薔薇の館に山百合会メンバーとお手伝いとして出入りをしている志摩子に、三年生である薔薇さま方から伝えたいことがあると集められたのは体育祭まで数週間という頃だった。朝だというのにまだ暑さの残る薔薇の館二階の一室で全員が揃い、何も知らない二年生と一年生は何か問題でもあったのだろうかと、互いに顔を見つめ合わせ山百合会の代表的な存在である蓉子の言葉を待っているのだった。
「あと少しで体育祭。――人手が足りていないから新たにお手伝いの子を増やそうと考えているのだけれど、みんなはどう思って?」
にこり、と微笑みを浮かべる蓉子の顔に少し苦いものが浮かんでいるように感じる祥子。今の言葉に喜べる要素など一つもないのだし、姉である蓉子の気持ちも理解しているつもりだ。己か三年生である聖に妹が居たならば、手伝いなど必要もなくこうして姉が苦笑交じりに今の台詞を零すことにはならなかったのだから。すべては自分に妹が出来ない不甲斐なさがこうして姉を心配させつつ、山百合会の仕事を万全にこなす為に必要なことだと決断させたとなると、祥子の心にちくりと痛みが差す。
「忙しい時期ですしそれは構いませんが、私たちが知っている子なんですか?」
どうやら薔薇さま方の間では既に話は決まっているようで、蓉子以外の二人、江利子と聖は黙っているだけだ。生徒会の運営は三年生である薔薇さまが決定権を持っているので、つぼみと妹である祥子たちが持つ権限は少ない。とはいえ一緒にリリアン女学園高等部の生徒を導く存在であり、一緒に山百合会を運営しているメンバーなのだから、薔薇さま方の意思だけで進めるつもりはないようだった。それならばと右手を軽く上げて令が疑問を口にしたのだった。
「どうかしら……。一年藤組の鵜久森樹さんという子なのだけれど、誰か知っていて?」
蓉子の言葉に江利子と志摩子以外が小さく首を振ると、江利子が昨日の顛末を話し始める。曰く、昨日の放課後に志摩子と出合い頭にぶつかり、散らばった書類を一緒に拾い上げやや強引に纏めた書類を志摩子から奪い薔薇の館まで運んだそうだ。"やや強引"という言葉に祥子のこめかみがぴくりと動くが、重い書類を志摩子ひとりで運ばせていた自分たちにも非があるのだと、静かに己の心の中で納得させた。
「お姉さま方、一年生は他にもたくさんいらっしゃるでしょう何故その方なのです?」
単純な疑問であった。確かに薔薇さまの誰かしらが下級生に一声かければ、喜んで手伝いを引き受けてくれるであろう。しかしながら今回はこうして全員に周知させてから、件の一年生を迎え入れようとしていることが祥子はなにか引っかかるものを覚えたのだ。
「彼女、あまりリリアン生らしくないんだもの。――面白そうじゃない」
珍しく覇気のある笑顔を浮かべた江利子の言葉に祥子は心の中で盛大な溜息を零す。薔薇さまとして彼女はきっちりと仕事をこなしてはいるが、こうして悪癖が発動し自分たちを巻き込んで何か一騒動起きることが時折ある。まだ学年が違うので直接的に巻き込まれた事のない祥子ではあるが、彼女と同級生である自身の姉の蓉子や同じつぼみである令が巻き込まれ、彼女の暴走を止めるストッパーとして動かざるを得なくなる場面を何度か見ているのだから。
「そういうこと、らしいわ。……少し嫌な言い方になってしまうけれど、その子に何か問題があれば言って頂戴」
肩をすくめて笑う自身の姉に少しばかりの同情の視線を向け、わかりましたと静かに告げれば周りの皆も異論がないのか、蓉子の言葉に頷くのだった。先程の蓉子の言葉は、不都合があれば切るという遠回しな物言いなのだが、自分たちの為でもあり手伝いとして招く一年生の為でもある。
どうにも『小笠原』の名前は周囲の生徒にとって価値あるもののようだ。確かに保護者が小笠原グループ、もしくは関係会社にでも務めているのならば小笠原グループトップの一人娘である祥子へ恩を売り、昇進にでも繋がるのならば娘を介してどうにかしようとするのは理解できる。――納得は出来ないが。祥子が幼い頃からの常であったし仕方のないことと割り切ってはいるが、どうにかならないものかとも心の片隅で考えてしまう事もあるのだ。幼い頃から抱えていたソレを軽くしてくれたのは姉である蓉子だったし、学園内で我を出しても良い場所を齎せてくれたのも、今この場に居る皆のお陰である。
