ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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二章
Battle11 「新たなステージ」


 マシロが静岡に入り、3月も下旬を迎え春の足音が聞こえて来ている。

 静岡に入ったマシロは静岡内の最上級ホテルをクロガミグループの名義で買い取った。

 その最上階のフロアをマシロのプライベートルームとして改造を施す為だ。

 最上フロアの一室を自室として使っている。

 元々、高級ホテルであった為、家具は一流の物を使用されているが、以前の状況と今の有様を見れば本当に同じ部屋なのか信じる事が出来ないだろう。

 ガンプラを制作する為の作業台を初めとしていろいろと持ち込んでいる。

 更にはガンプラやガンダムのDVDや漫画、小説、資料集などが壁一面の棚に収納されている。

 それだけではなく、ガンプラ作りやガンプラバトルに役立つかも知れないと言う理由で買い集めたアニメのDVDや小説、漫画なども揃えられている。

 部屋の中央にはバトルシステムが設置されており、いつでも制作したガンプラのテストが行う事が出来るようになっていた。

 今もバトルシステムが起動して、改修したガンダム∀GE-1のテストが行われていた。

 改修されたガンダム∀GE-1は胸部に二基のビームバルカンの付いた装甲が増設されて全体的に強化されていた。

 現在の装備はマシロの得意としている近接戦闘を重視したガンダム∀GE-1 セブンスソードだ。

 右腕にダブルオーライザーのGNソードⅢをベースに制作したショートドッズライフルとCソードが一体化しているメインウェポンが装備されている。

 腰には右にはショートソード、左にはビームサーベルが、両肩には高出力ビームダガーとしても使えるビームブーメラン、左腕には先端にビームサーベルが取りつけられている小型シールドと近接戦闘用の装備が充実している。

 改修前と同様に白で塗装され、近接戦闘能力だけでなく、元々の機動力も強化されている。

 

「さてと……テストを始めるか」

 

 そんな近接戦闘重視の∀GE-1 セブンスソードの対戦相手は5機のガンプラだ。

 ガンダムWに登場する近接戦闘を重視しながらもバランスの取れたアルトロンガンダムにガンダムOOに登場するGNファングによるオールレンジ攻撃とGNバスターソード、つま先のGNビームサーベルによるトリッキーな近接戦闘を得意とするアルケーガンダム、同作品に登場しGNフィールドによる防御力と両手に5本のビーム刃からなるGNビームクローを持つガラッゾ、ガンダムAGE-1の初代主人公機にて、マシロの∀GE-1のベースでもあるガンダムAGE-1の換装形態で装甲を犠牲に機動力を重視した隠密力を活かした戦いを得意とするガンダムAGE-1 スパロー、Gガンダムに登場し、重装甲と圧倒的なパワーを持つボルトガンダムの5機だ。

 それも方向性は違えど、近接戦闘を得意としている。

 これは∀GE-1 セブンスソードの力を見る為に敢えてそうしている。

 そして、バトルが開始される。

 バトルが開始されると、アルトロンガンダム、アルケーガンダムがビームによる先制攻撃が始まる。

 それを機体を左右に振って回避する。

 

「反応は上々」

 

 攻撃を回避して、右腕のショートドッズライフルで反撃するが、ガラッゾがGNフィールドで守り、アルケーガンダムがGNファングを射出する。

 GNファングに対して∀GE-1 セブンスソードは後退させつつも、胸部のビームバルカンで応戦する。

 ある程度の数を減らしたところで背後にはAGE-1 スパローが忍びよっていた。

 AGE-1 スパローは膝のニードルガンを撃ちながらシグルブレイドを振るい、∀GE-1 セブンスソードはCソードを展開して受け止める。

 

「流石は俺が作ったガンプラ達、良い動きをしてくれるね!」

 

 ∀GE-1 セブンスソードはAGE-1 スパローを弾き飛ばして、ショートドッズライフルを向けるが、ボルトガンダムがグラビトン・ハンマー投げて来た為、攻撃を中止して回避する。

 

「グラビトンは不味いだろ」

 

 ガラッゾが腕部のビームバルカンを連射しながら突っ込んで来て、その攻撃を回避するとアルケーガンダムのGNバスターソードと斬撃とアルトロンガンダムのツインビームトライデントの突きが襲い掛かる。

