ガンダムビルドファイターズ White&Black   作:ケンヤ

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Battle54 「ラストシューティング」

 

 

 

 

 世界大会準決勝第二試合にてメインスタジアム地下の大型アリスタが暴走を始めた。

 ユキネの思惑もあり、世界大会ファイナリスト達が大型アリスタを破壊する為に大型アリスタを目指してア・バオア・クーを目指す。

 11機のガンプラがア・バオア・クーに向かおうとするが、ア・バオア・クーから大量のガンプラが迎撃の為に出て来る。

 マシタが言うには全部で10万程のガンプラが用意されていると言っていたが、出て来たガンプラは精々数千と言ったところだ。

 それでも数の差は圧倒的だった。

 

「あんなガンプラは見た事もない!」

「アレはモック。PPSE社で開発したコンピュータ専用の無人機だ」

 

 出て来たガンプラはどのガンダム作品にも登場しないPPSE社のオリジナルガンプラ「モック」だ。

 見た目に派手さはないが、頭部と武装に違いがある。

 

「性能はさほど高くはない。すぐにデータを送る」

 

 モックを知るアランから各ファイターへとモックとその武装データが送られて来る。

 元々、モックはコンピュータ戦で使う事を前提にしている為、最低限のバトルが出来れば良く性能は高くはない。

 その分、頭部と武装のバリエーションで飽きさせないようにしてある。

 だが、性能は大したことは無くとも、これだけの数が居れば性能の差など関係はない。

 

「一番槍はワイとガンダムX魔王が貰いましたよ!」

 

 ガンダムX魔王がハイパーサテライトキャノンを構えて飛び出す。

 このステージにも月はないが、大型アリスタが暴走している為、ハイパーサテライトキャノンを使う為に集める粒子は大量にある。

 その為、チャージ時間は普段よりも格段に早い。

 ガンダムX魔王がモックの大軍にハイパーサテライトキャノンを撃ち込む。

 世界大会の出場者のガンプラの中でも最大級の火力を持つハイパーサテライトキャノンにより、射線上のモックは次々と破壊されている。

 掃射が終わると、モックの大軍にぽかりと穴が開くが、すぐにモックにより穴が埋め尽くされる。

 

「もういっちょ!」

 

 二発目のハイパーサテライトキャノンを撃ち込むが、モックの数を減らしても焼石に水でしかない。

 先制攻撃こそしたが、圧倒的な数を前に大した意味を成さない。

 ア・バオア・クーに接近して行くとやがて、モック達の射程に入る。

 モック達が一斉に攻撃を始めた事で一斉に回避行動を取る。

 数の暴力を前に、とにかく回避しなければ被弾する為、連携を取る暇さえない。

 そうしているうちに次第に孤立させられていく。

 

「このままでは各機撃破され兼ねない……しかし」

 

 アメイジングエクシアはアメイジングGNソードでモックを切り捨てる。

 圧倒的な戦力差がある為、多少強引にでも11機が一丸となって、ア・バオア・クーに突撃して1機でも内部に入り込んで大型アリスタを破壊出来れば良かったのだが、完全に分断されている。

 何機かとは連携が取れそうだが、分断されては各個撃破されかねない。

 

「この数を前にしてはな……」

 

 1機の戦闘能力は高くはないが、ここまで数が揃うと目の前の敵を倒して前進し続けるしかない。

 だが、武装が最低限しか装備して来てはいないアメイジングエクシアでは思うように前進が出来ない。

 

「タツヤ!」

「ジュリアン先輩!」

 

 近くいたジュリアンのガンダムF91イマジンがビームライフルでモックを撃ち抜く。

 アメイジングエクシアもアメイジングGNソードをライフルモードにして左腕のGNバルカンと共に連射してモックを撃墜する。

 

「他のファイター達は?」

「分からない。だけど、他のファイターを気にしている余裕は僕達にはないよ」

「確かに」

 

 他のファイターとは通信を使えば状況を確認する事は出来る。

 しかし、この状況で余所見が出来るだけの余裕は誰にも無い。

 無用な通信は逆に他のファイターたちの邪魔になり兼ねない。

 

「僕が援護する」

「お願いします!」

 

 ガンダムF91イマジンがビームライフルを連射して、アメイジングエクシアがアメイジングGNソードを展開して切り込んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モックの大軍を前にファイター達は完全に分断されてしまった。

 それでも前に進まなくてはならない。

 

「たく……こういうごりゃごりゃしたバトルは苦手だってのに……」

 

 セイバーガンダム・エペイストはソードライフルをライフルモードで連射する。

 エリカのセイバーガンダム・エペイストは多数の格闘戦用の武器を持つ近接戦闘型のガンプラだ。

 一対一でのバトルを得意とし、多数との敵とのバトルは余り得意ではない。

 モックの攻撃を回避しながら、アムフォルタスを放つ。

 

「こんだけいたらこっちの機動力が活かせない!」

 

 変形して一気にア・バオア・クーに近づきたいが、数が多すぎる為、小回りの利かないモビルアーマー形態は使えない。

 攻撃を回避しながら、脚部のグリフォンビームブレイドでモックを蹴り壊すと背後からヒートソードを持ったモックに接近される。

 ヒートホークがセイバーガンダム・エペイストを捕える前に、アビゴルバインがモックを殴り飛ばす。

 

「大丈夫か?」

「何とか」

 

 アビゴルバインが両腕のビームガンで弾幕を張る。

 

「友軍と合流できたのは良いけどよ」

「言いたい事は分かる。だが、この状況だ。贅沢も言えないな」

 

 エリカのセイバーガンダム・エペイストもルワンのアビゴルバインも同じ接近戦を得意としたガンプラだ。

 欲を言えば、連携は中距離か遠距離での火力支援が行えるガンプラとやれれば良かった。

 その方が互いに連携が取りやすい。

 どちらも似たようなガンプラである為、必然的に2機で突撃するしか方法はない。

 

「だよな。アタシの方が火力は高いから、アタシが援護する。つっても、援護は苦手だから余り期待すんなよ」

「この状況で援護が受けられるのならば文句はないさ!」

 

 アビゴルバインはビームサイズを持ち突撃すると、セイバーガンダム・エペイストがソードライフルを連射しながら援護する。

 

 

 

 

 

 分断されて殆どは前進しながらも、友軍との合流を目指す中、フェリーニのガンダムフェニーチェリナーシタはバード形態で単機で突撃していた。

 可変機能を持つガンダムフェニーチェリナーシタは機動力においては他のガンプラよりも高い。

 その機動力を活かして、先陣を切る事で後続機が少しでも消耗する事なく前進させる為だ。

 先陣を切って暴れていれば、後続機も自分を目指して終結も多少は早くなると言う目論見もあった。

 

「それにしても多過ぎだろ!」

 

 翼に内蔵されているミサイルでモックを破壊すると、ビームガンを連射する。

 バスターライフルならば、一気に撃墜する事も出来るが、マオのガンダムX魔王の砲撃ですら大した効果がない以上は使用制限のあるバスターライフルの使用はギリギリまで控えなければならない。

 モックからの攻撃をかわしながら、ガンダムフェニーチェリナーシタはア・バオア・クーに向かう。

 

「ちっ……どんだけいやがる!」

 

 近づくにつれて、分断された事である程度は分散されていたモックもガンダムフェニーチェリナーシタに集まり出している。

 流石にバード形態での接近に限界を感じて、ガンダムフェニーチェリナーシタはモビルスーツ形態に変形すると、バルカンとマシンキャノンで弾幕を張る。

 

「流石にコイツはキツイな。さっさと誰でも良いから来やがれってんだ!」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタはシールドで身を守りながら、ビームガンでモックを撃破する。

 

 

 

 

 

 

 

 大型アリスタの破壊に際して、コウスケは対大軍仕様として用意していたフルアーマーで今回のバトルにユニコーンガンダム・ノルンを投入していた。

 基本的に通常のフルアーマーユニコーンと変わらないが、3つのシールドはアームドアーマーDEとして、右手リボルビング・ランチャーが付いたビームマグナムを左手にはZ系のビームライフルを装備している。

 フルアーマーユニコーンガンダム・ノルンは両腕のアームドアーマーDEに付いている6基のビームガトリングガンでモック部隊を次々と撃墜して行く。

 

「こいつであそこまで行くのは難しい。ならば、少しでも敵を引きつけて数を減らす」

 

 フルアーマーユニコーンガンダム・ノルンは大火力と推力がある反面、小回りが利かない。

 その為、ア・バオア・クーに向かおうとしても、途中で被弾する事は確実だ。

 被弾して火器を失うくらいなら、始めからア・バオア・クーに向かう事をある程度は捨てて火器を短期間で使い切るくらいの勢いで、少しでもモックの数を減らして、モックの注意を引きつけた方が他のファイターがア・バオア・クーに取りつこうとコウスケは考えていた。

 

「とは言っても……」

 

 目論見通りにモックを引きつけてはいるが、幾ら撃ってもモックの数が減っているようには見えない。

 グレネードランチャーを全弾撃ち切って少しは身軽になる。

 そして、左手のビームライフルを高出力射撃モードのギロチンバーストで放つ。

 そのまま、ビームライフルを動かしてモックを破壊して行く。

 だが、モックはフルアーマーユニコーンガンダム・ノルンに取りつこうとして来る。

 

「数が多すぎる!」

 

 ビームマグナムを放ち、リボルビング・ランチャーからホップミサイルを使ってモックを掃討するが、モックが左右から襲い掛かる。

 片方をビームライフルで撃墜し、もう片方が別方向からのビームが破壊する。

 

「先輩!」

「アオイ君! 助かった!」

 

 フルアーマーユニコーンガンダム・ノルンの戦闘を見つけたアオイのビギニングガンダムB30がハイパーバスターライフルを放って、フルアーマーユニコーンガンダム・ノルンに取りつこうとしていたモックを一掃する。

 

「先輩、少し離れて!」

 

 ビギニングガンダムB30はハイパーバスターライフルを左右に向ける。

 そして、最大出力で放つとその状態で回転を始める。

 始めは横に回転していただけだったが、途中から縦や斜めの回転を加えて周囲のモックを次々と破壊する。

 

「流石だよ」

「いえ……少しお願いします」

「任せてくれ」

 

 ビギニングガンダムB30は最大出力のハイパーバスターライフルを長時間使ったため、すぐに大火力のビームは使えない。

 その為、今度はフルアーマーユニコーンガンダム・ノルンが前に出てビームガトリングガンでモックを破壊する。

 その間にビギニングガンダムB30はIFSファンネルでフルアーマーユニコーンガンダム・ノルンを援護しながら、ビームサーベルでモックを切り裂いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 投入されたガンプラの中で最も性能が低く、メインの装備に欠陥を抱えているアイラのサザビー改はモックを相手に劣勢を強いられていた。

 ロングビームライフルは連射し過ぎると銃身が持たない為、時間を空けてでしか使えない。

 欠陥を抱えていようと、失えば一気に戦闘能力が低下する。

 ロングビームライフルの使えない間を埋める為に拡散メガ粒子砲で対応する。

 幸い、拡散メガ粒子砲の方が多数の相手をするのに適している。

 

