ちなみに戦闘機はゲーム同様100発以上は普通にミサイル積んでる設定です。じゃないとF-15C×8機で艦隊を壊滅なんて出来ないでしょう……?
クワ・トイネ=ロウリア国境 上空
ロウリア王国東方討伐軍先遣隊、飛龍第一次攻撃隊の竜騎士75騎を指揮する竜騎士団長アルデバランは困惑していた。彼らの任務はクワ・トイネ公国の国境都市ギム上空の制空権確保と、友軍への近接航空支援である。
この後ろからは第二次攻撃隊の75騎も着いてきており、その総数は150騎、これだけでクワ・トイネ公国軍のワイバーンの総数を大きく凌駕している。
しかし地上から進撃する先遣隊から遅れて出撃し、その挙げ句もう国境線を越境したというのにも関わらず、要擊してくるクワ・トイネ軍ワイバーンの姿がない。
「なぜ敵のワイバーンは出てこない……?」
アルデバランが疑問を口にしたその時、ワイバーン部隊に悲劇が襲いかかった。突然、隊の前方正面を飛行していた前衛の味方ワイバーン12騎が爆発した。
「……え?」
その体を竜騎士もろとも原型を留めないほどの木っ端微塵に粉砕されたワイバーンは、
「な、何だ!?」
爆発したワイバーンらは自分たちの身に何が起きたのかすら分からなかったであろう。一瞬にして絶命した彼らは、その亡骸となった身を重力に委ね、ゆっくりと地上に落ちていった。
『なんだ今のは!?』
『前列が一瞬で消し飛んだ!』
『攻撃か! どこから!?』
魔導通信の中で味方の混乱する声が木霊する。次の瞬間、アルデバランは猛烈な速さで正面から飛翔してきた光の矢が、味方ワイバーン16騎に直撃するのを目撃した。
ワイバーンは全て爆発に包まれると、直後に上空に咲く黒い花と化す。アルデバランの他にも、何人かの竜騎士もワイバーンに突っ込むそれを目撃していたが、彼らの思考はみな同じであった。
――何だあれは?
――何だ今のは?
――何が起きた?
それは当然の反応とも言えた。彼らはミサイルなんて物を見たことがなかったし、それに彼らの人生で、ミサイルを知る機会など永遠に訪れることはなかったのだから。
「敵の攻撃だ! 全騎
アルデバランは先ほどの光の矢をワイバーンの導力火炎弾と捉え、どこかから、敵ワイバーンが導力火炎弾による攻撃を行ってきたと判断した。
その時、正面から先ほどの光の矢が迫ってくるのをアルデバランは確認すると、すぐさま急降下による回避機動を取り始める。
だが光の矢は信じられない速さで距離を詰めると、まるで意思を持つかのように方向を変え、アルデバランへと突っ込んできた。
「なっ……導力火炎弾がついてくるだと!? そんな、バカなァッ!!」
アルデバランが叫んだ直後、彼はワイバーンともども爆発に呑み込まれ上空に散った。その合間にも次々と飛来してくる光の矢で、竜騎士ともども上空で粉砕されるワイバーン、あまりの惨状に隊長であるアルデバランが戦死したことに気付く者もいない。
『編隊長、指示を! 編隊長は!?』
『クソ、クソ、クソォッ!』
『お、おい! なんだアレは!?』
第一次攻撃隊のワイバーンが残り43騎にまで減ったとき、竜騎士たちは正面から迫る8つの何かを見つけた。
それはオーシア空軍ロングレンジ部隊の8機のF-15Cイーグルであったが、文字通り別世界から来たそれの正体をロウリア竜騎士らが知るはずもない。
『なんだこのはや、ゴギャッ――』
『やめろぉ!! 助けてくれぇ!!』
『みんな逃げろ!! こんなの、こんなの勝てるわげぇ゛』
『バカな……バカなぁ!!』
『化け物め!! 悪魔め!!』
急接近したイーグル8機が長距離ミサイル攻撃からドッグファイト――近接格闘戦に突入すると、魔信はさらに混乱に包まれる。
弾速の遅い導力火炎弾しか撃てないワイバーンが、20mmバルカン砲や短射程多目的ミサイル、中射程空対空ミサイルなど様々かつ高性能な火器兵器で武装し、亜音速で高機動のF-15C相手に勝てるはずもない。
圧倒的数的優位にあるはずのロウリア軍は瞬く間に殲滅されていく。一騎、また一騎と、それに乗る竜騎士らも今まで苦楽を共にした愛騎と共に空に散る。イーグルはまるで死神だった。
『相棒! どうしたんだ相棒!?』
『ちくしょう! 落ちる!』
『あの三本線のヤツ、特にすばしっこいぞ!』
その中でも1機、垂直尾翼に三本の爪痕を描いたイーグルはパイロット本人の素質と機体のカスタマイズによって、本来のイーグルでは出せないような常識外の超機動を繰り返す。
常識外の超機動を駆使するイーグルは短期間の間に特に多くのワイバーンを撃墜していたが、この混乱の中では8機すべてがロウリア竜騎士にとって悪魔である。
『後ろにつかれた! 助けてぇぇぇ!!』
第一次攻撃隊の最後の一騎が、爪痕を描いたイーグルに撃墜される。その後に後続のロウリア竜騎士第二次攻撃隊75騎も到達したが、彼らもまたマトモに戦えぬまま8機により殲滅されることとなり、およそ2分後、空を飛ぶワイバーンの姿は1騎として存在していなかった。
同国境付近