 アルケーガンダムの攻撃をかわして、アルトロンガンダムの突きに対してビームバルカンで迎撃する。

 ビームバルカンの直撃を受けるが、威力は低い為、致命傷を与える事が出来ないが、動きを遅める事は出来た。

 それにより、Cソードを展開し、カウンターでアルトロンガンダムを両断した。

 すぐにCソードからショートドッズライフルに切り替えて放つ。

 ガラッゾがGNフィールドを展開するが、ビームを撃ちながらガラッゾに突っ込んで行く。

 

「GNフィールドに実体剣は鬼門なんだよね」

 

 ガラッゾに接近してすぐに、Cソードを展開するとGNフィールドごとガラッゾを切り裂く。

 残っていたGNファングの攻撃を回避しながら、GNファングをショートドッズライフルで撃墜して行く。

 その間にアルケーガンダムは∀GE-1 セブンスソードに接近してGNバスターソードを振り落す。

 ∀GE-1 セブンスソードはCソードで受け止めて、アルケーガンダムはつま先のGNビームサーベルで蹴り上げるが、それよりも前に距離を取って肩のビームブーメランを投げてアルケーガンダムを破壊する。

 

「後は……2機か」

 

 ボルトガンダムがグラビトン・ハンマーを投げるがCソードでハンマーを両断すると、ビームバルカンを連射しながら一気に接近してボルトガンダムを破壊する。

 ボルトガンダムが破壊された爆風に紛れてAGE-1 スパローがシグルブレイドを振るうが、それよりも速く∀GE-1 セブンスソードはAGE-1の背後を取りCソードを突き刺した。

 5機のガンプラが破壊されてバトルは終了した。

 

「調子は良いようね」

「幾ら弟の部屋でもノックくらいしたらどうなん?」

「したわ」

 

 そう言って、クロガミ・レイコはノックのジェスチャーをする。

 レイコはマシロの1つ年上の姉に当たる。

 白い髪のマシロとは正反対の黒い髪の典型的な日本人だ。

 眼鏡をかけて知的な印象を与えている。

 部屋に入る際にレイコはノックをしたが、バトル中のマシロは聞こえてはいなかった。

 マシロの事だからと、レイコも分かっていた為、反応が無くても部屋に入って来た。

 

「まぁいい。それで何か用?」

「ここの所、部屋に籠っていたからそろそろ納得の行く出来になっているかと思ったのよ」

 

 マシロはここ数日の間、改修プランを煮詰めていた。

 レイコの予想ではそろそろ、出来上がると予測して様子を見に来ていたらテストの最中であった。

 

「こいつは気に入ったよ。このセブンスソードはエクシアやダブルオーから発想を取って……」

「生憎とマシロのガンダム談義に付き合う程、暇じゃないのよ」

 

 マシロがセブンスソードの解説を初めようとしたところをレイコは止めた。

 レイコにとってはマシロのガンプラがどのように出来たと言う事には全く興味がなかった。

 重要なのはマシロの納得の行く出来のガンプラかどうかだ。

 マシロの表情からは十分に納得が行っている事が分かればそれでいい。

 

「シオンなら聞いてくれたのによ」

「あの子はアンタの相手をするのも仕事の内じゃない」

 

 マシロは聞く気を持たないレイコに不満気な様子だ。

 いつもなら、シオンがマシロの話しを聞いているが、シオンは現在、別の仕事でマシロの元を離れている。

 

「つまんねぇの。後は対人バトルで感触を確かめるから出て来る」

「構わないけど、余り情報を出したくはないから、素顔や本名は出さないように。後はいつもの1.5倍程、偉そうに上から目線でね。ついでにバトルでは痛ぶるくらい余裕を見せなさい」

「面倒臭いな」

「こっちはマシロのやり方に合わせているんだからそのくらいは聞きなさい」

 

 マシロは余り乗り気ではなかったが、渋々了承した。

 夏の時から常につけていた白いマフラーで口元を隠し、白いニット帽を深々と被り、大き目のサングラスを付ければ顔は殆ど見えない。

 そこに白いコートと白い皮手袋を付ければどっから見ても立派な不審者が出来上がる。

 

「これで良いだろ?」

「完璧よ。もしも、警察に捕まってもこっちで何とかするから」

 