「何なのよ……こんなにも粒子が多いと見づらいじゃない」

 

 他のファイターには気にすることではないが、プラフスキー粒子を肉眼で見る事の出来るアイラにとっては、大型アリスタが暴走して生成されている大量の粒子のせいで回りの状況が見えにくい。

 その為、ファンネルもまともに使えず、粒子の流れから相手の動きを読む事も殆ど出来てはいない。

 

「だからって!」

 

 ロングビームライフルでモックを撃ち抜くと、拡散メガ粒子砲を放つ。

 

「アレは……レイジのガンプラ?」

 

 モックを撃墜していると、近くでも戦闘を行っているのが見えた。

 その動きから何となく、レイジのスタービルドストライクであると判断する。

 

「アイラか? 無事だったか」

「当然じゃない。アンタより先にやられる訳ないじゃない」

「言ってろ!」

 

 スタービルドストライクはスタービームライフルでモックを正確に撃ち抜く。

 

「アイラさん! こっちにビームを撃ってください!」

 

 アイラと合流したセイ達はアイラの方に通信を入れる。

 セイの指示の意味は分からないが、この状況で適当な事を言う訳がないと信じてロングビームライフルをスタービルドストライクに向けて放つ。

 そのビームをスタービルドストライクはアブソーブシールドで吸収した。

 モックの武器の中にビーム兵器を持つタイプも居るが、マシンガンやバズーカのように実弾系を持つタイプも大勢する。

 その中からビーム兵器をアブソーブシールドで吸収する事は難しい為、ディスチャージ用の粒子を溜める事が出来ずにいた。

 そこでアイラと合流した事で必要な粒子をアイラから受け取った。

 

「少し任せた!」

「全く……任せなさいよ!」

 

 スタービルドストライクがディスチャージシステムを使うまでの時間をアイラが稼ぐ。

 レイジに命令される事は少し面白くはないが、今はそんな事を考えている暇はない。

 このまま、ガンプラバトルが駄目になれば、マシロとちゃんとバトルする事が出来なくなる。

 サザビー改は拡散メガ粒子砲を放ってスタービルドストライクを守る。

 

「アイラ! 避けろよ!」

 

 サザビー改に守られていたスタービルドストライクはアブソーブシールドとスタービームライフルをアームで接続して、ディスチャージシステムのライフルモードを起動させる。

 砲撃形態のスタービームライフルから放たれたビームをプラフスキーパワーゲートが拡散させる。

 サザビー改も攻撃の直前に射線から離れて、射線上のモックを破壊する。

 だが、それでも簡単に数の差を覆すことは出来ずにモックの反撃を受ける。

 スタービルドストライクはかわしながらスタービームライフルで反撃するが、サザビー改の性能では完全にかわし切れずにシールドを使いながら防ぐ。

 攻撃を確実にかわして反撃を行うスタービルドストライクと攻撃をシールドで防ぎながらのサザビー改では足並みを揃えて前進する事は出来ず、次第に距離が出て来る。

 

「アイラ!」

「私の事は言いから行きなさい!」

 

 サザビー改はロングビームライフルでモックを撃ち抜く。

 機体性能に差がある為、サザビー改ではスタービルドストライクに付いて行くことは難しい。

 だからと言って、スタービルドストライクに合わせて貰う訳にはいかない。

 投入されたガンプラの中でもスタービルドストライクは総合的な性能はトップクラスだ。

 そんなスタービルドストライクを付きあわせる訳には行かなかった。

 

「……レイジ」

「分かってる! アイラ、やられんじゃねぇぞ」

「レイジこそ」

 

 ここでアイラを置いて行けば、アイラは単機で戦わなければならない。

 アイラのサザビー改の性能を考えれば、かなり厳しい。

 それでも前に進まなければならない。

 このバトルに負けてしまえば二度とガンプラバトルが出来なくなってしまうかも知れないからだ。

 

 

 

 

 

 

 各ファイター達がア・バオア・クーを目指す中、マオのガンダムX魔王はモックの殆ど来ない後方に控えていた。

 前に出れば出る程、モックの数が増える為、ハイパーサテライトキャノンが使い難くなる。

 ハイパーサテライトキャノンならば一撃で数百の敵を葬る事が出来る。

 数の差を覆すことは難しいが、それでも撃たないよりかはマシだ。

 後方からのハイパーサテライトキャノンの砲撃は前線で戦うガンプラ達の生命線でもある。

 ある程度の威力で撃てるようになった時点でガンダムX魔王はハイパーサテライトキャノンを撃ち込む。

 

「まだあんなに距離がある……」

 

 後方から戦場を見渡せるマオは仲間が戦闘をしている場所がモックを撃墜した時の爆発はビームの光でおおよそは見えている。

 それを見る限りではまだ、ア・バオア・クーまでの距離は遠い。

 中々、仲間の進撃が上手く行っていない事で少し注意が散漫となっていた為、モックの接近を許してしまう。

 

「やらせません!」

 

 完全に虚を突かれたマオだが、ニルスの戦国アストレイがサムライソードでモックを一刀両断する。

 

「ニルスはん!」

「マオ君は砲撃に集中して下さい。僕が露払いをします!」

 

 戦国アストレイは火器を持たず、遠距離攻撃はサムライソードを投げるか粒子の斬撃しか出来ない。

 その為、無理に前に出ずに一撃で多くの敵を薙ぎ払う火力を持つガンダムX魔王を守る事が最善と判断して、前に出ずに付近でガンダムX魔王にモックが取りつかないようにしていた。

 サムライソードを振るい粒子の斬撃でモックを破壊すると、チャージを終えたガンダムX魔王がハイパーサテライトキャノンを撃ち込む。

 

「くっ……戦力差があり過ぎる!」

 

 ハイパーサテライトキャノンで多くの敵を薙ぎ払ったところで、敵は失った戦力を補充するかのように増えて来る。

 始めから分かっていた事だが、11機のガンプラで10万の大軍を相手にするなど、始めから不可能も良いところだ。

 

「せめて、こちらにもっと戦力があれば……」

 

 数の差を性能で埋めるには無理がある。

 数の差を埋めるにはこちらも更にガンプラを投入する必要がある。

 だが、そう都合がよくこちら側の数が増える訳もない。

 ニルスも頭では分かっているが、口にする。

 

「そんな君たちに朗報があるのよね」

 

 突如、ファイター全員に対して、ユキネからの通信が入る。

 すると、ガンダムX魔王と戦国アストレイよりも後方からビームが飛んで来る。

 それも10や20と言う数ではない。

 

「なにがおきたんです!」

「増援?」

 

 同時に大量のガンプラが2機を追い越して、ア・バオア・クーへと向かって行く。

 ユキネもたった11機でマシロが来るまで持ち堪える事が出来るなど思ってはいない。

 ファイナリスト達はあくまでも先陣を切らしたに過ぎない。

 後から増援を送り込む予定だった。

 送り込む増援のファイターはこの会場には大量にいる。

 観客の殆どは少なからずガンプラバトルをやっているファイター達だからだ。

 そんなファイター達も非難してから遠隔操作で自分のガンプラを送り込んだ。

 

「これなら……」

 

 それでも1000機程である為、戦力差を埋めるには至らない。

 実力やガンプラの性能的にも戦力となり得るのはファイターは世界大会に出場して決勝トーナメントに進めなかったファイターくらいだ。

 まだ、会場に残っているファイターも居るが、100人にも満たない。

 しかし、絶望的な戦力差からの増援は先陣を切っていたファイター達にとっては何よりも心強い。

 ガンプラの未来を守る為に戦っているのは自分達だけではないと実感できるからだ。

 

 

 

 

 

 

 皆がガンプラの未来を守る為に戦っている頃、マシロは駅に向かっていた。

 公園で一晩を過ごしたマシロは取りあえず、新幹線に乗ろうとしている。

 町を歩いていると電気屋の前を通りかかる。

 ガラス越しにふと中を見ると店内の大型テレビで世界大会の様子が中継されている。

 軽く聞こえてくる声によれば、ファイナリストと観客が参加しての大規模な戦闘をしているらしい。

 世界大会を盛り上げる為のイベントバトルと言うらしい。

 決勝トーナメントは全世界にリアルタイムで中継されている。

 そんな状況でバトル中に中継を止めてしまえば、何かトラブルがあったと言っているようなものだ。

 そこでユキトの指示であくまでも事前に予定されていたイベントだと言い張って中継を続けていた。

 冷静に考えれば、バトル中にそんなイベントが始まる事はあり得ないが、向こうがイベントだと言い張っている以上はどうしようもない。

 現状さえ乗り切る事が出来ればクロガミグループの力なら適当に誤魔化して有耶無耶に出来る。

 そんな疑問よりもテレビを見ている視聴者は世界大会のファイナリスト達が圧倒的な物量差を前に懸命に戦うバトルの迫力に熱中している。

 バトルしているファイター達もまるで本当にガンプラの未来を賭けた戦いをしているかのような必死さが見ている者達を熱くしている。

 だが、マシロは軽く引っかかった。

 今日はタツヤとセイ、レイジ組による準決勝のバトルが行われる日だ。

 事前にそんなイベントがあるなら、ファイナリストの一人であるマシロの耳に入っていてもおかしくはない。

 しかし、そんな話しは全く聞いていない。

 

「……俺には関係のない事だ」

 

 軽く引っかかるものの、今のマシロにとっては関係のない事だった。

 ガンプラで大量の利益を得ようとユキトは画策している。

 その為、ガンプラ熱を盛り上げる為にこのようなイベントを独断で用意していたかも知れない。

 そもそも、ユキトが会場に居ると言うのに大会の成功に関わる程のトラブルが起きるとも考え難い。

 ならば、これは本当にイベントである可能性の方が高い。

 マシロはそう判断した。

 そう判断したマシロは駅へと向かった。

 現在の世界大会会場の事件はユキネがマシロをガンプラバトルの世界に引き戻す為に引き起こしたものだが、皮肉にもクロガミグループによる隠蔽工作によりマシロがその事態に気づく事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 増援により戦況は一気に変わった。

 モックが最大で10万機と言っても常にそれだけの数が居る訳ではない。

 今までは圧倒的な数の優位で押していたが、増援により数の優位は多少なりとも埋める事が出来た。

 それでも数の差は圧倒的だが、モック自体の性能は高くない為、ある程度の数が揃えば、ア・バオア・クーへと侵攻は一気に楽になる。

 

「まさか、これほどの増援が現れるとは……」

「それだけ皆がガンプラバトルを守ろうと言う意志があると言う訳だ」

 

 アメイジングエクシアがモックをアメイジングGNソードで切り裂く。

 切り込むアメイジングエクシアを的確にガンダムF91イマジンがビームライフルで援護する。

 圧倒的な戦力差には変わりはないが、多くのファイター達が自分達と同じようにガンプラを守りたい気持ちを持っていると実感できて、この戦力差すらも覆せる気すら起きて来る。

 

「会長!」

 

 連携して道を切り開く2機に金色のターンXがビームライフルを撃ちながら近づいて来る。

 

「ゴンダか!」

「会長、ご無事で!」

 

