ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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Battle05 「疑念」

 

 タッグバトル大会の予選バトルロイヤル戦をマシロとタツヤは難なく1位で通過し、午後の決勝トーナメント1回戦に臨む事となった。

 事前にバトルフィールドが水中と言う事が告知されていた。

 水中のバトルフィールドにはいくつものタイプに分けられている。

 フィールドごとに細かい差異はあるが、大きく分けると二つだ。

 一つ目は純粋に水中のみのフィールドと水中と一部が陸地となっているフィールドだ。

 今回のバトルでは全者の水中のみのフィールドでバトルする事になっている。

 マシロのガンダム∀GE-1タツヤの高機動型ザクⅡ改はどちらも水中戦を想定している訳ではない。

 使用ガンプラ自体はバトル開始直前までに変更する事が出来るが、今からでは水中用のガンプラを用意する時間は無い。

 そうなれば、ガンプラを改造するしかない。

 改造すると言っても大幅な改造をしているだけの設備も時間もない。

 その為、二人は武装面での改造を余儀なくされた。

 マシロのガンダム∀GE-1はソードインパルスの対艦刀「エクスカリバー」を装備させた。

 ソードストライクの対艦刀「シュベルトゲベール」をガンダムSEEDの本編中に水中戦で使用した事から同じ対艦刀であるエクスカリバーも行けそうでシュベルトゲベールとは違い、2本あるからそっちの方が強そうだ、と言うマシロの考えから今回はエクスカリバーを装備させた。

 一方のタツヤの高機動型ザクⅡ改は装備を大幅に変更し、手持ちの火器としてサブロックガンを持たせ、リアアーマーのザクマシンガンの代わりにザクバズーカを装備させて、腰のザクマシンガンの弾倉をザクバズーカの予備弾倉にしている。

 

「出来ることはやった。後は相手のガンプラと僕達の戦い次第だ」

「相手が何だろうと俺は勝つさ」

 

 マシロは相手が何であれ興味はなく、ただ勝つ事しか考えていない。

 相変わらずの強気な発言もここまで来ると頼もしさすら感じる。

 二人はバトルシステムにGPベースをセットしてガンプラを置く。

 

「ユウキ・タツヤ。高機動型ザクⅡ改……出る!」

「ガンダム∀GE-1。出る」

 

 二人のガンプラがバトルフィールドへと射出されると途端にガンプラが重くなり、速度が低下する。

 

「機体が重いな……」

「来る! アレは……シャア専用ズゴックか?」

「似てるけど、ありゃズゴックEの方だ」

「良くこの距離から見えるね」

 

 モニターにはある程度のズーム機能があるが、相手のガンプラとの距離が離れていると大してズームされず、今回は水中と言う事もあり視界が悪い。

 遠目では赤いズゴック、ファーストガンダムでシャアの専用機のズゴックであると思われたが、マシロがそれを訂正する。

 どうやら、普通のズゴックではなく、OVA作品のポケットの中の戦争で登場したズゴックの性能向上機であるズゴックEであると言う。

 それをシャアのパーソナルマークである赤で塗装したシャア専用ズゴックEとも呼べるガンプラだ。

 

「もう一機は……アッシュか」

「どっちも水陸両用のガンプラか……」

 

 シャア専用ズゴックEと並ぶのはガンダムSEED DESTINYに登場する水陸両用モビルスーツ、アッシュだ。

 アッシュも一般機のグレーではなく黒く塗装されている。

 どちらも塗装以外で目立った改造はされていないが、水中戦に長けたガンプラである事は間違いない。

 

「赤とか黒とかイケてないと思うんだよな。赤いのは任せた。黒いのは俺がやる」

「相手は水中戦用のガンプラだ。単独で挑むのは危険だと思う」

「知らん。取りあえず黒いのは嫌いだから倒す」

 

 フィールドでは相手に分がある為、タツヤは連携してバトルしようとするが、マシロは聞く耳を持たずにアッシュの方へと向かって行く。

 相手チームの方も∀GE-1が突撃して来た事を確認したのか、二手に分かれた。

 

「二手に分かれた……向こうも一対一のバトルを望んでいると言う事か……つまりは、一対一なら勝てると踏んでいる訳だ」

 

