指揮官の日常はKAN-SEN達に侵略されているようです   作:烏丸蓮

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長いので2分割で投稿します。


第2話 指揮官はKAN-SEN達の反感を買うようです(前編)

一行でわかる前回のあらすじ   疲れタ。。。もぅマヂ無理。。。撤去しょ。。。

 

 

 

 現在の時刻は朝8時、寝ぼけ眼を手で擦りながら指揮官は大講堂に向かって歩いていた。昨日の疲れもあるが低血圧に朝は辛い。

窓の外を見ると、太陽光がさんさんと降り注いでいる。指揮官は今日も元気な太陽を羨ましく思い、これはいかんと両手で頬を軽く叩いて気合を入れなおす。

 指揮官としてKAN-SEN達にだらしない格好は見せられないのだ。

 

 今日も一日頑張ろうと心の中で呟きながら、目的地に着く。講堂内は騒がしく、すでにKAN-SEN達は来ているようだ。

 指揮官は大講堂の入り口を開き、開口一番に言う。

 

「よしっ、朝礼を始めよう」

 

 

 

 

 朝礼―――それは今日を円滑にするための儀式。

 

 ここの母港では毎日欠かさず行われている。

 朝礼を面倒だと思う者もいるだろうがここは海軍、死と隣り合わせということもあり、KAN-SEN達の現状を確認するという意味でも欠かせない日課である。

 まあ、最近はセイレーンとの戦闘も滅多にないし、平和そのものでもあるが。

 

 朝礼は挨拶から始まり、指揮官は今日の行事や当番、秘書官を発表していく。その時のKAN-SEN達の反応は様々である。

 メモを取っている者や静かに聞いている者、欠伸をしている者、隣とヒソヒソお喋りをしている者、指揮官を見つめている者や駆逐艦を熱心に見つめている者など様々であった。

 …………アークロイヤルそういうとこやぞ。

 

 ちなみにだが、この朝礼は強制ではない。現に今日の非番や哨戒に行っている者はここにはいない。

 確かに朝礼は大事だが、全員が参加する必要性はあまりないと指揮官は考える。

 朝礼に参加したKAN-SENが不参加のKAN-SENに情報を伝達するほうが、効率いいと思っている。

 

 だから―――指揮官は講堂内を見渡す。

 ここに基地内の半数のKAN-SENが参加していることは嬉しく思う。最初は誰も来なかったしね。

 

 

 

 

 

「――――以上で俺からの連絡は終わりだ。誰か質問や連絡事項があるものはいるか?」

 

 

 朝礼も終盤間近、指揮官はKAN-SEN達に問う。

 

 

「はい、質問がございます」とKAN-SENの誰かが挙手をする。

 

 目を向けると狐のような耳と尻尾を持つ重桜の正規空母、赤城が挙手していた。指揮官は赤城に問う。

 

 

「どんな質問だ? 赤城?」

 

「ハネムーンは熱海でよろしいでしょうか?」

 

「ああ、今度の休日に行ってきな。後、土産頼んだ」

 

 

 指揮官はこのぐらいのボケでは狼狽えない。赤城の発言を適当に流す。すると、赤城の隣に座っていた同じくケモ耳と尻尾がある正規空母、加賀が手を挙げた。

 

 

「なんだ加賀?」

 

「やはり熱海か……指揮官、いつ出発する? 私も同行しよう」

 

「そうだな、二人で行ってこい加賀院」

 

「……私は指揮官とも一緒に行きたいのだが」

 

 

 少しだけ残念そうに言う加賀。指揮官は少しだけ考えて「まあ、その内な」と答えておく。

 「そ、そうか……」と加賀の表情は普段と変わらないが、少しだけ口角が上がったかのように見えた。その隣で赤城と天城が微笑んでいる。

 和やかな雰囲気になる中、鉄血のにくすべことグラーフ・ツェッペリンが無言で挙手をする。

 

 

「おう、どうした? ツェッペリン」

 

 ツェッペリンは窓の外に視線を移し、目を細めて言う。

 

「憎んでいる。この忌々しい太陽を。」

 