江利子の話によれば一年生は高等部からの編入組だそうで、リリアンの伝統やルールに疎い可能性もあり、仕事をこなせるのか心配であるのだが、見てもいないうちに判断を下すのは下策であろう。それにルールに疎ければ教えればいいだけである。それが姉妹制度の本質であるし、姉妹関係でなくとも上級生と下級生という間柄となるのだから導いていけばいい。
そう考え以前、手伝いにきた一年生へと助言をすると何故か祥子の言葉に凹んでしまい、次の仕事から来なくなるという事態に陥ったことがあるのだが。それについて祥子は間違ってはいないとはっきりと言い切れるし、何より自分たちに見とれて仕事になっていない時があったのだから、必要悪であったと判断している。次に来る一年生はそうでないことを願うしかないわね、としばしの時間目を閉じ、始業前の朝の一時であった。
案ずるより産むが易し。
山百合会の手伝いにと招いた一年生、鵜久森樹は存外に早く薔薇の館の住人たちに馴染んでいる。一年生である由乃や志摩子とは雑用の関係でいろいろとやり取りも多く、雑談にも興じている様子で普段大人しい二人がよく笑みを浮かべているのだ。同学年である令も由乃が心を許している雰囲気を出している為に、彼女に接する態度は以前に山百合会へと手伝いに来ていた一年生たちよりも随分と素をだしているようにみえる。
蓉子も彼女の仕事ぶりには驚いているようで、雑用であれど手を抜く様子はないし、書類仕事も無難にこなしている。お使いに出た先の各部活動や委員会の上級生たちからの評判もなかなかに良いらしく、安堵していたのを見てしまった祥子は志摩子と同じように妹候補とするべきだろうかと頭の片隅にふと浮かぶが、まだ早計だろうと打ち消す。
山百合会へと早々に溶け込み始めた彼女になにか問題があるとすれば、編入生故の上下関係の薄さであろうか。外の中学生の時や別の高等学校であれば許されることかもしれないが、ここは由緒ある私立リリアン女学園であり古くから守り育て上げてきたものを簡単に崩してしまうのは問題がある。
お使いから帰って来た手伝いの一年生が少し汗ばみ疲れた様子をみせているが、体育祭前の山百合会は猫の手も借りたいほど忙しく、蓉子が申し訳なさそうにもう一仕事あると彼女に告げると、疲れているのか小さく口を開くと問題のある言葉が出てきたのだった。
「リョーカイでーす」
蓉子へと返った言葉は気の抜けたもので、とても上級生に対する言ではなかった。それを聞いた祥子は一瞬で沸点へと達して、がたりと椅子を後ろへと引き下げて勢い良く立ち上がり。
「樹さんっ! 前にも言いましたがお姉さま方に取る態度ではなくってよっ!」
そう、これで二度目である。以前よりも厳しい口調で祥子は一年生を嗜めたものの、やってしまったなという顔色を見せてはいるがそれだけであり、一言謝罪の言葉があるだけで。何も言わない一年生に何故だか余計に腹が立ちはじめ、語気を荒げた言葉を発する祥子だが、二人のやり取りを見かねた蓉子が祥子を止め、一年生をそそくさと薔薇の館から外の仕事へと向かわせたのだった。
「祥子、気持ちは理解できるけれど少し言い過ぎではないかしら?」
目を細め苦みを含めた蓉子の笑みに気の立っていた祥子は少しトーンを落として席へと着く。確かに言い過ぎたかもしれない。以前にお手伝いに来ていた一年生も祥子の怒りを買いそこから訪れなくなってしまったのだから。
しかし今、山百合会の手伝いとしてやってきている一年生は様子が違い、祥子が怒ろうともおびえた様子は見せず『すみません』と短く謝罪するだけであるが、一応、直そうとしている雰囲気もあるのだ。以前よりも上級生に対しての受けごたえは丁寧なものになってきてはいたし、入室時の挨拶の仕方などもきちんと出来ている。――時折、崩れてしまい、こうして祥子の怒りを買うのだが。
「お姉さま、少しあの子に甘いのではありませんか……?」
「そうかしら」
机に両肘をついてその手の上に顎を乗せている蓉子は微笑みを深めて、祥子の言葉を受け流す。どうして新しく招いた一年生に甘いのか不思議で仕方がない。
