人によっては、不快に感じる文章構造となっています。
ご注意ください。
『
眼前の男が言っていることが一ミリも理解できなかったが、それでも人質を取られているということに彼らは現実に引き戻される。
「ムー人だと少しでも思った俺らが馬鹿だった」
歯軋りしながら兵士が言う。
「悪いね。我らがアメリカは誰もが自由に暮らせる多民族国家なんだ」
誰もが自由にとは語弊があるが、それでもほぼ間違いはない。
「そんなことはどうでもいい! 早く仲間を返せ!」
「取引にはそれ相応の対価が必要だ。常識だろう?」
「くっ......」
今にもマスケット銃を撃ってきそうだが、レイモンド達が兵士を盾にしているため、手が出せない。
「何を望む?」
剣を突きつけられている隊長がようやく口を開く。
「首都アマノキまでの安全な移動の保障だ」
「移動手段をこちらで用意しろと? はっ、馬鹿馬鹿しい」
「違う。先程の空襲の停止を確約だ。それ以上は望まない」
「既に停止させた。だが、首都に移動したところで我が軍の攻撃に遭うことは明白だぞ?」
まったくもってその通りであった。首都に避難したところで、パーパルディア皇国軍が進軍してきたら結果はまったく同じだ。
だがレイモンドたちは、アメリカ海軍のイージス艦が一隻、アマノキ沖合で戦闘態勢を整えていることを知る由もない。
「あぁ、確かにそうだろうな。だが、日本が国民の命が危機に晒されているこの状況を座視するはずがない」
半分ほどブラフであった。
「はっ。まぁいいだろう。上空のワイバーンへ念を押せ」
その後、魔信にて上空にいるワイバーンへと念が押された。
「それで、これからどうするつもりだ」
「首都アマノキへと移動する。お前たちの仲間は、途中で解放する」
舐められている。
パーパルディア皇国兵士の顔が屈辱に
「舐めるなよ.......」
隊長は意を決して叫ぶ。
「お前たち! 俺たちに構わず撃て! 我らパーパルディア皇国は、卑劣な交渉には屈しない!!」
レイモンドは下唇を噛む。想定されるなかで最悪な状況となってしまった。
「撃て! 撃て!」
レイモンドは人質に取っていた兵士を引きずりながら少しづつ下がって行く。それにならって、兵士たちもジリジリと距離を詰めてくる。
レイモンドが覚悟を決めようとした時——乾いた銃声が鳴り響く。
「ぐっ.......!?」
レイモンドの左の太ももに焼けるような痛みが走る。
——撃たれた
戦場病というやつだろう。レイモンドはすぐに状態を把握し、対応する。
「逃げろ!!」
撃ってきた以上は人質の意味を成さない。危険は承知だが、敵に背中を向けて全速力で走って逃げる。若い男はこちらが何も言わずとも子供を背負ってくれる。
レイモンドも焼けるような痛みに耐えながら走る。
しばらく走り、手近な瓦礫に身を潜める。どうやら敵兵は再編成を行い、こちらを追跡しようとしているらしい。
「くそっ!」
太ももの心臓に一番近い部分に麻紐をきつく締める。
「大丈夫ですか?」
ウィリアムが心配する。
「大丈夫だ」と言い掛けたが、ぐっと飲み込む。
「正直、かなりキツイ.......」
「マスケット銃、威力だけで言ったら現代のそれより上ですもんね」
ジェームズがそう言いながら添え木を当てる。気休め程度だが、かなりマシになる。
「それで、これからどうするんだ?」
子供をあやしつけながら若い男が聞いてくる。案を話そうとしたところで、この男の名前を聞いていなかったことに気づく。
「あぁ、それよりも名前を聞いてなかった。名前は?」
暗い雰囲気を少しだけ明るくしようとレイモンドは軽い調子で聞いた。だが、若い男は顔を俯けて表情を暗くし——
「.......名前はないんだ」
「うぐっ.........すまない。迂闊な質問だった」
「ま、この国に同じような奴は山ほどいるしな。気にするな。名前はないが、呼び名はある———ノーマだ」
「ノーマか。俺はレイモンド、こっちが.......」
「ジェームズです」
「ウィリアムです」
「さて、この先どうします?」
ウィリアムがそう聞いてくる。レイモンドは頭の中で考えたことを口にする。
「ノーマ、前に言った水道の場所はどこだ?」
「え? あぁ.......ニシノミヤコの外れにあると言ったけど、ミミールの森に程近い場所にある」
「ミミールの森か.......」
避難民脱出のために通った森だ。そこならレイモンド達でも場所は分かる。
「だが、奴らがその場所を押さえてると思う」
「そうだな、だが行ってみる価値はある」
そう言いながらレイモンドが動き出した瞬間、パーン、と、乾いた銃声が鳴り響く。
「フェン王国の部隊がまだ応戦してるのか?」
その後も立て続けに銃声が鳴り響く。
「この音、地下水道の入り口の方からだ!」
ノーマが走り出したので、レイモンドたちも子供を背負って走る。
「この先だ」
倒壊した家屋から慎重に顔を覗かせると........