 バトルフィールドで有利なら、それも頷ける。

 フィールドで有利ならそれを埋める為には、連携を取る等で戦い方を工夫する必要があるからだ。

 それをさせない為に、相手は二手に分かれてこちらを分断させようとしているのだろう。

 仮に分断する事が出来ずに片方に向かったとしても、水中で余り動けないガンプラが2機ならすぐに追い込まれると言う訳ではない為、もう片方が挟撃すれば一気に有利になる。

 

「仕方がない。片方は僕の方で抑えるか」

 

 シャア専用ズゴックEの方がタツヤの高機動型ザクⅡ改に向かい、黒いアッシュの方がマシロの∀GE-1の方に向かっている。

 2機が突出しているマシロの方に向かわないのは、片方を集中的に狙っている間にもう片方がコソコソと反撃の準備をされる事を警戒しての事だろう。

 一対一では水中戦用の自分達のガンプラの方が有利である為、個別撃破に来ている。

 

「だけど、こっちも黙って好き勝手にさせる気は無いけどね」

 

 どの道、タツヤも良いようにさせる気はない。

 フィールドで不利な状況を変えることは出来ないが、少しでも戦い易い場所で戦う事は出来る。

 フィールドは水中だが、場所によっては深さが違う場所もいくつか存在している。

 タツヤはシャア専用ズゴックEを浅瀬まで誘導する。

 余り深い場所で戦えば相手は縦横無尽に動く事が出来て、水中で高機動を活かせない高機動型ザクⅡ改では不利だが、浅瀬ならある程度の動きは制限する事が出来る。

 シャア専用ズゴックEは魚雷を発射する。

 それに対して高機動型ザクⅡ改はサブロックガンで応戦する。

 

「生意気なんだよ! ザクが水中戦なんてよ!」

 

 シャア専用ズゴックEはアイアンネイルを突き出して、高機動型ザクⅡ改は回避しようとするがサブロックガンが破壊されてしまう。

 

「やはり水中では機動力は向こうの方が上か!」

 

 高機動型ザクⅡ改は脚部のミサイルを撃って距離を取ろうとする。

 水中で格闘戦に持ち込まれたら勝ち目はない。

 シャア専用ズゴックEはミサイルを簡単に避けて高機動型ザクⅡ改に接近しようとする。

 サブロックガンが破壊された為、ザクバズーカを持ってシャア専用ズゴックEを迎え撃つ。

 

 

 

 

 

 

 一方のマシロもアッシュとバトルを始めていた。

 水中を高速で移動するアッシュに対して火器を持っていない∀GE-1は中々接近出来ずにいた。

 アッシュは∀GE-1の背後を取ると、ビームクローから水中戦に特化する為にヒート系の武器に改造された腕部のヒートクローで切りかかる。

 だが、その前に∀GE-1はエクスカリバーを振るい、アッシュは攻撃を中止して距離を取って回避する。

 

「ちっ……動きが遅い」

「こいつ!」

 

 マシロは苛立ちを隠せないでいた。

 アッシュが水中で早く動けようともマシロはそれを見切る事が出来た。

 今の攻撃もいつもならアッシュを切り裂いていた。

 だが、水中で動きが遅くなった∀GE-1ではタイミングがずれて来る。

 元々、マシロのバトルは相手が動いた瞬間にそれに反応するのと同時に相手の動きを判断して行動すると言う物で、相手よりも動きだしは遅れている。

 それを人間離れした反射神経でその遅れは1秒にも満たない為、動きだしの遅れは意味を成さず、寧ろ一瞬にして相手の動きを見切り対処すると言う武器に代えている。

 しかし、今はその戦い方が仇となっていた。

 幾ら、マシロの反応が早くガンプラを動かせようとも∀GE-1は水中で動きが鈍っている。

 その為、マシロの思い描いている動きよりも遅れてしまい、相手のファイターでも十分に対応できるレベルまで落ちている。

 一方の相手のファイターはイラつくマシロとは正反対に驚いている。

 攻撃こそは遅れていたが、機動力で振って背後を取っての一撃に完全に反応されていたからだ。

 水中で動きが遅くならなっていなかったら、確実に仕留められていたと思わせるには十分な程にだ。

 