「そうねえ、仕事を覚えるのが早い。外におつかいに行っても無難にこなしているし、先生やシスターたちからの評判もいいんだもの。甘くなるのは仕方ないのではなくて?」
どうやら祥子の説得は蓉子が行うらしい。他の薔薇さま二人は黙って蓉子と祥子のやり取りをみているだけで、口をはさむつもりはないらしい。もっとも聖は以前より我関せずの態度を貫いているのだが。
「確かに仕事はきちんとこなしていますが、先程も言った通り上級生に対する態度ではありませんわ」
「でも祥子の注意で改善しているじゃない」
「ええ、少しづつではありますが……。けれど、先程も結局お姉さまに失礼な態度を取ったでしょう」
「暑い外を駆けずり回ってくれているのだもの、あれくらい可愛いものじゃない」
「…………」
気にしていないというのならば何も言い返せなくなる祥子に、なんともいえない顔をする蓉子。曲がった事やルールや掟を破る人間が嫌いな祥子にとって、リリアンのルールに疎い一年生に腹を立ててしまうことは重々承知であり、今日の出来事もある程度は予想済みであった。あとは一年生が持つかどうかの問題なのだが、忙しいこの時期に使える人間を手放すのは惜しくもある。仕方なく止めの一撃を入れるかと蓉子は苦笑しながら口を開いた。
「それとも祥子が今すぐ代わりの子を連れてきてくれるのかしら」
う、というような微妙な顔になり沈黙する祥子。クラスメイトに声を掛ければ簡単に捕まるだろうが、部活や習い事などで忙しい子たちが多い為に安易に声を掛けづらい。蓉子の両隣に座る江利子と聖はいつものことだとどこ吹く風で、令は諍いに発展しなかったことに安堵の溜息を一つ吐いているし、由乃と志摩子も慣れてしまいいつものことだと黙ってみているだけであった。助けてくれる人が居ないわねと心の中で思いつつ祥子は、件の一年生にどう言葉を尽くせばリリアン生として三年間を過ごしてくれるのだろうかと、頭を悩ませる羽目になるのだった。
――銀杏並木。
どうにもこの場所は苦手であるが、通らなければ正門へと辿り着けないし仕方がないと諦めて祥子は歩を進める。
「祥子さま」
不意に後ろから声を掛けられて、あわてず優雅に祥子は振り返って足を揃え鞄を前にだして立ち止まるとそこには件の一年生の姿が。少し息切れしている様子に走って追いついてきたのだろうかと祥子は考えるが、何故先に帰ったはずの彼女がこの場にいるのか不思議になる。
「あら、樹さん。帰ったのではなくて?」
「先ほどの事をきちんと謝りたくて、少し時間を潰していたんです」
己を待つ必要などなかったはずだ。手伝いに来る意思があるのならばいつでも薔薇の館で会えるだろうから謝罪などいつでも出来る。
ただこうして失敗したことを後回しにせず即座に謝ろうとしたことには好感が持てるし、直そうという意思があるのならば上級生としていつまでも怒りを抱えているようでは失格であろう。彼女の謝罪を受け入れた祥子は、江利子の言うように目の前に立つ人は変わっていると納得し、ぽつりと小さく言葉を零す。
「……変な人ね」
聞こえてしまったその言葉に怒る様子もなく後ろ手で頭を掻く彼女に笑みをつい零してしまうと、彼女は何故だか祥子の下を去っていくのだった。
走り去り遠ざかる彼女の背を見つめながら、取り合えず逃げるように走り出すのは淑女の作法ではないと注意しなければと心に誓う祥子は、嫌いな銀杏並木道を幾分か軽い心で歩き進むのだった。
◇
最近、由乃の様子が随分と明るい。
その原因は手伝いに招いた一年生のお陰であるというのは、由乃をよく知る人物であれば明らかで。楽しそうに件の一年生について語る由乃に少しばかりの寂しさを覚える令であるが、良いことなのだからと自身の心に言い聞かせるのだった。
「聞いてよ令ちゃんっ」
「どうしたの、由乃」
くすくすと小さく笑いながら笑みをこぼす由乃。家が隣同士ということで生まれた時から一緒だった由乃の部屋で、放課後こうして過ごすのはいつものことで。体が弱いことで無理のできない由乃に令が甘くなるのは必然だった。ただ時折過剰になり由乃から鬱陶しく思われていることも理解はしているのだが、離れられないのもまた事実。そして由乃も令から離れられないこともまた事実。
