ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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Battle47 「真向勝負と茶番」

 決勝トーナメントの初日は順当に優勝候補の筆頭であるマシロとメイジンが勝ち抜けた。

 2日目は午前にタイ代表のルワン・ダラーラとフランス代表のシシドウ・エリカのバトルで勝者がマシロの2回戦の相手となる。

 午後は日本代表のありすとイタリア代表のリカルド・フェリーニとなっている。

 

「どっちが勝つと思う?」

「単純に正面からぶつかり合えばルワン・ダラーラだろうな。奴のアビゴルバインのパワーは脅威だ」

 

 マシロは自分の控室でバトルが始まるのを待っていた。

 エリカとルワンも搦め手を使うよりも正面からの真っ向勝負を得意としたファイターだ。

 だが、正面からのぶつかり合いではルワンに分があるとマシロは見ている。

 ルワンのアビゴルバインのパワーは世界大会でも最強クラスと言っても過言ではない。

 去年もマシロは決勝トーナメントでルワンと当たっているが、その際には徹底してパワーを封じた。

 そうでもしないとアビゴルバインのパワーは一撃でマシロのガンダム∀GE-1を沈めかねないと判断したからだ。

 そうやって、完封して勝利したが、今年のアビゴルバインは更にパワーが増している。

 

「だが、エリカのセイバーの持ち味は変形機構による緩急の付いた動きだ。攻撃力自体は低くはないんだ。多彩な武器と機動力で揺さぶり一撃を与えればあるいは」

 

 エリカのセイバーガンダム・エペイストはベース機から残されている可変機構を持っている。

 アビゴルバインも変形は可能だが、変形時の機動力ではセイバーガンダム・エペイストに分がある。

 その上で、セイバーガンダム・エペイストは多くの近接戦闘用の武器と高い火力の火器も持っている。

 変形機構を活かした戦い方で上手くやれば、勝機は十分にあり得る。

 

「どちらに転ぶにしても、力を温存する事は出来ないだろうな」

「つまりは私達の前で色々と情報を出してくれると言う訳ね」

 

 両者の間の差は大きくはない。

 そうなって来れば次のマシロ戦を意識して実力を隠すと言う事は出来ない。

 このバトルはマシロの次の対戦相手を決めるだけでなく、マシロ達も次の相手の情報を手に入れる絶好の機会と言う事になる。

 両者が向き合いバトルが開始された。

 バトルフィールドは宇宙だ。

 単純な宇宙ではなく、周囲には大型の戦艦が何隻が破壊された状態で漂っている。

 バトルが開始されて、セイバーガンダム・エペイストが先制攻撃を放つ。

 

「捕捉されたか……だが、当てる気のない攻撃など」

 

 先制攻撃だが、ルワンは冷静に対処する。

 攻撃その物は、アビゴルバインにダメージを与える物ではない為、落ち着いて対処すれば問題はない。

 

「しかし、思い通りにさせる気はない!」

 

 アビゴルバインは腕部のビームガンで反撃する。

 セイバーガンダム・エペイストはビームで牽制を入れながらモビルアーマー形態で一気に接近しようと目論んでいたが、アビゴルバインの攻撃を防ぐ為にモビルスーツ形態に変形してシールドで防ぐ。

 

「そう簡単にはいかないよな」

 

 セイバーガンダム・エペイストはアムフォルタスを放つが、アビゴルバインは戦艦の残骸を盾にして、残骸の影から出た瞬間にビームガンを撃ち込んですぐに隠れる。

 

「くっそ……残骸が邪魔で」

 

 アビゴルバインが戦艦の残骸の影に隠れているせいで、エリカは相手の位置を大まかでしか分からないでいた。

 すると、残骸の影からミサイルが飛び出して来る。

 

「ちっ!」

 

 セイバーガンダム・エペイストはすぐに後退しながら、頭部のバルカンでミサイルを迎撃する。

 だが、ミサイルの飛んで来た方向とは別方向からアビゴルバインがビームサイズを持って飛び出して来る。

 

「ミサイルは囮か!」

 

 気づいた時にはアビゴルバインは自分の間合いに持ち込んでいた。

 

「これで!」

 

