Reincarnationer with Will.Century Of 21 in Infinite Dendrogram   作:RAINY

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(´・ω・`)<諸事情により十七話から一挙投稿しております。ご注意ください。


第二十話 答えは己で作り上げる

 俺こと、川村英司の話を聞いてほしい。

 

「そう!剣はその角度!足の開き具合もOK!はい、一枚貰いまーす!」

 

 絶賛写真撮影中である。カメラマンは俺で、被写体はアルティミア・A(アズライト)・アルター。正真正銘、アルター王国の第一王女だ。

 ちなみに、今はガイナ立ちと呼ばれる、剣を下段で諸手に毅然と構える立ち方だ。絵面としてはとても生えるが、実用性は皆無である。

 

「あ、あの……。こんなので良いのでしょうか……」

 

「ダメダメダメダメ、そんな表情じゃ!さっきのキリッとした顔で!」

 

「そっちの良し悪しを聞いたのではなく!こんな報酬で良いのかと聞いているんです!」

 

 第一王女様は謎なポーズを注文されまくって我慢の限界が来たのか、構えを解いて詰問してきた。

 

「こんなんって言ったって、所属権は貰ってるが?」

 

 当たり前な話、俺は写真を撮影する権利より先に、王国への所属権を交渉した。

 ティアンからも俺がやった【グローリア】の足止めを目撃した者が多く、それを伝え聞いていた存命の国王は俺の所属を快諾したのである。

 でも謙虚で誠実な国王。それだけでは恩を返せないと申し出たので、俺はこれ幸いにと王女たちの撮影許可を求めたのだ。

 すっごい訝しまれたけど、そんなので良かったらとばかりに許可が即下りた。

 初めに撮影したのは、エリザベート・S・アルター。第一王女よりは時間がある第二王女が最初の被写体となり、彼女は割とノリノリに撮らせてくれた。

 ベッドにあざとく寝そべっているところだったり、満面の笑顔だったり、勉強している最中だったりを撮らせてもらっている。

 

(最初、『じゃあベッドに横になろうか』と切り出した時は、よもやマイマスターはロリコンなのかと疑ってしまったのですよー……)

 

 俺はロリコンではない。美しければ幼女だろうが老婆だろうが美しいとするスタンスである。

 俺のロリコン疑惑はともかく、アルティミアの詰問に戻ろう。

 

「貴方の噂は聞き及んでいます、〝喪失時代(ロストエイジ)〟。あのカルディナで指名手配される程の殺し屋だと」

 

「念のため言っておくけど、ティアンは殺してないからね。あくまで〈マスター〉専門」

 

「それも当然聞き及んでいます。ですからなおさら、貴方の力は多くの者に一目置かれている。そんな貴方が我が国に所属してくれるのは、私たちにとってさえ好都合なのです」

 

 思わぬ高評価をあのアルティミアよりいただいていた事に、俺は小さくも目を瞠った。

 戦力で言えばご本人が一番ヤバいだろうに、たかだか〈超級〉プレイヤーである――という事になっている――俺1人抱えたところで、大した戦力アップではないような気がするんだが。

 

「貴方方〈マスター〉は自由な存在です。国からの命令で動くような存在ではない。でも、貴方たちこそ時代の変革者だと、父は信じているのです」

 

「……あんたは、そうでもなさそうだな」

 

 アルティミアは己の父、現国王の意思を持ちだしているが、そうしてる本人の表情は冴えない。

 

「……申し訳ありませんが、貴方の言う通り、私はそう信じておりません。先程も言いましたが、〈マスター〉は自由な存在です」

 

「悪い言い方すれば、自分本位な奴らだって事だろ?」

 

「……そこまでは」

 

「濁さなくて構わないさ、王女様。俺もそう思ってるから。どいつもこいつも、自分のためにタイマン張るわ、宗教勧誘するわ、己が義を遂行するわ、悪になろうと罪を犯しまくるわでよ。もうそのために全然他人を気にせず暴れるのなんのって」

 

 アルティミアの返答にタイムラグがあった時点で、彼女が〈マスター〉に良い感情を抱いてないのはあからさまだ。まぁ、悪い感情を抱いてるって訳でもなさそうだが。

 対して俺は、もうそれはそれは〈マスター〉連中が嫌いです。遊戯派は対外倫理観が欠けているし、世界派は対外頭のネジが何処か外れてるし。特に〈超級〉プレイヤーは、もはや全世界ヤバい奴選手権だ。

 

「その……。一応明かしますと、私も〈マスター〉の中には良い人もいると感じていますよ……?」

 

