オーシア連邦召喚   作:スカイキッド

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本作で召喚されたのはオーシアだけど、ノースポイント召喚も面白そうと想像。
震電Ⅱとか、ひゅうが改型DDVとか出して、そんでメビウス1とかフェニックスを出せば……妄想が膨らみますね
 


第3話「ファーストコンタクト」

 

2022年1月23日 13:00

オーシア連邦 首都オーレッド/大統領官邸ブライトヒル

 

 

 先日の転移現象が判明してからずっと、ブライトヒルの執務室に籠っているオーシア大統領は、空軍から届けられてきた報告を困惑した声音でもって次のように聞き返した。

 

 

「ドラゴンだって?」

 

 

 オーシア連邦が異世界に転移してからすでに数十時間が経過していたが、空軍や科学技術省の調査により、ここに来ていくつかの新たな事象が判明することとなった。

 

 まず一つ、転移後の惑星は直径が転移前より大きく、水平線がより遠くに見えること。次に、大気組成や海洋の水質などは転移前のそれとほぼ同じであり、今のところ危険な病原体や細菌は見っていないこと。

 そして、オーシアの西側800kmの海上に文明を有する大陸を発見したこと。最後に、ドラゴンのような空想上の生物や地球には存在しない生物が存在していること。この4つだ。

 

 ほかにも幾つか判明した事項はあるにはあったが、現状はこれらが特に重要である。そして後者2つはつい先ほど、ブライトヒルへと出向してきた国防長官の口からオーシア大統領の元へ伝えられた。

 

 国防長官もつい先ほど空軍の将校からその報告を受けたばかりであり、国防長官がそれを聞かされた当初はあまりにも馬鹿馬鹿しくて、将校の正気を疑って憲兵(MP)を呼んだほどだ。もちろん誤解は解消されたが。

 

 

「それで、そのドラゴンは西の大陸の文明から来たものであると……」

 

 

 大統領はまるで、1人で確認するかのようについさっき国防長官から伝えられた報告を何度も繰り返し口にする。ここは異世界なのだから何が起きてもおかしくないが、さすがにそれでも信じられないような事に違いはない。

 

 

「大統領、もしこの文明とコンタクトをとり、国交を結ぶことが出来れば、この世界の情報も入手出来ると思われます」

 

 

 国防長官からの進言に、大統領はゆっくりと首肯する。職務熱心なこの国防長官は、大統領に報告に来てからずっと執務室の机の傍らで微動だにせず棒立ちしている。

 

 

「となると……外交官を派遣して、コンタクトをとるべきか」

 

 

 とにかくこの世界は不明なことが多すぎる。この世界の情報が欲しいオーシアとしては、情報源が欲しい。その情報源たりえるこの世界の文明と、オーシアは国交を結びたいところだ。

 

 

「海軍の艦艇は派遣可能か?」

 

 

 大統領は国防長官に短く質問する。国防長官もすぐそれに答える。

 

 

「はっ、稼働可能な全艦がすでに緊急行動可能です。転移により水深が分かっていない海域がありますが、測量艦を随伴させて避けていけば問題はないでしょう」

「では海軍から測量艦と、そうだな……この世界は分からないことが多すぎる。念のため空母を随伴させよう。あと護衛に駆逐艦も何隻か必要だろうな」

 

 

 オーシア連邦政府は、空軍が見つけたこの世界の大陸の文明とコンタクトをとることを決定、航空母艦1隻、ミサイル駆逐艦3隻、測量艦1隻の艦隊を、空母に外交官を載せて派遣させることとなった。

 

 

ヒューバートⅡ級空母:アドミラル・アンダーセン

アーレイ・バーク級駆逐艦:バレアレス、イースタンキャトル、セイクリッド

海洋大気庁所属測量艦:コモン・リード

 

 

 艦隊編成はこのようになり、この臨時編成の艦隊は西を目指して大海原を突き進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年1月25日

クワ・トイネ公国

 

 

 クワ・トイネ公国の政治部会では数日前にマイハークに襲来した正体不明の未確認騎に対して、今日も議論が続いていた。

 

 甲高い音を出しながら羽ばたかずに高速で飛翔し、公国の防空網を易々と突破してきた2騎の正体不明騎。敵対国ロウリアか列強パーパルディアのものと予想されたが、2騎が飛来したのは北東方向からであり、その方向には国はない。

 

 議論は何回も行われたが、結局その正体が分かることはなかった。ひとまず政治部会は軍に警戒を強化し、再びの正体不明騎の襲来に備えるよう命じた。

 数日前からクワ・トイネ公国軍はマイハークを中心に警戒体制を強化し、各地の騎士団や飛竜隊に対して警戒を命じている。

 

 そしてそれは海軍も同じで、海軍はその主力艦艇である木造の帆船を何隻も洋上で哨戒任務に充てている。

 その中には、公国海軍第2艦隊所属のマイハークを母港とする軍船ピーマも含まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年1月25日 11:00

クワ・トイネ公国沖合い 北東海上

 

 

 クワ・トイネ公国海軍の軍船ピーマの船上でミドリ船長は狼狽えていた。数日前から軍に非常警戒が命じられ、ピーマは海軍司令部から緊急の哨戒任務を命じられている。ピーマの哨戒担当海域はよりにもよって先日の未確認騎が飛来してきた方向に一番近い北東の海域であった。

 

 そんな中、ピーマの見張員が水平線近くに5つの船影を確認した。海軍司令部からは怪しいモノをすべて確認するように命令されていたので、確認に向かったところそれは見たこともないほどの巨大な船であった。

 

 

「なんだこの大きさは? まるで海に浮かぶ城塞ではないか……」

 

 

