ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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Battle35 「勝利の重み」

 ガンプラ塾……PPSE社が出資の元、二代目メイジンカワグチが開校しているガンプラのビルダー及びガンプラバトルのファイターを育成する専門機関。

 入塾する為にも世界に通用するレベルの技術が要求され、そこからメイジンの方針で徹底的な弱肉強食を基礎理念とした競争が繰り広げられていた。

 マシロはアイラを連れてガンプラ塾に来ていた。

 マシロも以前からガンプラ塾の存在は知っていた。

 だが、マシロは基本的に集団行動をする気は無く、必要が無ければ他者から教えを請うと言う事をしなかった。

 そんな事をしなくても、クロガミグループの力があれば、ガンプラ塾と同レベルの環境で実力を磨く事が出来たからだ。

 

「前にここに来ようとした時はタイミングが悪かったから結局来なかったんだよな」

 

 ガンプラ塾で学ぶ気は無かったが、数年前にマシロはガンプラ塾に来ようとしていた。

 理由はここのファイターとバトルする為だった。

 ガンプラ塾で腕を磨いているファイターの実力はチームネメシスのファイターよりも全体的に上だ。

 だが、結局来る事は無かった。

 当時、マシロがバトルしたかったファイターの筆頭であった、ジュリアン・マッケンジーが塾を止めた事が原因だった。

 ジュリアンは三代目のメイジンカワグチの筆頭で、同年代では頭一つ抜けた実力を持っていると、マシロは耳にした。

 そんなジュリアンとバトルする為に、ガンプラ塾に来ようとしたが、その前にジュリアンは塾を止めて、ガンプラバトル自体を止めてしまった事もあって、マシロはガンプラ塾に来る気が失せた。

 

「頼もー!」

 

 マシロはガンプラ塾の門を力強く開いた。

 始めは何事かと、塾生たちはマシロの方を見ると次第にざわつき出す。

 マシロが町で歩いていたところで、騒ぎはまず起きないだろう。

 世界王者とは言ってもマシロは玩具のバトルの世界王者に過ぎない。

 一般的な知名度は低い。

 だが、ここにいる者達は皆、ガンプラバトルで世界一を目指している。

 その為、ここにいる者達の中で現世界王者であるマシロの顔を知らない者はいる筈もない。

 そして、マシロはインタビューの時に全世界のファイターに対して喧嘩を売っている。

 当然の事、マシロの事を良く思わないファイターも大勢いる。

 

「本日はどのような……」

「メイジンを出せ」

 

 以前にアポすら取らずに来ている為、塾の受付嬢がマシロの用件を聞こうとするが、マシロは最後まで聞く事無く、用件を伝える。

 

「メイジンは少々、出ていまして……」

「戻って来るまで待たせて貰う。丁度、暇つぶしの相手には困る事は無いみたいだしな」

 

 当然、やって来ていきなりメイジンを出せと言うマシロの物言いに塾生たちは明らかに歓迎ではなく、敵意を見せている。

 

「相手をしてやるよ」

 

 マシロはガンプラを出して、塾生たちを挑発する。

 そして、すぐにマシロはバトルシステムの元まで案内された。

 マシロが来た事はすぐに、塾全体に知れ渡り、マシロとバトルする為に塾生たちの行列が出来上がった。

 

「アイラ、良く見ておけよ。世界最強のファイターのバトルと、勝つ為に必死こいている奴らのバトルをな」

 

 マシロのセコンドにアイラが付いていた。

 外からバトルを見るよりも、マシロのセコンドに付いて見た方がバトルの状況が良く分かるからだ。

 余り目立つ事は避けるように言われていたが、塾生たちはマシロの方に注意を向けている為、アイラの事は誰も気にしてはいない。

 マシロがGPベースをセットし、ガンプラをバトルシステムに置いた。

 

「マシロ・クロガミ。ガンダム∀GE-1 セブンスソード。出る」

 

 マシロのバトル相手のガンプラはガンダムアストレイゴールドフレーム天だ。

 ゴールドフレーム天はミラージュコロイドを展開して姿を消した。

 

「マシロ! う……」

 