 俺が悪し様に言ったものだから、さすがのアルティミアも擁護にかかった。でも、やっぱり擁護したのは全体ではなくて一部だ。

 

「そうだな。結局のところ、ティアンも〈マスター〉も変わらない。良い奴も悪い奴も、全体の一部でしかない。そんなもんだ。だから、王女様も目を曇らせず、しっかりと見定めてくれ。そうやって、己の結論を得れば良い」

 

「……ありがとうございます、胸の閊えが少し取れたようです。ですが、1つだけ聞かせてください」

 

「……何かな?」

 

 アルティミアの透き通るような目、されど確固たる信念を宿した目が、俺を射抜く。

 

「貴方は、何者ですか」

 

 そうして聞かれたのは、本当に俺の核心を射抜くような質問だった。

 

「……俺自身、俺が何者なのかはまだ分かってない。でも、あえて言うなら、『レイヴン』だ」

 

「『レイヴン』?鴉ですか?」

 

「そう。翼を黒く染め上げるのも、高潔に羽ばたくのも、死肉を漁るのも、全て俺の自由だ。『好きなように生き、好きなように死ぬ』。それが、俺の掟であり、最初の質問もひっくるめた答えだ。俺は俺の自由で、ここに居る」

 

 自らの行いを、他人のせいにしない。誰かを憧れ、その行動を真似たとしても、それは俺の責任なのだ。

 そういう風に、俺は吹っ切れた。ない左腕をさすれば、その決心の証がそこにある。

 

「……少しですが、貴方の人となりが見えた気がします。同時に、〈マスター〉への偏見も、少し解消できました」

 

「そうかい?それは良かったが、俺も数ある人間の1人にすぎないからな。反って全体への偏見にならないように気を付けてくれ」

 

「助言、感謝します」

 

 そうして、俺と第一王女の初接触は好印象で締める事ができ――

 

「感謝ついで悪いが。こう、剣を地面に突き立てて、そこに両手を預けるようなポーズを頼む」

 

「……」

 

――なかったかもしれない。というか締まらない。

 だって、最後にあの色んな騎士がやってるポーズ、俺が勝手に『騎士王のポーズ』と呼んでいるヤツをどうしても撮りたかったのだ。

 女性騎士には、あのポーズが良く似合う。

 

「……こんな風ですか」

 

「そう、それ!」

 

 望み通りのポーズを撮り収め、改めて初接触を締めくくるのだった。

 

 

 

「うん、まぁ。君にポーズ要求は控えとこうかな。代わりに、普段の様子を撮らせてくれ」

 

「そう。ありがとう、からだをきづかってくれて」

 

 途中リリアーナの撮影を挿み、最後の1人となったテレジア・C(セレスタイト)・アルター。その幼い見た目に相応しい呂律で、しかし相応しくない口調をしていた。

 そんなチグハグの彼女は虚弱体質として扱われているために、俺も監視が居る場ではそのように扱う。

 まぁ、当然の話、撮影中に監視と言うか護衛が離れる事はないので、ずっとその扱いになるが。

 

「……ドー」

 

 なんか変な鳴き声の変な生物(ドーマウス)も居るが、とりあえず一旦無視しておいた。

 そうして、俺はテレジアがベッドで横になってたり、ドーマウスに跨ってたりの姿を撮影していく。

 そんな撮影が終わり、俺がそろそろお暇しようとした時だ。

 

「あなた、すこしおはなしにつきあってもらえない?」

 

 テレジアの方から、そんな誘いを貰ったのだ。

 

「せいきしだんいんさん。わるいのだけど、かれとふたりっきりにしてもらえないかしら」

 

 おまけに、人払いをしようともしている。

 

「そ、それはなりません!私は有事の際に控える護衛役です。テレジア様を守るため、離れる訳には……」

 

「もしかれがなにかするきだったら、そもそもあなたではとめられないわ。かれ、ぐろーりあっていうすごいりゅうをみっかもくいとめていたんでしょう?」

 

「そ、それは……」

 

「おねがい。かれとだいじなおはなしがあるの」

 

「……分かりました。しかし、不審な気配を察知すればすぐにアルティミア様をお呼びいたしますので」

 

「それさりげなく俺が極刑されるヤツでは?」

 

 なんか護衛の聖騎士が折れたような流れだったのに、一歩間違えば俺が死ぬ道筋が作られていた。

 始まりを刻む剣の担い手とか、勘弁してクレメンス。

 何はともあれ、それが妥協点だったようで、聖騎士は引き下がる。

 普段からテレジアの身辺警護を務めている者だったのか、テレジアに対してとても聞き分けの良い人だった。

 