 金色のターンXのファイターはタツヤの後輩でもあるゴンダ・モンタのガンプラだ。

 タツヤを慕うゴンダはタツヤのガンプラを探してここまで来たらしい。

 

「お供します!」

 

 アメイジングエクシアに追従するかのようにターンXはビームライフルを撃つ。

 その光景を見て、ジュリアンは状況も忘れて笑ってしまう。

 

「先輩?」

「済まない。時間は流れているんだと実感してね」

 

 3年間バトルを離れていたと言う事もあって、実力を付けたが、ジュリアンからすればタツヤは後輩と思っていた。

 だが、その3年間でタツヤは先輩となり、後輩から慕われれいる様子を見ると時間が経った事を実感する。

 

「僕と同じ良い後輩を持ったね。タツヤ」

「ええ」

 

 後輩の成長を嬉しく思うが、今はそんな事を考えている余裕はない。

 増援で戦況が変わったが、ア・バオア・クーの方でも動きがあった。

 今まではモックしか出て来なかったが、ア・バオア・クーからモック以外のガンプラも出て来るようになった。

 

「アレは……ジオング……じゃないみたいだね」

「ア・バオア・クーでジオングではなく、ネオジオングを持ち出して来るとは無粋にも程があるな」

 

 タツヤ達の方に向かって来たガンプラはガンダムUCに登場するネオジオン残党軍「袖付き」が最終決戦に投入した拠点防衛用モビルアーマーのネオジオングだ。

 

「来るぞ!」

 

 ネオジオングは肩の大型メガ粒子砲を使う。

 その巨体から繰り出されるビームの威力は圧倒的で周囲のガンプラを敵味方問わず破壊して行く。

 

「拠点防衛用としての性能をこんなところで味わう事になるとはね」

「無事か? ゴンダ」

「何とか……」

 

 ネオジオングに対して、アメイジングエクシアはアメイジングGNソードのライフルモード、ガンダムF91イマジンはウェスバー、ターンXはビームライフルで応戦するが、全て直撃こそしたが、ビームは弾かれた。

 

「Iフィールドか……」

「先輩のF91イマジンでも撃ち抜けないとなると簡単には行きそうもないですね」

 

 3機の中で、ジュリアンのガンダムF91のヴェスバーが最も威力の高い火器だ。

 その攻撃すらも通用しないのであれば、付近のガンプラの火器ではどうしようもない。

 

「だとすると接近戦か……」

「あの火力を相手に会長達でも無茶ですよ!」

「だが、ここで僕達がアレを仕留めなければ一気に殲滅されかねない」

 

 ネオジオングの火力と防御力、そして、今は殆ど動いていないが、巨体ながらもネオジオングの推力も相当な物だ。

 ここでネオジオングを避けたところで、逃げ切れるかは定かではない。

 その上、ネオジオングを野放しにして暴れさせると他の場所で懸命にア・バオア・クーに突入しようとしているファイター達にも危険が及ぶ。

 ここで全滅しようとも、ネオジオングを最低でも戦闘不能にしなければ危険だ。

 

「まだ、サイコシャドーソードを使っていない。使われる前に仕留める。僕とタツヤで仕掛ける。ゴンダ君は援護を頼む」

「……分かりました」

 

 圧倒的な火力を持つネオジオングに2機で仕掛ける事は、ゴンダには幾らタツヤの実力を信じていても無茶だとは思うが、二人は躊躇う事は無かった。

 ここでネオジオングを仕留める事が出来るのは自分達だけだからだ。 

 先陣はジュリアンのガンダムF91イマジンが仕掛けた。

 ネオジオングは両腕の有線式ファンネルビットを射出する。

 ガンダムF91イマジンは最大稼動状態となってファンネルビットを翻弄する。

 表面塗装が剥がれる事で起こる質量を持った残像にファンネルビットはつられてしまう。

 これがガンダムを知る人間ならそう簡単に引っかかる事は無いが、ネオジオングはコンピュータにより制御されている。

 ネオジオングのビームを回避しながら、ガンダムF91イマジンはネオジオングに接近する。

 

「バックジェットストリーム!」

 

 最大稼動状態でビームライフルを連射しながらガンダムF91イマジンはネオジオングの懐に入り込む。

 ビームライフルはIフィールドに阻まれるが、ガンダムF91イマジンはネオジオングのコアユニットであるシナンジュに取りついた。

 シナンジュは自身の腕部からビームサーベルを取り出して突き出すが、ガンダムF91イマジンはかわしてビームサーベルでシナンジュの片腕を切断する。

 そして、頭部のフェイスマスクが開閉し、口部のビーム砲をシナンジュに撃ち込む。

 シナンジュの部分には特殊塗装はされていなかったらしく、シナンジュはビームに撃ち抜かれる。

 その上で、ガンダムF91イマジンを狙っていたファンネルビットがビームを撃ち込んで来る。

 ガンダムF91はビームを回避して、ファンネルビットが撃ったビームは自身に直撃する事となった。

 圧倒的な火力を持つが故にIフィールドでは防ぎ切れなかった。

 

「タツヤ!」

 

 ジュリアンがファンネルビットを引きつけていたお陰でタツヤのアメイジングエクシアがネオジオングの懐に飛び込んでアメイジングGNソードを突き刺す。

 そして、そのまま下へと移動してネオジオングを切り裂いていく。

 

「先輩! ゴンダ!」

 

 ネオジオングの前面を切り裂いたところで、ガンダムF91イマジンとターンX、周囲のガンプラ達が一斉にネオジオングに集中砲火を浴びせる。

 アメイジングエクシアによって切り裂かれているネオジオングのIフィールドはすでに機能していない為、次々と被弾してやがては崩れ落ちて完全に沈黙した。

 

「流石は会長!」

「何とかなったが……」

 

 ネオジオングを撃破する事には成功したが、強引にネオジオングを切り裂いて破壊した為、アメイジングGNソードが限界を迎えてヒビが入っている。

 ライフルモードは使えるが、メインのソードモードでは戦えない。

 

「タツヤ。待たせたね。こんなこともあろうかとこいつを用意しておいた」

「アラン? アレは……」

 

 アランからの通信が入り、アメイジングエクシアを目がけてソレスタルビーイングがガンダムエクシアの支援機として用意したGNアームズが到着する。

 トランザムブースターの修理が追いつかない為、市販品にアメイジングエクシア用に手を加えたGNアーマータイプAEとして使える。

 

「助かる!」

 

 アメイジングエクシアはGNアーマーとドッキングする。

 手を加えているとは言っても市販品だが、GNアームズの火力と防御、機動力は今は有難い。

 

「タツヤ、それの機動力に僕達がついて行くのは厳しい。君は先行して道を切り開いて欲しい」

「分かりました。ゴンダ、先輩の援護を任せた」

「お任せを! 会長はぞんぶんに暴れて来て下さい!」

 

 GNアーマーとドッキングしたアメイジングエクシアは後方をジュリアンとゴンダに任せて、ア・バオア・クーに向けて先行する。

 

 

 

 

 

 

 単独で交戦するフェリーニは他のガンプラよりも先行している為、増援が来てもしばらくは単機で交戦していた。

 

「このままじゃジリ貧だぞ……」

 

 モックからの攻撃を回避しながら、ガンダムフェニーチェリナーシタはリナーシタライフルのハンドガンでモックを撃ち抜く。

 左右からヒートホークとビームサーベルを持ったモックが切りかかり、ガンダムフェニーチェリナーシタは両肩からビームマントを展開して受け止める。

 両サイドを抑えられて、前方のモックが唯一のオリジナル装備であるモックライフルを構えて、ガンダムフェニーチェリナーシタを狙っていた。

 

「ここまでかよ!」

 

 動きを封じられて流石のフェリーニもここまでかと諦めかけたが、前方のモックがビームにより蜂の巣となった。

 

「ずいぶんを言いようにされてるじゃないの」

「キララちゃん! 何で!」

 

 モックを撃墜したピンク色で塗装され頭部にブレードアンテナが付いているガーベラ・テトラがモックを撃墜したようだ。

 そして、そのファイターは世界大会の公式イメージアイドルであるキララだ。

 開催前夜のパーティーで知り合って以来何かとフェリーニとキララは縁があった。

 

「何でってこのままじゃガンプラバトルが危ないんでしょ? せっかくここまで来たのにこんなところで終わられると困るのよ!」

 

 キララは事務所の方針でガンプラアイドルとして売り出されている。

 その為に世界大会の地区予選に出場したが、セイとレイジに敗れていた。

 だが、何の因果か世界大会の公式イメージアイドルに抜擢された。

 自身の夢であるトップアイドルを目指す上でガンプラバトルが終わる事は避けたいらしい。

 

「その為ならこんなところにだって来てやるわよ!」

「たく……女ってのは強いよな」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタは片方のモックを蹴り飛ばして、ハンドガンで撃墜するともう片方のモックを頭部のバルカンを撃ち込みながらハンドガンからビームサーベルを出して突き刺した。

 

「ならよ。俺もイタリアの伊達男の異名が伊達じゃないってのを見せないとな」

 

 キララと合流した事である程度は楽となったが、ガンダムフェニーチェリナーシタの横を強力なビームが横切る。

 

「フェリーニ。俺も居るんだがな」

「グレコ! お前も来てたのか!」

 

 濃い緑で塗装され、トールギスⅢのメガキャノンを装備するトールギスはフェリーニのライバルであるグレコ・ローガンのガンプラ、トールギスワルキューレだ。

 グレコはアメリカ予選でニルスに敗北したものの、ライバルであるフェリーニが決勝トーナメントまで勝ち残ったと言う情報を聞きつけてわざわざアメリカから応援に駆け付けていた。

 フェリーニが敗北後も折角、日本まで来た以上は最後まで世界大会を生で見ようと日本に滞在していた。

 そして、ライバルの危機に駆けつけたと言う訳だ。

 

「こんな形で共にバトルをする事になるとはな」

「たまには良いんじゃないか?」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタはバスターライフルをトールギスワルキューレはメガキャノンを最大出力で放ってモックを一掃する。

 2機の砲撃を逃れたモックをガーベラ・テトラがビームマシンガンで落とす。

 すると、3機のガンプラの横を赤と紫で塗装された戦艦、リーンホースJrが横切る。

 

「あの戦艦……まさか」

 

 その独特のカラーリングにフェリーニは嫌な予感しかない。

 この世界大会で何度も同じカラーリングのガンプラと戦っている。

 

「何だ! その反応は折角、助けに来てやったと言うのに!」

「やっぱりお前か! チョマー!」

 

 リーンホースJrのカラーは予選ピリオドでフェリーニを執拗に狙っていたドイツ代表のライナー・チョマーが使用していたガンプラと同じだった。

 

「今日はお前をやり合っている暇はないぞ」

「ふん……俺達もお前を後ろから撃ってやりたかったさ……けど、この状況で後ろから撃つわけにもいかんだろ。だが、勘違いするなよ! お前の為ではなくガンプラの為だからな!」

「おっ……おう」

 

 そして、リーンホースJrから数機のガンプラが出撃して来る。

 どのガンプラもフェリーニには見覚えがあった。

 第二ピリオドのバトルロイヤルでフェリーニを苦しめたファイターのガンプラだ。

 

