まぁ、流れでいきます。(それしかできない)
かなり後になって、
なぜ初めて会ったあの日、泊まるとこがないと分かったのか尋ねると、キリト君は自信満々に
「あんな顔で『大丈夫』って言う人がほんとに大丈夫だったのをこれまで経験したことがなくてね」
とキメ顔で話していた。
......あの時の私ってどんな顔してたの?!
かなりの羞恥心と、結構自信があった嘘がバレバレだったと判明した謎の悔しさからキリト君のほっぺたをつねってしまった。
それでも笑っていたキリト君に敗北感を味わったものだ。
...仕返しに夕飯のおかずを一品減らした。
×××××××××××××××××
クリーム付き黒パンを一欠片も残さず食べ終えた
確か原作のアスナは頭に超絶が付くお風呂好きである。
そもそも仮想世界では基本的に汚れない。土汚れなども数分もすれば跡形もなく消える。風呂に入るのは気分以外のメリットはない。
VRに囚われてから1ヶ月間も大好きなお風呂に入れていない状態のときに、キリトに風呂の存在を教えられ、葛藤の末に恥や外聞をかなぐり捨ててキリトの部屋へ入浴に行ったイベントがある。
元々俺は風呂が面倒でいつもシャワーを浴びて済ましていた
まあ、クリーム乗せパンのときのような失態はしないだろう。
もし同じように感情が暴走したところで扉は付いていたはずだし、ましてキリトと入るわけではない。
.........あれ?今、風呂に入ることを自然に考えていた...?
原作でキリトの人柄を知っているとはいえ、
もしかして...今の
暗い道をキリトの白い呼気が霧散するを見ながら歩いていると、不意に彼の声がかかる。
いつの間にか目的地に到着していたようだ。
それは《トールバーナ》の東に広がる牧草地沿いに存在していた。
敷地の脇にはきれいな小川が流れていて、そこに設置されている水車が絶え間なく回り続けている。
昼間ならさぞ素晴らしいのどかな風景が広がることだろう。
その敷地の真ん中に立っている母屋はかなりの大きさだ。
1階を通り不揃いの無骨な階段を上がると先に進んでいたキリトが扉を開けた体勢のまま入室を促していた。
「どうぞ」
「...どうも...」
いざ入ると部屋の広さが当初の想像の倍はある。
始まりの街の宿の一部屋と天と地の差である。
それもそのはず一目で大きいと感じる建物の2階を丸々使っているのだ。
(この一部屋でビジネスホテル何室分!?...5...8...10......もっと?!それが二部屋あってさらにお風呂場も...)
頭の中で始まりの街の宿50コルとこの部屋80コルがリフレインする。
原作でのアスナも驚いていたが...同じ道を辿るとは......別にこんなことは似なくていいのに...。
背後で扉が閉まる音が聞こえてくる。
そのままキリトは部屋の隅にあるワゴンの上の大きめのピッチャーからグラスに新鮮なミルクを2つ注ぎ、玄関前にある机に乗せソファーに座る。
向かいにある見た目より座り心地の良いソファーに座り、飲み放題らしいミルクを飲む。
さっぱりとしながら十分なミルク感があってとてもおいしい。
「アスナさ「さん付けはいらない」......ア、アスナ...明日のことなんだが」
「えぇ」
「防具を買った方がいい。前も言ったが流石にそのままじゃ危険すぎる」
「............
「幸い、ここらへんは迷宮区に近いこともあって、現時点でかなりいい防具が......へ?」
「......コホンッ......なら、防具屋さんの場所と、キリト君から見てオススメってあるかしら」
「?あ、ああ、まずアスナは典型的なスピードタイプだから動きが阻害されないような……………
………
話を詰めていく。
………
………………と、まあ、そんなところか。他に聞きたいことはないか?」
「キリト君は明日どうするの?」
「俺か?俺はやり残したクエストをこなしてくるよ」
「......私も...」
「...君は休んでいて欲しい...少なくとも攻略会議までは」
その善意しかない目に何も言えなかった。
「...わかった」
「すまない、命令するようで...」
慌てて首を振る。
「謝らないで、恩人に頭を下げられるほど私は恩知らずじゃない。...それにあなたが私を想って言ってくれていることだもの、従うわ」
キリトは安心したように肩の力を抜きながらミルクを飲み干す。
「なら今日はこんなとこだな、アスナは向こうの部屋のベッドを使いなよ」
「...キリト君は?」
「俺はここでいいよ」
キリトは自らが座っているソファーを指差す。
その大方予想できたセリフに異論を返す。
「それはダメ。ここはあなたの部屋なのよ。私がここで寝る」
「君は休むべきだと言ったはずだ」
しかし、立場的にも状況的にも相手の方が圧倒的に有利だった。
「.........」
「はぁ、...わかってくれ、女の子をソファーに寝かせて自分だけベッドで寝るわけにはいかないんだよ...」
その気持ちも理解できた。
「...恩を感じてくれてるなら俺の顔を立ててくれないかな?」
チェックメイト、詰みだ。
「...そうね、わかった」
「......ね、ねぇキリト君」
メニュー画面を操作してなにかをしていたキリトはそれに気づかず返事した。
「ん?どうしたんだ?」
「...図々しい頼みだとは思うのだけど......」
その重苦しい声色に異変を感じたのか、メニュー画面から顔を上げたキリトが見たのは、
全身からプレッシャーを放つアスナであった。
「?!お、おう」
いきなりの状況に
「...あ、あの...」
さらに様子がおかしいことに疑問が浮かぶ。今のいままで言いたいことはズバズバいうアスナが言い淀むのは付き合いが浅いキリトでも違和感を覚えた。
「......……ろ、………いい...?」
「え?なんだって?」
「だからッ!...その...使わせて...ほしいの」
「...なにを?」
「......……ろ」 ???
