オーシア連邦召喚   作:スカイキッド

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前回あとがきでオーシアの超兵器はアーク/アーセナルバードしかいない、って書いたら、SOLGもあったことに感想で気づかされた……

SOLG戦は一周目に手前のミッションでF-14B選んで、対8492戦でミサイル尽きて、GPBで人生初の空対空爆撃を強制されたのは良い思い出……
 


第7話「開戦」

 

中央暦1639年4月11日 18:30

ロウリア=クワ・トイネ国境付近 ロウリア王国東方征伐軍本陣

 

 

 国境のロウリア王国側、東方討伐軍先遣隊本陣には40万に及ぶロウリア兵と150騎のワイバーンなどが集結していた。クワ・トイネ公国は幾度となく国境から兵を引くよう魔導通信で連絡を行なっていたが、ロウリア軍はこれを全て無視している。戦争することはすでに決定しているのだ。

 

 

「明日、ギムを落とすぞ」

 

 

 将軍パンドールは長年訓練を共にした部下達を前に宣言する。彼が指揮する先遣隊は歩兵2万、重装歩兵5千、騎兵2000、工兵1500、軽装兵1000、魔導師350、そして竜騎士150の総計3万からなる。

 

 数の上では歩兵が多いが、竜騎兵は10騎いれば1万の歩兵を足止め出来る空の覇者であり、それが150騎もいるのだから心強い。

 パンドールは微かに笑みを浮かべて自分の部下たちを見つめていた。ワイバーンは高価な兵器であり、ロウリア王国の国力であれば本来国中から全てをかき集めても200騎そろえるのがやっとなはずだ。

 

 しかし今回は対クワ・トイネ公国戦に500騎のワイバーンが用意されている。噂では第三文明圏の列強国、パーパルディア皇国から軍事物資の支援があったとされているが実際はどうなのか不明である。

 いずれにせよ自分の手元に150騎のワイバーンがいることは、少なからずパンドールにとって満足である。

 

 

「ギムでの戦利品はいかがしましょうか?」

 

 

 副将のアデムが話しかける。彼はロウリアの有名な騎士であるが、同時に冷酷なサディストとしても知られる。ロウリア王国が領地拡大のために他の小国と戦争していた時代、占領地で繰り広げたとされるその残虐性は語るに耐えない。

 

 

「アデム君、君に任せるよ」

「了解いたしました、フヒヒ」

 

 

 アデムは将軍に一礼すると後ろを振り返り、すぐさま部下たちのもとへと行ってしまった。アデムはやがて天幕の中で部下である伝令の兵を呼び止める。

 

 

「君、先遣隊の全員に伝えなさい。『ギムでは略奪を咎めるつもりはないから好きにしていい』、と。ああ、あと女は嬲ってもいいが、使い終わったらすべて処分するように。一人も生きて町を出さないこと、いいですね?」

「はっ!」

 

 

 伝令兵はアデムからの伝言を聞くと、すぐさま天幕を出ようとする。

 

 

「いや……少し待ちなさい」

 

 

 しかし何やら思い付いたらしいアデムは伝令を呼び止め、思案したかのような表情を少しの間見せたあと、すぐニヤリとしたいやらしい表情を伝令に向ける。

 

 

「そうですねぇ……やはり全て殺すのは無しで……100人ばかり、生かして解き放ちなさい。恐怖を伝染させるのです」

「は……」

「それと……敵騎士団の家族がギムにいた場合は、なるべく残虐に処分しなさい。例えば魔物の檻に放り込むとか……ヒヒヒヒッ!」

「は、はっ!」

 

 

 恐怖の命令だ、このアデムの心は人間ではない。そう思いながら伝令は逃げるように天幕を飛び出し、命令を他の兵士らへ忠実に伝えた。結局その命令は実行されなかったのだが。

 

 翌日になり、ロウリア軍はクワ・トイネ公国への侵攻を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年4月12日 07:30

クワ・トイネ公国 マイハーク/臨時オーシア軍飛行場

 

 

 国境付近を飛行中の無人偵察機がロウリア軍の越境を捉えたのは、まだ日が昇り始めた午前7時半の事であった。これを受けてオーシア連邦政府はクワ・トイネ公国を仲介してロウリアに宣戦布告した。

 しかしオーシアのことを大した脅威ではないと判断していたロウリアは、気にも留めなかった。だがそれでもオーシアはロウリアを叩くべく行動を開始し、クワ・トイネ公国のオーシア空軍前線飛行場にも緊急出撃の命令が発せられた。

 

 

緊急発進(スクランブル)緊急発進(スクランブル)。ロウリア軍の越境行動を確認。ロウリア軍攻撃作戦の参加機は直ちに離陸せよ』

 

 

 飛行場全域にアナウンスが流れ、臨時の待機室と化してた天幕からオーシア空軍のパイロットと整備士たちが次々に飛び出してくる。

 その中にはF-15Cイーグル戦闘機に向かうパイロットの姿もあり、そのイーグルの垂直尾翼には三本の爪痕が描かれている。そして彼の後ろからは整備士であろう、タンクトップ姿の女性と、他の整備士らが付いていく。

 

 パイロットは機体にかけられた梯子を駆け上がり座席に収まると、女性も登って直接パイロットの耐Gスーツを機体と接続、シートベルトを確認する。

 機体下にいた他の整備士から女性はヘルメットを受け取り、パイロットに手渡すと、受け取ったパイロットはそれを被り酸素マスクを接続。そして親指を立て、女性もそれに対し親指を立て返した。

 

 女性が梯子を降りると整備員が機体から梯子を外し、誘導員がエンジン始動の合図を出し、パイロットはスタータースイッチを押す。補助動力装置が作動、甲高い音が響き渡る。

 

 