「......フェン王国兵か」
地下水道周辺の街道をフェン王国兵が守備していた。
「よし」
フェン王国兵のもとへと向かおうとした時、再び銃声が鳴り響く。
——ピシッ!!
「狙われてる!!」
着弾位置から発射位置を推測し、射線を切る。
「危なかった、完全にこっちを狙ってたな」
「マスケット銃、精度はかなり劣悪のはずですが、かなり近い位置まで持ってきたとなると、そうとう腕のいいやつですかね」
「くそっ、もう少しだっていうのに......」
地下水道はすぐそこなのに、敵の妨害を受けてたどり着けない現状に歯噛みする。
「どうしますか? 正面突破すればいけるはずですが......」
「........」
周りの様子を伺いながらどうするか考える。その末にたどり着いた答えは。
「俺が囮になる」
「馬鹿言ってるんじゃありません。ドラマや映画じゃないんですよ」
ウィリアムの言う通り、これは紛れもない現実だ。だが、現状取れる手段がこれしかない。
「フェン王国兵になんとかこっちに来てもらえれば.......」
怒号と銃声が耳に入る。まだ戦闘は続いているようだ。
「気付く、のか?」
金属と金属がぶつかるような音、銃声と、声を張り上げても気付いてもらえそうにない。
すると、鼻を啜る音がレイモンドの耳に入る。子供が涙を流しながら声を押し殺していた。普通なら大声を上げて泣き出したのだろう。だが、それを必死に抑えていた、
「ごめんね.....もう少ししたらパパやママと会えるからね」
流暢な日本語でレイモンドは子供を励ます。
「うん.......」
微かに聞こえる声で頷く子供。
「あんたら、あそこの水道まで子供を背負ってけるか?」
ノーマが聞いてくる。ウィリアムがここから水道の入り口までの距離を目算で測る。
「ざっと200m。俺が子供を背負った場合、2分弱でいけます」
「もう少し早める。1分30秒だ」
「........了解」
キチガイなタイム設定といえるが、ウィリアムは特に反論することなく了承する。
「これで問題ない。だが、どうするつもりだ?」
素早く打ち合わせを終えると、ノーマに問いかける。ノーマは不敵に笑っていた。
「なに........なんでもないただの1人の男が他の国の人のために死んでくるだけさ」
「おい、馬鹿な真似はよせ」
ジェームズが止めようとする。
「あんたらと地下室で会ってな、話を聞いてさ.......素直にカッコいいと思ったよ。危険を冒してまでこの街に戻ってきて、俺とこの子供をなんとかここまで連れてきてくれたんだからな」
「よせ」
「会ってから少ししか話せなかったけどな、これだけ言わせてくれ——-
———ありがとう」
ノーマはそう言うと瓦礫から飛び出ていた。
「待っ........!」
「行くぞ!! 今しかない!!」
ノーマの後を追おうとするジェームズを引き留め、レイモンド達は地下水道の入り口へと向かう。距離にして200m。レイモンドやジェームズはともかく、ウィリアムは子供を背負っているため、時間がかかる。
——ビシッ!!