「行くぞ野郎ども!」

 

 あの時はフェリーニに彼女を奪われた憎しみでフェリーニに銃を向けてが、今は味方のようだ。

 だが、リーンホースJrから出て来たガンプラ達は瞬く間に撃破されてしまった。

 

「馬鹿な……」

 

 それを行ったのはたった1機のガンプラだった。

 ア・バオア・クーから出て来たガンダムエピオンがチョマー達のガンプラを一瞬で破壊した。

 そして、ガンダムエピオンはリーンホースJrに向かって行く。

 主砲で迎撃するが、ガンダムエピオンを捕える事が出来ない。

 

「こうなったら!」

 

 護衛のガンプラを失い主砲も当たらない以上、戦艦の行く末はガンダムを知る者なら誰でも分かる事だ。

 

「せめてお前だけでも道連れに!」

 

 リーンホースJrはビームラムを展開してガンダムエピオンに特攻する。

 どの道、取りつかれて終わるくらいなら相討ち覚悟でガンダムエピオンに特攻する道を選んだ。

 

「フェリーニ! 後は……」

 

 チョマーは憎き仇であるフェリーニに後を託そうとした。

 だが、次の瞬間、チョマーは固まった。

 後を託そうとしたフェリーニはかなり離れたところで、ガーベラ・テトラとトールギルワルキューレと共に交戦しており、こちらの事は全く見てはいなかった。

 これだけの乱戦でいつまでも同じところに留まっている訳が無かった。

 

「フェリィィィィニ!」

 

 そして、ガンダムエピオンがビームソードを最大出力で使い、リーンホースJrをビームラムごと真っ二つに切り裂いてリーンホースJrは沈んだ。

 

「チョマーの奴……何しに来たんだ?」

「考えるのは後だ。アイツが来るぞ!」

 

 リーンホースJrを沈めたガンダムエピオンはフェリーニ達を次の獲物に選んだ。

 

「とにかく撃ちまくるぞ! 近づけさせるな!」

 

 ガンダムエピオンは作中と同じで射撃武器を持っていない。

 近接戦闘では無類の強さを発揮するが、距離を取っていれば怖い相手ではない。

 3機が一斉に集中砲火を浴びせるが、ガンダムエピオンはモビルアーマーに変形すると一気に加速する。

 

「なんて機動力してんだよ!」

 

 集中砲火をかわしてガンダムエピオンは距離を詰めてモビルスーツ形態に変形する。

 そして、ビームソードを持ちガーベラ・テトラに切りかかる。

 ガーベラ・テトラは後退しながらビームマシンガンを撃つも、ガンダムエピオンはシールドで防ぎながらガーベラ・テトラを狙う。

 

「一番、弱い私を狙って来てる! 舐めんな!」

 

 ガーベラ・テトラを狙うガンダムエピオンをガンダムフェニーチェリナーシタとトールギスワルキューレが援護射撃を行うも、ガンダムエピオンに気を取られ過ぎていたと言う事もあり、逆にモック達の集中砲火を浴びる。

 ガンダムフェニーチェリナーシタはマシンキャノンで、トールギスワルキューレは通常射撃のメガキャノンで応戦する。

 その間にもガンダムエピオンにガーベラ・テトラは追い詰められていく。

 

「キララ!」

 

 ガーベラ・テトラが追い詰められて、ガンダムエピオンのビームソードに餌食になるかと思われた瞬間に別方向からの鞭が間を割る。

 

「あのグフは!」

 

 思わずフェリーニはバトル中だと言う事を忘れてしまう。

 本来陸戦用である筈のグフがそこにいた。

 大幅な改造を施してはあるグフをフェリーニは知っていた。

 

「青い巨星の……」

「どうやら間に合ったようだね」

「ラル大尉!」

 

 ラルさんの愛機、グフR35の参戦にフェリーニは子供のように目を輝かせていた。

 グフR35はガーベラ・テトラの前に来ると、両腕のフィンガーバルカンでガンダムエピオンを牽制する。

 

「フェリーニよ! 彼女は私に任せろ! 君たちはエピオンを頼む!」

「頼みます! グレコ!」

「ああ!」

 

 キララを狙われてしまうと、フォローに入らなければならないが、ラルさんが加わり、戦力の増強だけではなく、キララの援護を任せる事が出来る。

 そうする事で、フェリーニとグレコがガンダムエピオンの相手に集中できる。

 トールギスワルキューレがメガキャノンを最大出力で使い、ガンダムエピオンは回避する。

 だが、そこにはガンダムフェニーチェリナーシタが先回りしていた。

 リナーシタライフルからハンドガンを分離させて、ビームサーベルをして振り落す。

 ガンダムエピオンはビームソードで受け止めるが、後方からトールギスワルキューレが、通称射撃のメガキャノンで援護する。

 それをガンダムエピオンはガンダムフェニーチェリナーシタから距離を取ってかわすが、今後はガンダムフェニーチェリナーシタがバスターライフルを放つ。

 何とかシールドを使って防ぐも、その一撃でガンダムエピオンのシールドは破壊される。

 

「フェリーニ!」

「行くぞ!」

 

 そこにすかさず、トールギルワルキューレとガンダムフェニーチェリナーシタが多少の時間差をつけてビームサーベルで切り込む。

 シールドを失い、ガンダムフェニーチェリナーシタのビームサーベルは何とかビームソードで弾いたが、後から来たトールギルワルキューレの攻撃には対処しきれずに右腕を切り落とされた。

 

「今だ!」

 

 ガンダムフェニーチェリナーシタとトールギスワルキューレの同時攻撃で体勢を崩したガンダムエピオンをグフR35とガーベラ・テトラが集中砲火を浴びせる。

 自身を守る物を失っているガンダムエピオンは成す術無く、集中砲火を受ける事になる。

 それによってボロボロとなったところにガンダムフェニーチェリナーシタのバスターライフルと、トールギスワルキューレのメガキャノンが止めを刺した。

 

「何とかなったな」

「うむ。敵にも多くの増援が出て来ているらしい。油断は禁物だぞ」

「分かってます。今のでバスターライフルの残弾も使い切ってしまいましたからね」

 

 強敵であるガンダムエピオンを撃墜したが、ア・バオア・クーからはモック以外のガンプラも出て来ている。

 1機撃墜したところで戦局が傾く訳でも無い。

 その為、ガンダムエピオンを倒した余韻に浸る事も無く、先を目指さなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリカのセイバーガンダム・エペイストとルワンのアビゴルバインは強引に突破しようとするが、接近戦重視の2機では一度に撃墜出来る数も限られている為、中々思うように進む事が出来ない。

 アビゴルバインがビームサイズで2機のモックを同時に切り裂き、セイバーガンダム・エペイストがライフルモードのソードライフルでモックを撃ち抜く。

 

「ちっ……」

「余り焦るな。焦りはミスを誘発するぞ」

「分かってはいるけど」

 

 ルワンは冷静にモックを撃破して行くが、エリカの方は中々前に進めずに苛立って来ている。

 その苛立ちのせいで操作が多少荒くなっている事は目に見えて分かる。

 だが、ルワンもその気持ちが分からないでもない。

 他のファイター達はア・バオア・クーを目指して進撃しているが、自分達は殆ど出来てはいない。

 増援部隊でさえもかなり進撃している。

 

「今は確実に数を減らす。それが仲間たちの為にもなる」

 

 そう自分にも言い聞かせる。

 最前線で活躍できずとも、相手を1機でも落とせばそれだけで確実に敵の戦力を削る事が出来る。

 10万の数の前に1機程度は意味がないが、その1機の差が戦いを変えるかも知れないと信じるしかない。

 

「ルワンさん! アレ!」

「モビルアーマーか」

 

 前方でビームが飛び交う様子が見えた。

 ビームの出力からモビルスーツではなくモビルアーマーだと推測できた。

 

「相手がモビルアーマーだってんなら、アタシ等の出番だよな」

 

 一般的にモビルアーマーはモビルスーツに比べて火力、防御力、推力が高い傾向にある。

 それの上でIフィールドのような防御機能を持つ場合が多い。

 そう言う時に二人のような近接戦闘型のガンプラなら、Iフィールドに影響を受けずに戦える。

 

「そうだな」

 

 2機はモビルアーマー形態に変形すると、モックを撃破しながら向かう。

 二人が目指す先でデストロイガンダムがその猛威を振るっていた。

 長距離からの攻撃は陽電子リフレクターにより阻まれて、圧倒的な火力で周囲の敵を殲滅していた。

 そんなデストロイに対してビギニングガンダムB30がハイパーバスターライフルを放つ。

 だが、デストロイの陽電子リフレクターは貫けない。

 

「固い……」

「あの火力を使われたら、流石に前にでは出れないぞ」

「何でこんな時にエリカの奴はいないんだよ!」

 

 すでにアオイとコウスケは増援で駆け付けたレッカのビギニングガンダムRとタクトのフライルーと合流している。

 そんな所に、ア・バオア・クーから出て来たデストロイと遭遇した。

 二人以外にも何機か増援のガンプラはいたが、すでに二人を除いて全滅していた。

 デストロイを相手に砲撃戦では勝ち目は薄い。

 接近するにしても、ビギニングガンダムB30のIFSファンネルで守っても、レッカのビギニングガンダムRでは決定打にかける。

 エリカのセイバーガンダム・エペイストならバトルロイヤルでクィン・マンサを仕留めた時のようにデストロイも仕留める事が出来そうだが、ここにはいない。

 だが、戦闘を見つけたエリカとルワンがデストロイに攻撃しながら到着する。

 

「エリカさん!」

「アオイ! それにタクト達もいたのか」

「再会を喜ぶのは後だ。私達で仕掛ける。援護を頼めるか?」

「分かりました」

 

 セイバーガンダム・エペイストとアビゴルバインがデストロイに仕掛ける。

 デストロイはミサイルを大量に放って2機を足止めしとうとする。

 だが、フルアーマーユニコーンガンダム・ノルンとフライルーが弾幕を張ってミサイルを迎撃する。

 ミサイルが迎撃されて、デストロイは両腕をパージする。

 両手の指に内蔵されているビームで狙いを付けるが、ビギニングガンダムRがバーニングソードRを突き刺して一つを破壊し、もう一つをビギニングガンダムB30がハイパーバスターライフルで落とす。

 モビルアーマー形態だったデストロイがモビルスーツ形態に変形して胸部のビーム砲を撃とうとするが、その前にセイバーガンダム・エペイストのバスターライフルが胸部を切り裂き、アビゴルバインがビームサイズで傷口を広げる。

 連続攻撃にデストロイが怯んだところにビギニングガンダムB30がスノーホワイトを撃ち込む。

 体勢を崩しながら、デストロイは最後の悪足掻きで、口部のビーム砲を撃つも、それはIFSファンネルによって止められた。 

 最後の悪足掻きも失敗に終わったデストロイに対して周囲のガンプラが一斉にビームを撃ち込んで止めを刺した。

 

「一時はどうなるかと思ったけど、何とかなったな」

「お前は役に立たなかったけどな」

「うっさい!」

「タクト君もレッカ君も今はそんな事をしてる場合じゃないよ」

 

