オーシア連邦召喚   作:スカイキッド

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あまりの誤字報告の多さに自分でも推考してるのか怪しく感じてしまう今日このごろ。
ていうか何だこの異常なUAとお気に入り数の増加率の高さは(困惑)

追記:2021/1/1、一部文章を修正
 


第6話「戦争準備」

 

中央暦1639年3月25日 10:00

クワ・トイネ公国 公都/オーシア大使館

 

 

 クワ・トイネ公国との国交開設後、オーシアの代表として現地に留まる事になった外交官ヒューズの朝は、突如やってきた職員の報告によって一変した。

 どうもクワ・トイネの外交担当が火急の用があると、アポなしで面会を求めてきたらしい。妙な予感を感じつつもヒューズは、面会を受け入れることにした。

 

 

「お待たせしました」

 

 

 ヒューズが応接室の扉を開けると、外務局職員のヤゴウという青年がいた。

 

 

「大使殿、急な訪問となってしまい申し訳ありません。至急お伝えしなければならない事態が発生しました」

「一体何でしょうか?」

 

 

 この流れからして嫌な予感がする、というのはあながち間違っていなかったようである。そしてそれは、ヤゴウの口から飛び出してきた言葉により確固たるものとなった。

 

 

「……我が国の西方にロウリア王国があるのは既にご存知だと思います。多数の方面から得た情報を精査した結果、ロウリア王国が我が国に対し、侵略する事がほぼ確実となりました」

「ほう。戦争、ですか」

 

 

 すでに情報だけなら、ロウリア王国がクワ・トイネ公国に侵略する可能性が高いことはヒューズも本国から伝え聞いていた。

 

 

「はい。既に国境20キロ付近にある町ギムの西側に、ロウリア軍の大群が集結しつつあります。ロウリア王国と戦争になってしまうと、その……」

 

 

 ヤゴウは口を淀ませる。ロウリアが亜人の殲滅を目的に戦争すると考えられることはヒューズも伝え聞いている。もし戦争にでもなって負ければ、この国の亜人種の住民たちが酷い目に会うのは言うまでもない。

 ヤゴウは亜人とは異なりヒト種だが、おそらく彼の知人や友人にもそれなりの亜人はいるのだろう。彼らのことを思えば、ヤゴウにとってはやるせない気持ちでいっぱいなのかもしれない。

 それに何より、今オーシアが国交を結んでいるのはクワ・トイネとクイラだけであり、両国が戦争に負ければ、オーシアが他に国交を結んでいる国はなく、この世界に関して得られる情報は途絶し、完全に孤立することになる。それだけはどうしても避けねばなるまい。

 

 

「……分かりました。この件は直ちに本国に報告します。おそらくですが、我が国は援軍を派遣すると思いますよ」

「ありがとうございます。どうか良い返事を期待しています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年3月28日 19:00

オーシア連邦 首都オーレッド/大統領官邸ブライトヒル

 

 

 大統領官邸ブライトヒルでは、大統領のほか副大統領や国防長官、外務大臣、通商大臣、科学技術大臣、内務大臣といった閣僚の面々が集まっていた。単刀直入に大統領は告げる。

 

 

「さて諸君、早速だが……戦争が始まることになってしまった。先日、在クワ・トイネのオーシア大使から連絡があった。ロウリア王国が隣国のクワ・トイネ公国に侵攻する可能性が確実となった」

 

 

 大統領は秘書に手振りで命じ、ロデニウス大陸の地図をテーブルの上に広げさせる。

 

 

「クワ・トイネ公国の総戦力は5万人程度。対するロウリア王国は……クワ・トイネによれば最低40万人はいるらしい」

 

 

 クワ・トイネとロウリアの8倍近い戦力差に、ロウリア王国の情報を聞いていない閣僚らの間で少なくないざわめきが起こる。圧倒的すぎる戦力差だ。

 

 

「もしクワ・トイネ公国とロウリア王国が戦争になれば、公国は敗けるだろう。その次にクイラ王国もやられれば、国交を締結した国を他に持たない我々は、この世界で完全に孤立することになる」

