省エネ主義者は実力至上主義の教室へ入学する   作:姫宮結弦

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処女作です。氷菓とよう実が好きすぎて、コラボさせてみました。
駄文ですが多めに見てもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。


プロローグ
1.省エネ男子の入学


「なんだこれ......」

 

俺は今、東京都高度育成高等学校の門前に立っている。

現在俺は目の前に広がる学校の規模の広さに狼狽えているところだ。

今日からこの学校に通うことになるのだが......。

 

 

「折木さん、今日からこの学校に通うんですね。なんだかワクワクします」

「本当は今すぐ帰りのバスに乗って帰宅したいんだが」

「そんなこと言ってないで、早く行きますよ折木さん」

 

そう言って俺の腕を引っ張っていくのは千反田える。

俺と一緒にバスに乗り、ここまでやってきたのだ。

俺たちがDクラスということを確認し、その教室へと向かう。

 

 

教室へ入ると、沢山の視線がこちらに向いた。

恐らく隣に千反田がいるからだろう。

絶対に直接は言わないが、千反田の容姿はかなり整っている。

注目を浴びるのもおかしな話ではない。

だが視線は人間以外のものからも感じた。それは教室に向かうまでの廊下でも感じたものだ。

その視線の先に目を向ける。

 

「監視カメラか......」

「折木さん?何か言いましたか?」

「え?俺何か言ったか?」

「いえ、はっきり聞こえなかったのですが、何かつぶやいた気がして」

 

心の中で出した声がうっかり口にまで出てしまってたみたいだ。いけないいけない。

別に聞かれて困る内容でもないが。

とりあえず俺がさっき見たのは教室の天井に大量に設置されている監視カメラ。

無駄に多い数に違和感を覚えるが、とりあえず自分の席に行くか。

自分の席は一番廊下側の一番後ろ。一番後ろというのは合格だが、できれば窓側が良かったなと思う。

俺が一番狙っていた席には茶髪のセンターで分けた髪型をしていて、顔の整っている男子生徒が座っていた。その隣には千反田のように黒髪でロングヘアーの美人な女子生徒。

あそこではこれからラブコメでも始まるのだろうか。そんなくだらない考えが頭をよぎった。

一方千反田は真ん中辺りの席で、俺からは少し離れている。千反田は席に着くと俺に顔を向けて、手を振ってきた。何か恥ずかしいからやめて欲しい。

程なくして、スーツを着た一人の女性が教室に入ってきた。

見た目の印象はしっかりとした、規律を大事にしそうな先生。歳は30暮らしだろうか。

素直に美人と言える顔立ちで髪はポニーテール調にまとめられている。

 

「えー新入生諸君。私はDクラスを担当することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校にはクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく」

 

茶柱佐枝と名乗ったこのクラスの担任の先生は軽く自己紹介を終えた後、この学校のルールが書かれた資料を配った。

そう、この学校は普通の高校とはまるで違う。

 

まず初めにこの学校の進学率、就職率は共に100%。

明らかに胡散臭く感じるが、この学校は政府が直接運営している名門校だ。

無条件で将来勝ち組の切符を手にできるとは思ってはいないが、何かしらの条件を満たせば、その切符を手にすることは出来ると思っている。

次にこの学校に通う生徒全員は敷地内にある寮での学校生活を義務付けると共に、在学中は特例を除き外部との連絡を一切禁じている。

俺がこの学校に入ったきっかけは寮生活にある。と言ってもほぼ強制的だけどな。

父は夜遅くまで仕事で帰ってこないし、姉は基本海外を飛び回っている。

普段家で一人だった俺にこの学校を進めてきたのだ。

別に一人でいることに寂しさなんて覚えていなかったのだが、寧ろ気楽で助かっていたまであるが、姉に言いくるめられて入学することとなった。

そしてもう一つ、この学校には特殊なルールがある。それが『Sシステム』だ。

茶柱先生は学生証カードを生徒たちに配ってからSシステムについて説明を始めた。

 

「今配ったこの学生証カード。それを使い、敷地内にある全ての施設を利用したり、売店などで商品を購入することができるようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで()()()()()()()()()学校内の敷地内にあるものなら()()()()()()()()

 

現金ではなく、カードを用いて決済を行わせることによって、無駄なトラブルを防ぐこともできる。

つくづく良くできた制度だと思った。

 

「ポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たちは全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」

 

その説明を聞いた生徒たちは次々と端末を確認してざわつき始める。

俺も一応確認しておくか。

端末の画面には『100000ppt」と表示されていた。pptというのは......プライベートポイントと訳せばいいのだろうか。

()()で10万円も貰ったことに疑問を抱く様子を持った生徒は見当たらない。寧ろ浮ついている様子だった。

 

「ポイントの支給額に驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちにはそれだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮することなく使え、仮にポイントを使う必要が無いと思った者は誰かに譲渡しても構わない。だが、無理やりカツアゲするようなマネだけはするなよ?学校はいじめ問題にだけは敏感だからな」

 

お互いの同意があればポイントのやり取りは可能ということか。

この学校ではこのpptがとても重要になるみたいだな。無駄遣いはしないでおこう。

 

「質問は無いな。では良い学生ライフを送ってくれたまえ」

 

そう言い残した茶柱先生は教室から出て行った。

教室に生徒だけが残されると、次々と今日の予定などの話題が上がる。

いきなり10万も貰い、浮足だっているのだろう。

それも仕方ない、一般の高校生は手にすることのない大金だ。

それを自由に使っていいなんて言われたら当然遊びに行く計画や買い物の計画を友達を立てるだろう。

ただ俺にはその肝心な友達が見当たらない。一人で本でも買いに行くか......。

このあと一時間後に入学式があるらしく、それまでどうしようかと思っていたところ、俺の席に千反田がやって来た。他にも席を移動している生徒はいるので、千反田の行動は特別目立ちはしない。

そう、特別なだけで、ある程度は目立つ。

 

「折木さん、さっきの説明何かおかしくなかったですか?」

「なんの話だ?」

「何がおかしいかは分からないんですけど、何かがおかしいことは分かります」

 

千反田は極端に違和感を感じやすい。そしてその違和感を感じれば、詳細が分かるまで決して折れない。

......これは引けそうに無いか。そもそも千反田ならどこかで引っ掛かりを覚えると予想はしていたが。

 

「折木さん、私、気になります!」

 

言われてしまったぁぁぁぁぁ。

千反田の決まり文句である「私、気になります」を言われてしまえば千反田の疑問を解消しなければならない強制イベントに突入する。

千反田が感じている違和感の正体を突き止めない限りこのイベントは終わらない。

俺のモットーは『やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に』

さっきまではやらなくても良かった推理だが、千反田に捕まった以上、やらなければいけないことに昇格してしまった。

 

「はあ、手短に終わらすぞ。と言っても俺にもまだ完全に分かったわけじゃない。とりあえず考える時間をくれ」

「分かりました。私も考えるので、一緒に考えましょう」

 

こうして入学初日、俺は推理をしなければならなくなった。

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