 レイコの冗談を聞き流してマシロはバトルの相手を探しに向かう。

 マシロを見送ると、レイコはベットに倒れ込んでため息をついた。

 

「全く……あの子は苦手だってのに……兄さんの奴」

 

 レイコは誰もいない部屋で愚痴を零す。

 レイコの専門分野は情報だ。

 世界中のあらゆる情報を収集、統括してクロガミグループに役立てている。

 今はレイコが直接動かなければならない程の重要案件が無い為、本業の方は部下に任せている。

 そして、クロガミグループの現総帥にて、マシロやレイコの兄に当たるクロガミ・ユキトの命令にてマシロのサポートをさせられている。

 ユキトの命令は一族において絶対である為、マシロもレイコも拒否は出来ない。

 レイコはマシロを苦手としていた。

 情報を扱うレイコとしては損得や合理的な判断で動く為、マシロのように損得よりも自分がやりたい事をすると言う感情でしか動かないと対極に位置しているからだ。

 その上で、マシロの補佐と言う事はマシロに合わせないといけない。

 

「私が補佐に付かなくなって今年の世界大会程度、マシロ一人で優勝出来るじゃない」

 

 レイコの役割はマシロの補佐として、マシロが出場する今年のガンプラバトルの世界大会で優勝させる事だ。

 すでに今年世界大会に出場する可能性のあるファイターのデータは全て揃えて、各ファイターごとに傾向と対策はいくつも用意してある。

 過去のデータから世界大会までに爆発的に成長したと仮定したデータも用意するなど、データの準備に余念はない。

 後は、そこから状況に合わせてマシロが戦うだけだ。

 現在のマシロの実力から考えれば、今年の世界大会においてマシロが手こずる相手はいないと言うのがレイコの見立てだ。

 それなのに、大会までマシロに付き合わないといけないのはレイコにとっては無駄でしかなかった。

 現状でマシロの優勝が確定していると言っても、不足の事態がいつ起こるか分からないと言う理由で最後まで付き合わされている。

 

「父さんにしろ、兄さんにしろ。あのオタクを特別扱いしてさ……」

 

 レイコにとっての最大の不満はマシロの扱いにあった。

 マシロはガンプラバトルにおいては天才的な才能を持っていると言う事は世界大会の出場する可能性のある選手の情報を集めた時に認めざる負えない。

 だが、所詮は玩具を動かして遊ぶ遊びでしかない。

 それだけでの才能しか持たないマシロの事と先代当主でマシロやレイコの才能を見出した父や、現在の当主であるユキトは高く評価しいる。

 特に世界的な大グループの総帥でプライベートの時間が取れなかった先代の父は、兄弟の中でマシロの事を最も可愛がっていた事は兄弟の中では周知の事実だ。

 

「やってられないわよ」

 

 一人で一頻りに愚痴を零したレイコは自分の本来の仕事を片付ける為に、ホテルの自分用の部屋に帰って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガンプラ専門店「ホワイトファング」

 一か月程前に静岡に出来た世界最大級のガンプラ専門店だ。

 クロガミグループ系列の店で五階から連なっている。

 一階と二階にはガンプラや工具の販売が行われている。

 ガンプラはもちろんの事、ジャンクパーツやビルダーが制作したパーツの売買が行われており、非売品で一般的に流通していないものを除けば大抵のガンプラが手に入るとまで言われている。

 三階はガンプラの制作スペースでエアブラシなど、購入するのは金銭的な面で敷居の高い工具を無料で貸出をしている上に、土日祝日にはガンプラの制作講習が行われる事もある。

 四階にはバトルシステムが100台近くが完備されており、複数のバトルシステムを一つに纏めての大型のバトルシステムまで設置されている。

 五階には店側に申請を出せばチームの個人スペース用の個室となっている。

 一つのフロアが大型のショッピングモール並みの広さである為、店自体、一般的な模型店と言うよりもショッピングセンターに近い

 

「皆、凄いなぁ」

 