「ああ、まだ眠いんだな。ツェッペリンは今日が終わったら、明日は休みだからもうちょっと頑張ろう。な?」

 

 

 指揮官は優しく言う。指揮官自身もまだ目が冴えていないから気持ちはわかる。

 だからこそ、今日を頑張った者……今日を頑張り始めた者のみ……明日が来るんだよ……!と、どこかで聞いた名言を思い浮かべながら思う。

 ツェッペリンは満足したのかそれ以上は何も言わなかった。

 

 その後、KAN-SEN達から手が上がり始める。

 

 

「はいにゃ! 昨日、ローンが500ダイヤを明石の所に持ってきて、『それでは10000ダイヤを下さい』って言われたにゃ! ローンがどんどん真顔になっていくのは怖かったにゃ……だから指揮官に精神的苦痛を受けたとして慰謝料を要求するにゃ!」

 

「ただの自業自得じゃねえか。つーか、よかったな。許せないっ!って言われなくて」

 

「ちょっとあんた!? 私の胸は神龍でも大きくできないってどういうことよ!!」

 

「ヒッパー、その情報はどこからだ? 俺はそんなこと言ってないぞ?…………おそらく、隣に座っているオイゲンが発信源だと思うが。ほら、オイゲン笑ってる」

 

 

 ……まずい。段々と脱線してきている。KAN-SEN全員を相手にしていたらとてもじゃないが日が暮れる。

 

 それならば―――

 

「あー……あと、2、3つの質問や連絡事項で朝礼を終了する。大事なこと以外は後で言ってくれ」

 

 

 その発言でほとんどのKAN-SEN達が手を下げる。言ってといてよかった。

 

 

 

「はいはい! 指揮官様! 大鳳にはあります!」

 

 大鳳が勢いよく立ち上がり主張する。

 

「ちなみにだが……もしくだらない内容だったら、今日はアルバコアと一緒に過ごしてもらうからな」

 

 どうやらどうでもいい内容だったらしく、青ざめた表情で大鳳は無言で着席する。

 

 

 

 

 指揮官はもうこれ以上質問はないのかと思っていると、隣から声が聞こえてきた

 

 

「ご主人様、シリアスの処遇はどうなさいましょう?」

 

 

 声が聞こえるほうに顔を向けると、ベルファストと隣に俯いたシリアスが立っていた。

 

 

 昨日、指揮官が自室に戻ると割れたグラスはなかった。どうやら、既に片付けられたのだろう。

 その代わりにメモが残されており、

『今日は申し訳ございません。明日、ご主人様に謝罪します』と書かれていた。

 すでにメイド長の耳に入っていたのだろう。シリアスはこっ酷く怒られたに違いない。

 

 

 しかしだ……なぜ、奥に閉まってあったグラスを割ってしまったのだろう?

 昨日、戸棚を確認すると他のグラス類は割れていなかった。

 割れたのは指揮官のお気に入りのグラスだけである。もしかして……狙ってやったのかな? 嫌がらせじゃないよなコノヤローと思いながら疑問をぶつける。

 

 

「なあ、なぜシリアスはあのグラスだけ割ったんだ?」

 

「そ、それは……」

 

 

 シリアスは指揮官から目を背ける。ただ、割ったのなら割ったでいい。しかし、彼女には何かしらの言えない理由があるようだ。

 

 

「包み隠さずにすべて言いなさい」

 

 

 ベルファストが追い打ちをかける。その言葉にシリアスは観念して洗いざらい話す。

 

 

「昨日ご主人様の部屋の戸棚を掃除しておりましたら……戸棚の奥からこれを発見しました……この内容に驚いて割ってしまいました」

 

 

 申し訳なさそうにシリアスが取り出したのは一冊の本。

 

 その本のタイトルは――――――

 

 

『駆逐艦大全!~この世のロリの全てを置いてきた!~』だった

 

 

 

「???????????」

 

 

 

 指揮官の頭にはたくさんの?が浮かぶ。そして、その本のタイトルにKAN-SEN達はざわめく。

 

 

「えっ、指揮官はロリコン……? 嘘でしょ?」

 

「…………指揮官さん」「しゅきかん……?」

 

「よかったですねえ、陛下。可能性が出てきましたよ」

 

