ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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幕間
幕間1


 マシロ・クロガミの人生にはいくつかの分岐点が存在した。 

 それらを経てマシロは今のマシロ・クロガミとなった。

 その最初の分岐点はマシロが10歳にも満たない幼少期に遡る。

 当時はまだ、プラフスキー粒子もなく、ガンプラも動かない時代でマシロはただのマシロであった。

 マシロは孤児院で生活していた。

 マシロには両親がいない。

 死んだのか捨てられたのか、本人も良く分かっていない。

 マシロと言う名も孤児院の院長が付けた名だった。

 家族と呼べる者は妹しかおらず、その妹ですら院長がそう言っているだけで、マシロ本人と血が繋がっているかすらも分からない。

 その日のマシロは町を歩いていた。

 ふと町を歩いているとおもちゃ屋の前で立ち止まる。

 おもちゃ屋のウインドウにはいくつかの商品が展示してある。

 マシロはその中の一つが気になった。

 

「ロボット?」

「それはガンプラだよ」

 

 マシロがポツリとつぶやくと後ろから男が訂正する。

 男は20代後半くらいで、この辺りでは見かけない東洋人だった。

 見かけない相手に対してマシロは警戒心を露わにしている。

 

「それは……キュベレイだね。君くらいの年の子供ならガンダムタイプの方が好きそうだけど。珍しいね」

「キュ……何?」

「キュベレイ。一年戦争時にジオン軍のララァ・スンが搭乗したモビルアーマー『エルメス』の後継機としてジオン残党軍『アクシズ』が設計、開発したニュータイプ専用モビルスーツだ。特徴的な両肩のバインダーを利用する事で高機動を実現するだけでなく、サイコミュを搭載し、エルメスが装備していた遠隔誘導端末『ビット』を小型化した『ファンネル』を始めて搭載している。作中ではマークⅡや量産型と何種類か作られているけど、やはり、一番有名なのはそこにも飾られているハマーン・カーンが登場したタイプだね」

 

 突然、語り出した男にマシロは軽く引いている。

 

「君のガンプラをやるのかい?」

「興味ないね。アニメなんて子供が見るもんだろ」

「そんな事は無いさ。ガンダムは子供から大人まで楽しめて日本では社会現象を巻き起こした程だからね」

「あっそ」

 

 マシロは全く興味を示す事は無かった。

 孤児院ではアニメなどの娯楽は殆どない事もあって、マシロはアニメに興味がない。

 

「少し待っていてくれないか」

 

 男はそう言って、店内に入ると数分後には中で買い物をして来たのかおもちゃ屋の袋を持っていた。

 

「君にこれを送ろう」

「俺はおっさんに恵んで貰う理由はないから」

 

 マシロはムッとしてそう言う。

 そこで男は自分の行動が早まった事に気が付く。

 マシロは子供とはいえプライドがあった。

 孤児院で生活している為、生活は決して豊かとはいえない。

 おもちゃもゲームも殆ど与えられる事は無かったが、マシロにとってはこの生活が当たり前である為、それを同情される事を嫌っていた。

 男の方はマシロの身の上など知る訳も無い為、この行為は決して同情ではない事もあってマシロからすれば理由もなく何かを与えられる事は嫌だったと解釈した。

 

「悪かったよ。それと僕はまだ20代だからおっさんは止めて欲しいな」

「知るかよ。20とかおっさんじゃん」

 

 男は謝罪しながらもおっさん呼ばわりされた事を苦笑いしていた。

 まだ、20代かも知れないが、マシロにとっては十分におっさんと呼べる歳だった。

 

「僕はこの町に来て日が浅いからね。この町には知り合いも友人もいないんだ。だから、一緒にガンプラを作って僕と友達になろう」

「は?」

 

 マシロは驚いて言葉を失っていた。

 マシロと男の間には歳が離れ過ぎている。

 それこそ、親子と言われても違和感がない程にだ。

 

「一緒にガンプラを作れば、歳も性別も国籍、文化も関係なく友達になれる。僕はそんなガンプラを世界に広める為にいろんな国を回ってるんだ」

 

 男はそう言って袋からガンプラを取り出す。

 袋の中から出て来たガンプラはマシロが気を留めたキュベレイであった。

 

「君はこのガンプラが気になった。一緒にガンプラを作れば何か見えて来るかも知れないしね。作り方はそんなに難しくないから、僕がきちんと教える。どうだろうか?」

「俺は……」

 

 マシロは葛藤していた。

 相手はどこの誰かも分からない。

 そんな相手の誘いを受けるなど、幼いマシロでも不味いと言う事は分かっている。

 それでも、断る事にも抵抗していた。

 少しの間考えて、マシロは差し出されたガンプラに手を伸ばす。

 

「今回だけだからな」

「構わないよ。ガンプラは誰かに強制されてやる物じゃないからね」

 

 一度でも手に取って、やる気になっただけでも男にとっては十分だった。

 後は実際に作って見てからだ。

 

「僕はイオリ・タケシ。君は?」

「マシロ。ただのマシロ」

 

 それが、マシロにとってガンプラとの出会いで、この出会いがマシロの人生に大きな影響を与える事をこの時のマシロは思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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