時折、こちらを狙ってきた弾丸が地面や壁に着弾する。
200m走のちっぽけな短距離走が始まる。
やがて、銃声が3発連続で鳴り、怒号が響く。
レイモンドたちはそれに構わず走り続ける——
「っ!?」
右肩甲骨が砕けるような音がした。そのままレイモンドが地面に倒れる。
「隊長!」
「くっ........」
歯を食いしばり、痛みに耐える。ジェームズがとうすぐさまレイモンドの左肩を持って瓦礫へと引き摺り込む。
「かはっ.......右肩甲骨が完全に死んだ」
右肩を僅かに動かしただけでも激痛が走る。敵の位置は不明だが、おそらくすぐそこまで迫ってきているのだろう。そして、地下水道の入り口付近から聞こえていた戦闘音は一切しなくなった。
「......ウィリアム、ジェームズ。先に行け。このままだと、全員が死ぬ」
「ふざけないでください。米軍は、仲間を決して見捨てないんですよ」
そう言いながら無理矢理レイモンドのことを担ごうとする。
「やめろ! 被弾面積をデカくしてどうする! それに、地下水道までは距離がある」
先程よりもだいぶスピードが落ちる。
——ビシッ!
近くの壁や地面に着弾する音が多くなる。
このままだと全員が死ぬ。そう判断したレイモンドは——
「んむっ!?」
無理矢理、ジェームズの手を振り払い、先を進んでいるウィリアムの元へ突き飛ばす。レイモンドはそのまま回れ右をして逆走を始める。
「隊長!!」
ジェームズはすぐさま戻るとするが———
「離せ! ウィリアム!!」
ウィリアムがジェームズのことを、子供を背負いながら器用に肩を掴む。
「もう無理だ! それに、隊長なら生きて帰ってくる!!」
ウィリアムは自分が言っていることが叶うとは到底思っていなかった。だが、こうでも言わないと自分の気持ちにも、ジェームズの気持ちにも示しがつかなかった。
ウィリアムはジェームズの手を強く引っ張る。
「やめろ......ウィリアム」
ウィリアムは手を離さない。
「行くぞ!!!」
「レイモンドォォォ!!!!」
レイモンドの耳に自身の名を叫ぶジェームズの声が入る。
「ふっ.......俺らしくないな」
服を破り、傷口付近をキツく縛りながら軽く自嘲する。
「ふん.......!!!」
応急処置を終え、レイモンドは敵を迎え撃つ準備をする。といっても、待ち伏せなのだが。
「くそっ! 地下水道に逃げられたか!」
「まだ走れば間に合う筈だ! 走れ走れ!!」
足音が近づいてくる——-今だ。
「ん!?」
先頭を走っていた兵士の横面を吹き飛ばし、そのマスケット銃を奪い、発砲。至近距離からまともに喰らった兵士は左腕から先が吹き飛ぶ。
「うわっぁぁぁ!!!?」
兵士たちが動揺している間に、左腕を無くした兵士から剣を奪い、斬りつける。
こちらに向かって撃ってくる兵士もいたが、味方撃ちを気にしすぎて全く当たらなかった。
やがて、増援の兵士が続々とやってくる。
「うぐっ!?」
どうやら敵は味方撃ちを気にしなくなったようだ。問答無用で撃たれた弾丸の内、1発が右の脇腹に当たる。そこで限界を迎えた。
「かはっ......」
大きく息を吐き出し、膝から崩れ落ちるレイモンド。倒れた先に水溜りがあった。目だけを動かして周りを見ると、いつのまにか雨が降っていた。
ふと、レイモンドはあることに気付く。死を目の前にして、どうしてこれだけ冷静でいられるのかと。そして、理解する。
(あぁ.......もう死ぬんだな)
雨が体に打ちつけられる。
バシャッ、と音を立てて、レイモンドの顔の前に足が現れる。
「手を煩わせやがって.......」
その男はレイモンドの髪を掴み、上体を起こさせる。もう、レイモンドの体は動かなかった。
「やられた仲間の恨みだ」
そのまま膝立ちの姿勢を取らされ、頭に銃口を突きつけられる。
「何か言い残すことはあるか?」
レイモンドは心の中で、日本にいる家族に謝罪する。そして、最後の力を振り絞りこう口にした。
———-合衆国、万歳。
と。
乾いた銃声がニシノミヤコに響き渡る。