 レッカに喧嘩腰になりかけるタクトをアオイが諌める。

 タクトはレッカの言う通りそこまでの戦果を挙げている訳ではない。

 デストロイの砲撃からも自力と言うよりもアオイのフォローによって生き延びている。

 尤も、敵の数が多い事もあって、フライルーの火器を撃てば大抵、敵に当たる為、全く戦果を挙げていないと言う訳ではない。

 レッカもタクトも今は仲間内で争っている場合ではないと言う事は十分に理解している。

 アオイ達はエリカとルワンと合流して勢いを増して、モックの掃討に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガンプラの性能差からセイとレイジを先に行かせた後、アイラはひたすらモックを撃墜して前進していた。

 だが、流石に数の差はどうにもできず、所々に被弾の後が出来ている。

 相手の性能が大したことは無い為、多少の被弾でもバトルに支障が出る程ではない。

 ロングビームライフルでモックを撃ち抜くとサザビー改を黒い影が覆う。

 

「何なのよ。アレ……」

 

 ア・バオア・クーから出て来たガンプラの1機、ガンダムAGEに登場する大型自立モビルスーツであるシドだ。

 モビルスーツでありながら人型からは大きく離れた外観を持つシドが巨大な翼を広げていた。

 シドは普通のガンプラの数倍の巨体を持ちながら高い機動力を持っている。

 サザビー改が拡散メガ粒子砲を撃つが、シドは軽々と回避する。

 

「何で、あんなに大きくて動けるのよ!」

 

 シドの動きに合わせてロングビームライフルを撃つが、直撃こそしたが、シドの装甲を貫く事は出来ない。

 シドはビームライフルを一斉に放つ。

 サザビー改は回避しようとするが、シドの撃ったビームはサザビー改を追うように曲がった。

 

「曲がった!」

 

 アイラは懸命にビームから逃れようとするが、シドのビームは執拗にサザビー改を追い回す。

 やがて、ビームは正面からだけではなく、全方位からサザビー改を襲い、かわし切れずにロングビームライフルに直撃する。

 すぐにライフルを捨てるが、シドが撃っていたフェザーミサイルがサザビー改を襲う。

 サザビー改はシールドで身を守るが、片足に被弾してしまう。

 片足を失い体勢を崩したところにシドが止めを刺すべく6基のビームライフルをサザビー改に向けていた。

 流石にここまでかと覚悟を決めるが、シドにビームが直撃してシドが大きくよろける。

 

「次から次へと……」

 

 止めが刺されずに済んだが、手放しに喜ぶことは出来なかった。

 シドを攻撃したガンプラはデビルガンダム、明らかに味方とは思えなかった。

 

「たく……俺だよ」

「ガウェイン? 紛らわしい。それで何でこんなところに?」

「この状況で自分だけバックれれる雰囲気じゃないだろ」

 

 敵かと思われたデビルガンダムだが、デビルガンダムのファイターはガウェインだと知り一先ず安心した。

 

「それよりも、何でマシロが居ないの? アイツの性格なら嬉々として暴れそうなのに」

「知るかよ。昨日からアイツは見てないぞ」

 

 アイラもタツヤ同様にマシロがこの場にいない事は気になっていた。

 マシロはガンプラバトルに全てを賭けている事はアイラも知っている。

 そんなマシロがこんな状況で何もしないとは考え難かった。

 だが、ガウェインもマシロの事は何も知らないようだ。

 

「そう……ここは任せたわ」

「は? おい!」

 

 アイラはそう言い残してシドの相手はガウェインに押し付けて先を急ぐ。

 シドはサザビー改を追撃しようとするが、デビルガンダムが妨害する。

 

「マシロと言い……ガキが好き勝手にやりやがって!」

 

 アイラは完全にシドをガウェインに任せる気のようで、振り向く事も無くア・バオア・クーへと向かっている。

 文句を言いたいが、仕方が無くガウェインはシドの相手をする事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 単独でスタービルドストライクはア・バオア・クーに向かい最もア・バオア・クーに接近していたが、ア・バオア・クーの防衛網は前に進むにつれて強固となって行く。

 速度を緩めずにスタービームライフルでモックを撃ち抜き、左手のビームサーベルですれ違いざまにモックを切り裂く。

 

「後少しだってのに!」

 

 スタービームキャノンでモックを数機撃ち抜く。

 

「せめてディスチャージが使えれば……」

 

 これだけの乱戦となればRGシステムはその負荷から多少の被弾でも命取りになり兼ねない。

 必殺のビルドナックルも一体一でのバトルならともかく、多数の敵を当時に破壊する事までは考えてはいない。

 ディスチャージシステムを使えば一気にア・バオア・クーまでの道を切り開く事は出来るが、粒子が足りない。

 アイラにやって貰ったように仲間のビームを利用しようにも、周囲に友軍機はいない。

 かと言って、友軍のいる場所まで戻るか、友軍が追いつくまで待つと言う事も出来ない。

 せめて、前に進みながら友軍が追いついてくれるのを期待するしかない。

 スタービルドストライクはスタービームライフルを連射して、モックを破壊して行く。

 スタービルドストライクは汎用性に特化しているが、ディスチャージシステムなしでは殲滅能力はさほど高くはない。

 その為、一度に多くを撃墜する事は出来ない。

 今までは強引に突破して来たが、流石にここまで来るとそうはいかない。

 

「数ばかりごちゃごちゃと!」

 

 レイジがモックと戦っている間にセイはア・バオア・クーへと侵攻ルートを探す。

 出来るだけ、モックの数の少ない方向から向かいたいが、モックが次々とア・バオア・クーから出て来る為、どの方向から攻めても変わらない。

 

「このままじゃ……押し戻される」

 

 数が多くても性能が低い為、すぐに撃墜されると言う事はないが、このままではスタービルドストライクは数に圧倒されて押し戻される。

 だが、大量のミサイルがスタービルドストライクを追い越してモックを撃墜して行く。

 

「増援か!」

「アレは……ギャン! まさか!」

 

 両腕にミサイルシールドを装備し、独自のバックパックと細部の改造を施したギャンがミサイルシールドを掲げていた。

 

「勘違いしないでくれよ。そのガンプラはいずれ僕とこの最強のギャンであるギャンバルカンが倒すんだからね!」

「やっぱりお前か! サザキ」

 

 サザキはセイとレイジと同じブロックのファイターで、レイジが初めてバトルした相手だ。

 

「倒すって僕のガンプラの事は諦めたんだ」

 

 サザキはかつて、セイのビルダーとしての実力を高く買って、自分用のガンプラを作るように言って来た。

 だが、セイはサザキとは馬が合わずに断っていた。

 セイが世界大会用にビルドストライクを制作した際にはセイがバトルが弱いと言う事を知って上で、ビルドストライクを賭けてバトルを挑んできた。

 その際に途中からセイに代わって、セイに対する借りを返す為にレイジがバトルした事は二人のガンプラバトルの始まりだ。

 

「気づいたんだよ。そんな性能が高いだけのガンプラよりもこのギャンのシールドこそが至上だと言う事にね!」

 

 ギャンバルカンはミサイルシールドからミサイルを大量に発射する。

 セイがレイジと組んだ後もサザキはセイのビルドストライクに未練があったものの、当時使用していたギャンを改造して行く中で、ギャンの持つシールドの魅力に取りつかれたようだ。

 特定のシリーズや特定の機体を愛するだけではなく、ガンプラの特定の武器を愛する事もまた、ガンプラの楽しみの一つだ。

 ギャンバルカンはバックパックのガトリング砲とミサイルでモック達を殲滅して行く。

 

「やるな。アイツ」

 

 セイからすれば、過去にしつこく言い寄って来て、自分のガンプラを賭けで奪おうとした相手で余り好きにはなれないが、サザキの事をそこまで嫌っている訳でも無く、この場面での増援は素直に助かる。

 

「いかなる攻撃をも寄せ付けない究極の盾を持つ僕のギャンの勇士を……」

 

 モックを殲滅して行くギャンバルカンだったが、胴体をビームに撃ち抜かれてあっさりと撃墜された。

 

「ギャンバルカァァァァァン!」

「レイジ!」

「ああ……さっきまでの奴らとは違うな」

 

 増援のギャンバルカンが撃墜されてたが、その攻撃は明らかにモックの物とは威力が違った。

 セイとレイジは周囲を警戒する。

 すると、何もないと思っていた場所からビームが飛んで来る。

 とっさに回避行動を取った事でスタービルドストライクは被弾せずに済んだ。

 それを皮切りに全方位からビームが襲い掛かってくる。

 

「どうなってんだ!」

「これは……ファンネル? いや、ドラグーンだ!」

 

 何もないように見えるところからの攻撃。

 この攻撃でセイが真っ先に思いついたのがファンネルだが、モック以外ガンプラを見つけた事でそれがファンネルではなく、ドラグーンであると判断した。

 ガンダムSEEDでラウ・ル・クルーゼが登場したプロヴィデンスガンダムが大型ビームライフルを撃って来る。

 アブソーブシールドで吸収できるレベルの攻撃だが、周囲からドラグーンによる攻撃によって足を止める事が出来ない為、回避するしかない。

 

「くそ!」

「レイジ、本体を狙うんだ! 本体であるプロヴィデンスを倒せばドラグーンも止まる!」

「んな事言ってもよ!」

 

 本体を叩けばいいと言う事は分かるが、多数のドラグーンに加えてモックが居る為、早々プロヴィデンスを直接仕留める事は難しい。

 ドラグーンは小さい上に黒いだけではなく、宇宙では目立つ白い色のモックが居る為、余計に見辛くなっている。

 スタービルドストライクは足を止めずに、常に移動をしながらモックを撃墜して行く。

 その間にドラグーンの位置を特定しようとするが、ドラグーンは常に移動する為、位置を把握する事は難しい。

 

「イオリ君! レイジ君!」

「ユウキ会長!」

 

 プロヴィデンスと大量のモックに苦戦しているところに、GNアームズタイプAEとドッキングしたアメイジングエクシアが合流する。

 アメイジングエクシアはアメイジングGNキャノンを放つ。

 それによってドラグーン数基とモックを破壊する。

 アメイジングエクシアが合流した事で、プロヴィデンスの狙いにアメイジングエクシアが加わる。

 ドラグーンがモックと共にアメイジングエクシアに全方位から攻撃するが、アメイジングエクシアはGNフィールドを展開して防ぐ。

 

「GNフィールドを張れる僕がドラグーンを引きつける。君たちはプロヴィデンスを直接叩いてくれ」

「任せた!」

 

 アメイジングエクシアなら全方位からの攻撃に対してもGNフィールドで対処できる。

 その為、ドラグーンをタツヤに任せた。

 スタービルドストライクはビームサーベルを抜きながら、プロヴィデンスに接近する。

 プロヴィデンスは大型ビームライフルを撃ちながら、左腕の複合シールドの先端からビームサーベルを出して応戦する。

 2機は互いのビームサーベルを振るって切り合い、ライフルを撃ちながら距離を取ると再度、接近して切り合う。

 

「こんの!」

 