 アイラは以前、アメリカで同じようにミラージュコロイドを使って姿を消すガンプラとバトルしている。

 アイラはプラフスキー粒子を肉眼で見えている為、意味を成さなかったが、マシロには粒子が見えていない。

 その為、アイラはゴールドフレーム天が背後に回り込んでいると言う事を警告しようとするが、アイラの警告よりも先にガンダム∀GE-1 セブンスソードはCソードを展開し、背後を切りつける。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードの一閃は正確にゴールドフレーム天を切り裂いていた。

 

「うそ……」

「姿を消してたって、微妙にバトルフィールドが歪んでいるからな。それを見逃さなければ対処は出来る」

 

 マシロはアイラに説明をする。

 マシロにはアイラのように粒子を見る事は出来ない。

 だが、人並外れた目の良さで、マシロはミラージュコロイドで消えているゴールドフレーム天の位置をバトルフィールドの微妙な歪みから把握していた。

 マシロは簡単に言うが、肉眼でそんな事は並の人間では不可能な芸当だ。

 ゴールドフレーム天が撃墜されると、ファイターが変わりバトルフィールドも変更され、次のバトルがすぐに開始される。

 今度のバトル相手のガンプラはザクⅢだ。

 ザクⅢはビームライフルをガンダム∀GE-1 セブンスソードに連射するが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードは簡単に回避して、Cソードを振るう。

 ザクⅢはビームライフルに付いているヒート剣でCソードを受け止める。

 

「流石ガンプラ塾の生徒ってところか、内の連中なら今の一撃で半分は終わってたよ」

「チャンピオンだからって!」

 

 ザクⅢはフロントスカートに内蔵されている隠し腕のビームサーベルを使おうとするが、その前にガンダム∀GE-1 セブンスソードは膝蹴りでフロントアーマーを蹴り飛ばす。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルでザクⅢを撃ち抜いて撃破した。

 2人目を倒すとすぐに、次の相手がガンプラを置いた。

 今度の相手はガンダムAGE-3 ノーマルだ。

 ガンダムAGE-3はシグマシスライフルを撃って、ガンダム∀GE-1 セブンスソードを牽制する。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルで反撃する。

 そして、接近すると、シールドのビームサーベルで切り裂く。

 だが、ガンダムAGE-3はコアファイターとGセプターに分離した。

 Gセプター分離した状態で変形せず、シグマシスライフルをガンダム∀GE-1 セブンスソードに向けるが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはGセプターを踏みつける。

 

「Gセプターを踏み台に!」

 

 Gセプターを踏み台に、ガンダム∀GE-1 セブンスソードは加速して、コアファイターに追いつくとシールドのビームサーベルでコアファイターを両断し、踏み台にされた事で体勢を崩していたGセプターにショートドッズライフルを撃ち込んで破壊する。

 3人目に勝利し、4人目のファイターとバトルするも、マシロは簡単に勝利し、それが何度も続いた。

 マシロに挑むファイターはことごとく勝利していく。

 それが数時間も続くが、塾生たちの勢いは止まる事は無い。

 その中には一度や二度も挑戦するファイターもいたが、マシロに勝つ事はおろか、数分以上も持ち堪えたファイターはいない。

 

「情けない。それでも名誉あるガンプラ塾の塾生か」

 

 マシロとのバトルで相手にならない事に痺れを切らした塾の講師が生徒を押しのけてバトルシステムを挟んでマシロの前に立つ。

 

「今度はアンタが相手?」

「俺は塾生程、甘くないぞ」

 

 講師はバトルシステムにガンプラを置いた。

 相手のガンプラはクシャトリヤだが、微妙に改造されている。

 左腕がクシャトリヤ・リペアードと同じハイパービームジャベリンとなっており、右手にはビームガトリングガンを2基装備している。

 今までのファイターとは違い細部の出来も違うと言う事が見て取れる。

 それだけでも、ガンプラ塾の講師が塾生よりも頭一つ抜けていると言う事が分かる。

 

「関係ないな」

 

 だが、マシロからすれば少しの違いでしかなかった。

 そして、バトルが開始される。

 バトルフィールドはオーソドックスな宇宙だ。

 

「行って来い。ファンネル」

 

 バトルが始まってすぐにクシャトリヤはファンネルを展開する。

 ファンネルはガンダム∀GE-1 セブンスソードを囲むように展開して、全方位からビームを放つ。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは最低限の動きとシールドでファンネルの攻撃を防ぎつつ、胸部のビームバルカンでファンネルの数を減らしていく。

