乗り、ジルコニアを急がせる。

 

「ま、マスター?いきなりどうしたのですか?」

 

 ゼクスたちから馬車が少し離れたところで、ウィル子が己の疑問を吐露した。どうやら、ウィル子はまだ分かっていないようだった――

 

「〈SUBM(スペリオルユニークボスモンスター)〉、【三極竜 グローリア】が投下された……」

 

――これから起こる、大惨劇を。




(´英`)<もうカルディナ議長はどうすれば良いか分からないgkbr

(*´w`*)<作品的にも扱いづらいのですよー。どこまで読めているのか不明なので

(´英`)<メタいな。まぁ、今のところ何故か俺の活動の支援者みたいになってるが

(*´w`*)<考えられる事として、戦力分析ではないですか?ウィル子たちとキル対象の

(´英`)<現状考えられるのはそんくらいなんだよなぁ……。はて、今後はどんな動きを見せるもんか

(*´w`*)<今はそんな事どうだって良い。重要じゃない、のですよー。今大事なのは【グローリア】の方です

(´英`)<そうね。超特急で【グローリア】が暴れる現地に向かってるからね

(*´w`*)<どうするのですか?やり合えば高確率で死にますよ?

(´英`)<……どうしたもんかなぁ。とりあえず現場を目にしてみて、だな

(*´w`*)<行き当たりばったりなのですよー……

(´英`)<許せ、サスケじゃなくてウィル子。これも葦名のためじゃなくて俺のためだ

(*´w`*)<葦名ネタ好きですね

(´英`)<最近若い人に通じるネタがこれくらいしか浮かばないんよ……

(*´w`*)<マスター……!年が……!!

(´英`)<……安いもんだ、老化の10年くらい

(*´w`*)<ではでは今回はこの辺で。それではみなさん

(´英`)(*´w`*)<また次回~(なのですよ~)
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