「水中でここまで機動力が落ちる物なのか……」

 

 マシロは今までに水中でのバトルをする時は水陸両用のガンプラを使うか、それ相応の改造を施したガンプラを使っていた為、今回のように武器のみで水中戦をした事は一度もなかった。

 今までは一人でCPUを相手にバトルをする事が多かった為、水中戦を行う事が分かり、水中戦用の改造やガンプラを用意してから水中戦をしていた。

 

「さて……どうするかな。切り札はあるが……アレをここで使ってもどの程度の効果があるか分かった物じゃないし、未完成だしな。未完成の切り札を使うってのも面白そうではあるが……ここは切り札の切り時ではないな。仕方がない。隠し玉の方にするか」

 

 ∀GE-1にはタツヤとのバトルでも見せていない切り札があったが、それ自体はまだ未完成だった。

 未完成の切り札をいきなりバトルで使うと言うシチュエーションもマシロには面白そうに思えたが、普通の状況でもまともに使えないと言うのに水中で使ったところで意味がないどころか、確実に負けることが目に見えている。

 そして、もう一つ隠し玉も持っている。

 そっちの方はこの状況でも十分に使える。

 

「後はタイミングか……さっきの一撃で距離を取られちまってるな」

 

 相手もさっきの背後への攻撃の反応速度から、接近戦は危険だと判断して迂闊に接近せずに距離を保っている。

 普通に接近しようとしても、相手はさせてはくれないだろう。

 陸上や宇宙なら機動力はこっちに分があるが、水中ではそうもいかない。

 そして、∀GE-1の隠し玉を使うには相手との距離が離れ過ぎている。

 マシロはその時をただじっと待っていた。

 

 

 

 

 

 

 水中でまともに使えるサブロックガンを失った高機動型ザクⅡ改もシャア専用ズゴックEに追い詰められている。

 ザクバズーカで応戦するも、水中戦用の装備と言う訳ではない為、シャア専用ズゴックEには当たらない。

 シャア専用ズゴックEの魚雷をかわしてはいるが、次第に追い詰められていく。

 

「流石にまずいな……」

「沈め!」

 

 シャア専用ズゴックEの魚雷の爆発の衝撃で高機動型ザクⅡ改はザクバズーカを手放してしまい尻餅をついて倒れてしまう。

 

「まだ……まだ終わらない!」

 

 シャア専用ズゴックEがアイアンネイルで止めを刺そうと接近して来るところに、ロケットランチャーを撃ち込む。

 だが、ロケットランチャーはシャア専用ズゴックEに当たる事は無い。

 

「無駄な足掻きを!」

「それを決めるのは君じゃない!」

 

 高機動型ザクⅡ改の攻撃をかわしていたシャア専用ズゴックEはやがてフィールドの岩礁で行き止まりへと誘い込まれていた。

 そして、岩礁の脚部のミサイルを撃ち込むと岩礁は崩れてシャア専用ズゴックEに降り注ぐ。

 

「これが狙いか! だが、しかし!」

 

 降り注ぐ岩をシャア専用ズゴックEは何度かかわした。

 しかし、その前にはヒートナタを抜いた高機動型ザクⅡ改が待ち構えていた。

 

「いつの間に!」

「バトルとは2手3手先を読むものだ!」

 

 タツヤは岩礁を破壊して岩を落として倒せるならそれでも良しとしていたが、倒せなかった場合の事も考えてミサイルを撃ってすぐに行動を開始していた。

 速やかに落としたザクバズーカを回収し、弾倉を交換しつつ、シャア専用ズゴックEを待ち構えていた。

 高機動型ザクⅡ改はヒートナタを振るうもシャア専用ズゴックEはギリギリのところで回避して、胴体を少し切れただけだ。

 

「くそ……今のは不味かった……だが、次はそうはいかない!」

「それはどうかな」

 