 プロヴィデンスは胸部のバルカンを撃ちながら、下がるとアメイジングエクシアに使っていたドラグーンを戻してスタービルドストライクを狙う。

 それを、スタービルドストライクはアブソーブシールドで吸収し、スタービームライフルでドラグーンを撃ち抜く。

 プロヴィデンスは大型ビームライフルを撃つが、ドラグーンを戻した事で余裕の生まれたアメイジングエクシアが間に割って入りGNフィールドで攻撃を防ぐ。

 

「レイジ君!」

 

 アメイジングエクシアが攻撃を防いでいる間にスタービルドストライクは先ほど吸収したビームの粒子を使ってディスチャージシステムを起動させていた。

 吸収した粒子の量が少ない為、出力は最低限でしか使えず、プラフスキーパワーゲートも小さい。

 スタービルドストライクはスタービームライフルをアブソーブシールドと接続せずに砲撃形態をとって構えていた。

 

「吹き飛べ!」

 

 その状態でプラフスキーパワーゲートを通して威力を強化したビームを放つ。

 通常のライフルモードと比べると威力は圧倒的に低いが、プロヴィデンスを射線上のドラグーンごと葬るには十分の威力はある。

 スタービルドストライクのビームがプロヴィデンスを一撃で葬り去った。

 

「これで先に進める」

「いや……まだ何か来るようだ。ここに来てモビルアーマーか!」

 

 タツヤと合流してプロヴィデンスを撃破した事で、ア・バオア・クーに向かう事が出来るかと思ったが、新たな敵がスタービルドストライクとアメイジングエクシアの前に現れる。

 ガンダムOOに登場する大型モビルアーマー、アルヴァトーレだ。

 

「アルヴァトーレ、また面倒な」

「それでもやるしかありません!」

「だな。何が出て来ても押し通るだけだ!」

 

 アルヴァトーレは大型ビーム砲の発射体勢を取る。

 それを見て警戒するが、別方向からのビームがアルヴァトーレを撃ち抜いた。

 

「パーフェクトガンダム!」

「あのガンプラは!」

 

 アルヴァトーレを撃墜したパーフェクトガンダムをセイは見覚えがあった。

 

「間に合ったようだね」

「やっぱり父さんのガンプラ!」

「父さん? まさか……イオリ・タケシさんか!」

 

 パーフェクトガンダムはセイが見覚えがあったように、セイの父親であるイオリ・タケシが制作した物で、当然ファイターも同じだ。 

 

「久しぶりの再会を喜びたいのは山々だけど。まだ、終わってないようだ」

 

 パーフェクトガンダムに撃墜されたアルヴァトーレから本体であるアルヴァロンが出て来る。

 

「話しは全てを終わらせた後だ」

 

 3機はアルヴァトーレから出て来たアルヴァロンと交戦を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 増援が現れて、戦局は変わりつつある。

 それでも数の差を埋めるには至らず、時間が経つにつれて序盤では敵の数の少なかった後方にもモックの数が増えて来ている。

 後方にはガンダムX魔王を中心として狙撃や長距離砲撃に特化したガンプラによって砲撃部隊が形成されている。

 

「はぁぁ!」

 

 戦国アストレイがサムライソードでモックを切り裂く。

 そして、粒子の斬撃を飛ばしてガンダムX魔王に接近するモックを破壊する。

 モックの数が増えた事で戦国アストレイが守っていたガンダムX魔王も自衛しなければならない場面が増えている。

 そのせいでハイパーサテライトキャノンによる砲撃の頻度が明らかに低下している。

 

「くっ……ここまで増えてるるとは……」

 

 両腕の腕でモックを掴み、別のモックに投げつける。

 ぶつかって体勢を崩したモックを別のガンプラが破壊する。

 

「流石にきつくなって来ましたわ」

 

 ガンダムX魔王はブレストバルカンでモックを落とす。

 前線に比べるとマシではあったが、ア・バオア・クーの方からのビームで後方の砲撃部隊の一画が打ち崩される。

 

「アレは……アシュタロンにヴァサーゴ! 向こうもサテライトキャノンを!」

 

 砲撃部隊に対してガンダムアシュタロンHCとガンダムヴァサーゴCBがサテライトランチャーを撃ち込んで来る。

 圧倒的な火力の差に砲撃部隊は一撃で壊滅的な打撃を受けてしまう。

 

「不味い! あの2機に好き勝手にさせていては!」

 

 2機のガンプラに気を取られていたせいで戦国アストレイは背後と取られるが、それを騎士ガンダムが破壊する。

 

「キャロライン!」

「油断は禁物ですわよ!」

 

 騎士ガンダムの援護で難を逃れた戦国アストレイは近くのモックを切り捨てる。

 

「余り無茶はしないように」

「分かってますわよ」

 

 とにかく、近くの敵をサムライソードで破壊するが、ガンダムアシュタロンHCとガンダムヴァサーゴCBを何とかしなければ砲撃部隊は完全に壊滅させられてしまう。

 砲撃部隊が壊滅させられると前線の支援が出来なくなる。

 

「とは言った物の……」

 

 ガンダムX魔王もハイパーサテライトキャノンを撃てる機会が減り、戦国アストレイや騎士ガンダムではあの2機に接近するのは難しい。

 下手にガンダムX魔王から離れると、ガンダムX魔王の守りが薄くなり、自分で身を守らせる事になる。

 そうなって来ると更にハイパーサテライトキャノンを撃つ機会が減る。

 更にタイミングが悪い事が重なり、サテライトランチャーを撃つ2機の他にガンダムXに登場する大型モビルアーマーのパトゥーリアが砲撃部隊を強襲する。

 パトゥーリアは有線ビーム砲で砲撃部隊のガンプラを破壊して行く。

 砲撃部隊も応戦するが、パトゥーリアの防御用フィールドジェネレーターの前に阻まれる。

 

「流石にパトゥーリアはあかんて!」

「あれから先に落とすしか!」

 

 砲撃に間が開くサテライトランチャーとは違いパトゥーリアの有線ビーム砲に発射のタイムラグは殆どない。

 このままではサテライトランチャーが撃ち込まれる前に、砲撃部隊が壊滅させられてしまう。

 戦国アストレイはパトゥーリアに向かおうとするが、多数の有線ビーム砲に邪魔をされる。

 何とかサムライソードでビームを切りながら自身の身を守るが、有線ビーム砲の数が多すぎる為、接近する事が出来ない。

 

「マオ君! サテライトキャノンは?」

「駄目です! もうちょい!」

 

 接近が駄目ならハイパーサテライトキャノンなら一撃でパトゥーリアを沈める事が出来るが、まだチャージが出来ていないようだ。

 接近戦も駄目で砲撃で仕留める事も出来ない。

 完全に手詰まりだった。

 

「まだまだ主らも未熟よの!」

 

 砲撃部隊のガンプラを破壊して行くパトゥーリアに一機のガンプラが突撃をしかけた。

 一部を金色に塗装したマスターガンダムだ。

 

「あのマスターガンダムは師匠! 無茶です! 単機で突撃やなんて!」

 

 マスターガンダムはマオの師匠である珍庵のガンプラのようだ。

 パトゥーリアは突撃して来るマスターガンダムに対して有線ビーム砲で迎撃する。

 だが、マスターガンダムは回転を始める。

 回転するマスターガンダムは有線ビーム砲を薙ぎ払って行く。

 その様子は流派東方不敗流の奥義の一つ、超級覇王電影弾を思わせる。

 マスターガンダムは有線ビーム砲を剥ぎ払い、パトゥーリアに突撃すると、パトゥーリアの装甲をぶり抜いて出て来る。

 そして、パトゥーリアを目がけて急降下しながら、パトゥーリアに蹴りを入れる。

 その蹴りによってパトゥーリアの巨体は真っ二つに避けていく。

 

「何だ……アレは……」

「流石師匠です!」

 

 武器も使わずにパトゥーリアを破壊する様子にニルスは軽く茫然とし、師である珍庵のバトルをまじかに見れてマオは目を輝かせている。

 

「何しとるん! マオは自分の役目をしぃ!」

「分かってますよ! 師匠!」

 

 パトゥーリアを珍庵のマスターガンダムが倒した事で砲撃部隊の壊滅は何とか食い止める事は出来た。

 それでも、砲撃部隊の被害は尋常で事実上、壊滅したも同然だ。

 だが、ガンダムアシュタロンHCとガンダムヴァサーゴCBが健在である以上は次にサテライトランチャーを撃ち込まれると、確実に砲撃部隊は壊滅するだろう。

 そうなればその2機は次は前線のガンプラを破壊に向かうだろう。

 味方への被害を無視すれば、サテライトキャノンはア・バオア・クーへと侵攻部隊に対して脅威となる。

 ガンダムX魔王はサテライトランチャーを撃たれる前に仕留める為にハイパーサテライトキャノンのチャージを急ぐ。

 その間にパトゥーリアを仕留めたマスターガンダムが次々とモックを破壊して行く。

 しかし、チャージは一足先にサテライトランチャーの方が早かった。

 サテライトランチャーはガンダムX魔王に対して放たれた。

 

「あかん!」

「やらせはしません!」

 

 放たれたサテライトランチャーは真っ直ぐガンダムX魔王に向かって行く。

 チャージに気を取られ過ぎていた為、回避が間に合わず直撃するかのように思われた。

 しかし、間に戦国アストレイが入り込み、二本のサムライブレードをクロスさせてサテライトランチャーを正面から受け止めた。

 

「ニルスはん!」

 

 圧倒的な威力を持つサテライトランチャーをビームを切り裂く刀であるサムライソードを持ってしても完全に切り裂く事は出来ない。

 受け止めたビームの余波で戦国アストレイはダメージを受けていく。

 やがて、サテライトランチャーの掃射が終わると、ボロボロの戦国アストレイが残されていた。

 

「マオ君!」

「後はワイに!」

 

 ボロボロになりながらもサテライトランチャーを戦国アストレイが受け切って、ガンダムX魔王もハイパーサテライトキャノンのチャージが完了していた。

 ガンダムX魔王はチャージを終えると、ハイパーサテライトキャノンを構えて放つ。

 サテライトランチャーは撃ったばかりである為、すぐには使えない。

 ガンダムヴァサーゴCBはガンダムアシュタロンHCから降りると、トリプルメガソニック砲で応戦する。

 

「無駄や! ニルスはんが体を張ってまで稼いだ時間で撃ったんや! 止められる訳がない!」

 

 トリプルメガソニック砲とハイパーサテライトキャノンがぶつかり合うが、すぐにハイパーサテライトキャノンが打ち勝つ。

 ガンダムアシュタロンHCとガンダムヴァサーゴHBは一瞬でハイパーサテライトキャノンのビームに飲み込まれて消滅した。

 

「まだや!」

 

 ガンダムアシュタロンHCとガンダムヴァサーゴHBを消滅させたハイパーサテライトキャノンはそのまま、前線への砲撃支援となる。

 そして、戦場を一気に横切る。

 

「ガンダムX魔王! お二人に力を!」

 

 戦場を横切るハイパーサテライトキャノンの射線上には最前線で戦うセイとレイジのスタービルドストライクの戦う戦場があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タツヤとタケシと共にアルヴァロンと交戦するセイとレイジは苦戦していた。