 

「やるな。流石はチャンピオンだ」

「アンタもね。少しはウチのルーキーにファンネルの使い方を見習って欲しいよ」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードを囲み全方位からビームを放っていたファンネルだが、数基のファンネルがガンダム∀GE-1 セブンスソードに向かって飛び出して来る。

 相手のクシャトリヤのファンネルは全てがビームを撃つタイプではなかった。

 見た目こそは同じファンネルの中に何基かはミサイルのように使う改造ファンネルを仕込んでいた。

 その改造ファンネルが普通のファンネルのビームに合間を縫ってガンダム∀GE-1 セブンスソードに襲い掛かる。

 迫るファンネルに対してマシロは冷静に対処する。

 一気に加速して、通常ファンネルのビームの檻から飛び出ると追って来た改造ファンネルをショートドッズライフルで迎撃する。

 何基かはそれで撃墜し、残った改造ファンネルをシールドのビームサーベルで切り裂いて破壊した。

 だが、その隙にクシャトリヤは回り込みガンダム∀GE-1 セブンスソードに接近し、左腕のハイパービームジャベリンを突き出して来る。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはCソードで受け止めるが、クシャトリヤは勢いに任せてガンダム∀GE-1 セブンスソードを押し込む。

 

「これがファンネルの正しい使い方の一つだ。覚えておけ」

「何、悠長な事言ってるのよ」

 

 クシャトリヤに押されている状況だが、マシロは余裕な態度を崩さない。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはスラスターを最大出力で使い、勢いを殺した上でCソードでハイパービームジャベリンを押し返す。

 次にシールドのビームサーベルを振るうが、クシャトリヤは4枚のバインダーの1枚を盾のように使って受け止めた。

 バインダーに当たったビームサーベルは、バインダーを切り裂く事は無く弾かれた。

 

「Iフィールドか」

 

 相手のクシャトリヤの4枚のバインダーの全てに特殊塗装によるIフィールドの機能が組み込まれている為、ビームサーベルで切り裂く事は難しい。

 クシャトリヤはバインダー内のサブアームのビームサーベルを突き出すが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはサブアームを蹴ってサブアームを折る。

 

「逃がすか!」

 

 クシャトリヤはビームガトリングガンをガンダム∀GE-1 セブンスソードに向けて放つ。

 距離が近い為、この攻撃は回避出来ないかと思われたが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはスラスターを使って反転するかのように、クシャトリヤの背後に回り込んで回避した。

 そして、Cソードを振るう。

 Cソードはクシャトリヤのバインダーを1枚切り裂くが、残っていたファンネルの攻撃で追撃が出来ずに距離を取って、ファンネルをショートドッズライフルで撃墜する。

 

「講師と言うだけあって少しはやるみたいだけど、この程度か……まぁ、いい暇つぶしにはなったよ」

「ぬかせ!」

 

 クシャトリヤはバインダーのメガ粒子砲を放つが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードは軽々と回避して距離を詰める。

 ある程度、距離を詰めたところで、拡散メガ粒子砲を撃つも、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはシールドを使いながら最低限の回避行動で回避する。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードの間合いに入ったところでガンダム∀GE-1 セブンスソードはCソードを振るう。

 クシャトリヤはバインダーで守ろうとするが、Cソードは易々とバインダーを切り裂く。

 完全に懐に飛び込まれたクシャトリヤは胸部のマシンキャノンでガンダム∀GE-1 セブンスソードを追い払おうとするも、威力の小さいマシンキャノンを完全に無視したガンダム∀GE-1 セブンスソードは腰のショートソードを抜くとクシャトリヤの頭部に突き刺す。

 最後にシールドのビームサーベルを最大出力で展開して横に振り抜いた。

 ビームサーベルがクシャトリヤの胴体を真っ二つに両断した。

 

「くっ……」

「さて……こっちはアップが終わってるけど、アンタはどうする?」

 

 バトルが終わりマシロがそう言う。

 その先には赤いマフラーの人物、二代目メイジンカワグチがいた。

 周囲のファイター達もメイジンの存在に気が付くと彼の前に道が出来る。

 