 アビゴルバインがビームサイズを振るい、セイバーガンダム・エペイストはギリギリのところでシールドで防ぐ。

 何とかシールドで防ぐ事は出来たが、シールドにはビームサイズにより傷つけられた後がくっきりと残っている。

 セイバーガンダム・エペイストは追撃をさせないためにソードライフルを連射する。

 

「良い反応だ。流石はここまで勝ち抜いて来た事はある。女子供とはいえ油断は禁物か」

 

 アビゴルバインはビームを回避しながら距離を取る。

 

「やっぱ、世界大会常連は強いな」

 

 ルワン・ダラーラと言えば、マシロですらも正面対決を避けたパワーが売りと言う印象が強かったが、実際に戦って見るとバトルフィールドを活かした戦い方や相手の動きを冷静に分析して来るなど、パワー一辺倒ではない事を実感させられる。

 

「でも……マシロ程じゃないんだ。この人の勝たないとマシロに勝つなんて出来る訳が無い!」

 

 セイバーガンダム・エペイストはアムフォルタスを連射する。

 

「自棄を起こしたか? 違うな。この程度で自棄を起こすとは考え難い……成程、そう言う事か」

 

 アムフォルタスをアビゴルバインは回避に徹していたが、その間にルワンがエリカの狙いに気が付く。

 高出力のビームであるアムフォルタスなら戦艦の残骸を破壊する事も出来る。

 連射する事で次々と残骸を破壊して、アビゴルバインが隠れる場所を潰すのがエリカの狙いだった。

 それによりバトルフィールドを活かした戦いをさせない事で、経験の差を出させないようにした。

 

「面白い! 私に真っ向勝負を挑んで来るか!」

「生憎と細かい事を考えるのは苦手でね!」

 

 セイバーガンダム・エペイストはバスターソードを貫くと、アビゴルバインに突撃する。

 アビゴルバインもビームサイズを持って、迎え撃つ。

 2機はぶつかり合うが、やはりパワーではアビゴルバインに分があるようで簡単に押し戻される。

 だが、セイバーガンダム・エペイストは至近距離でアムフォルタスを撃つ。

 ビームを回避している間に、セイバーガンダム・エペイストは体勢を立て直してアビゴルバインに向かって行く。

 

「だから突っ込む!」

「良い覚悟だ!」

 

 セイバーガンダム・エペイストのバスターソードをアビゴルバインがビームサイズで受け止める。

 だが、今度はパワーで圧倒される前に、脚部のグリフォンビームブレイドで蹴り上げる。

 

「パワーで勝てなくても!」

 

 今更、アビゴルバインにパワーで勝とうとは思っていない。

 パワーで負けていても、セイバーガンダム・エペイストには接近戦で使える多彩な武器がある。

 それを最大限に使えば、パワーの差を補う事も出来る。

 セイバーガンダム・エペイストの蹴りを、バスターソードを押し戻して、そのままビームサイズで受け止める。

 すぐにセイバーガンダム・エペイストは左腕のシールドを突き出して、アビゴルバインは腕で受け止める。

 

「このバトルに勝って!」

「負けられない理由は私にもある!」

 

 アビゴルバインはセイバーガンダム・エペイストを膝蹴りで弾き飛ばすとビームガンを連射する。

 セイバーガンダム・エペイストはシールドで防ぐが、序盤でビームサイズを受けた時の損傷もあって数発で破壊されてしまう。

 

「シールドが!」

 

 シールドが破壊された衝撃で体勢を崩したところを、ルワンは見逃さない。

 アビゴルバインはビームサイズをしまう事無く、手放してすぐに距離を詰める。

 勢いをつけて、アビゴルバインは渾身の一撃を撃ち込む為に拳を握りしめる。

 セイバーガンダム・エペイストはバスターソードを盾にして待ち構えている。

 

「これで!」

「耐えてやるよ!」

 

 アビゴルバインの渾身の拳をバスターソードで受け止めるセイバーガンダム・エペイストだったが、バスターソードは耐え切る事が出来ずに刀身は粉々に破壊された。

 

「まだ!」

 

 何とか頭部のバルカンでアビゴルバインを攻撃するが、ルワンは怯む事無く一気に畳み掛ける。

 もう片方の手でセイバーガンダム・エペイストの胴体にアビゴルバインは重い一撃を入れた。

 

「ここまでかよ……」

 

 その一撃でセイバーガンダム・エペイストは戦闘不能となって勝負は決まった。

 

