私が私として自己を確立したその時から、異様なほど五感が優れているのを自覚した。
いや、あるいは前世ではその能力をゲームや娯楽のために浪費して、気付く機会がなかっただけかもしれない。何にせよ、ポケモンという携帯機が主なゲームにどっぷりとハマっていた私は、当然のように中学に上がる頃には視力が0.1を割っていて──だからこそこの世界に産まれ落ちて、夜空に浮かぶ星々の光に目を焼かれた。
文明の光が無いと、星はかくも美しく見えるのか。噂には聞いていた。知識として知っていた。けれど百聞は一見にしかず、あっさりとそれに脳を支配された私は、機を見ては自然公園に通うのが趣味になった。本音を言えばローズタワーの展望台にも行ってみたかったが、いくらノラたちがいるとはいえ、流石に年齢一桁でそこまでの遠征は許可されなかった。もちろんシュートシティにいる今は毎日のように通っている。
だからこそ私が選ばれたのか。あるいはそうして作られたのか。何にせよ、私の感覚はバトルで非常に役に立った。じっと相手の眼を見れば、うっすら相手の狙いが分かる。加えて私はそれとは別に、前世の記憶持ちという特異性からか、どういうわけか忌避すべき“死”の気配が何となく読める。それらが総合的に組み合わさって、それは私に一種の直感という形で貢献した。
勘という響きで侮るなかれ。それは五感が生み出す曖昧な情報の集合体だ。優れた漁師は、海が時化る前日から嵐が来るのを予期するという。似たような理屈で、あるいはそれとは無関係に、それは他の追随を許さないほどの回避能力として実を結んだ。正直ズルをしてる感は否めないが、否定するのもアレなのであまり深く考えないようにしてる。
ただし。
(
この力は便利なだけじゃなく、相当のデメリットもあった。
まず単純に目が疲れる。普通に過ごしてるだけでも、視界の端で虫ポケモンがうぞうぞしていて気持ち悪い。肉の食感が何となく嫌。周囲の雑音が耳に障る。まあこれは大した問題じゃない。人の脳はよく出来ていて、無用な情報は意識しなければシャットアウトできる。普通の人でもたまに時計の音が気になって眠れなくなることがあるだろう。それと同じ。けれど、それ以上に厄介だったのは、
洞察力。常人であっても、面倒な依頼をして顔を顰められたらお相手がそれを嫌がっているのは分かるだろう。そんな感じで、私には相手の嫌がることが解る。必然、会話が苦手になった。人とも、ポケモンとも。最低限のやり取りをして、欠けた文脈を相手が推察する。それくらいの塩梅が心地よく、また私には皮肉にもその程度のやり取りで相手の意図を察する能力があったから。
でも、ポケモンバトルとなるとそうは行かない。大前提として、敢えて悪し様に纏めるのなら、ポケモンバトルとは即ち“わざわざ自分よりも能力が劣る人間の下について戦わなければならない”競技。もちろん、単純にそう括られるわけじゃないにしろ、そういう側面があるのは紛れもない事実。
故にこそ、解るのだ。大半のポケモンは、
(……まあ、普通はそうよね)
考えてみれば当然の話。痛いのが好きなヒトなどいるだろうか? いやいない。いるにしても少数派なのは間違いない。無論、好戦的なポケモンはいるが、そういったポケモンほど誰かの下に付くなんて考えもしない。そりゃあそうでしょうね。
そして悲しいことに、私にはその感情を察せるだけの力があった。言うまでもないが、私はポケモンバトルが大好きである。けれど残念なことに、野生で出会うポケモンの大半がそもそもバトルが好きじゃないか、トレーナーに縛られることを苦手とする。それ以前に私の素養がくそざこだからまともな手段じゃ全然言うこと聞いてくれない。どちらも時間を掛ければ解決できそうであるが、そうなるとダンデさんと闘えない……うーん。
『いつか君の最強の相棒を、この手で打ち倒すものだ』
ターフタウンでの一幕を思い出す。正直、あの一戦まで彼のことは服装がクソダサい舞台装置くらいにしか思ってなかった。けれどあの闘いを経て、ノラを前に折れない姿を見て、この人ならノラを倒せるんじゃないかって期待した。
だから、トレーナーの資格を得てから、2年くらいかけて私の希望に沿う“好戦的でかつ私のような素養くそざこトレーナーに従ってくれる奇特なポケモンをどうにか探して戦力を補強しよう”と密かに目論んでいた私の計画は主に時間の関係で諦めざるを得ず、多分他の人が思ってるよりあまり深く考えず大会にエントリーした。まあレベル100のウオノラゴンがいるから行けるでしょ多分。