 それは見慣れぬ姿をしていて、5隻すべてが灰色一色の船体であり、船体上の構造物はそれこそ要塞の塔を思わせるほどとてつもなく大きい。帆を張っていないマストには見たこともない国旗がはためいている。

 

 その国旗は、上半分が白、下半分が紺色で、中央に6つの五芒星と、その右上にちょこんと小さな五芒星が浮かんでいる配置をしていた。だがそのような国旗を少なくともミドリは見たことがなかった。

 

 

「副船長、あの旗はどこの国のものだ?」

「いえ、残念ながらあの旗は私も知りません」

「ではアレほど巨大な船を持っている国は知ってるか?」

「さぁ……数年前に海軍学校の研修でパーパルディア皇国に赴いたとき、100門級戦列艦と呼ばれる物を見た事がありますが、あの5隻はどれもそれより大きいです」

 

 

 副船長の言うとおり5隻はどれも見たことがないくらい大きかった。比較的小さな4隻ですら全長150メートルはある。『ADMIRAL ANDERSEN』と見たこともない言語が船体に書かれた船に至っては全長300メートル以上はあるだろう。

 

 

「船長……どうしますか?」

「……魔信で司令部まで連絡しろ。とりあえずは接触するぞ」

 

 

 ピーマはおそるおそる5隻の大型船に近づいてみたが、いっさい攻撃されるようなことはなかった。むしろ巨大船の甲板上に水夫と見られる人間達が大勢出てきて、ピーマに向けて手を振ってきた。

 

 

「手を振ってる……どうやら戦争するつもりは無いらしいな」

 

 

 相手が友好的なようで、ひとまずミドリは安堵する。ミドリ以外にも、副長やピーマに乗る船員全員が同じであった。そのとき5隻の中で一番大きい船から、人間とは思えないほどの大声で声がかけられる。

 

『こちらオーシア海軍、こちらオーシア海軍。前方の艦、所属を明らかにせよ』

 

 

 噂に聞く魔導拡声器でも使っているのだろうかとミドリは考えたが、そんなことはどうでもいい。それにしても『オーシア』という国は聞いたことがない。国旗といい国名といい、一体この国はどこの国なのだろうか。

 

 

「こちらはクワ・トイネ海軍だ! 貴船はクワ・トイネ公国の領海を侵犯している! 貴船の航行目的を明らかにせよ!」

 

 

 ミドリは精一杯の大声で大型船に向けて叫び返す。すると何故か甲板の人間がどよめきだした。まるで言葉が通じることに驚いてるかのようだ。しばしの間があったのち、大型船から返答が返ってきた。

 

 

『本艦の目的は貴国との外交交渉である。だが我がオーシアは貴国との間に外交ルートを有していない。本艦は貴船に対し、貴国への先導を求める』

 

 

 なるほど、とミドリは思った。確かに外交ルートを持っていないのならミドリがオーシアという国を知らないのも無理はないし、わざわざ領海侵犯してくるのも仕方がない。領海侵犯が起きるのも仕方ないだろう。

 

 

「少し時間が欲しい! しばらく待っててくれ!」

 

 

 ミドリは声を張り上げて大型船に返した。そしてすぐに副船長に振り返り、「海軍司令部に連絡しろ」と命じる。

 オーシアという国の大型船からの要求は魔導通信でマイハークの海軍司令部に、さらに政治部会にまで届けられた。しばし後、ピーマのもとにオーシアの大型船をマイハーク港へ先導するように命令が来た。

 

 

「これより本船は貴船を本国のマイハーク港へ先導する! ついてきて欲しい!」

 

 

 ピーマは回頭し、5隻のオーシア大型船を引き連れて母港のマイハークへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 この日、外交官を載せたオーシア海軍の最新航空母艦『アドミラル・アンダーセン』は、3隻のミサイル駆逐艦と1隻の測量艦を引き連れ、異世界国家クワ・トイネ公国の艦船と接触を図ることに成功した。

 




・ヒューバートⅡ級空母
オーシア海軍が運用する大型航空母艦。
航空機70機以上を洋上で運用可能な海上の航空基地である。
アングルドデッキ、舷側エレベータ、光学着艦システム、蒸気カタパルト、アレスティングワイヤーなど、充実した航空艤装を有し、高い航空機運用能力を誇る。
今までオーシア海軍が運用してきたヒューバート級空母(同型艦は空母ケストレル、バーベットなど)の改良型として建造され、同型艦は各艦隊の主力に配属された。
しかし灯台戦争で同型艦が多数撃沈されたため、現在は数隻しか運用されていない。
後継艦としてヒューバートⅢ級空母(GRフォード級に相当)が建造中。
現実世界におけるアメリカ海軍のニミッツ級空母に相当する。

・アーレイ・バーク級駆逐艦
オーシア海軍の主力イージス駆逐艦。
今まで運用してきたカサール級駆逐艦とOHペリー級フリゲートの後継として建造され、多数が艦隊に配属された。
武装は5インチ(127mm)単装速射砲、VLS、20mmCIWS、25mm単装機関砲、短魚雷発射管など。対潜水艦用の哨戒ヘリも搭載している。
灯台戦争では多数の同型艦が沈められたが、元の同型艦の数が多いため、現在でもオーシア海軍の数的主力である。
現実世界のアーレイ・バーク級駆逐艦に相当。


――
エスコン7の空母といえばアドミラルアンダーセンですよね。本作のアンダーセンは灯台戦争後に離礁、正式に海軍に就役したという設定です。それにしても、知らぬ間にどこかで沈んでたケストレルⅡェ…

ヒューバートⅡ級は、エスコン世界のニミッツ級後期型って本作で設定してます。空母ケストレルとかのヒューバート級がニミッツ級前期型に相当、ってところです。
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