「で、まぁ、なんだ。二人っきり、+αで管理AIが居るが。そういう事だよな?【邪神(ジ・イーヴィル)】」

 

「はなしがはやくてたすかるわ」

 

 この場に留まったのは、奇しくも世界の秘密を知る者たち。そして、テレジア本人が、世界の秘密、その一端たる【邪神】なのである。

 よく考えると、管理AIのドーマウスとか転生者の俺とかも世界の秘密な気がするし、そうなると全員世界の秘密だが、今したい話題は【邪神】ついてなので横に置いておく。

 

「さっそくだけど、わたしをころしてみるきはない?」

 

「なっ」

 

「……」

 

 テレジアからまさしく早速切り出された話に、ドーマウスは小さくも驚愕し、俺は呆けてしまった。

 彼女が何を言っているのか、俺には分からない。

 

「管理AI、現管理者の手が加わっているモノでは、前管理者の手による【邪神】は傷付けられない。そのはずなのですよ」

 

 そんな呆けて言葉が出ない俺に代わり、ウィル子が姿を現して、俺の言いたい事を代弁してくれた。

 そうだ。管理AIたちの手によるモノである〈エンブリオ〉では、【邪神】を倒せない。それは、前管理者、ドーマウスたちが来る前にこの世界を管理していた者たちによって作られたルールだ。現管理者たるドーマウスたちでも、そのルールを改変できない。

 

「ではきくけど、あなたたちはドーたちにてをくわえられた?」

 

「そうか!彼らは確かに〈エンブリオ〉と〈マスター〉に酷似した存在ではあるが、我々の手によるモノではないのである!」

 

 テレジアが正鵠を射抜く事で、ドーマウスはその真実に気付いた。

 そう。俺とウィル子は、現管理者の手による存在ではない。【邪神】を倒せないルールの例外なのだ。

 

「い、いやいやいや、ちょっと待て!【邪神】が倒せないルールは、いわゆる異物に試練の邪魔をさせないためのモノだろう?なら、ドーマウスたちとは違う異物である俺にも、そのルールは適応されるはずだ!」

 

 一瞬納得しそうになった俺だが、そのおかしい部分に気付けた。

 厳密にはそのように言及されていないそのルールではあるが、そのルールが設けられた理由を推測するに、【邪神】を純粋なこの世界の住人に倒してもらうためだ。

 だから、ドーマウスたちの手が加わっていないとはいえ、純粋なこの世界の住人ではない俺に、【邪神】が倒せる訳がない。

 

「じゃあ、もうひとつきくけど。あなたたちは、だれによってうみだされたの?」

 

「……マジ、か」

 

 テレジアがもう一矢正鵠を射抜くものだから、さすがに頭が良い方ではない俺でも察した。

 

「俺、前管理者に生み出されたのか……」

 

 【邪神】を倒せるという事は、つまりそういう事。

 俺は、ドーマウスの仮説通り、前管理者プログラムである真実が振って湧いてきた。

 

「かんかくてきなものだけど、あなたたちから〈ますたー〉のようないぶつかんがないの。だから、あくまでかんかくてきなものだけど、あなたたちなら、わたしをころせるとおもうわ」

 

「……マジ、なのかよ」

 

 急遽突き付けられた真実。それは俺にとって信じ難いが、されど真実味があるものと感じてしまう。

 前管理者は、『インフィニット・デンドログラム』でもまだほとんど語られていないが、世界にルールを敷ける程の超越者である。

 なら、異世界から死者の魂を1つ持ってくるくらい、造作もないのかもしれない。

 ただ、それでも信じきれず、ついついウィル子に視線をやって、共感を得ようとしてしまった。

 なのに、共感は得られない。何故なら、ウィル子は俺と違って呆けていた訳ではなく、冷や汗を垂らしながら口を固く結んでいたからだ。

 ウィル子は俺の知らない事を知っている、何よりの証拠である。

 

「……ウィル子」

 

「……なんでしょう、マイマスター」

 

「今は聞かん、無理矢理も。お前が話しても良いと思ったら、話してくれ」

 

 ただ、それでも聞く気はしなかった。正直、どうでも良いからだ。

 俺の生き方は俺が決める。『好きなように生き、好きなように死ぬ』と、決心はついている。『のんびり生きたい』という初志からは大分外れてしまったが。まぁ、今でもちょっと平穏に生きたい気持ちはあるけど……。