この日、ニシノミヤコ守備隊は壊滅。同日、ニシノミヤコは敵の手に落ちたのだった。
幸いなことは、フェン王国軍による住民避難が完了し、民間人犠牲者は一人もいなかったことであろう。
◆———-◆
ニシノミヤコ陥落の報は、すぐさま日本国政府に届けられた。
日本国 首相官邸 危機管理センター
危機管理センターでは関係閣僚、官僚が詰めていた。
「第一報を確認します。大使館からの情報だと、ニシノミヤコは陥落。幸いにして、フェン王国による住民避難が間一髪完了したそうです」
外務省職員が第一報を読み上げながら、センターの内部を見渡す。危機管理センターに詰めてる要員の顔は、皆揃って暗い。
「すいません、続報です」
補佐員が追加のメモを渡してくる。内容を一瞥した職員の顔が苦渋に塗れていく。
「大変申し上げにくいですが、先程の第一報の一部内容を訂正します」
「何かあったのか?」
上野が聞いてくる。職員は頷くと、メモを読み上げる。
「邦人一名と、アメリカ人3人が行方不明だそうです.......いや?」
職員はある項目に目を止める。
「アメリカ人3人はどうやら、避難中に逸れた邦人1人を探すためにフェン王国のニシノミヤコに戻ったようです」
危機管理センターにいる全員の顔が驚愕に包まれる。
「自らあの戦火に飛び込んだのか!?」
国防省運用官が小さな声で叫びながらモニターを見る。モニターには、フェン王国上空の偵察衛星の映像が流れていた。
「No.5衛星、まもなく地平線に沈みます。以降の映像はフェン王国上空飛行しているドローンになります。尚、次の衛星到着予想時刻、next05」
「司令官、まさかとは思いますが、アメリカ人というのは国連軍なのでは?」
総隊司令官付き副官が聞いてくる。白井は腕組みをしながら唸る。
「雲野副司令経由で国連軍に問い合わせてくれ」
「分かりました」
副官が自分のスマホで副司令に電話を掛ける。マル秘に関する事項はないので問題ない。
しばらくして『分かりました』と、副官は電話を切る。
「アメリカ人3人が国連軍の所属かは不明ですが、横田基地所属の国際連合軍兵士3名がフェン王国へ観光に行ってるのは間違いないとのことです」
それなりに時間が掛かったとは言え、正式なルートをかっ飛ばしてくれたのだ。感謝しかない。
「ありがとう.......細かい事実確認は必要だが——-ここはゴリ押ししてみるか.........」
文民統制の観点から、本来なら広瀬国防相に代理で発言してもらうか、閣僚などから
スッと手を挙げる。
「どうした? 白井?」
すぐに何かを察してくれたのだろう。広瀬が名指しする。
「一つ報告をしなければなりません。ニシノミヤコに戻ったとされるアメリカ人3人ですが、国連軍の兵士の可能性があります」
“国連軍”の単語にいち早く反応したのは上野だった。
「こ、国連軍.......!?」
日本に駐留する国連軍は、在日米軍がそっくりそのまま国連軍になったと考えてほしい。つまり、在日国連軍の兵士が亡くなるということは、アメリカ人が亡くなるということだ。
「その情報に間違いはないのか!?」
「いえ、国連軍に確認しましたが、その3人が観光に行った3人なのかどうかは不明です」
「まだ不明なのか......」
白井は無理矢理叩き込む。
「総理。民間人にしろ軍人にしろ、アマノキへ避難した邦人が危険に晒されています。現在、米海軍のイージス艦が防空任務に当たっていますが、一隻では限界があります」
「だからこそ艦隊が向かっているんだろう?」
「その通りです。ですが、最高速度40ノット前後が限界なんです。艦隊が到着したときには、イージス艦は沈み、アマノキが火の海になっている可能性があります」
「君はどうしたいと言うんだ! ハッキリ言え!」
白井の周りくどい言い方に上野の堪忍の袋の尾が切れる。
「護衛艦隊のワープ航法の許可を出して頂きたい」
国防省の文官武官、軍事に聡い官僚の顔が一瞬にして驚きに変わる。だが、ワープ航法の意味を理解できなかった上野が問い返す。