「成程、何か騒ぎが起きていると思えば、また貴様か」

「酷い言われようだな。ファイター同士、目が合えばバトルするのは常識だろ?」

 

 この騒ぎを起こした原因は紛れもなく、マシロにあるがマシロは気にした素振りは無い。

 

「まぁ良い。それで私に用とは?」

「今日はウチの新人教育に来たんだよ。で、アンタにはその生け贄になって貰う」

 

 マシロがそう言うと、マシロについて来たアイラの方をメイジンは一瞥する。

 アイラは反射的に目を逸らす。

 アイラでもメイジンの実力が一流であると言う事は肌で感じ取れる。

 アイラを一瞥したメイジンはバトルシステムの前に立つ。

 メイジンを生け贄にすると言う発言で、塾生たちは野次を飛ばすが、メイジンは相手にしていない。

 マシロの態度が挑発的だと言う事は世界大会で分かっている事だ。一々相手にしたところで相手のペースに乗せられるだけだ。

 メイジンはGPベースをバトルシステムにセットするとガンプラを置いた。

 

「二代目だけに第二世代のアストレアの改造機か」

 

 メイジンがバトルシステムに置いたのがガンダムアストレアの改造機ガンダムアストレアF3だ。

 ガンダムアストレアはガンダムOOのファーストシーズンの主人公機であるガンダムエクシアのベースとなった第二世代のガンダムだ。

 そのアストレアを改造したアストレアF2を更に独自の改造を施したのがメイジンの使うアストレアF3だ。

 メインにはアストレアF2を使い、バックパックにはダブルオーガンダムの物をベースに両肩にGNドライヴが来るようになっている。

 その両肩にはオーライザーの翼が装備される事で機動力と攻撃力を強化している。

 右腕にはGNソードⅡブラスターを装備されている。

 左腕には4基のGNフィンファングと先端にGNハンマーの付いたシールドにカートリッジが4つに増設されているNGNバズーカ、両腰のサイドアーマーにはGNソードの刃を流用して制作されている大型のGNブレイドとリアアーマーにビームサーベルが2基、右足にはハンドミサイルコンテナ、左足にはGNビームピストルのホルスターと全身にあらゆる距離での戦闘が可能な装備がされている。

 

「思い上がった小僧に引導を渡してくれる」

「アンタの時代は終わりにしてやるよ。今日、ここでな」

 

 互いに準備が出来たところで、現役の世界王者と二代目メイジンカワグチの世界最強クラスの二人によるバトルが開始された。

 バトルフィールドは今回も宇宙となっている。

 バトル開始早々、メイジンのアストレアF3がGNソードⅡブラスターで長距離狙撃を行う。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは回避しながら距離を詰めていると、GNソードⅡブラスターの射撃の合間にNGNバズーカからビームが放たれる。

 NGNバズーカは作中設定ではカートリッジを変える事で実弾だけではなく、ビームを撃つ事も可能とある。

 アストレアF3のNGNバズーカはビーム用のカートリッジが2基と実弾用のカートリッジが2基の計4基のカートリッジを搭載する事で、バトル中にビームと実弾を切り替える事が可能だ。

 

「近づけさせない気か」

「凄い……完全にマシロを抑え込んでる」

 

 マシロのガンダム∀GE-1 セブンスソードは近接戦闘を重視している。

 近接戦闘を避けると言うのは近接戦闘型に対する対処法のセオリーだ。

 アイラもガンダム∀GE-1 セブンスソードに対して何度も距離を取っての射撃で足止めを狙うが、マシロの操作技術でギリギリのところで防ぐか回避されて失敗して来た。

 だが、メイジンはマシロの回避先を予測しての時間差攻撃で完全にマシロの足を止めさせて回避に専念させている。

 

「やるね」

「そのままガンプラの性能を活かせぬまま落ちるが良い!」

「嫌だね」

 

 足止めをさせられていたガンダム∀GE-1 セブンスソードは多少強引に距離を詰め始める。

 アストレアF3は後退して距離を保つ。

 だが、重装備であるアストレアF3よりも機動力重視のガンダム∀GE-1 セブンスソードの方が機動力は高い。

 ビームを回避してはいるが、次第に距離が縮まって行く。

 アストレアF3は両肩のバインダーからGNマイクロミサイルを放ちながら、GNビームマシンガンを使う。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはGNマイクロミサイルをショートドッズライフルで迎撃しながら、アストレアF3の攻撃をかわす。