「行ってこい、大馬鹿野郎」

 

 

 女性――整備士エイブリル・ミードは、F-15Cの車輪止めを外すと、滑走路へと移動し始めた、三本の爪痕が描かれたイーグルのキャノピーから敬礼するパイロットを見送った。

 エイブリルが周りを見てみると他のF-15Cのみならず、駐機場に置かれたF-16C戦闘機やA-10CサンダーボルトⅡ攻撃機も滑走路へと移動を始めていた。

 B-52ストラトフォートレス爆撃機、E-767早期警戒機といった大型機も同様だ。その先頭で爪痕の描かれたイーグルは一足先に滑走路から離陸しようとしていた。

 

 

≪ストライダー1、離陸を許可する≫

 

 

 そうしてストライダー1と呼ばれた、爪痕が描かれた戦闘機を操るパイロット――灯台戦争におけるエースパイロット(撃墜王)、トリガーは大空へと飛び立っていった。

 

 オーシア軍の作戦は明快単純である。まずロウリア軍陣地上空にいる敵ワイバーンを戦闘機で撃墜、制空権を奪取したのちに爆撃機と攻撃機がロウリア軍に大量の爆弾とミサイルを投下してこれを殲滅する、というものであった。

 そのためトリガー含む先陣を切るF-15Cの編隊8機は大量の短射程ミサイル(AAM)のAIM-9Lサイドワインダーと、中距離空対空ミサイル(4AAM)のAIM-120Cアムラームを満載している。

 

 

≪おいトリガー、敵は三桁もいるそうだ。どっちの方がスコアを多く稼げるか、久々に勝負しようじゃないか≫

 

 

 あまりにも多い敵の数に、制空権確保を担うF-15Cの編隊――ロングレンジ部隊の面々も、どれだけ多くを撃墜できるか競おうとまでしていた。数の多い敵相手の戦闘は灯台戦争で無人機相手に何度も経験しているため、彼らにとってこれが初めてではない。

 

 もっとも今回の敵は、灯台戦争時の無人機と比べたら非常に鈍足で機動性も悪いワイバーンである。あの『ミスターX』の飛行データを取り入れて恐ろしいほどの高機動を繰り返したエルジア無人機とは比べ物にならない。

 

 やがて編隊はロウリア軍が迫るクワ・トイネ=ロウリア国境へと接近し、後方に展開したE-767早期警戒管制機から送られてくるレーダー情報が、総数150に上るワイバーンの大編隊を捕捉していることを伝えていた。

 

 

≪こちらAWACSロングキャスター。敵は数が多いが、デカイだけのノロい鳥みたいなものだ。落ち着いて狙え。ミサイルで鳥どもをロースト・チキンにしてやるんだ≫

 

 

 AWACSからの無線のあと、各機のHUDに無数に現れたターゲット・コンテナが敵ワイバーンをロックオンしたことを告げる。

 

 ――多い。

 

 HUD一面が敵ワイバーンを示す黄色の四角い枠で完全に覆われてしまうほどの数だ。イーグルのパイロットらはコックピットのタッチパネル式ディスプレイで兵装を切り替え、中距離空対空ミサイルを選択。

 敵ワイバーンの群れをロックオンすると、操縦桿の引き金に指を添えた。

 

 

「ストライダー1、交戦開始(エンゲージ)ミサイル発射(フォックススリー)

 

 

 蒼空を往く8機のF-15Cイーグルが、何十発ものAIM-120C AMRAAM 中距離空対空ミサイルを空中へ解き放った。幾筋もの噴煙が空を埋めつくし、その光景は美しくあるとともに、相手に確実な“死”をもたらそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

中央暦1639年4月12日 08:00

クワ・トイネ=ロウリア国境 ロウリア軍

 

 

 ついにロウリア軍先遣隊3万はクワ・トイネ公国へと進撃を開始、国境付近にある人口10万人の都市ギムの攻略に出た。戦列を組んだロウリア兵が足並みを揃えて進軍し、上空からは第1次攻撃隊のワイバーン75騎がそれに先行する。

 

 

「変ですねぇ、亜人どもの姿が何処にもない……」

 

 

 パンドールと共に騎馬に乗って移動するアデムは、進軍中に感じた異変を誰にも聞かれぬような小さな声で呟く。間もなく国境間近だというのに、クワ・トイネ公国側が何のアクションを起こす様子もない。

 

 

(何かがおかしい……まさか罠か? これは引き返すべきですかねぇ?)

 

 

 アデムは心中で呟いた。すでにギムから公国騎士団は撤退し、ギムの住民がオーシア軍の支援のもと避難したということも知らずに。そして自分たちが、喉元に刃を突き付けられた状態であるということも知らずに。

 

 上空を飛行する75騎のワイバーンのうち、最前列にいたワイバーンが突如として爆散したのは、その直後のことであった。

 

 

 




・F-15Cイーグル
オーシアがユークトバニアのSu-27戦闘機に対抗して開発した大型制空戦闘機。
格闘戦を念頭に置いて設計された機体と強力なターボファンエンジン2基の搭載という組み合わせにより、速度性、運動性、生存性において高い性能を誇っている。
非常に高い戦闘能力を持つが、特にF-15で戦闘中に主翼の片方を失いながらも任務を完遂し無事帰還、後に「片羽の妖精」と呼ばれる傭兵エースパイロットの話は有名。
開発から長らくの間、空戦においては無敗であったことから「人類最強の戦闘機」とも呼ばれている。ただしあまりにも高価なのとステルス性の低さが欠点。
現実世界のF-15Cに相当。


――
今日はお昼にもう一話投稿します。

ちなみに会話文は「」、魔信や拡声器、スピーカーの音声は『』、オーシア側の無線は≪≫で表します。
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