「お…ろ...!」 おろ?
「ーーーッ、お風呂!お風呂を使わせてほしいの!!」
×××××××××××××××××
...最初はお風呂を借りるつもりなんてなかった。
ただ、リビングに入ってから壁一枚挟んだところにお風呂があると思うと......
何故かソワソワしてしまい、いてもたってもいられなかった。
恥ずかしさから赤面しながら後ろ手にバスルームの扉を閉める。
鍵は...掛けれなそうだ。仕方ない。キリトは覗きをするような性格ではない。...それより今はこの謎の衝動を抑えることが重要だ。
お風呂場は中世風の農家の2階とは思えないものだった。
北半分は脱衣所で壁には荷物置きと思われる棚が作り付けてあり、床には分厚いカーペットが敷かれている。
そして南半分は石を磨いたタイル敷きで、その中央に映画でしか見たことないような白い陶器のバスタブが占領していた。
壁にはよくわからない動物の顔が設置されていて、口から大量の湯が湯船に落ちている。さながら小さなマーライオンのようだ。
バスタブの縁からはなみなみと注がれた湯が贅沢にも溢れていた。
...鏡を見なくても期待に満ちた瞳はキラキラしてそうだ。
早速入ろうとしてハッと我に帰る。お風呂に入るには必ず行わないといけないことがある。
脱衣だ。
......この体になってから...まだ一度も見ていない
...いずれはその時が来る。だがそれは今なのか?こんなところで?
原作を観ていたときはアスナは最も好きなキャラだったが、だからこそ躊躇してしまう。
いつか、俺がいなくなって元のアスナに戻るのではないかと。
その時に見知らぬ
...だか、この衝動、ますます強くなる。この豪華なお風呂を見れば見るほど入りたくなる。
.........そうだ一度入れば治るかもしれない。どの道もう限界だ。
心の中で謝りながら、メニューの装備画面の《武器防具全解除》《衣服全解除》《下着全解除》《髪型全解除》を押す。
レイピア、迷宮区内で耐久値がなくなり現在3代目の赤ローブ、くたびれたブーツ、初期装備の衣服、地味な下着が順に消えて...収納されていく。
その瞬間、全裸の肌に12月直前の冷気が刺さる。
寒さからフルリと体を震わせると、後ろで結んでいた髪がハラリとほどける。
アスナの美しい肢体をあまり意識せずに、体が命ずるまま足先からゆっくりと湯船に浸かる。
「...ぅ......ぁ......ぁっ...」
まるで身体中を甘い電流が流れたかのようだ。
吐息が自然と漏れてしまう。
やばい、これはやばい。なにがやばいって...とにかくやばい。
肩まで全身浸かるとバスタブから勢いよく湯が溢れた。
「...ふ...ぁぁぁ...っ......」
気持ち良すぎる
こんなの知ってしまったら戻れなくなる...っ!
なんでこんなに気持ちよく感じるんだ...!
あまりの快感に
知らない間に建てられそうだったメス堕ち拒否フラグを、巧みな(無意識)思考誘導で叩き折るキリトさん
圧倒的主人公ムーブ!汚いッ!流石、汚い!《
即堕ち2コマ・アスナさん「お風呂には勝てなかったよ」ビクンビクン
感想をくださる方、返信はできないのですが全部見てます!ありがとうございます!!原作読みながら+超遅筆で毎回寝不足ですが、見てくださるだけでありがたく原動力になります!
話が全然進まねぇ...