 

「高出力ビームの次は弾幕で足止め。メイジンを名乗る癖してやってる事がセコイよね」

「勝つ為にあらゆる手段を使うのは当然の事だ」

「同感だね」

 

 アストレアF3の攻撃をシールドを掲げながら、ガンダム∀GE-1 セブンスソードは強引に突破しようとする。

 時折、GNソードⅡブラスターとNGNバズーカからの高出力ビームが飛んで来るが、そのビームは流石にシールドでは防ぐ事は難しい為、回避する。

 そうやって、距離を詰めてようやくガンダム∀GE-1 セブンスソードの射程に入る。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルで反撃を行うが、アストレアF3はGNフィールドで防ぐ。

 

「GNフィールドか……まぁ、予測の範囲内ではある」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルを連射するが、全てアストレアF3のGNフィールドに阻まれる。

 アストレアF3はNGNバズーカを放つ。

 放たれた弾丸が弾けてガンダム∀GE-1 セブンスソードを襲う。

 

「散弾まで用意してんのかよ」

 

 NGNバズーカの2種類の実弾用のカートリッジは1つは通常弾頭でもう一つが散弾用の弾頭となっており、それも切り替えて使う事が出来る。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは散弾をシールドを掲げて守るが、広範囲に広がった弾丸を小型のシールドだけで全て守り切る事は出来ない為、被弾する。

 幸い散弾である為、威力は高くない事もあって損傷はしていない。

 

「やってくれるな」

「このアストレアF3はお前のガンプラとは違い、あらゆる状況やあらゆる敵に対して常に効果的かつ、合理的に優位に立つ事が出来るガンプラだ」

「成程……ずいぶんとつまらなくなったよ。アンタ」

 

 マシロは一息つくと目つきが変わる。

 今までは様子見であった。

 マシロは二代目メイジンカワグチとバトルする為にここまで来た。

 当然、さっきまで相手にしていたファイターとは違い、ここに来るまでにメイジンの過去のバトルを見て徹底的に研究して来ている。

 その情報は過去の物である為、今のメイジンの実力を把握する為に抑えて戦って来た。

 そして、バトルの中でマシロは今のメイジンの実力を把握した事で攻勢に転じる。

 

「ここに来るまでにアンタのバトルを研究して来た」

 

 一気に加速したガンダム∀GE-1 セブンスソードはアストレアF3を中心として球を描くように動く。

 アストレアF3はGNソードⅡブラスターとNGNバズーカで攻撃するが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードの速度に狙いを定める事が出来ない。

 

「昔のアンタのバトルには鬼気迫る物があった」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルを放つが、アストレアF3のGNフィールドを突破する事が出来ない。

 

「けど、今のアンタにはそれがない。ただ、勝つが作業になって、執念を感じない」

 

 昔のメイジンのバトルは人によっては受け入れがたい物があるだろう。

 ひたすらに勝利を追い求め、その為なら悪魔に魂を売ろうとも構わないと言った勝利に対する執念があった。

 だが、今のメイジンにはそれがない。

 かつてのメイジンは勝つ為に必死が故に、そこまでの執念があったが、今のメイジンは実力を付け、経験を積んだ事で勝てることが当たり前となって慣れてしまった。

 故に最低限のリスクや効率良く相手を倒す事に長けているが、マシロは怖くない。

 

「知ったような口を!」

「生憎と俺はアンタが何の為に戦っているとか興味がないんでね。ただ、言える事はアンタは俺よりも弱いって事だけだ」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは腰のショートソードを取ると、アストレアF3に投げる。

 ショートソードはGNフィールドに阻まれるが、弾き飛ばされる前にショートドッズライフルを撃ち込んだ。

 ショートソードは破壊されるが、その爆風をアストレアF3はモロに受ける。

 

「ちっ」

 

 アストレアF3は小回りの利かないNGNバズーカを捨てると左足のGNビームピストルを持つ。

 そして、シールドの先端に付いているGNハンマーを射出する。

 GNハンマーはシールドをワイヤーで繋がっている為、ハンマーに付いている小型のスラスターを使ってある程度は自由に操作できる。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは迫るGNハンマーをシールドを使って勢いを殺して、逆にアストレアF3に蹴り返す。

