Reincarnationer with Will.Century Of 21 in Infinite Dendrogram   作:RAINY

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第十九話 お節介焼のフォルテスラ

 俺こと、川村英司の話を聞いてほしい。

 

「本当に、貴方には感謝してもし足りない!」

 

 フォルテスラに面と向かってお礼されました。

 事の経緯は簡単だ。城塞都市クレーミルが無事なのか気になったので行ってみたら、フォルテスラに見つけられた。

 フォルテスラは〈バビロニア戦闘団〉のクランメンバー総動員して、俺を捜索していたらしい。どうしても、直接お礼が言いたかったそうだ。

 

「俺たちからも感謝させてください。貴方がいなければ、きっとクレーミルは滅んでいた。オーナーも、帰ってこなかったでしょう」

 

 〈バビロニア戦闘団〉サブオーナーのシャルカも、机を叩き割りそうな程頭を下げていた。

 俺の魔法馬車における大事な備品なので、間違っても叩き割らないでほしい。

 

「俺が勝手にやった事だ。アンタらからお礼言われるような事じゃない」

 

「それでも、俺は感謝しないと気が済まなかったんだ」

 

 ちょっと困り顔で感謝の押し売りに抵抗するも、フォルテスラは訪問販売員の如く感謝し倒してくる。

 これは、もう相手の気が済むような事をしてやるほかない。

 

「じゃあ、2つお願いがある」

 

「なんでも言ってくれ。できる限りは叶えてみせよう」

 

(今なんでもって)

 

 真面目な場面で、しかも俺だけに聞こえるようにネタをぶっ込むんじゃないよ、ウィル子。それに『できる限り』って言ってるだろ。

 と、ツッコむのは脳内に留め、表層では真面目を取り繕う。

 

「まず、アンタの〈エンブリオ〉が〈超級〉に至ったかどうか教えてほしい」

 

「そんなモノで良いのか?」

 

「これでも情報収集家なんでね。〈エンブリオ〉が〈超級〉に至ってるかどうかってのは、俺の欲しい情報なんだ。もしかしたらどっかに売れるかもしれんし」

 

 フォルテスラはあっけらかんとしており、自身の戦力情報に関する重要性を気にかけてもいなかった。俺がついついそれが如何に重要かを仄めかして教えてしまうくらいだ。

 

「なるほど、君にとって重要だと言うなら是非もない。ネイが〈超級〉に至っている情報を心置きなく渡そう」

 

 仄めかしたはずなのに、全く警戒せず情報をくれやがるフォルテスラ。この純真さは絶対に後で痛い目を見る。

 

「ま、まぁ。ありがと。〈超級〉に至って得たスキルとかは明かさなくて良いからな」

 

「ん?そうなのか?喜ぶなら渡そうとしていたんだが……」

 

「もうちょい渋れ!情報の値が落ちる!」

 

 駄目だコイツ、早くどうにかしないと。などと考えつつも、手遅れ感は否めないので怒鳴るだけにしておく。

 

「はぁ……、もう次だ。〈AETL連合〉と面会するための渡りを付けてくれ」

 

「〈AETL連合〉か。彼らとはクランランカー同士だから交流がある。渡りを付けるのは難しくないが。一応、訳を聞いて良いか」

 

 相手がPKクランという事でもないから、フォルテスラたちは友好関係にあるようだ。

 ただ、さすがに他人の情報を渡すのは警戒しているようで、ワンクッション挿んでいる。

 

「何、ちょっとあのクランのオーナーに力を貸してほしいんだ。争うつもりも無理強いするつもりもないから、頼むよ」

 

 〈AETL連合〉オーナー、パトリオット。彼は経験値を倍増する〈エンブリオ〉スキルを持っている。扶桑のレベルアップを早々に済ませたいがため、是非とも力を貸してほしいのだ。

 

「ふむ……。とりあえず連絡を入れてはみるが、すぐに色良い返事がくるかは保証できないな」

 

「ああ、その事なら大丈夫だ。君たちが崇める者たちの生写真を確保すると、一言添えておいてくれ」

 

 〈AETL連合〉は王国第一王女アルティミア、第二王女エリザベート、第三王女テレジア、そして近衛騎士団員リリアーナのファンクラブが合併したクランだ。その者たちの生写真となれば、欲して止まないはずである。

 

「……それなら確かにすぐ返事がきそうだが。確保できるのか?」

 

 フォルテスラも俺の予想へ暗に賛同したが、俺が本当に確保できるのか心配していた。

 フォルテスラの心配は正しく、近衛騎士として露出が多いリリアーナ以外は公務で忙しい身。一般人が写真撮影を頼んだところで、付き合っている暇はない。

 ただ、俺が一般人かどうかというのは怪しい。

 

「【グローリア】を足止めした事、それを出汁にさせてもらう」

 

 そう。俺は捉え方次第で王国の恩人になるのだ。それだけ、【グローリア】の足止めは難関なのである。

 クレーミルを救った点だけでも、その都民たちの命を救っている。そんな多くの人命を救った者の要求なら、充分に通せるはずだ。扶桑より優しい分、そう邪険に扱われたりしないだろう。

 

「それなら、充分に確保できる可能性はあるか。その事も含めて連絡させてもらう」

 