 岩礁を破壊しての攻撃からの追撃をもかわされたが、タツヤは動揺した様子は見られない。

 そして、シャア専用ズゴックEに入れられた傷から気泡が出て来る。

 高機動型ザクⅡ改の攻撃もまた、それで仕留めることが出来れるのであればそれで良かった攻撃だ。

 タツヤの最後の狙いはその攻撃で少しでも傷を付けることが出来ればそれで良かった。

 高機動型ザクⅡ改の攻撃で出来た傷からガンプラの内部に水が入って行ったが為に、シャア専用ズゴックEの傷から気泡が出ていた。

 シャア専用ズゴックEの中に水が溜まりやがて、底へと沈んでいく。

 それを確認したタツヤは止めに入る。

 弾倉を交換しておいたザクバズーカでシャア専用ズゴックEに狙いを定める。

 逃げようとするも浸水によってシャア専用ズゴックEには回避するだけの動きも出来ない。

 ザクバズーカが放たれて、シャア専用ズゴックEは回避する事なく直撃を受けて撃墜された。

 

「ふぅ……何とかなった。マシロ君の方はまだ終わってないのかな」

 

 仮にマシロの方が勝負がついていたのであれば、シャア専用ズゴックEを倒した時点でバトル終了のアナウンスが入る。

 それが入らないと言う事はまだ勝負がついていないと言う事だ。

 マシロがすでに負けていると言う可能性もあるのだが、タツヤの中ではマシロが負けている様子など思い浮かべることが出来ない為、その可能性は排除していた。

 

 

 

 

 

 

 

 タツヤが勝利を決めたころ、マシロはただアッシュの攻撃を耐えていた。

 アッシュは不用意に接近する事なく、魚雷とフォノンメーザー砲で距離を保ちつつ∀GE-1の装甲を削っていた。

 

「なんて装甲してんだよ!」

 

 先ほどから攻撃しても∀GE-1の装甲にまともなダメージを与えてはいない。

 ガンプラバトルにおいてガンプラの性能はガンプラの出来によって左右される。

 ここまで攻撃を直撃させても尚、∀GE-1にまともなダメージを与えることが出来ないのは、∀GE-1とアッシュとの間の完成度の差と言う事だろう。

 その為、相手のファイターも苛立って来ている。

 対象的に水中で動きが鈍っていた事で苛立っていたマシロは直撃を受けているのに落ち着いている。

 アッシュが魚雷を発射して∀GE-1は微動だもせずに胴体に直撃を受けて体勢を崩して持っていた2本のエクスカリバーを落として沈んでいく。

 

「一気に決める!」

 

 水中で使える唯一の装備を手放した事と体勢こそは崩せたが、魚雷の直撃でも∀GE-1に損傷を与えてはいない。

 その為、相手ファイターは一気に勝負をつける為に接近した。

 武器を手放した事が近接戦闘を仕掛ける要因となったが、相手の行動こそマシロが狙っていた行動であった事に相手は気づいていない。

 アッシュがヒートクローを突き出して、多少遅れるも∀GE-1は逆にアッシュに接近した。

 ヒートクローの一撃は∀GE-1の肩と胴体の付け根の関節に当たり、∀GE-1の左腕が肩からもげるがマシロは気にする事は無い。

 

「ここは俺の距離だ!」

 

 ∀GE-1はアッシュに膝を突き出す。

 ∀GE-1には内蔵火器が無いように見えたが、実は一つだけ装備されていた。

 それが膝の追加装甲の中に左右に一発だけのグレネードランチャーだ。

 基本的に近接戦闘を得意としている為、この装備は離れた距離で使われる事も無く、隠し玉として初見殺しで使う事が前提の装備であり普段から多用する事もない。

 そして、使う時はゼロ距離で使う。

 ゼロ距離からグレネードランチャーを撃ち込まれたアッシュは一撃で上半身が吹き飛んだ。

 アッシュが撃墜された事でバトル終了の合図が入り、バトルの勝敗は決した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 バトルが終了し、他の対戦が終了するまでの間は待ち時間となっている。

 その間に他のチームの偵察をするも良し、ガンプラの修理が改造を行うも良しと自由に使う事が出来る。

 一回戦を勝ち抜いたが、今日の内にもう一回バトルをしなければならない。

 

「マシロ君。修理に時間がかかるなら僕も手伝うよ」

 

 タツヤの高機動型ザクⅡ改の損傷は武装以外は軽微で修理には時間はかからない。

 しかし、問題はマシロのガンプラだ。

 バトルで左腕を肩から破壊された事でポリキャップの一部のを損傷し、ゼロ距離でグレネードランチャーを撃ち込んだ事で片足の装甲にもダメージを負っている。

 残された時間がどれほどの物かは分からないが、余り時間をかけて修理をする事は工具も限られている為、出来ない。

 