「ヴォースパイト! あなたもでしょうが!!」

 

「ふふ……これは矯正が必要ですね……」

 

 等々、KAN-SEN達は口々に言う。指揮官は身に覚えのない本について考え込み、そして言う。

 

 

「いや……普通、エロ本は戸棚に隠さないだろ」

 

 

 至極全うな意見。というよりもこんなことするのは一人しかいない。

 

 

「アークロイヤル、ちょっと話を聞かせてもらおう」

 

 

 そこで犯人と思われるアークロイヤルに聞いてみる。アークロイヤルは腕を組み、物思いにふけっていたが、指揮官に呼ばれこちらに顔を向けて発言する。

 

 

「……なに? 閣下は私がそんなことをする者だと思っているのか?」

 

「お前じゃなかったら誰が他にいるんだよ」

 

「……ふむ」

 

 

 アークロイヤルは立ち上がり本に近づく。まじまじと本をみて「あっ、これ私のだ」と小さく呟く。

 

 

 

「やっぱてめえのじゃねえか!!!!! なんで俺の戸棚に入っているんだよ!?」

 

 

 予想通りだと確信していた指揮官は声を荒げてしまう。

 

 

「ち、違うんだ閣下! これには深い理由があるんだ!」

 

「理由だと……? なんだよ、3行で話してみろよ」

 

「………………ワタシ ドウシヲ フヤシタイ」

 

「どこが深いんだよ!! 全然浅えじゃねえかあああああ!!!!」

 

 

 そのまま、指揮官はアークロイヤルに怒りの飛び蹴りを加えた。

 

 

 指揮官は激怒した。こんなことのために大切にしていたグラスを割られたのである。指揮官は知らない。なぜ、アークロイヤルが部屋に侵入して戸棚にロリ本を入れたのか。

 ただ、今はどうでもいい。諸悪の根源を絶たなければいけない……そう、それだけである。

 

 

「独房にこの変態をぶっこんでこい!!」

 

 

 指揮官は近くにいたニューカッスルとシェフィールドに指示する。

 二人は指揮官に一礼をした後、アークロイヤルの腕を掴んで引きずるように大講堂を出ていった。

 

 

 

 残された者にあったのは気まずい雰囲気。えっ、この雰囲気どうすんの? ロイヤルがなんとかすべきでは?と声が聞こえて来る

 

 

 

――――――まずいな……ここは指揮官としても場を変えねばならない。

 

 

 

「まあ、シリアス……俺を皆からロリコン扱いされるのを庇ってくれんだな……ありがとう」

 

 

 先に指揮官はシリアスに感謝を言う。なんで勝手に掃除していたとかは疑問に思うが、今はいい。彼女は今までロリ本を隠していたのだ。ベルファストに説教を食らったのだろう。それでも今まで誰にも言わなかったのだ。なんでだろう、シリアスから友情を感じる。

 

 ……シリアスの評価を改めなければならない。今までポンコツエロメイドとかメイド以外なんでもできるメイドと思っていたが、どうやら違ったようだ。

 シリアスはシリアスなりに考えてくれたようだ。それが指揮官にとっては――――凄く嬉しい。

 

 

 

「? いえ、別にご主人様を庇ったわけではありませんが?」

 

「いや、なんでだよ!? そこは嘘でもそうと言えよ!! それならなんで隠し通していたんだよ!!」

 

「実は……後でこっそり読んで、ご主人様の性癖を知りたかったためです」

 

「台無しだよ!! 俺の感動を返せ!!」

 

 

 結局、シリアスはシリアスだった。なんていうかその……うん、やっぱポンコツエロメイドだわ。後で、ロイヤルメイド隊にしごいてもらおう。

 

 そう考える指揮官に声がかかる。

 

 

 

「指揮官……質問があるんだがいいか?」

 

「……なんだ? エンタープライズ」

 

 

 挙手をして、エンタープライズと呼ばれたKAN-SENに皆の注目は集まる。

 彼女はこの基地内の歴戦のエースだ。ユニオンで一番の発言力を持ち、また他のKAN-SEN達から尊敬を集めている人物。その彼女が質問をする、それだけでその場の空気が変わる。