 

「アンタを殺すってのもなしだ。これでも俺は不殺を心がけているんでな」

 

「〈ますたー〉はたくさんころしているみたいだけど?」

 

「殺しても死なんやろ、あいつら」

 

 そんな言い訳とも自分ルールともされそうな俺の言い分を聞いて、テレジアは少し笑みを零した。

 

「ごめんなさい。あなたをひとでなしだとかんちがいしていたわ」

 

「勘弁してつかぁさい」

 

 零した笑みの所以は前評判との差異にあったようだ。もしくは俺の辛らつな言葉か。どちらにせよ、酷い前評判だった事に対し、俺は強く出られなかった。

 2カ月で28人も〈マスター〉(その数もあくまで第6段階〈エンブリオ〉所持者のみなので、厳密には言えばそれ以上)をキルしたのだ。快楽殺人者と勘違いされてないだけで御の字である。

 

「とりあえず、いくら金積まれたって脅されたって、あんたを殺すって依頼は受けないからな。たとえそうした方が世界にとって良かったとしても、だ」

 

「それは、もうどうしようもないじょうたいで、ころすことがじひだとしても?」

 

「ああそうだ」

 

 テレジアの少女らしくない自己犠牲の精神が滲む問いかけに、俺は食い気味で肯定した。

 ヒデヲだって、殺した方が世界的に良く、相手にとっても慈悲深い状態となっても、その相手を殺さなかったのだ。

 川村ヒデヲは、俺の憧れの人物は、『殺す』という選択を取らなかった。憧れによる真似で終わるつもりはないが、俺は彼の意思に倣う。

 

「生きたいから守ってって依頼だったら、まぁ……。敵次第かなぁ」

 

「そこは何が何でも守るというところなのですよー……」

 

 最後までかっこつけられないヘタレな俺に、ウィル子は落胆していた。

 いやだって、敵がティアンだったら殺せないし。〈セフィロト〉とか、〈アルター王国三巨頭〉とかだったら、多分俺が出張ったところでせいぜい時間稼ぎしかできない。

 

「うふふ、ありがとう。きもちだけ、うけとらせてもらうわ」

 

 そんなヘタレな俺にも、テレジアは笑いかけていた。

 もしかしたら、真実を知ってなお守る意思がある俺に、本当に感謝しているのかもしれない。まぁ、ただのお世辞という線も拭えないが。

 

「じゃ、そういう事で。俺はお暇させてもらうぜ。このまま幼女と話し込んでたら、ロリコン疑惑が広まってしまう」

 

「もう遅いかもしれないのですよー」

 

「遅くない!生きてりゃ遅いなんて事はない!」

 

 エリザベートやテレジアを熱心に撮影したから、彼女らの護衛についていた聖騎士らからは確かにそんな疑いの目を向けられていた。

 でも、あくまで俺は美しい女性が好きなだけで、リリアーナもアルティミアも熱心に撮影したのだ。

 ウィル子からは考えたくない可能性を提示されるが、俺はまだ諦めない。まだ年齢問わない女好きで通るはずだ。

 

「それはそれでアウトな気が……」

 

 まだ2ストライクだ。

 

「とりあえず、サラダバー」

 

 そろそろこの謎コントをテレジアに見せ続けるのは恥ずかしいので、俺は本当に退出する。

 部屋の外には、誰も居なかった。護衛の聖騎士も不慮の事後で盗み聞きしないよう、そこそこ離れてくれたようだ。

 

「ウィル子」

 

「なんでしょう、マイマスター」

 

「彼女を救う方法、探すぞ」

 

「イエス、マイマスター」

 

 そんな誰も居ない廊下で、小さくも誓いを立てるのだった。

 

 【邪神】なんてくだらない運命に囚われた少女を救うと、俺は誓ったのだ。




(´・ω・`)<ストックはここまでとなります。

(´・ω・`)<うん。ほんとすまんかった。いや、本当にすみません。

(´・ω・`)<技量不足というモノをまさしく痛感しました。やはり私にはチート転生モノは難しいみたいです。

(´・ω・`)<林トモアキ作品のクロスオーバー二次創作を書きたかったんですけど、ちょっと限界を感じました。

(´・ω・`)<こんな作品でも付き合ってくれた人がいたのに、その人たちの期待に応えられなかった事。それだけは申し訳ないですし、心残りでもあります。

(´・ω・`)<戒めと同時に、こんな作品でもお気に入りしてくれた方々のために、公開状態で残してはおきます。

(´・ω・`)<それでは、さようなら。
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