結論、甘かった。いやぁ全員強いのなんの。ノラの手前まさか私が弱音を吐くわけには行かないし、何よりノラがいるのに負けるなんて私のプライドが許さない。ノラは最強でなきゃ! 私の目的が倒錯してる自覚はあるが、だからって手を抜いて無為にノラを傷付けて、それでそのトレーナー倒したから私最強!ノラは私の!なんてクソみたいな展開は御免だ。やるからには全力。出来ることは全部やります。最悪私の目的なんてどうでもいいし。
しかしマジで見つからないな奇特な子。イエッサンとか近い子いたけど雰囲気が怖いからって怯えられたし。当時は理由が分からなかったけどオニオンさん曰く私はデフォルトで死人っぽい空気を纏っているので、きっとそれが原因だろう。それでもどうしてもと言うなら付いていくよ!と気丈に振る舞っていたけど、残念ながらその子はレベルが絶望的に足りなかった。こんな優しい子をリザードンの前に出すとか私にはできません。はぁ…私に育成の才能があればもっと楽だったのになぁ…。
ちなみにであるが、その子以外にも私に付いてこようとする奇特な子はいた。プルリルとかフワンテとか。でもあの子たちってば気づいたら私を死に誘おうとするのよね。それも多分親切心で。ノラにも負けない『むじゃき』な笑顔で、不思議そうに首を傾げるプルリルを見たら、とても文句を言うつもりにはなれなかった。でも怖いからちょっと近寄らないでください。
ああくそ。悔しいなぁ。どうして私には育成の才能がないんだろう。世のトレーナーはどうやってポケモンのレベルを上げているんだろう。どうして、どうして。どうやって。ずるいずるい。
残念なことに、この疑問は私一人だけのものじゃない。むしろ私は恵まれてる方で、うちの父とか未だシズクモ(レベル1)にすらたまに侮られて水を掛けられてる。普段は父と仲良いんだけど父がトレーナー感覚で命令すると拗ねるんだよねあの子。多分父と対等でありたいとかそんなスタンスなんだと思う。そんな子は割といる。というかバトル好きじゃない子は多分だいたいそんな感じ。いや言葉分かんないから表情からの推測だけども。でも本当に合ってるのかたまに心配になる時あるのよね。特にノラたちとか長く過ごしすぎて──じゃなくて、
閑話休題。
「リンゴさん。貴女は“才能”とは何だと思いますか?」
「………」
決戦の舞台。ガラルチャンピオンリーグ決勝戦。遂にたどり着いたこの最後の舞台で、予想通り勝ち上がってきた彼女からそんな質問を受けて、私は己が人生を軽く振り返る。
才能。それは私の旅の命題にして、結論。才能とは何なのか。改めて問われるまでもなく、その答えなんて決まっている。
「──
それはどこまでも残酷で、どこまでも無慈悲なこの世界のルール。どんなポケモンでも仲良くなることは出来る。あらゆるポケモンを捕まえることもできる。けれど、強くなるとなればそうはいかない。それはポケモンバトルじゃなくて、あらゆる競技で同じことが言える。努力で身長は伸ばせない。気合いで人種は変わらない。よしんば挽回できるにしても、差を埋めるために余計な負担を強いられる。これが不公平でなくて何なのか。
「諦めなければ、いつか必ず夢は叶う? 違う。どんなに頑張っても、サイキッカーじゃない私は、生身で空を飛ぶのは構造的に無理。私が今後どんなに鍛えても、相当に鍛錬した男性に筋力で敵うわけもない。ポケモンも同様に、あの子たちにも不可能なことは存在する」
「そ──それは、才能とは、呼べない……のでは?」
そうかな? そうかも……何だろう。言いたいことがあまり伝わってない気がする。確かにこれだと単に生まれの差を嘆くだけみたいな主張になってる。そういうことを言うつもりではなかった。反省。
「──なら、貴女がそれを否定すればいい。不可能を可能に。無理を道理に。それは違うと声高に告げて」
「っ……」
ボールを構え、中のポケモンを呼び覚ます。かせきポケモン、ウオノラゴン。言うまでもなく、私の最強にして最高のポケモン。
