オーシア連邦召喚   作:スカイキッド

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エースコンバットと日本国召喚のクロス作品があんまし無かったので、投稿してみました。どこまで書けるか分かりませんが、頑張ります。


第1話「転移」

 

 

 22年前の1999年、小惑星が砕けながら地球にぶつかった。

 

 軌道に正面向いてたユージア大陸には砕けた隕石が直撃し、大陸全土は酷く痛め付けられた。大陸で一番でかいエルジア共和国には難民が押し寄せ国がメチャメチャになった。

 

 2003年、エルジアは自棄を起こし、難民を押し付けてきた大陸中の国家に戦争を吹っ掛けた。大陸中の国家は連合軍を組んでエルジアに対抗し、『大陸戦争』と呼ばれたこの戦争は、エルジアの負けで終息した。

 

 隕石と戦争、両方の痛手から立ち直れないユージア大陸の国々を救ってやろうと、別の大陸の大国オーシア連邦が手を差しのべた。オーシアは善意のつもりだったが、エルジアには支配を持ち込む構造にしか見えなかった。

 

 だからこそ2019年、共和国から王政を復古していたエルジア王国は、オーシアと大陸中の国家に再び戦いを挑んだ。俗に言う『第二次大陸戦争』――『灯台戦争』だ。

 

 戦争はオーシアとエルジア、双方ともに甚大な被害を被ったが、エルジアは内部で分裂し、戦争は終息した。こっぴどくやられたオーシアも、ユージアから退く決意を示した。

 

 

 それから二年と数ヵ月後の2022年1月21日。

 

 

 

 それは唐突に訪れた。

 

 

 

 日付が変わったその瞬間、オーシア全土の夜空が真っ白く光り、直後に国外とのすべての連絡・交通が物理的に遮断された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年1月21日 00:20

オーシア連邦 ハイエルラーク空軍基地

 

 バルトライヒ山脈、ベルカ公国とオーシア連邦の国境にそびえるその山脈のすぐそばには、オーシア空軍のハイエルラーク基地が存在する。その司令部施設は今、混乱の極みにあった。

 

 

「報告! 人工衛星からの電波喪失、衛星通信およびGPSが使用できません!」

「中央部との通信、まだ回復しないのか!? 先ほどの光の正体はなんだ!」

「本基地からF-22A戦闘機がスクランブル、ただいまより周辺状況の確認に向かいます」

 

 

 20分前、突如として夜空が突然明るくなるという異常現象が発生した。原因は不明だが、EMP攻撃を受けた可能性から、基地の警戒レベルは最大に引き上げられ、基地の司令部には多数の情報が次々に飛び込んでくる。

 

 

「クソッ、一体何が起きている」

 

 

 早期警戒団の副司令は、次々に各地から司令部へと飛び込んでくる報告に静かに声を上げた。現在司令が不在で、副司令であるこの男が臨時で司令代理を勤めている。

 副司令は、12年前の環太平洋戦争で前線の空中管制官として活躍した男だが、突飛な事態に弱いという性格があり、出来ることならば彼は今すぐにでもこの仕事を投げ出したかった。

 

 

「副司令!」

 

 

 そのとき、司令部オペレータの一人が、ヘッドセットのスピーカーを自らの耳に押し付けながら、副司令を呼びつける。

 オペレータは信じられないと言わんばかりの表情をしながら、副司令に叫ぶように伝えた。

 

 

「本基地より緊急発進したF-22A戦闘機から報告です! ベルカが消滅しました!」

「……は?」

 

 

 副司令は報告に硬直した。

 

 

 

 

 

 

 

ー五時間後ー

 

 

 

 

 

2022年1月21日 05:10

オーシア連邦 大統領官邸ブライトヒル/首都オーレッド

 

 オーシア最大の都市であり、連邦の首都でもある巨大都市オーレッド。そのオーレッドの一角にある大統領官邸ブライトヒルの執務室で、オーシア連邦第50代大統領は頭を抱えたくなるような衝動を必死に抑えていた。

 

 

「つまり何かね? 夜空が光った途端に陸続きのベルカやウスティオ、サピンといった隣国が消えて海になり、海を隔てたユークや、上空の人工衛星とも連絡が付かない、だと?」

 

 

 色んな意味で有名だった第48代オーシア大統領、ビンセント・ハーリングの次の次の代に就任した彼は、秘書に尋ねる。

 

 

「はい、厳密には人工衛星は連絡のみならず目視でも喪失しており、実質消滅したと科学技術省が報告しています」

 

 

 始まりは今から五時間前の午前0時ちょうどに、突如として夜空が白い光に包まれたところから始まる。その直後、沿岸警備隊や空海軍の哨戒機がベルカ、ウスティオ、サピン、パーブラなどの陸続きの隣国が消えて海になったことを報告した。

 

 さらに人工衛星や宇宙ステーションとも信号を喪失したことで、GPSなどの衛星を必要とする一部の機器が使用不可能となっていることをバセット国際宇宙基地の管制センターが報告している。

 

 どういう訳か国外にいたオーシア国籍の民間人や、国外に展開していた軍の人員や物資が本国の空き地に現れ、航行中であった船舶や航空機も本国の港湾や空港に出現するなどの怪奇現象すら起きている。

 

 最初、閃光の直後にGPS関連の機器が不調を起こしたことから、高高度での核爆発に伴うEMP攻撃の可能性もブライトヒルは考慮した。

 

 なにせ隣国のベルカ公国は元核保有国であり、かつてのベルカ戦争では自国領に七発の戦術核を投下する暴挙を行ったような国だ。

 