 指揮官は少しだけ身構える。

 

 

「結局指揮官はロリコンなのか?」

 

「どう見たらそう見えるんだよおおお!!!」

 

 身構えた自分が馬鹿だった。

 

「俺はロリコンじゃない! 断じて違う! つーか、さっきのアークロイヤルとのやりとり見てなかったのかよ!」

 

「すまない……指揮官が変態でロリコンとしか聞いていなかった」

 

「それアークロイヤル! 俺は無関係!」

 

「そうか……それならいいんだ」

 

 

 エンタープライズはやっと引き下がる。他のKAN-SEN達からは指揮官がロリコンじゃないことに安堵する空気が流れる。そのことに指揮官も疑いが晴れて安心する。

 ただ、さっきの重たい空気が緩和されたことに、指揮官はエンタープライズに感謝する。

 

 

 

 ―――現在、午前9時前。朝礼を終了するのにいい頃あいだ。

 

 

 「それじゃ、本日の朝礼は終わるがもう何もないよな?」

 

 

 一応、指揮官はKAN-SEN達に問いかける。流石のKAN-SEN達もここは空気を読んで大人しく終わるのを待っている。

 

 

 

 

「指揮官! まだインディちゃんの可愛さについて、語っていませんよ!」

 

 声の主、ポートランドは元気よく発言する。彼女はユニオンの重巡洋艦でインディアナポリスの姉である。妹を溺愛しており、朝礼の時には大体がインディアナポリスの可愛さについて指揮官に言うのが日課だ。

 隣に座っているインディアナポリスや他のKAN-SEN達もこの手に慣れており見守っている。

 指揮官は別に少し時間を取るだけだと思い、面倒くさがらずに相手する。

 

 

「そうだな、今日もインディは可愛いな」

 

「でしょでしょ! やっぱりインディちゃんの可愛さは世界一だよ!」

 

「せやな。けど俺はポネキのほうが可愛いと思う」

 

 

 ここで指揮官は、ポートランドから『インディちゃんのほうが可愛いよ!』とツッコミが入ることに期待した。しかし、ポートランドは顔を真っ赤にして俯いてしまった。隣にいるサンディエゴがからかうように、肘でポートランドの脇腹を小突き、インディアナポリスはニコニコしている。

 ツッコマないのかと指揮官は少しだけ残念に思うがそれも一興。よしっ、このままいい雰囲気で終わろう。

 

 

 

「それでは解散!」

 

 

 

 

 

 指揮官の合図とともに騒がしくなる講堂内。

 席を立つものや隣のKAN-SENとおしゃべりを始める者、様々だった。

 

 指揮官は講堂を出ようとする……が、その前にあることを思い出した。目安箱である。今日で役割を終えたことを皆に伝えなければならない。

 扉の掴み部分に手をかけながら自由行動しているKAN-SEN達に言う。

 

 

「あーそれと……本日をもって目安箱は撤去するからもう投函するなよー」

 

 

 

 

 気軽に言ったその瞬間、講堂内の空気が変わった

 

 

 

 

「…………ん?」

 

 

 

 異様な雰囲気を感じとった指揮官はKAN-SEN達に目を向けると、そこには負の感情を露わにしたKAN-SEN達がいた。

 さっきまでのほのぼの空間はすでに消滅して、代わりにあるのは負の暗黒空間。暗い……あまりにも……

 

 

 

「……えっ? ど、どうしたの皆さん……?」

 

 

 あまりにもよく分からない展開に指揮官はたじろぐ。やがて、KAN-SEN達は口を開く。

 

 

 

 

 

 

          「「「「「「「「ふっ……」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

「…………ふ?」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「ふざけるなああああああああ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 ほとんどのKAN-SEN達の怒声が講堂内に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

次回予告! 指揮官VS KAN-SEN勃発!!

      なぜ、指揮官は切れられたのか?

      その答えを探るべく我々はアマゾンの奥地へと向かった。

      そこで目にしたものとは――――!!

      そして、ついに動き出すKAN-SEN達の敵、セイレーン!

      彼女たちの目的は一体なんのか……?その答えは誰も知らない――――

 

 

 

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