NPCと主人公を隔てる壁。レベルという名の格差。才能と呼ばれる理不尽。結局のところそれは、私に解決することは出来ていない。けれど、変わったきっかけになったのは、間違いなく彼女であった。ラテラルタウンジムリーダー、サイトウ。しかしこの世界ではその肩書きを持たない落伍者。
ほんのちょっとのかけ違いで、この残酷な世界のルールに埋もれた彼女は、果たして
……………………………
…………………
…………
「お願いします、ルチャブル!」
やや間を置いて、彼女がまるで雑念を振り払うかのように呼び出したのは、レスリングポケモンのルチャブル。直前の試合があまりにアレだったので、よもや彼女も新ポケ祭りかとちょっと心配していたのだが、とりあえず手持ちが大幅に更新されているとかは無さそうである。まあユウリさんがおかしいだけで普通レベル50とかでさえ一生モノなのよね。
さて、どう来るか。
(………)
「ノラ、『エラがみ』」
心の中で一瞬だけ悩んで、結局はいつも通りの指示を出す。まず間違いなく何らかの対策はしているはずだが、私がそれを警戒して初手から奇策に走るのも何か違う気がする。
とはいえ、それは考え無しに動いてるわけでもない。試合を成立させるためにも、まず間違いなく、彼女はこのタイミングで動くはず。
「ルチャブル、今です!」
彼女からの指示はそんな言葉。指示そのものに具体性はなく、おそらくは最初から決められていた行動。
しかし、私にはそれを止める術もない。ポケモンバトルが一定距離を隔てた位置から“よーいドン”で始まる競技である以上、初手に限ればやりようはある──それは他でもない、過去の私自身が彼女へ伝えたノラ対策の一つでもある。
警戒してよぉく目を凝らすと、不意にノラの姿がブレる。同時に視界へルチャブルの姿が割り込んだのを確認し、一瞬だけルチャブルの習得わざがざっと脳内を流れるも、それを十分に咀嚼する間もなく、次なる指示はほぼ反射的に行われた。
「ノラ、その場で『りゅうせいぐん』!」
りゅうせいぐん。天空から隕石を落下させるという物騒極まりないわざで、ゲーム本編においてはドラゴンタイプ最強わざと称される。
ノラは言うまでもなくとくこう下降補正であるが、そこは流石のレベル100。そのわざはかつてダンデさんが使用した一撃をも軽く凌駕し、また微妙に誘導性がある範囲攻撃は『サイドチェンジ』では躱せない。
「やはり、私では一発芸が関の山ですね──」
「………!」
但し。
それは必然、こちらで細かく調整が行えないという意味でもあり──受ける前提、直撃を避ける程度なら。ある一定の実力者であれば、そう難しくもないだろう。
「ルチャブル、『いちゃもん』!」
「な──」
差し込まれた一手は、予想していた妨害よりかなり婉曲的なモノ。ルチャブルが出た時点で『フェザーダンス』辺りをぶち込まれる覚悟はしていたが、これは一体どういう目的で──
「──ノラ、『エラがみ』」
何にせよ、ノラの目の前で煽るようなら容赦なく轢き潰させてもらう。無論、サイトウさん側もこの一発は予想していたようで、ただでさえりゅうせいぐんの余波でボロボロだったルチャブルは地に伏せる。
「出番です、タイレーツ!」
と、同時に、殆ど間を置かず次なるポケモンが舞台に現れる。即ち、ここまでの展開は予定調和。考えを巡らせる私に、彼女は畳み掛けるように、
「退くのであれば、どうぞご自由に。その隙に、私は次なる布石をご用意致します」
「………」
敢えて選択肢を提示するトラッシュトーク。本当、的確に嫌なとこばかりを突いてくる。ただでさえ彼女は武道の『無心』とやらで感情が読みづらいのに、ここまでガチガチに攻め手を構築されると推測は不可能に近い。
あからさまに私への意識が伺える対策の数々に、鎧島ではちょっと意地悪し過ぎただろうか。と反省するも、相手がタイレーツであれば行動に支障は──
「さて、此の瞬間が正念場…! 全てぶち壊しましょう! タイレーツ、メガシンカ!」
え。と声を上げる間も無く、タイレーツが光の渦に飲み込まれる。
ガラルポケモンリーグ規則。バトルにかかる規定、
まあ大方、ダイマックスを妨害されたら映えないからとかそんな理由でこの規則を押し通した利己的な経営者が過去にいたのだろう。もちろんひんし時の追撃はマジで危ないのでやらないにせよ、メガシンカを止めた程度で生命の危機に陥るほどポケモンはヤワじゃ──待ってタイレーツってメガシンカするのマジ?