 三階のバトルスペースの片隅で、タチバナ・アオイは他のファイターのバトルを見てそう呟いだ。

 少し小柄で丸渕の眼鏡をかけていかにも気が弱そうと言う印象の少年だ。

 来年から高校2年に上がるアオイだが、余りクラスでは馴染めていなかった。

 そこそこの進学校である為、ガンプラの聖地とまで言われている静岡でもガンプラやガンダムは流行ってはいない。

 その上、元々気が小さいアオイにはガンプラバトルを見知らぬ相手に挑む事は出来なかった。

 ホワイトファングが地元に出来た時は舞い上がり毎日のように通い詰めているが未だに一度もバトルをした事は無い。

 ガンプラバトルをしたいと思っても、相手を見つける為に声を掛ける事が出来ず、いつもこうして眺めているだけだ。

 

「お前……うちのクラスの奴だよな」

 

 突然、声を掛けられてアオイは思わず、びくりとした。

 恐る恐る振り向くとそこにはアオイも良く知っている相手がいた。

 

「……シシドウさん?」

「何で疑問形なんだよ?」

「済みません」

 

 シシドウと呼ばれた少女に軽く睨まれて、アオイは縮こまる。

 シシドウ・エリカ。

 それが彼女の名前だ。

 アオイとは同じクラスだが、接点はない。

 イギリス人とのハーフらしく腰までかかった金髪と蒼い目、とても高校一年生とは思えない発育の良さ、海外で独自のルートを持つ流通企業の社長令嬢と言う事もあって入学当初から目立っている。

 その上で、多少は突っ張っているところがあるが、気さくで面倒見に良い事からクラスでは非常に人気がある。

 

「いや、謝られてもな……」

「済みません」

「たく……えっと……」

「タチバナ・アオイです」

 

 アオイがクラスメイトだと言う事は見覚えがあったが、名前まではうるおぼえで中々出て来なかった為、アオイは名乗っておいた。

 

「そう、タチバナだった。で、タチバナもガンプラバトルをやんの?」

「えっと……やってみたいとは思ってますけど……」

「ふーん。じゃぁやってみるか?」

「ふぇ!」

 

 エリカの言葉にアオイは驚く。

 エリカがここにいる事自体、驚く事だが、自分がガンプラバトルに誘われる事は無いと思っていた為に驚きも倍増だ。

 

「でも……僕、バトルした事がないから……」

「あっ……でも、アタシのガンプラはさっき、壊れたんだった」

 

 誘ってみたは良いものの、エリカのガンプラはついさっきバトルで壊れてすぐには使えなかった。

 アオイの言葉を聞く事もなく、エリカは少し考え込む。

 そして、何かを思いつくとアオイの手を掴んで歩き出す。

 異性と接する機会のなかったアオイは顔を真っ赤にするが、エリカは気にする様子もなく、アオイを引っ張って行く。

 

「センパイ! リベンジに来ました!」

 

 バトルシステムの一つに到着するとエリカは叫ぶ。

 アオイはイマイチ状況が理解出来てはいない。

 

「シシドウさん? ガンプラの修理が終わったにしては速いけど」

「アタシじゃないですよ。コイツ、アタシのクラスメイトで、アタシの代わりにこいつがリベンジします」

「へ? ちょっ……」

 

 アオイも何となく自体が理解出来て来た。

 要するに目の前の相手とバトルすると言う事だ。

 そして、その相手の事はアオイも知っていた。

 

「僕なんかが、アンドウ先輩に勝てる訳が……」

 

 アオイやエリカの通う高校の先輩のアンドウ・コウスケ。

 この辺りでは有名なファイターだ。

 その実力は地区予選で何回か上位に入る程だ。

 そんな相手を行き成り相手をしても勝てるとは思えなかった。

 

「んなもん。やって見ないとわかんねぇだろ? お前もファイターなら自分のガンプラを信じろよ」

「僕のガンプラを信じる」

「そうだ。僕なんかが何て言うなよ。自分で作ったんだろ? なら勝てると信じろ」

「……分かりました。勝てるか分かりませんがやって見ます」

 

 アオイも震えながらも覚悟を決めた。

 

「話しは纏まったようだね」

「済みません」

「構わないよ」

 

 コウスケは余り気にした様子はない。

 その様子にアオイも安堵する。

 だが、すぐに気を引き締めた。

 声を掛ける勇気はなかったが、いつでもバトルが出来るようにガンプラは持ち歩いていた。

 バトルシステムにGPベースをセットする。

 