 フォルテスラも充分な担保がある事を認め、話を進めてくれた。最初から躓くなんて事にはならず、俺は安堵する。

 

「二人とも、口を挿んで構いませんか?」

 

 話が一段落着いたところで、シャルカが発言許可を求めてきた。なんだか律儀な奴だ。

 

「構わないが、どうした」

 

「英司さんが王国に所属する予定なら、是非とも我がクランに勧誘したくて、ですね」

 

「それは名案だ!どうだろうか!」

 

 シャルカの発言を聞くや否や、フォルテスラは俺に〈バビロニア戦闘団〉への所属するかどうかを尋ねてきた。

 そんな行動をするフォルテスラは当然、そんな話を出したシャルカも、俺の〈バビロニア戦闘団〉加入に結構乗り気みたいだ。

 

「シャルカ、アンタは知ってるだろう。俺はもう〈月世の会〉に内定してるんだよ」

 

 扶桑にそういう言伝を頼んだ相手であるはずのシャルカ。実際に言伝したのは別の人間だが、シャルカの指示で動いた者だ。ならば、俺が〈月世の会〉とどういう取引をしたのか、知っているはずである。

 よもや、忘れたんではなかろうか。

 

「そうか……。やはり、〈月世の会〉に押さえられていたか。そうでなければと、一縷の望みを抱いたのですが」

 

「ああ。残念ながら、あの曰く女狐が俺を見逃すはずもないさ」

 

 シャルカが落胆しているところに、俺もちょっと落胆しながら、扶桑が俺を逃さない原因を出現させる。

 

「にほほほほほほほ。ウィル子はそれだけ希少価値って事なのですよー」

 

 現状、皆にTypeメイデンと認識されているウィル子。彼女は俺の願いに応え、その身を表した。

 そのTypeメイデンである事が、扶桑が逃さぬ原因である。

 

「そうか、君の〈エンブリオ〉もメイデンなのか。なら、納得せざるを得ないな」

 

「お仲間さんだったんだねー。そう言えば一時期、団長もあの怖い人に付け回されたっけ」

 

 フォルテスラ、そしてウィル子と引き合うように出てきた少女・ネイリング。彼らは俺が詳細を語るまでもなく、扶桑がそうする事に思い当たる節があるようだ。自然と腑に落ちたようであった。

 というか、意外と狙われてたのか、フォルテスラ。まぁ、多分〈バビロニア戦闘団〉を立ち上げる前の頃だろう。

 

「……もし不当にも加入を強制されているようだったら、こっちもそれ相応の対応をするが」

 

「大丈夫だよ。正当な取引の上だ」

 

 勧誘の手管にまで嫌な思い当たる節があるのか、フォルテスラはそんな懸念を持ち出し、険しい顔をしていた。

 俺はその『相応の対応』で発生するだろう被害を避けるべく、しっかり扶桑を擁護しておく。擁護するのは今回の取引に関してのみだが。

 

「そうか……。彼女との取引という時点で、不当な気がしてならないんだが。君がそう言うのなら、私がでしゃばるのは余計なお世話だろう」

 

「気持ちだけ受け取っとくよ。今後、お前たちとは仲良くやりたいからな」

 

「ああ、こちらからもよろしく頼む」

 

 俺が彼らとの友好関係に前向きな姿勢を示したら、フォルテスラから即座にフレンド申請が飛んできた。

 結構押しが強いな、この人。

 

「私もお仲間のお友達が増えるの嬉しい!」

 

「あああああああ!ステイ、ステイなのですよー!」

 

 傍らでウィル子がネイリングに激しいシェイクハンドされてるが、〈マスター〉があれなら〈エンブリオ〉もそうなるだろう。

 とりあえずウィル子たちは放っておいて、今「放っておかないでほしいのですよー!」って聞こえたけど気にせずフレンド申請を許可しておく。

 わぁい、フレンドが〈超級〉ばっかだぁ……。

 

「まぁ、なんだ。トムとの決闘は見に行くよ」

 

「そうしてくれ。新たなスキルの肩慣らしに少しかかるだろうが、トムに挑む予定ではあるからな。そして、ゆくゆくはフィガロと王者を賭けて戦うさ」

 

 強くなったがために闘技場への意気込みを表すフォルテスラ。原作では叶わなかった、闘技場での王者簒奪戦が叶うかもしれない。

 フィガロにとっても喜ばしいだろう。フォルテスラと王者を賭けた決闘を望んでいたし、王者となってしまってからはめっきりランクを賭けた決闘はしていないはずだ。

 決闘ランク1位は2位からしか挑めないシステムのせいで、現2位のトムが邪魔してるからな。あのトム、チェシャはあくまでも王者に至る壁役だから、敗れてしまってからはフィガロに挑んでないだろう。

 

「その時を楽しみにしてるぜ」

 

「ああ、待っていてくれ。そうだ、フダ屋を紹介しておこうか。良い観戦席を得るならフダ屋から―――」

 

「そこまでお節介を焼かんで良い」

 

「そうか……」

 

 何かと情報を押し売り(無償提供)してくるフォルテスラを突っぱねれば、彼はとてもしょんぼりした顔を披露した。

 これ以上はまた何か押し売りされかねないと、この辺りで歓談をお開きとするのだった。

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