光が収まると、そこにはタイレーツが合体ロボかあるいは組体操のように人型の戦士となり、特徴的な腕は盾に、角は槍に。コミカルながらも洗練された姿。少なくとも、タイレーツ同士に確かな練度と絆が無ければ、このような陣形は作ることさえ難しいだろう。
「ノラえもん、『じしん』」
突然のメガシンカには呆気に取られたが、何が目的であれ、特大の隙を晒してくれるのならこちらも相応に対応する。
当然ながら、メガシンカ中は攻撃できなくても、その直後には大きな隙ができる。加えて元々タイレーツ用に最近密かに練度を上げてきた『じしん』であれば、十分に仕留められる範囲で──
この選択は油断ではなかった。かと言って最善ともまた違った。言うなれば妥協案。慢心とも少し異なる、ポケモンバトルによくある“いずれにしても相手に負担は与えられる安全策“。
それが悪い、というわけじゃない。そもそも常に最善の選択なんて、求める方が酷というもの。
故にこそ、この交錯はこう評するべきだろう──ミスではなく、単に“読み違えた”と。
そして、今更語るまでもなく。ポケモンバトルは、その一手の読み違えこそが、時に勝負を分ける決め手にもなり得る。
「──タイレーツ、『カウンター』!」
「あ……」
──ウオノラゴンは、『エラがみ』の火力に特化している。
これは誇張でも何でもないただの事実で、実際の対戦環境でもウオノラゴンはエラがみに特化したスカーフやハチマキが主流だった。無論、それはサイトウさんも知っている。というか多分冷静に観察すればすぐ分かる。だからこそ、先の布石は。
『⬛︎⬛︎………』
ずぅん、とフィールドに倒れ伏すノラを見つめる。さっきのぶち壊す発言何だったの?とか何で受け身の行動してるの?などと余計な思考が脳内を巡るが、結果が覆ることはない。でもまあ、こんなのはよくあること。これは無情なポケモンバトル。だから仕方ない──などと言うと思ったか間抜けめ。よくもまあやってくれたな。
「──これで、漸くスタートラインです」
「……そう。それが遺言で大丈夫?」
言葉は同時。それが虚勢か挑発か。結果が出るまで分からない。勝負とは得てしてこういうもの。歴史を語る権利を得るのは、いつだって勝者だけなのだから。
☆☆☆
「キュワワー、『ドレインキッス』」
晒した僅かな隙を見抜いて、タイレーツの背後をキュワワーが強襲する。
キュワワーが保有するとくせい『ヒーリングシフト』は、回復効果を含むわざを異様に素早く繰り出せるという効果を持つ。なんだそれだけか、と思うかもしれないが、その速度は異常の一言で、ただでさえ隙の大きい吸収わざであるにも関わらず、それこそ直前に見たノラえもんさんの『きゅうけつ』の半分にも満たない時間で行動を完了させている。
それに加えて、多用する『サイドチェンジ』を主軸としたトリッキーな攻めは対応が非常に難しく、背後に迫っていることを己がポケモンに伝えるころには既に倒されている、なんて事例が実際にダンデさん戦にて見受けられた。
巷では大エースであるウオノラゴンではなく、キュワワーをこそ彼女の相棒として扱うヒトも一定数いるが、それは仮にもウオノラゴンを撃破したタイレーツをもあっさり退ける、この異常なほど研磨された戦法にあるのだろう。
どう考えても半年やそこらで身につくような技術ではない。5年か、10年か──いや10年はないにしろ、生涯の殆どを費やしてきたと言われても驚かない。
「ただ、それは──」
無意識の呟き。ウオノラゴン戦の直後で気が抜けていたというのもある。あるいは、先の問答が消化不良だったからこそまろび出た言葉なのかもしれない。何にせよ、その訴えは確かに、あるいは激烈に。彼女の耳までたどり着いた。