「良いバトルだった」

「どうだか。終始押されてた気もするけど」

「だが、君は臆する事なく向かって来た。その勇気は賞賛に値する」

 

 バトルはあっさりとルワンの勝利で終わった。

 だが、エリカは果敢にもルワンと正面からぶつかった。

 だからこそ、バトルに勝ったルワンはエリカの健闘を称えて手を差し出す。

 

「来年はマシロだけじゃなくて、アンタにもリベンジするから」

 

 エリカは差し出された手を握り返す。

 

「いつでも挑戦は受けるさ」

「その前にマシロとだけど、勝算は? あいつは出鱈目に強い」

「分かってるさ。私も去年に味わっている。だからこそ、勝つ為の秘策を用意して来た」

 

 去年は一方的にマシロにしてやられた。

 常にこちらの先を読んだ戦いをして、それに対処しようとするとすぐに手を変えて来る。

 そうやって翻弄して、結局は何も出来ずに敗北した。

 その敗北を糧にルワンはマシロに対する策を用意して来ている。

 

「今年は私が勝つ」

 

 バトルが終わり、負けこそはしたが、健闘したエリカとバトルに勝利したルワンに対して観客達は惜しげない歓声と拍手を送った。

 

「順当にルワン・ダラーラが勝ったようね」

「そうだな。最後の一撃を見れたのは大きい」

 

 エリカのルワンのバトルはマシロにとって有益な情報をもたらした。

 特に最後の決め手となった一撃を見れたのは最大の収穫だ。

 

「あれなら当初のプランに変更は無しで構わないな」

「そうね。後はマシロが上手くやるだけよ」

 

 ルワンとエリカのどちらが勝ち上がっても良いように事前に両者に対する策はレイコが考えていた。

 このバトルを見る限りでは対ルワン戦の作戦に変更はない。

 

「やって見せるさ。アイツに出来て俺に出来ない訳が無い」

「次がそのありすのバトルね」

 

 対ルワン戦ではいつもとは違う事をしなければならない。

 それが上手く行くか否かでは勝敗に大きくかかわって来る程だ。

 だが、ありすは次のバトルでそれをやって見せると言う事が、レイコが掴んだ情報の中にあった。

 ありすを毛嫌いしているからこそ、マシロはありすがやって自分が出来ないと言う事は我慢できない。

 

「精々見させて貰うさ」

 

 ありすの事は気に入らないが、ありすの技術を盗むと言う事に躊躇いはない。

 だからこそ、午後からのバトルも茶番と知りつつも、観戦を決め込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 エリカとルワンのバトルが終わり、バトルシステムや会場の整備が終わり、午後からのありす対フェリーニのバトルが始まろうとしていた。

 すでにありすは会場入りしているが、開始時間が迫る中、ありすの対戦相手のフェリーニは中々姿を見せない。

 もうすぐバトルの開始時間となるが、フェリーニが姿を見せない事で会場もざわめきつつあった。

 同時に大会のスタッフたちもバトルが始められずに焦り出している。

 このまま、バトルが行われないかとも思われるが、ギリギリのところでフェリーニが会場入りする。

 

「何とか間に合った」

 

 フェリーニは余程急いで来たのか軽く息切れをしている。

 それだけではなく、普段からいつでもナンパを出来るように身だしなみには気を付けているフェリーニだが、今日は余り気にしてはいないようだった。

 よれよれの上着に目の下にもクマが出来て明らかに寝不足と言った感じだ。

 

「悪いな。お嬢ちゃん」

「気にしないで良いですよ。お兄さん」

 

 ありすはフェリーニに笑顔を向ける。

 普段なら軽く口説くところだが、フェリーニはGPベースをバトルシステムにセットして、ガンプラを置いた。

 フェリーニのウイングガンダムフェニーチェは左右非対称と言うのが特徴的だったが、置いたガンプラは完全に左右対称となってる。

 元々、フェリーニがバトルで壊れる度に、その部分を直して行った結果、左右非対称となったと言う経緯があった。

 去年からフェリーニはウイングガンダムフェニーチェをより完全な姿にする為に改造プランを構想していた。

 一年かけてある程度は構想をまとめ、新規で制作する分にはすでに制作を終えていた。

 後は、本体の改修作業だけだったが、世界大会の期間中と言う事もあって、中々手を付ける事が出来なかった。

 だが、レイジとセイとのバトルで大破した事で、この基に修理だけではなく、全面改修を行った。

 昨日の決勝トーナメントの初日とそれまでの3日間の4日間を徹夜で改修作業を行って完成させたのが完全版フェニーチェであるガンダムフェニーチェリナーシタだ。

 