ワイバーンをミサイル攻撃とドッグファイトで殲滅したロングレンジ部隊のF-15Cイーグル8機は任務が完了したことを受け、一時的に後方へと引き返していた。すでに弾薬も大量に消費しており、特殊兵装の中射程空対空ミサイルに至っては全機残弾ゼロである。
≪こちらAWACSロングキャスター、敵航空戦力の全滅を確認! いいぞ。全ワイバーンがヤキトリになった。よくやった≫
戦場から離脱しつつあるロングレンジ部隊に向け、後方に展開するAWACSロングキャスターが報告をいれる。
≪ローストチキンじゃなかったのか?≫
≪俺はどっちもいけるぞ≫
≪そんなこたぁ聞いてねぇ≫
部隊の一員であるカウントがロングキャスターにツッコミを入れていると、彼らのもとへ別の部隊から無線通信が入ってくる。B-52Hストラトフォートレス戦略爆撃機からなる、空軍の爆撃機部隊からだ。
≪こちら第1816爆撃部隊グレイモス、敵地上空の掃除は済んだな?≫
≪AWACSロングキャスターよりグレイモス隊、完璧だ。敵ワイバーンの殲滅は完了、だがこちらはこれより箸休めに入る。我々の残飯を代わりに食っててくれ≫
≪了解したロングキャスター。これより我々は敵地上軍に対する攻撃を開始する、オーバー≫
やがて、ロングレンジ部隊のイーグルと爆撃機部隊のストラトフォートレスはすれ違う。
BUFF――
国境付近/地上
「わ、ワイバーンが!!」
アデムは上空で繰り広げられる前代未聞の空戦――いや、一方的な虐殺を目の当たりにし、狼狽えていた。クワ・トイネの保有するワイバーンの総数を大幅に凌駕する150騎という数のワイバーン。
戦場を支配するはずの頼もしい存在、それがたったの8騎により、瞬く間に殲滅されてしまった。アデムのみならず進軍中のロウリア兵たち、そして指揮官であるパンドールですら愕然としている。
「ッ!?」
だが悲劇はまだ序章に過ぎない。
「何ですか、あの巨大な鉄竜は!?」
その時、アデムにとって見たこともないほどの巨大な飛竜――オーシア空軍のB-52ストラトフォートレス戦略爆撃機が編隊を組み、アデムらのもとへと急速に迫りつつあった。
「魔導師、対空魔法擊です! あの鉄竜を撃ち落としなさい!」
ワイバーンを失っているため、アデムは先遣隊に所属する魔導師たちに指示する。魔導師らは対空魔法の『ファイアー・ボール』を空中に放ち始めるが、明らかに高度が足りておらず届かない。
そして爆撃機はアデムらの直上に到達すると、腹のウェポンベイを開放し、大量の爆弾をロウリア軍に向けて投下した。
「何かを落とした? あれは――」
その直後、B-52から大量に投下された燃料気化爆弾――FAEBによって巻き起こされた灼熱の業火は一瞬でロウリア軍を焼き払った。
着弾地点から数百メートルの範囲は摂氏3,000度の高温の爆風に包まれ、鉄すら融かす高温に人も馬もすべてが焼き払われ、灰になる。
さらに瞬間的に着弾地点の酸素がほとんど燃焼したことで、仮に爆風から生き延びた者が居ても、一酸化炭素を大量に含んだガスが酸素のなくなった肺に流れ込み、酸欠と一酸化炭素中毒と呼吸困難を同時に起こして窒息死する。
このFAEBによる攻撃で、将軍パンドール、副将アデムは3万に上る部下のロウリア兵と共にこの世を去った。
≪敵侵攻軍の消滅を確認!≫
≪了解した、引き続き敵軍本陣への空爆を実施し、残敵掃討に努めよ≫
2分後、オーシア空軍のB-52は、40万のロウリア兵を擁するロウリア王国東方征伐軍本陣に対してFAEBによる空爆を施行。
これを壊滅させたのちに対地兵装を満載したA-10CサンダーボルトⅡやF-16C戦闘機からなる航空部隊と、補給を済ませたロングレンジ部隊が残敵掃討を実施した。
魔法で反撃してこようものなら爆弾が降り、馬で逃げようものなら30mmアヴェンジャーが火を噴く。
15分におよぶ戦闘ののち、ここにロウリア軍40万の兵士は完全消滅することとなり、ロウリア王国のクワ・トイネ公国侵攻計画はいきなり躓くこととなった。
・B-52H ストラトフォートレス
爆撃機の代表格とも言えるオーシア空軍の8発戦略爆撃機。
ユークトバニアとの冷戦時代の最中に核爆撃機かつ巡航ミサイル発射用のプラットホームとして開発されたが、核爆弾と巡航ミサイルを載せるため30t近い搭載量を獲得した。
この搭載量を生かし大量の通常爆弾を搭載し、絨毯爆撃を行うと爆弾の雨を降り注がせることから「死の鳥」の異名を持つ。
航続距離も非常に長く、空中給油を駆使すればほとんど無限。
オーシア製だが冷戦終結後にユークトバニアに輸出され、それがさらにエルジアやアネア大陸諸国などの手にも渡ったことで、現在では世界中の空軍が保有している。
現実世界のB-52Hに相当。
――
やりたいこと…空洞山脈でトンネルミッション
ナレーション「航空部隊は空洞山脈に飛び込み、最深部を行軍するグラ・バルカス帝国機甲師団を直接攻撃、反対側出口から脱出せよ。方法は他にない(無慈悲)」