 

 

 大統領は外務大臣の方へ振り向く。

 

 

「すでに外務大臣には、ロウリアとコンタクトを取って外交で平和的解決を目指すよう指示しているのだが、そもそも我が国はロウリアとまともな交渉のテーブルにすらつくことが出来ない」

 

 

 そこで、と大統領は続ける。

 

 

「我が国からオーシア国防軍を派遣しようと思う。まだ議会の許可は取ってないが、おそらく許可は通るはずだ。それで、今日は皆にいくつか聞きたい事がある」

 

 

 そう言って大統領は国防大臣に振り向く。

 

 

「国防大臣、軍はどの程度出撃させられる?」

「はっ、先の灯台戦争による損害で国外に出せる部隊は数少ないですが……空軍ならそれなりの数が出せると思います」

 

 

 大統領から話を振られた国防大臣は、思い出しながら告げる。

 

 

「例えば、空軍のロングレンジ部隊なら、少数ですが敵に大打撃を与えることが出きる筈です」

「ほう、ロングレンジ部隊? 三本線の?」

「はい。三本線のいる部隊です」

 

 

 ロングレンジ部隊と通称されるその部隊の正式名称は長距離戦略打撃群である。

 

 ロングレンジ部隊は少数の戦闘機で敵防空システムの穴を突き、目標地点の遥か遠くから空中給油を繰り返して飛来、目標地点へ電撃的な奇襲をかけることを目的としたタスクフォース部隊だ。

 灯台戦争が終結した以上、もはやその存在意義は無いに等しいが、何やかんやで空軍の特殊部隊として現在も存在している。

 

 特にその部隊に所属する『三本線』と通称されるエース・パイロットは、灯台戦争で恐ろしい程の戦果を上げたことで有名だ。それに何より、ロングレンジ部隊は灯台戦争終結の立役者でもある。

 

 

「あとはB-52等の大型爆撃機を所有する戦略爆撃部隊がいますし、他の戦闘機部隊も公国の代替滑走路を使用すれば問題ないはずです」

 

 

 空軍大国としても知られる隣国のベルカ公国に対抗するため、オーシア空軍は強力な戦力を保有することとなった。そのため戦闘機は新鋭機の比率が高い上にその機数も多く、また爆撃機も多数保有している。

 

 灯台戦争でかなりの損害も出したが、海外駐留部隊の大半が国内に引き返した現在、十分な戦力が未だ空軍に残されていた。

 

 

「後は陸軍ですが……開戦には間に合わんでしょうな。海軍は先の灯台戦争で大損害を被っていますので、あまり出せる艦隊は……あぁ、第3艦隊なら確か出せたはずです」

 

 

 先の灯台戦争でオーシア海軍が被った被害は陸海空軍の中でもとくに大きい。開戦直後のエルジアの奇襲攻撃で建造中・停泊中のすべての空母が損傷し、その後も海軍はエルジアとの戦闘で損害を出し続けた。

 

 結果、灯台戦争後に海軍に残された海軍艦艇の数は大きく減り、現在海軍は空母戦力再建のため、新たに空母を新造し、ヴァルチャーやアンダーセンなど戦争を乗りきった艦艇に修復を施すなどしている。

 

 

「悪くないとは思いますが、その、空と海だけで勝てるのですか?」

「勝利の定義が不明ですが、敵にかなりの損害を強いるという意味なら可能です」

 

 

 おずおずと内務大臣が尋ねるが、国防大臣はすぐに答える。

 

 

「空海軍しか戦力が出せない以上、私としては空爆を中心とした攻撃でロウリア軍に出血を強い、そのあとロウリア首脳部へ講話を迫れば良いと思います」

「悪くない考えだ。だがいざというときのために、陸軍戦力派遣の準備もしておいてくれ。何が起きるか分からない」

 

 

 その後もいくつか議論が交わされ、ロウリア軍が越境した直後にオーシアはロウリアへ宣戦布告し、オーシア空軍がこれを空爆、さらに洋上から迫るロウリア船団を襲撃することで決まった。

 