「ワープ航法?」
「次元跳躍、つまり、ある一点からある一点までの空間を超光速で進む航法です」
「? そんなものがあるなら、さっさとやればいいじゃないか」
上野はキョトンとしながら言うものの、官房メンバーと法務省関係者の顔が暗くなる。
「総理、ワープを使用するとなると、防衛出動の発布、または今回の戦争が我が国に対する武力攻撃事態であると認めなければなりません」
数多ある自衛隊法の中でも、敵国に対する武力行使が容認される、唯一の法律だ。そして明記されている法律でもある。
だが、戦後から今まで一度も発令されたことのない、『伝家の宝刀』でもある。そのことが、上野の判断を鈍らせる。
「.......防衛出動の要項を満たしているのか?」
法務大臣の
「満たしていません。まず、防衛出動は我が国に対して、明白な武力攻撃をしてきた場合、或いは、急性迫害の危険性がある場合のみです。防衛出動待機命令なら或いは......」
「白井司令、ワープ航法使用に関する例外はないのか?」
上野が白井に聞いてくる。一応、上司である広瀬の顔を見て確認を取る。小さく頷いたのを確認し、答える。
「新世界での使用例は一度のみです。護衛艦『あきづき』が一時的に国連宇宙軍の指揮下に入り、人員輸送を行いました」
「国連軍か.......」
今回の事態に際して、国連介入するとは考えずらかった。今回の戦争当事者、フェン王国とパーパルディア皇国は国連非加盟国だ。ましてや、旧世界の国際法、慣例が適当すらされない、
過去、経済制裁が非加盟国に対して何度か行われたものの、数例のみに留まっている。武力制裁は尚更だ。*1
「柔軟な運用を期待するのは酷です」
「くそっ........邦人保護出動でどうにかならんのか?」
「無理です。邦人保護出動はあくまでも火の粉を振り払うだけです」
選択肢は二つとなった。
このまま邦人保護出動で対応するか、防衛出動待機命令を発出するか。
どちらの選択をしても、それ相応の対価を払うことになる。
「.......」
全員の視線が上野に注がれる。
(戦後初の防衛出動待機命令の発出の重圧に、この男が耐えられるはずがない)
白井は上野のことをどこか蔑むように視線を向ける。
「はぁ〜」
白井は小さくため息を吐いたのだった。
その後、結局邦人保護出動のままで事態の対処に当たることが決定された。
◆———-◆
国防宇宙海軍第一護衛艦隊はフェン王国に約25ノットの速度で向かっていた。
第一護衛艦隊旗艦『いずも』艦橋で艦隊司令の
「いずも艦長。速力そのままだ」
「分かりました。ワープ航法の許可は出ず、ですか」
「あぁ。現在の速力を維持して、早くて2日後......戦闘が起きてないとは考えずらいな」
「速力を上げますか?」
いずもの進言に、安藤は少しの間考える。
今無理をしても、その後の戦闘に支障をきたす可能性が大だ。第一、ここで無理をし過ぎれば、ただでさえ崩れかかっている艦隊ローケーションが崩壊しかねない状況になっている。今はまだ無理をすべき時ではない。
「いや、このままでいい。『ラファエル・ペラルタ』との連絡を密にしろ」
「了解」
安藤は水平線の先にある、まだ見えぬフェン王国の方角を睨むのだった。
脳死で書き上げましたので、誤字脱字がアホみたいに多いです。一応、投稿前に確認はしましたが、それでも確認漏れがあると思います。気づいたら、できれば報告をお願いします。
内閣総理大臣 上野の運命
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ルート①
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ルート②
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ルート③
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ルート④