 3機がかりとはいえ、アルヴァロンは強力なGNフィールドで身を守っている。

 アメイジングエクシアが接近しようにも、アルヴァロンの収束ビーム砲はGNフィールドで守っても押し返される程だ。

 

「レイジ! サテライトキャノンが来る!」

「は? そう言う事かよ!」

 

 後方のガンダムX魔王の撃って来たハイパーサテライトキャノンが戦場を横切って、スタービルドストライク達が戦っている場所まで到達していた。

 それに合わせるようにスタービルドストライクはハイパーサテライトキャノンの射線上に入ると、アブソーブシールドでハイパーサテライトキャノンのビームを吸収する。

 決勝トーナメントではその威力から粒子を完全に吸収しきれずに吸収口を破損させられたが、戦場を横切って威力の落ちていたハイパーサテライトキャノンならば、吸収も出来た。

 そして、それがわざわざスタービルドストライクのいる方向に対してハイパーサテライトキャノンを撃った意図でもあった。

 

「これでディスチャージシステムが最大出力で使える!」

「レイジ君、イオリ君。ここは僕達に任せて君たちはア・バオア・クーに!」

「ですけど……」

「構わない。行くんだ」

 

 ディスチャージが使えるようになったことで、それを使えばア・バオア・クーに到達する事も出来る。

 だが、この場から離脱すれば戦力が落ちる。

 ただでさえ、アルヴァロンのGNフィールドに苦戦している為、戦力が低下するよりもディスチャージシステムを使ってアルヴァロンを倒した上で3機で向かうと言う事も出来る。

 

「セイ、ここは2機で十分だ。君たちはア・バオア・クーに向かってガンプラの未来を切り開いて来るんだ」

「父さん……」

「行くぞ。セイ」

「分かった……ディチャージシステム、最大出力だ!」

 

 スタービルドストライクはディスチャージシステムのスピードモードを起動させる。

 プラフスキーパワーゲートを潜り、プラフスキーウイングを展開する。

 そのまま、プラフスキーパワーゲートを背中に付けて、スタービルドストライクは一気にア・バオア・クーへと向かう。

 アルヴァロンがGNビームライフルを向けるが、パーフェクトガンダムがビームキャノンで妨害する。

 

「悪いが、息子たちの邪魔はさせない」

「タケシさん! 僕が盾になって前衛を務めます!」

「任せた!」

 

 アメイジングエクシアにはGNアーマーとドッキングした事でGNフィールドを展開できる。

 その上、アルヴァロンのGNフィールドに対して有効的な実体剣を装備している。

 アルヴァロンが両手のGNビームライフルを放ち、アメイジングエクシアがGNフィールドを使って防ぐとパーフェクトガンダムがビームキャノンを放つ。

 ビームをアルヴァロンはかわし、アメイジングエクシアが接近を試みる。

 ある程度、接近したところで大型アメイジングGNソードを振るう。

 だが、アルヴァロンは赤く発光して急加速により回避した。

 

「トランザムだと!」

「あの時代の疑似GNドライブ搭載機では使えなかった筈だが……」

 

 アルヴァロンは赤く発光している。

 それは明らかにトランザムシステムを使っている。

 ガンダムOOのガンプラで一部はエフェクトとしてトランザムの使用が可能だが、それが出来るのは作中でトランザムシステムが明確に搭載されているモビルスーツのガンプラのみだ。

 アルヴァロンが出て来た時にはトランザムはソレスタルビーイングのガンダムに搭載されているオリジナルのGNドライブを搭載しなければトランザムは使えない。

 その為、普通ではアルヴァロンはトランザムは使えない筈だった。

 

「厄介な物を……」

 

 トランザムシステムを使って機動力の増したアルヴァロンはアメイジングエクシアやパーフェクトガンダムの攻撃を掻い潜る。

 そして、アメイジングエクシアよりも先にパーフェクトガンダムを狙う。

 

「タケシさん!」

「そう簡単にやられる訳にはいかないさ」

 

 パーフェクトガンダムは火力はあるが、機動力はさほど高くはない。

 だが、アルヴァロンの攻撃を紙一重で回避して、ビームガンで反撃する。

 何発かを牽制に使って、アルヴァロンの動きを制限した上で狙うも、アルヴァロンはGNフィールドで防ぐ。

 タケシのパーフェクトガンダムを先に狙われた事で、注意がそちらに向いた事でアメイジングエクシアのGNアーマーにモックの攻撃が被弾した。

 

「しまった!」

 

 すぐにGNアーマーとのドッキングを解除した為、アメイジングエクシアへの被害は無かった。

 

「仕方が無い……トランザム!」

 

 アルヴァロンのトランザムが切れるまで待つと言う手もあったが、機動力で翻弄されている為、長期戦には持ち込みたくはない。

 下手をすれば、自身もトランザムの限界時間で窮地に立たされる可能性があったが、今は気にする必要はない。

 単機ならともかく、タケシが居る為、ある程度のフォローは受けられる。

 何より、セイとレイジのスタービルドストライクがア・バオア・クーに突入している。

 最初の難関をクリアした為、ア・バオア・クーに取りつくよりも、強敵を一機でも多く撃破する事で、セイとレイジの負担を軽くする方が優先される。

 トランザムを使ったアメイジングエクシアはアルヴァロンを追いかける。

 機動力においては元々の性能でアメイジングエクシアに分があった。

 アルヴァロンを抑えながら、アメイジングGNソードのライフルモードで攻撃するが、アルヴァロンのGNフィールドを貫く事は出来ない。

 

「やはり、実体剣でなければGNフィールドは突破できないか……だが」

 

 アメイジングエクシアのアメイジングGNソードはネオジオングを倒した際に刀身が限界に近づいている。

 普段ならともかく、今の状況で何度もGNフィールドを貫こうと出来る訳ではない。

 

「チャンスは一度か……」

 

 刀身が持つのは一度が精々と言う所だろう。

 アルヴァロンのビームをかわしながら、チャンスを見計らう。

 アメイジングエクシアとアルヴァロンは高速で動きながらもビームを撃ち合うが、どちらも決め手には欠けている。

 

「トランザムの限界時間が……」

 

 後にトランザムを起動させた筈のアメイジングエクシアの方が先にトランザムの限界時間を迎えようとしていた。

 あれだけビームやGNフィールドを使っても尚、アルヴァロンはまだトランザムを使い続ける事が出来るようだ。

 トランザムが限界時間を迎えれば、アメイジングエクシアは戦力どころか、足手まといにしかならない。

 焦りを感じつつも、チャンスを見計らうしかなかった。

 アルヴァロンがGNビームライフルを向けた瞬間にパーフェクトガンダムがビームキャノンを放つ。

 アルヴァロンはとっさにかわそうとするが、GNビームライフルが破壊された。

 タツヤがチャンスを見計らっていたように、タケシもまた、決定的なチャンスを生み出すためのタイミングを見計らっていた。

 

「今だ!」

 

 アルヴァロンがGNビームライフルを失った事で、最初で最後のチャンスが訪れた。

 アメイジングエクシアは被弾も覚悟で、アルヴァロンに突撃した。

 アメイジングエクシアに向けていたGNビームライフルを失った事で、アルヴァロンはGNフィールドで身を守るしかない。

 

「貫け!」

 

 アメイジングGNソードを正面からGNフィールドで受け止めるが、次第に先端からGNフィールドに入り込んでいく。

 同時にアメイジングGNソードの刀身にヒビが入って行く。

 だが、刀身が限界を超える前に何とかGNフィールドを突破し、アメイジングGNソードはアルヴァロンに突き刺さる。

 アルヴァロンに突き刺さった事で遂に限界を迎えて、アメイジングGNソードは折れてしまう。

 

「タケシさん!」

 

 アルヴァロンのGNフィールドを突破して、アメイジングGNソードを突き刺した時点で、アメイジングエクシアのトランザムが限界時間を迎えていた。

 GNフィールドを突破して、アメイジングGNソードが突き刺されるも、アルヴァロンはまだ動く事が出来た。

 それでも受けた損傷は激しくトランザムも解除されている。

 その隙を逃すこと無く、パーフェクトガンダムがビームキャノンで止めを刺した。

 

「何とかなりましたね」

「後はセイ達に任せよう」

 

 すでにアメイジングエクシアはトランザムを限界時間まで使ったため、戦力外だ。

 パーフェクトガンダムも火力は高くても、ここから単機でア・バオア・クーまで行くのは困難だった。

 後は、モックを1機でも多く仕留める事しか二人には出来ない。

 すでにア・バオア・クーに突入した二人のスタービルドストライクが大型アリスタを破壊して来る事だけを信じるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ディスチャージシステムを使ってスタービルドストライクはモックを強引に蹴散らしてア・バオア・クーへと突入に成功していた。

 中に入り込んでしまえば、数の差は大して意味を成さなくなる。

 だが、ア・バオア・クーの内部にはモックはいなかった。

 

「どこにあるんだよ」

「分からない。だけど、今は奥に進むしかないよ」

 

 突入したものの、肝心の大型アリスタの位置は分からない。

 それどころか、内部の構造すらも分からない状況だ。

 幾ら、セイがガンダムの知識を豊富に持っていても作中に登場する要塞の見取り図など明確に設定されている訳でも無い為、知りようがない。

 要塞系のバトルフィールドにおいて、要塞内の構造は毎回同じではない。

 同じにしてしまうと繰り返せば構造を覚えてしまうファイターも居る為、面白みが無くなると言う事でいくつかのパターン化がされて、その中からランダムに選ばれる。

 その為、道は完全に把握が出来ないが、今は前に進むしかない。

 スタービルドストライクが通路を進んでいると、開けた空間に入る。

 そこに入った途端にバトルフィールドの更新によって、入って来た通路が消える。

 

「閉じ込められた!」

「レイジ! 敵だ……アレはガンダムレギルス!」

 

 スタービルドストライクは完全に空間に閉じ込められる形となってしまった。

 そして、スタービルドストライクの目の前に真紅のガンダムレギルスが待ち構えていた。

 

「ガンダム? あいつが?」

「火星圏の独立国家ヴェイガンがガンダムAGE-3 オービタルのデータを元に開発したガンダム。閉鎖空間で相手にするのは厄介が相手だよ」

 

 ガンダムレギルスはシールドからレギルスビットを展開する。

 

「気を付けて! あの光は一つ一つがビームでファンネルのように使える!」

「さっきの奴と似たような武器か!」

 

 ガンダムレギルスはレギルスビットをスタービルドストライクに差し向ける。

 スタービルドストライクは頭部のバルカンで迎撃しながら、回避する。

 だが、レギルスビットの利点の一つは通常、ファンネルやビット兵器の数には限界があるが、ガンダムレギルスの胞子ビットにはそれが明確にない。

 スタービルドストライクが幾ら迎撃しても、新しく出す為、数を減らすことが出来ない。

 

「くそ!」

 