「重ね重ね悪いが、今日の俺は容赦ないからな」

 

 幾ら女好きだろうと、世界大会と言う大舞台である為、相手が女子供だろうと手を抜く気は無い。

 それが新しくなった相棒の初陣なら尚の事だ。

 そして、バトルが開始される。

 バトルフィールドは岩山だ。

 

「まずは挨拶代りに!」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタはバスターライフルカスタムから新しく下部のハンドライフルが改造されたリナーシタライフルのバスターライフルを放つ。

 ありすのジム・ダガーは高度を落として回避すると、バックパックのレールガンで反撃する。

 だが、ガンダムフェニーチェリナーシタはバード形態に変形して回避する。

 修理の中でウイングガンダムフェニーチェはウイングガンダムのバード形態への変形機能を失っていた。

 今回の全面改修にあたり、バード形態への変形機能も復活させた。

 

「早ーい」

「当然だ。じっくり行くのも得意だけど、早いのも得意なんでね」

 

 バード形態のまま一気に加速してジム・ダガーとの距離を詰めてモビルスーツ形態に変形すると、リナーシタライフルを振るう。

 新しくなった下部のハンドガンは先端から幅の広いビームサーベル出すことが出来る。

 ビームサーベルをジム・ダガーは左腕のビームシールドで受け止める。

 

「もう……強引なんだから」

「多少強引じゃないと口説けない相手ってのも居るんでね」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタはジム・ダガーを弾き飛ばす。

 ジム・ダガーはビームライフルで反撃するが、ガンダムフェニーチェリナーシタは両肩のビームマントを使って攻撃を防ぐ。

 そして、ハンドライフルを連射する。

 

「流石は俺の相棒ってところだ!」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタはバスターライフルを放ち、ジム・ダガーはビームシールドで受け止めようとするも防ぎきれずに左腕が吹き飛ぶ。

 

「今日の俺はメイジンをも凌駕しそうだ!」

 

 フェリーニは徹夜明けと言う事もあるが、全面改修したガンダムフェニーチェリナーシタが自分の予想通りの出来と言う事もあってハイになっている。

 ジム・ダガーはビームライフルを捨てて、右腕のガトリング砲で応戦するが、ビームマントを展開して距離を詰める。

 

「しつこいよ! お兄さん!」

 

 懐に飛び込もうとする、ガンダムフェニーチェリナーシタに対して腰のレールガンを撃ち込むが、ガンダムフェニーチェリナーシタはギリギリのところでシールドをねじ込ませていた。

 至近距離からのレールガンはシールドを弾き飛ばしたが、ガンダムフェニーチェリナーシタにはダメージを与える事は出来ていない。

 ジム・ダガーは脇の対艦刀を貫くが、すでにガンダムフェニーチェリナーシタはリナーシタライフルのハンドガンを持ち替えていた。

 対艦刀の一撃をビームマントで受け止めると、ハンドライフルからビームサーベルをジム・ダガーに突き刺した。

 その一撃が決めてとなり、バトルはフェリーニの勝利で終わった。

 

「皆……応援してくれたのに負けちゃった……」

 

 バトルが終わり、ありすは涙ながらに観客席のファンに謝るが、ありすを責めるところか手加減をする事無く攻めたてたフェリーニへの野次が殆どだ。

 ありすにとっては全てが想定通りの展開となっている。

 ここまで勝ち上がればこれ以上は変にありすのイメージを付ける為、この辺りが幕引きだ。

 だが、負け方によってはイメージが悪くなるが、ありすの対戦相手のフェリーニは過去にも世界大会に出場している常連の一人だ。

 そんな相手に負けるのであれば、ありすが大人げない相手に一方的に倒されたとして、悪役をフェリーニに押し付けてありすは悲劇のヒロインとなる。

 

(何なんだ……今のバトル。なんかすっきりしねぇ)

 