「ユニコーンガンダム」

「ビギニングガンダムB」

 

 コウスケのガンプラはガンダムUCの主人公機のユニコーンガンダム。

 それに対するアオイのガンプラはビギニングガンダムB。

 ガンダムにおける、唯一、ガンダムが現実同様にアニメとして放送されていると言う設定の元、ガンプラバトルのようにガンプラを戦わせる「模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG」その外伝に当たる「模型戦士ガンプラビルダーズD」の主人公機、ビギニングDガンダムをベースにしたガンプラだ。

 大きな改造はされていないが、一部を青で塗装している。

 装備も右手にハイパービームライフルと左腕にシールド、バックパックにビームサーベルと大きな変化はない。

 

「タチバナ・アオイ……行きます」

 

 バトルシステムが起動し、アオイの初めてのバトルが開始する。

 バトルフィールドは山脈地帯だ。

 

「まずは様子見だ」

 

 ユニコーンは先制攻撃でビームマグナムを放つ。

 

「うぁぁぁ!」

 

 ユニコーンのビームマグナムは作中ではモビルスーツに掠るだけで撃墜出来る程の威力を持つ。

 それを知るアオイはとっさに大きく回避する。

 だが、そのまま山に落ちてしまう。

 

「やっちまったな」

「っ……まだ、行けます!」

 

 ビギニングガンダムBはハイパービームライフルを迫るユニコーンに向けて放つ。

 それとユニコーンはシールドで防いだ。

 

「良いセンスをしている!」

 

 ユニコーンガンダムはビームマグナムをバックパックにマウントすると、腕のビームサーベルを抜くと頭部のバルカンを連射して接近する。

 

「接近戦用の武器は!」

 

 アオイは武器スロットをビームサーベルに合わせようとするが、その際に直接スロットの方を見てしまう。

 それを横で見ていたエリカは頭を抱える。

 これは初心者にありがちな行動だった。

 ある程度、慣れて来るとファイターは武器スロットを見ずに武器を変える。

 スロットの方に視線を向けると必然的に相手のガンプラから目を逸らす事になる。

 それはバトルにおいて致命的な隙となる事がある。

 

「遅い!」

 

 ユニコーンはシールドを掲げてビギニングガンダムBに体当たりを行い、ビギニングガンダムBは尻餅をついて倒れる。

 そして、ユニコーンはビームサーベルをビギニングガンダムBに突きつける。

 

「射撃のセンスは悪くないと思うよ。後は努力を重ねればきっと伸びるよ」

「……はい」

 

 明らかに実力差があると言う事をアオイは痛感させられた。

 勝負はアオイはバトルを棄権した事でコウスケの勝利となった。

 

「まぁ、気にすんな」

「はい……」

 

 バトルが終わり、アオイは明らかに落ち込んでいた。

 エリカも半ば無理やりバトルをさせてた事に少し罪悪感を持っている。

 

「何だ、センパイも言ってただろ? 努力すれば伸びるって。アタシもさっきセンパイのユニコーンに負けてさ。これで10回くらい負けてんの。あの人はこの辺りじゃずば抜け強いからな」

「それは知ってますけど。シシドウさんはそんなに負けてるんですか?」

 

 エリカはアオイを元気づけると言う意味も兼ねて話す。

 すでにエリカも10回も負けている。

 さっきもコウスケに負けたところだった。

 

「だからさ、頑張ろうぜ。今度は負けないようにな」

「……そうですね」

 

 アオイも少しは元気を取り戻した。

 三階から二階へと二人は降りていく。

 流石にここまで完璧に負けた為、すぐにバトルをする気も起きない。

 階段で下の階に降りる途中で、アオイは立ち止まり振り向いた。

 

「どうかしたか?」

「いえ……何でもありません」

 

 アオイはすぐにエリカに追いつく。

 大した理由があって立ち止まった訳ではなかった。

 ただ、階段ですれ違った相手がもうすぐ春になるのに、白いコートに白いニット帽、白いマフラーに白い皮手袋と白一色で真冬の如くの完全装備だった事が少し気になっただけだ。

 初めてのガンプラバトルで負けたアオイはバトルには負けたが、初めてガンプラバトルを行えた事を嬉しく思い岐路に付いた。

 

 

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