 後日、議会はオーシア軍の派遣を許可し、クワ・トイネ公国へオーシア軍が派遣されることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年4月10日 20:00

クワ・トイネ公国 マイハーク/臨時オーシア軍飛行場

 

 

 クワ・トイネはオーシアと国交を締結したあと、オーシアへこの世界の情報を輸出し、その対価にインフラや交通網の整備などといった国内開発をオーシアに請け負って貰っていた。

 その一環としてクワ・トイネ公国の各地には幹線道路が建設されたのだが、その日、マイハーク郊外にある直線道路の一つは、突如として公国軍騎士団により封鎖された。

 

 

「何だ、どうした?」

「騎士団の連中が道路を封鎖しちまったんだよ。これじゃ荷馬車が通れないや」

「…………ん? おい、あそこを飛んでる鉄竜、こっちに向かってきてないか?」

 

 

 何事かと野次馬が集まるが、やがて遅れてオーシア海兵隊のCH-47チヌーク輸送ヘリが着陸し、機内から降りてきたオーシア兵らが無線機に何かを呼び掛けてる。やがて封鎖された直線道路へやって来たのは、オーシア空軍に所属する8機のF-15Cイーグル戦闘機だった。

 

 

「オーシアの鉄竜だ!」

「この前マイハークに来たのとは少し形が違うみたいだが……」

「しかもこっちに近づいてるぞ。この道路に着陸するつもりだ!」

 

 

 イーグルは直線道路を滑走路に見立てると、ヘリから降りた地上管制官からの管制を受けて、次々と道路へ着陸してきた。さらにその後方からは、同じくオーシア空軍のF-16C戦闘機、A-10CサンダーボルトⅡ攻撃機がやって来る。

 

 やがて、より大型のB-52ストラトフォートレス戦略爆撃機とE-767早期警戒管制機が続々とやって来て、ランディングギアを軋ませながら地上へと下りてきた。着陸した機は、路肩の駐車場を駐機場代わりに、その翼を休めている。

 

 

「始まるのか、戦争が……」

「あぁ……だがあのオーシアなら、きっと何とかしてくれるだろう……」

 

 

 野次馬たちは次々に降りてくるオーシアの機体を眺めながら、口々に呟く。

 

 オーシアはこの直線道路をいざというときに備え、大型ジェット機の離着陸に耐えられる滑走路として使えるように設計しており、いま、この直線道路はオーシア軍前線飛行場の滑走路として利用されていた。

 洋上からもオーシア海軍の第三艦隊がロウリア王国目指して接近中であり、海上からは第三艦隊が、陸上からはこの前線基地を利用してロウリア軍に臨むつもりだ。

 

 そして一番最初に着陸した8機のF-15Cイーグルの垂直尾翼には「WW」のテイルコードが振られており、そのうちの一機には、獣が引っ掻いたかのような三本の爪痕が白線で描かれていた。

 

 

 




・CH-47チヌーク
オーシア空軍とオーシア海兵隊が運用している大型輸送ヘリコプター。
タンデムローター式(巨大な2つのプロペラが機体の前後についてる)で、最大55人の人員または10t近い物資を空輸可能。
オーシア軍では物資や人員の輸送で長らく使用されているが、特にオーシア海兵隊では空中機動作戦や空中強襲作戦用に運用しており、空母の艦上でも運用している。
現実世界のCH-47に相当。

・E-767
ノースポイントがオーシアの技術で開発した早期警戒管制機(AWACS)。
B-767旅客機に巨大な円盤上のレーダー・レドームを背負わせ、半径数百キロを見渡せる高性能なレーダー、高い通信処理能力と管制能力を併せ持っている。
その性能の高さから各国の空軍に採用され、世界的に運用されてる。
一部の国ではECMポッドを搭載して電子戦機として運用してる他、レサス空軍では中古のE-767に対潜水艦用の武装と機材を載せて対潜哨戒機としても運用していた。
現実世界のE-767に相当するが、こちらはECMポッドも対潜兵装も搭載できないといった多少の差異が存在する。

――
オーシアの超兵器ってアークバードとアーセナルバードしかなくね……?
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