 普段なら野次を飛ばす相手に言い返すところだったが、フェリーニはそれどころではなかった。

 ガンダムフェニーチェリナーシタの性能は申し分もない。

 この出来なら次のメイジンを相手にでも十分に戦えると思えるくらいにだ。

 そのガンダムフェニーチェリナーシタを自分は完全に扱えていた。

 その上で初戦を難なく勝ち抜いたのにフェリーニはすっきりとしなかった。

 ありすは上手く誤魔化してはいたが、実際にバトルしたフェリーニは無意識の内にありすが手を抜いてわざと負けたと言う事を感じていたのだろう。

 だからこそ、勝利時の高揚感を感じる事が出来ずにすっきりしないのだろう。

 真向勝負により勝利したルワンと意図的に勝ち上がる事となったフェリーニが次のマシロとメイジンの対戦相手となり、二日目のバトルも終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 2日目が終わり日が落ちた。

 3日目はアイラのバトルがあるが、アイラの対戦相手との実力差はバトルが始まる前から歴然で午前中のバトルはアイラの勝利は固い。

 午後からはどちらも日本代表であり、大会最年少のファイターでもあるセイ、レイジ組とマオとのバトルだ。

 

「まだ起きてたのか?」

「うん。明日はバトルだからね」

 

 セイは明日のマオとのバトルに備えてスタービルドストライクの調整をしていた。

 フェリーニとのバトルでボロボロになったスタービルドストライクだが、セイの手によって完全に修復されていた。

 それだけではなく、マシロとのバトルを経て、見た目にこそ変化はないが若干の改造を施してもある。

 あの日、一度は喧嘩した二人だが、あの後、レイジもセイを見返す為にガンプラを作ってバトルした事でセイの自分のガンプラがバトルで壊れる気持ちを知り互いに互いの気持ちを知った事で和解した。

 和解した事で互いの事を更に理解を深めて絆が強くなったように思えた。

 

「マオ君は強い。だから出来る事は今の内にやっておかないと」

 

 元々、同年代に同レベルのビルダーがいなかったセイにとってはマオはビルダーとして最大のライバルだ。

 そのマオと明日、バトルする事になった。

 その為、出来る事は全てやっておかないと落ち着かないのも無理はない。

 

「それは分かってるけどよ。あんまり無茶すると持たないぞ」

「大丈夫。バトルするのはレイジだからね。僕の役目はレイジが万全の状態で戦えるようにする事だから」

 

 マシロとバトルした事で世界レベルで戦うと言う事がどういう事なのか少し分かった気がした。

 だからこそ、レイジの負担を少しでも減らす為に、セイは躍起になっている。

 最悪自分が倒れても、レイジが自分の実力を全て発揮できれば問題はないと言う程にだ。

 そうして、レイジはマオに勝ってくれるのであれば、ビルダーとしてはこれ以上の事は無い。

 

「なら、セイもちゃんと休めよ。俺はバトルになると前しか見えないし、ガンダムの知識もない。だから、マオや他のファイターに勝つ為にはお前が必要だからな」

 

 レイジは性格的に周りを見る事よりも目の前の相手に集中しがちだ。

 フェリーニはバトルフィールドの地形を把握して活かしたバトルをする事はレイジには出来ない。

 だからこそ、熱くなるレイジをセイが周囲の状況を把握してサポートをしなければこれからのバトルを勝ち抜くのも厳しい。

 

「レイジ……そうだね」

 

 ビルダーとしてガンプラを万全な状態でレイジに託す以外にも、レイジに必要とされることはセイにとっては嬉しい事だ。

 それがコンビを組んで戦う事なのだろう。

 一人では出来ない事でも二人なら出来る。

 だからこそ、去年までは地区予選で一回戦も勝ち抜けなかったセイが世界大会の決勝トーナメントにまで勝ち進んでいる。

 全てはレイジと出会って、レイジと組んだからだと思っていたが、そうではなかった。

 レイジもまた、セイと組む事でセイの高性能のガンプラを使えると言うだけではなく、セイと組んだからこそ自分の負けはセイの負けでもある。

 セイの信頼を裏切りたくはないと言う思いは一人で戦う時よりも力となる。

 

「明日は勝とう」

「当然だ。明日だけじゃない。最後まで勝つんだよ。俺達はな」

 

 明日の相手のマオは強い。

 だが、レイジと二人なら勝てる気がした。

 そんな思いを胸にセイとレイジは明日のマオとのバトルに挑む。

 

 

 

 

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