 プロヴィデンスと交戦しているときには宇宙空間と言う事もあって、モックとぶつかる事を気を付けていれば良かったが、閉鎖空間では動きが制限されてしまう。

 スタービームライフルでレギルスビットを撃ち落していたが、別方向からのレギルスビットがスタービームライフルを捕える。

 すぐにスタービームライフルを捨てて、爆風からアブソーブシールドで身を守るが、ガンダムレギルスはレギルスライフルを放った。

 アブソーブシールドを掲げた状態で、吸収口を開閉する前にビームを受けた事でビームを吸収する事無く、アブソーブシールドが破壊された。

 

「シールドが! これじゃディスチャージが使えない!」

 

 マオから受け取った粒子はア・バオア・クーに突入する為に使い切っている。

 再度、ディスチャージシステムを使う為にはアブソーブシステムで粒子を集めるしかなかった。

 アブソーブシールドが破壊された事でアブソーブシステムだけではなく、ディスチャージシステムも事実上、使えなくなった。

 残るはRGシステムだが、使いどころが難しく、RGシステムしか使えない状況では出来る事も限られて来る。

 ガンダムレギルスはレギルスライフルを手放すと、頭部のバイザーが上がりツインアイを晒す。

 そして、バックパックが開閉すると翼のようになり、両手からビームサーベルを展開して、スタービルドストライクに切りかかる。

 スタービルドストライクはスタービームキャノンで応戦するが、回避されてビームサーベルで迎え撃つ。

 ガンダムレギルスのビームサーベルを受け止めるが、ガンダムレギルスはスタービルドストライクを蹴り飛ばすと、股の下から尾のレギルスキャノンを放つ。

 

「何だよ! こいつ!」

「今までの相手とはレベルが違う!」

 

 ここに来るまでにセイとレイジはプロヴィデンスとアルヴァトーレと交戦している。

 まともに交戦する事無く、タケシによって破壊されたアルヴァトーレはともかく、プロヴィデンスは大きな改造こそはされていないが、高い戦闘能力を持っていた。

 だが、目の前のガンダムレギルスはそれとは比べものにならない力を持っている。

 それも当然だ。

 そもそも、この事態そのものがユキネがマシロをガンプラバトルに引き戻す為に画策したものだ。

 ユキネの予定ではこの場に居るのはセイとレイジではなく、マシロの筈だった。

 そして、この真紅のガンダムレギルスは大型アリスタを破壊して事態を収束させるための最後の敵として用意された物だ。

 その為、このガンダムレギルスはマシロと正面から互角に戦えるだけの力を与えられている。

 

「だからってな!」

 

 スタービームキャノンを放つが、ガンダムレギルスを捕える事が出来ない。

 勢いをつけての斬撃を何とかビームサーベルを使っていなしているが、完全に防戦一方だ。

 ガンダムレギルスがビームサーベルを振るいながら突っ込み、スタービルドストライクは何とかビームサーベルで受け止めるが、勢いまでは止める事が出来ずにそのまま、壁まで叩き付けられる。

 壁に叩き付けられたスタービルドストライクを上から覆いかぶさるようにガンダムレギルスはスタービルドストライクを抑え込む。

 そして、頭部のバルカンを使おうとしたスタービルドストライクの頭部を掴むと握り潰しながら頭部を引き抜いて後ろに捨てる。

 その後、何度もスタービルドストライクを殴る。

 押さえつけられている為、まともに防御の取れないスタービルドストライクは抵抗も出来ずに殴られるままだ。

 

「どうにも出来ないのかよ!」

「レイジ!」

 

 スタービルドストライクを殴っていたガンダムレギルスの動きが止まると、胸部のビームバスターが光り始める。

 明らかにこの至近距離から、ビームバスターを撃ち込んで来るつもりだ。

 流石のスタービルドストライクもこの距離でビームバスターを撃ち込まれたら終わりだ。

 

「させるかよ!」

 

 ビームバスターが撃ち込まれるよりも先にビルドストライクはRGシステムを起動させた。

 RGシステムにより機体性能を底上げされたスタービルドストライクは強引に、ガンダムレギルスの拘束を解いた。

 

「好き勝手にやってくれたな!」

 

 ガンダムレギルスの拘束を解くと、距離を取られる前に左手でガンダムレギルスを掴んで逃げれないようにする。

 

「こいつはその礼だ! 受け取れ!」

 

 逃げれないようにした状態でスタービルドストライクは右手を振り上げる。

 そして、ガンダムレギルスの胴体を目がけて殴りかかる。

 殴る瞬間にセイがRGシステムの操作して、右手にRGシステムのパワーを収束させた。

 殴る前にビルドナックルにしてしまうと、ガンダムレギルスの拘束を解かれる危険性があった為、セイがレイジの攻撃のタイミングに合わせた。

 スタービルドストライクがガンダムレギルスを殴る直前にRGシステムを使っただけの攻撃がビルドナックルとなり、ガンダムレギルスの胸部に突き刺さる。

 ガンダムレギルスは爆発を起こして、スタービルドストライクは至近距離で爆風を受ける。

 爆風から飛び出たスタービルドストライクはガンダムレギルスを掴んでいた左腕を失ったものの動く事には支障はないようだ。

 

「レイジ! まだ終わってない!」

 

 ガンダムレギルスを倒したかに思われたが、ガンダムレギルスは爆発の直前に、頭部やバックパックを分離させたレギルスコアとして一部が難を逃れていた。

 しかし、レギルスコアとなったガンダムレギルスに先ほどまでの戦闘能力は無い。

 レギルスコアはそれ以上の戦闘行為をする事無く、逃げ始めた。

 

「逃がすかよ!」

 

 閉鎖空間だったが、レギルスコアが壁に近づくとバトルシステムが再度更新されて、出口が出て来た。

 スタービルドストライクは戦闘の序盤で手放したレギルスライフルを回収して、レギルスコアを追いかける。

 

「気を付けて、罠の可能性もあるから」

 

 レギルスコアが逃げた時にスタービルドストライクを完全に閉じ込める事も出来たが、それをしなかったと言う事はこの先に罠を仕掛けて待ち構えている可能性が高い。

 レイジも相手が殆ど戦闘能力がないが、周囲だけは警戒してレギルスコアを追う。

 通路は一本道で途中で内部データが更新されたようには見えないが、いつの間にか、レギルスコアを見失っていた。

 

「どこに……この場所は……まさか、レイジ……曲がり道で上に曲がる時には気を付けて、そこにレギルスコアが居るかも知れない」

「分かった」

 

 セイの忠告は具体的だが、そう思う理由までは問わない。

 セイがそう言うならセイなりに何か確信を持って言っている。

 そして、スタービルドストライクの進路上に壁が見えた。

 上が開けている事から、レイジはセイの忠告通りに集中する。

 スタービルドストライクは曲がり角に入るとすぐに上に向けてレギルスライフルを向けた。

 そこにはセイが言った通りに、レギルスコアがレギルスキャノンを向けていた。

 レギルスコアの後ろには二人も持っているアリスタと同じだが、その大きさは段違いである大型アリスタがあった。

 ある程度の損傷を受けて戦闘不能となった時にガンダムレギルスはレギルスコアだけを逃がして、マシロをここまで案内する役目も兼ねていた。

 尤も、ここまで連れて来たのはマシロではないがコンピュータ操作のガンダムレギルスにはそこまでを見分ける事は出来ない。

 レギルスコアの最後の役目として、大型アリスタの前で追撃者を待ち構えいた。

 レギルスコアとスタービルドストライクはほぼ同時にビームを放つ。

 レギルスコアの撃ったビームはスタービルドストライクの右腕と右足を撃ち抜いた。

 スタービルドストライクの撃ったビームはレギルスコアを撃ち抜いてレギルスコアは撃墜された。

 片足を失った事でスタービルドストライクは崩れ落ちるように倒れた。

 

「もう少しだってのに!」

「まだ手はある!」

 

 頭部と両腕、右足を失った事でスタービルドストライクは戦闘能力の殆どを失って倒れた。

 大型アリスタを前にまともに戦う事すら出来ないが、幸いにもバックパックのユニバースブースターへの損傷はほとんどない。

 スタービルドストライクからユニバースブースターが分離して上昇して行く。

 大型アリスタの周囲に敵影はいない。

 

「ようやくここまで辿り付いたな」

「そうだね」

「こいつを破壊すれば終わるんだな」

「うん」

 

 全てはこの大型アリスタを破壊する為にここまで来た。

 多くのファイター達がガンプラバトルを守る為に絶望的な戦力差を知りながらも、諦める事無く戦い、遂にセイとレイジはここまでたどり着いた。

 大型アリスタを破壊すれば、この騒動を収束させる事が出来る。

 だが、同時にセイもレイジも口にこそしないが、薄々感じていた。

 これを破壊してしまうとガンプラバトルが今までのようには出来なくなるかも知れないと言う事に。

 

「行こう。レイジ。可能性がない訳じゃないんだ。でも、ここで終わらせないとそんな可能性すらも無くなるかも知れないから」

「だな」

 

 どの道、この事態の後にはガンプラバトルにとって厳しい時代が来るかも知れない。

 だが、ここで終わらせなければ、二度とガンプラバトルが出来なくなるかも知れない。

 ならば、躊躇う事は出来ない。

 ユニバースブースターは2門のスタービームキャノンを大型アリスタに向ける。

 

「「行っけぇぇぇ!」」

 

 2門のスタービームキャノンからビームが大型アリスタに撃ち込まれる。

 ビームの撃ち込まれた大型アリスタは簡単に破壊された。

 大型アリスタを破壊した事で爆発が起きて爆風にユニバースブースターは飲み込まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大型アリスタが破壊された事でモックやア・バオア・クーから出て来たガンプラの動きが全て停止した。

 始めから大型アリスタが破壊された時点で機能が止まるようになっていたからだ。

 大型アリスタが破壊された事で、ア・バオア・クーの至るところで爆発が起きて、ア・バオア・クーが崩壊して行く。

 敵が停止した中で、ファイター達は崩壊するア・バオア・クーを見ていた。

 同時にモック達の機能が停止した事と合わせて考えると誰かが大型アリスタを破壊したのだと誰もが理解した。

 そして、崩壊するア・バオア・クーから満身創痍のスタービルドストライクが飛び出して来る。

 大型アリスタを破壊した時の爆風を受けたものの、距離があった事もありユニバースブースターの損傷は大きくは無かった。

 その後、本体のスタービルドストライクとドッキングして何とか、崩壊するア・バオア・クーから脱出して来た。

 

「終わったんだな」

「うん」

 

 外から崩壊するア・バオア・クーを見て全てが終わったと言う事を実感する事が出来た。

 脱出したスタービルドストライクは脱出するのに全ての力を使い果たしたかのように宇宙を漂う。

 

「イオリ君!」

「委員長! 委員長も来てたんだ」

「うん。私もイオリ君たちの力になりたくて」

 

 漂うスタービルドストライクの横にセイの同級生でガールフレンドのチナのベアッガイⅢが寄り添う。

 

「全く。ボロボロじゃない」

「お前が言うなよ」

 

 スタービルドストライクもボロボロだが、合流したアイラのサザビー改も何とか原型を留めている状態だ。

 大型アリスタが破壊された事で、大型アリスタの暴走により過剰に生成されたプラフスキー粒子がバトルシステム外に放出されて結晶化される事も無い。

 それにより大型アリスタの暴走により起きた事件は一応の終結となった。

 

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