 その勢いはワイヤーとスラスターでは制御しきれ無い為、ワイヤーを切断して回避する。

 その間にもガンダム∀GE-1 セブンスソードは距離を詰めようとしている為、アストレアF3はGNビームピストルで牽制する。

 しかし、威力の小さいGNビームピストルの攻撃などマシロは全く気にも留めていない為、牽制の意味を成さない。

 

「アンタのバトルは確かに効率的だよ。だからこそ、動きが読み易い。本当に怖い相手ってのは形振り構わずに勝ちに来る相手の事だよ」

 

 メイジンのバトルは相手に合わせてより確実性の高い戦い方をする事だ。

 その戦い方自体は間違ってはいない。

 寧ろ、勝つ為には効率的だ。

 だが、効率的が故にマシロには動きが読み易い。

 自分の動きに相手が合わせてくれているような物だからだ。

 これが中途半端な実力者なら、逆に自分の読み以下の行動を取られる為、それはそれで面倒だが、メイジンは世界トップレベルと言っても過言ではない。

 その為、メイジンの動きはマシロの思った通りに動いてくれる。

 逆に効率等を完全に無視して勢いで来る為、読みが全く出来ない。

 そうなれば、マシロの反応速度を活かした出たとこ勝負となってしまう。

 反応速度に絶対的な自信を持つが、相手の動きを事前に読めるか否かでは戦い易さは大きく変わって来る。

 

「今のアンタには負ける気がしないね」

 

 アストレアF3の牽制を無視して、距離を詰めたガンダム∀GE-1 セブンスソードはCソードを振るい、アストレアF3はGNソードⅡブラスターで受け止めるが、十分に勢いが付いていた為、CソードはGNソードⅡブラスターを切り裂いて破壊する。

 すぐにアストレアF3はGNソードⅡブラスターをパージし、GNビームバルカンで牽制しながら後退するが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードは追撃する。

 GNフィールドで追撃から身を守ろうとするが、CソードはGNフィールドを切り裂き、アストレアF3の片方のバインダーを切り落とす。

 アストレアF3は右足のハンドミサイルコンテナに内蔵されているミサイルを全弾放つがガンダム∀GE-1 セブンスソードは胸部のビームバルカンであっさりと迎撃される。

 

「この私が!」

 

 アストレアF3は両手に大型GNブレイドを持つと接近戦に切り替える。

 大型GNブレイドを振るい、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはCソードで受け止める。

 

「金持ちのボンボンが道楽でやっているガンプラバトルと私のガンプラバトルでは背負う物が違うのだ!」

「知った事かよ」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードがアストレアF3を弾き飛ばすが、アストレアF3はすぐに体制を整えて突撃して来る。

 2機のガンプラは互いの実体剣を振るい何度もぶつかり合う。

 

「トランザム!」

 

 アストレアF3が赤く発光する。

 ベース機にも搭載されているトランザムシステムを使用したからだ。

 本来はエフェクトだが、作り込み次第では機体性能を3倍相当まで引き上げる事の出来るシステムとして使う事も出来る。

 それによって、アストレアF3が優位に立つ。

 武装の大半を破壊されて捨てた事で重量が大幅に減った事もあり、トランザム中の機動性能はガンダム∀GE-1 セブンスソードを完全に上回っていた。

 

「当然、トランザムも使えるよな」

 

 トランザムを使ったアストレアF3は機動力を活かして、ガンダム∀GE-1 セブンスソードに攻撃を仕掛ける。

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードは逆に殆ど動く事無く、アストレアF3からの攻撃に対して致命傷だけは避けている。

 だが、アストレアF3の狙いは関節部だ。

 関節部なら大きな損傷を与えずとも、多少の亀裂でも十分に効果的だ。

 特にガンダム∀GE-1 セブンスソードのような格闘戦重視のガンプラにとっては関節部の損傷は死活問題でもある。

 

「派手なシステムを使ってやってることは地味過ぎなんだよ」

 

 ガンダム∀GE-1 セブンスソードはショートドッズライフルで反撃するがトランザム中のアストレアF3には当たらない。

 