「その技術も、立派な才能ではないのですか……?」
「そう、ね──」
まさかの返答にハッとする。そこでようやく、私が失言をしていた事実に気付く。しかし、彼女は私の反応に気付いていない様子で、
「……こんな世界に生まれたからには、愛らしいポケモンを侍らせたい。かっこいいポケモンで勝ちたいなんて、きっと誰もが考える。
けど、私にはそれが出来なかった。無理矢理従わせることは可能かもしれないけど、幸か不幸か私には、こんな戦法を編み出せるほどに優れた、ポケモンの感情をも推し計れる並外れた観察眼を有していた。
そして、嫌がる相手を強制させるほど、私は非情になれなかった。同時に、力及ばないポケモンに対して、チャンピオンに挑めと言えるほど外道にもなれなかった」
──貴女のポケモンを50。ここら一帯のポケモンを30。生まれたてのポケモンの実力を1とすると、私のノラ、ウオノラゴンの数値はだいたい100になる──
以前彼女が告げたこと。彼女が才能と呼ぶ残酷な壁。そして、直後に彼女はこうも告げた。
「
どれほど仲を深めても、どれだけバトルが巧くても。どんなに必死に頑張っても。決して覆せない理不尽によって差が生じる。これを才能と呼ばずして何と言うの?」
苛烈に、饒舌に。ずっとその言葉を堪えていたように。堰を切ったような発言は止まらず、思わず私も次のポケモンを出す手を止めて、呆然と彼女を見る。
彼女は続ける。ポケモンバトルの巧さではなく、その開花の早さでもない。
「しかし、リンゴさん。貴女ほどの才能があれば──」
「私のノラは貰いものなの」
「……え?」
「言葉通りよ。神様からのプレゼントか、あるいは単に記憶にないだけなのか。ノラは私が物心付いた時にはそこにいて、彼は最初から最強だった。
そんな彼の力に恥じないトレーナーになるため、私はあれこれ手を尽くしたけど………残念なことに私には、過去の貴女と、そこらの埋もれたチャレンジャーと同様に。ポケモンをまともに育成する能力が無かった」
「───」
あまりにさらっと告げられた言葉に絶句する。貰い物のポケモン? あのウオノラゴンが?──それが真実であるのなら、それは如何なる運命の悪戯なのか。
「だからあの時、彼に、ダンデさんに見初められた瞬間から、私は全てを諦めた。私にはこの子たちしかいない。私に与えられたカードはこれしかない。それでも私はポケモンバトルが好きだから──」
そこで彼女は一度言葉を区切ると、自身の頭を撫でる仕草をする。が、その場所にいないキュワワーの居場所を再認識してハッとすると、ぼそっと「喋りすぎた」と呟いて、
「………だから、そうね。私は貴女に期待している。勝手な想いかもしれないけど、貴女はまだ諦めてはいないから。いつか貴女のような人が、私という
いつしか静寂が訪れていたスタジアムで、彼女のそんな言葉が響き渡る。求めた答え。分からない答え。むしろ疑問が増えた気もするが、そもそも彼女が分かるように話していないのだろう。
ただ一つ。確かなことがあるとするなら、その疑問の答えは、彼女を討ち果たすことでしか得られない。元よりそのつもりではあったが、ボールを握る手の汗が、その道の険しさと恐ろしさを暗示していた。
タスキじゃないカウンターはどうしても意識が薄くなる。あると思います。
ダメージ計算
りゅうせいぐん→ルチャブル 173〜205% 確定1発(直撃していないため生存)
エラがみ→ルチャブル 575〜677% 確定1発
じしん→メガタイレーツ 82〜97% 確定2発
ドレインキッス→メガタイレーツ 49〜57% 乱数2発