 一応、ベルカ戦争後の軍備制限でベルカは核を破棄したとはいえ、謀略好きのベルカの事だから核を隠し持ってるかもしれない。

 

 だからこそオーシアは今回の謎の発光現象もベルカの仕業ではと疑ったが、すぐにそれは違うと判断された。というのも、そもそも攻撃してきたと思われるベルカすら消えてるのである。

 

 まさかわざわざ自国を消してまでそんなことするはずもあるまい。もっとも、自分たちの国に核を落とすような国なので確実にそうとは言えないが。

 

 となれば前の戦争相手であるエルジア王国の可能性も考えられた。2019年の灯台戦争では、エルジアによりオーシア向けて核が撃ち込まれかけたこともあった(厳密にはエルジア軍ではないが、エルジアが核を持っていたという事実に代わりはない)。

 

 しかしエルジアが核を撃ち込んでEMP障害が発生したにせよ、被害があまりにも少なすぎることからそれも否定された。そもそもエルジアは講和会議で戦後に大量破壊兵器を放棄したはずだ。

 

 ともあれ今回の謎の事象には、ベルカやエルジアによる核攻撃説の他にもいくつかの説が唱えられた。例えば、軌道上の隕石(ユリシーズ)の欠片が一斉に落下してきた説、天変地異レベルの火山地震でオーシア周辺の国が全部海底に沈んだ説などなど。

 

 そのどれもが納得のいく根拠に欠けていたが、唯一もっとも根拠が整っている、しかしもっともあり得ない説があげられた。

 

 

「オーシアは()()()()()()()()、か……」

 

 

 大統領が呟いた。

 そう、それこそがオーシアが国土ごとどこかの異世界に転移した説である。国ごとどこかの世界に飛ばされるなど、一笑に伏せるような話ではあるのだが、用意された根拠から人々はそうも出来なくなった。

 

 これの最大の根拠となったのは、科学技術省からの報告である。

 

 

『人工衛星が消失したほか、軌道上のユリシーズの欠片が消失している。また、上空の天体が大きく変化している。少なくとも地球では見られない星空が上空に広がっている』

 

 

 そうつまり、人工衛星もユリシーズも消え、星空が変化したというのだ。地球で見れない星空が広がってるということは、ここは地球ではないということ――証拠が整ってるため、現状はこの転移説が最有力説となった。

 

 しかもオマケとばかりに、軌道上に無数に存在する忌まわしき『ユリシーズ』の破片もすべて消失したのである。

 

 1999年7月8日、地球のロシュ限界に突入した小惑星1994XF04――通称『ユリシーズ』はバラバラに砕けて地表に降り注いだ。隕石を迎撃破壊する超巨大地対空レールガン施設、通称『ストーンヘンジ』による迎撃も空しく、多数の破片が大気中で燃え尽きることなく地表へ落着。

 当初は人類滅亡すら予想されたが、それは免れた――約50万人という莫大な死傷者を対価にして。

 

 これに加えてユージア大陸やアネア大陸ではユリシーズ落着に伴い発生した難民問題や経済恐慌により戦争や内戦を巻き起こす事となった。

 戦争による被害者も含めれば、ユリシーズによる犠牲者は2000万人にまで上った。これが『ユリシーズの災厄』である。

 

 二年前の灯台戦争も実質的にはユリシーズの災厄が原因となっており、オーシアの間でもユリシーズを憎む者は多い。そしてタチの悪いことに、一部の破片は地表に落下することなく軌道上を漂い、忘れた頃に地表に落下してくるのである。

 

 オーシアはこの破片の除去作業に本腰を入れていたが、落着から22年が経過した現在も多数の破片が軌道上に残されている。

 

 だがそれが突然さっぱり消え去ったのだ。今までの努力が無駄になったような気がしなくもないが、あの忌まわしき災厄が消え去ったことは喜ぶべきことだろう。

 

 しかしユリシーズの破片が消え去り、地球では見れない星空が見れたということは、オーシアが別の惑星に転移したというのは間違いないということでもあった。

 

 

「いずれにせよ、何かしらの行動をとる必要があるだろうな」

 

 

 大統領は秘書官に告げる。

 

 

「国防総省に繋げてくれ。本土周辺の調査をする必要がある。軍の航空機を出してもらおう」

「はっ」

「あと科学技術省にもだ。ここが地球でないのなら、未知の危険な病原菌や細菌が存在するかもしれない。すぐに大気と水質の調査も命じないとな」

「分かりました」

 

 

 秘書官は執務机の受話器に取りつき、受話器の先の交換手相手に国防総省へと繋ぐよう呼び掛けている。

 

 

「いざとなれば、灯台戦争ぶりに非常事態権限法を発動することも考慮せねばな……」

 

 

 秘書官の後ろ姿を眺めながら、大統領はそうひとりごちた。

 

 

 




・F-22Aラプター
オーシア連邦が開発した世界初の実用ステルス制空戦闘機。
1995年のベルカ戦争にて初めて実戦投入されて以降、いくつもの戦争に参加している。
高いステルス性と機動性、超音速巡航(スーパークルーズ)能力、高性能アビオニクスと長射程AAMの搭載により絶大的な空戦能力を誇り、長らく世界最強の戦闘機として君臨していた。
特に「リボン付き」の二つ名で知られている伝説のエースパイロット、メビウス1の乗機として有名である。
現在はレーダーや電子機器がF-35などの新鋭機と比べて旧式化しつつあり、オーシアではこれらの近代化改修を進めている。
我々の世界におけるアメリカが開発したF-22Aと酷似する。

――

12時にも投稿します。
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