「問題は無いさ。こんなこともあろうかと予備パーツは常備しているからな!」

 

 マシロはそう言って∀GE-1の足と腕、ポリキャップをタツヤに見せた。

 そして、すぐに破損した部分と取り換えた。

 ものの数分で∀GE-1は元の状態へと戻った。

 

「いつも常備しているのかい?」

「まぁね。バトルをしている以上はいつガンプラが壊れてもおかしくは無いだろ? だから、常に準備しておくのはビルダーの役目だからな」

 

 マシロの言う通り、ガンプラバトルはガンプラを直接動かしている関係上、負けた時はもちろんの事勝ってもガンプラが損傷する事がある。

 そう言った場合の為に事前に武器や壊れやすい場所の予備を用意しておくことは珍しい事ではなく、タツヤも武器の予備などは今日も持って来ている。

 尤も、マシロのように手足をそのまま新しく用意しているビルダーは稀だ。

 修理用の部品を用意しておくのと手足をそのまま用意しておくのとでは手間がまるで違う。

 

「ちなみに、家に帰れば予備の∀GE-1が100体はある」

 

 流石にそれはタツヤも驚いた。

 予備のガンプラを用意する事も特別珍しいと言う訳ではない。

 世界大会でも地区予選などで必要以上に情報を出さない為や少しでも温存する為に主力のガンプラを使わないと言う事は良くある事だ。

 だが、全く同じガンプラをそれも、100体も用意しているビルダーもファイターもいないだろう。

 しかし、タツヤは知らない。

 マシロの言う100体はあくまでも今、残っている予備機であって、マシロが∀GE-1を敵の視点から観察する為にCPU操作で多くの∀GE-1が壊れて使える部分は予備パーツと化したを。

 それを含めると更に多くの∀GE-1を作っている事になる。

 

「どうしてそんなにも……マシロ君は自分のガンプラが壊れることを何とも思ってないのか?」

 

 マシロの言い方からタツヤはそう感じた。

 同じガンプラを100体も用意していると言う事は使い物にならない程壊れた時に別の∀GE-1を使えば良いと言う事だ。

 つまりはマシロは自分のガンプラが壊れることに対して何も思う事は無いとも取れる。

 それこそ、勝つ為には自分のガンプラがどうなっても構わないと言うくらいに。

 今までのマシロのバトルを見ていても多少の損傷は気にすることなく前に出ている。

 その思い切りの良さは自分のガンプラと自分の腕に自信があるからと言うだけではなく、壊れても構わないとからでもあるのではないかと勘繰ってしまう。

 

「何とも思わない訳ではないけど……けどさ、ガンプラバトルを行う以上はガンプラが壊れることは仕方がない事だろ? ガンプラは壊れても直せるし、新しく作り直す事も出来る。世の中には一度壊れたら二度と直せない物だって多いんだしさ」

 

 マシロはそう言うが、それは答えにはなっている訳ではない。

 だが、タツヤはそれ以上、踏み込んで聞く事が出来なかった。

 どこか遠くを見ているようなマシロを見て、何となくマシロが過去に何かを壊してしまって取り返しの付かない事をしてしまったような気がしたからだ。

 これ以上、踏み込む事はマシロの内面に深く踏み込む事になってしまう。

 少なくともマシロが自分のガンプラを蔑ろにしている訳ではないと言う事で十分だと思った。

 

「さて、ガンプラも直った事だ。シオンと合流しよう。そろそろ次の対戦相手が決まる」

「そう……だね」

 

 タツヤもこれ以上はこの話題を避けたかった。

 無理にマシロの内面に踏み込んで今の関係を壊す可能性を前に尻込みをしてしまう事は誰も責めることは出来はしない。

 そんな事を気にも留めないマシロは別の試合を観戦しているシオンの方に向かい、タツヤもそれについて行く。

 一回戦を何とか勝ったマシロとタツヤのチームアメイジングだが、タツヤがマシロに対する疑惑と二人の間に漂う暗雲にまだ二人は気づいてはいなかった。

 

 

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