「どうするのよ?」

「トランザムに使う粒子が切れるのを待つのがベターなところなんだけどな」

 

 自身の得意とする高速戦闘で相手に優位に立たれているが、マシロは相変わらず余裕な態度を崩してはいない。

 逆にメイジンの方は少し焦り始めている。

 トランザムは使用中は圧倒的な性能を発揮する反面、使用可能時間を過ぎてしまうと一気に性能が低下すると言う欠点も持っている。

 何度も関節を狙った攻撃を行うも、効果的な損傷を与える事が出来ていない。

 メイジンは知らないが、マシロは独自に金属粒子を練り込んだプラスチックを作らせていた。

 その試作品をマシロはフルアサルトジャケットだけではなく、セブンスソードの関節にも使っていた。

 試作品である為、完成品に比べると強度は落ちるが、それでも多少の損傷を狙った攻撃では簡単に損傷させる事は出来ない。

 

「けど……そんな必要もないけどな」

 

 背後からアストレアF3が大型GNブレイドを振り下ろすが、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはギリギリのところで回避して、逆にCソードを振り上げてアストレアF3の肩のバインダーを切り裂く。

 そして、Cソードをパージすると両肩のビームブーメランを持つ。

 

「最後に一つ忠告をしとく……もう、アンタの時代は終わったんだよ」

 

 ビームブーメランをビームダガーとして使い、ガンダム∀GE-1 セブンスソードはアストレアF3に振り落す。

 アストレアF3は回避する間も無く、二本のビームダガーの斬撃をまともに喰らう事となった。

 その攻撃が致命傷となって、アストレアF3は爆散した。

 

「馬鹿な……この私が……」

 

 バトルが終わり、メイジンは膝をついた。

 それに伴い周囲もざわめき始めた。

 そして、マシロは自覚していないがいつも、バトル後に少なからずあった虚無感がない事に気が付いては居なかった。

 

「アイラ、良く見とけこれが勝ち続けることを望まれているファイターが負けるって事だ」

 

 アイラにはメイジンの事情は知らないが、可愛そうに思えて来た。

 周囲のファイターは皆、ガンプラ塾の塾生だ。

 そんな塾生たちは目の前で敗北したメイジンの事を何とも言えない表情で遠巻きに見ているだけだ。

 誰一人としてメイジンの事を励ます事も慰める事もしない。

 メイジンは常に絶対的な勝利を信条として、それを塾でも徹底的に教え続け、自身もそれを体現し続けて来た。

 だがらこそ、その信条に心酔するファイターも多かった。

 しかし、そんなメイジンが目の前で敗北した。

 それは絶対的な強者であったメイジンが敗者となった瞬間でもあり、負ける事など微塵も思っていなかった塾生たちからすればすぐには信じがたい光景だ。

 

「こうなりたくなければ、誰にも負けない事だ」

「……そう、ね」

 

 メイジンとアイラの間に関わりはないが、他人事でも無かった。

 今でこそはマシロに負けてもチームとしては、文句はない。

 だが、いずれは世界大会でマシロに勝って優勝しなければならない。

 それはチームの為ではなく、アイラをチームに送り込んだフラナ機関の思惑の為だ。

 アイラが結果を残さなければ、チームはフラナ機関を必要としなくなる。

 それ自体はどうでも良い事だが、それによってアイラは自分の生活すらも失いかねない。

 その為には、このマシロに勝つ事は必須条件でもあった。

 

「さて、これで今日の講義は終了だ。帰るぞ。次は世界大会の予選だからな。もう、エントリーは済ませてあるし」

 

 マシロはすでにメイジンの事など眼中にないかのように次の事を話し始める。

 マシロにとっては、すでにメイジンは興味ないのだろう。

 メイジンが負けた事で、塾生や講師もマシロに挑む気概は残されてはいない。

 その時点で、マシロの中でガンプラ塾に対する興味も失せていた。

 マシロはさっさと帰ろうとして、アイラもそれに続く。

 メイジンが負けたと言う、塾の人間には信じられない事態が起きている為、誰もマシロ達の事を気にしている余裕はなかった。

 ガンプラ塾を事実上、壊滅的な打撃を与えたマシロの頭の中ではアイラの最後の訓練の事を考えていた。

 

 

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