学生の身故、まだこの時間が続いていくことを願っている令であるが、それも遠からず無理になるだろうとおぼろげながらに考えてはいるものの。お互いにもたれ掛って支え合っている状況が心地いいのだから、現実に向き合うにはまだ早い。
「あのね今日、樹さんが教科書を借りに来たのっ!」
「教科書? もしかして樹ちゃん忘れたの?」
あの一年生らしいといえばらしいのか。山百合会の最高幹部である薔薇さま方となんの緊張も見せずに話しているような子だ。編入組とはいえ四月からの数か月間で薔薇さまたちの人となりは知っているだろうに。
自身も黄薔薇のつぼみとして生徒会活動に勤しんでいるが、幼稚舎からリリアンに通っている子だろうと、高等部からの編入組であろうと憧れの眼差しを向けられながら声を掛けられる。しかし鵜久森樹という一年生はその様子が一切なく、あるとすれば上級生と下級生の線引き位であるし、山百合会の手伝いの返事をしに薔薇の館へと訪れた際に会話を交わしたが、普通にやり取りをしたのは随分と新鮮だった。
上級生に対してそういう態度を取る人物だから祥子の怒りを時折買ったりしているが落ち込む様子もなく、薔薇の館に呼ばれ与えられた仕事をきっちりこなし帰っていく。蓉子は忙しいから即戦力の子は助かると零していたし、自身の姉である江利子も彼女は気に入っている様子で、ちょっかいを掛けては楽しそうに笑っている。白薔薇さまである聖は何も言わないが、彼女のことを嫌っているのならば排除するだろうと、令は考える。去年よりはマシになったとはいえど、まだ取っ付きにくい部分を残しているのだから。
「ええ。それで持っていないかって私の所に来たのよ」
「それで由乃は持ってたの?」
身内にしかみせない顔の由乃に自然と笑みが零れる令。どうやら新たな手伝いの一年生は由乃のお淑やかな雰囲気に呑まれることもなく、普通に接してくれているようだ。教科書を忘れてしまうなどリリアン生にとって珍しいのだが、こうして堂々と由乃に借りに来る辺り肝が据わっている。よくよく話を聞いていれば志摩子にも頼ったようで、図太いというかなんというか。
由乃も由乃だが、志摩子も近寄りがたい雰囲気を醸し出している子だというのに。ひとりを好んでいるのか、誰かと一緒にいる所をあまり見たことがないし友人と呼べる人物がいるのかどうかも分からない。ただ確実なことは由乃や志摩子に友人と呼べる子が出来る気配を感じていることに嬉しく思う令は、ただただ由乃が一生懸命に話す言葉を一言一句聞き逃すまいと耳を傾けるのだった。
そうして幾日か過ぎ体育祭も間近と迫ったとある日。衝撃の出来事が令の目の前で起こっていた。
「樹ちゃん、珍しいね」
「何がですか?」
きょとんと不思議そうに顔を傾ける一年生は、どうやら令の真意が分からないらしい。
「ココでゆっくり座ってお茶を飲んでるのが」
体育祭間近の生徒会はとにかく忙しい。部活動や委員会との連絡を密にしなければならないし、教師陣やシスターたちとのやり取りも大変である。だからこそ動ける一年生をと彼女を山百合会の手伝いにと招き入れたはずなのだが。
「ああ」
ぽんと手を叩いて納得する様子を見せる彼女はにんまりと意地の悪い笑みを浮かべたのだった。
「昨日、江利子さまに仕事を無理矢理押し付けられたので、蓉子さまと交渉して今日の私の仕事分を江利子さまに全部なすり付けました」
へらりと笑っている一年生に、己が姉は何をしでかしたのだろうかと蓉子の方を見る令。
「ええ。江利子ったら面白がって自分の仕事分を樹ちゃんに渡すんだもの」
「私の扱い酷いですよねえ」
「まあいいじゃない。貴女の言葉を尊重して今日は江利子に動いてもらっているのだし」
にっこりと二人して笑い軽口を言いあう光景に、この部屋にいる全員が驚いた顔を見せた。昨日は由乃が体調を崩してしまったから、山百合会の仕事は手伝えないと姉に申し出て由乃を連れて一緒に帰宅したのだが。その間になにか一悶着あったようだ。話を聞くと、どうやら昨日は蓉子と江利子以外にメンバーが集まらなかったらしく、偶々訪れた一年生に仕事を頼む羽目になったのだそうで、昨日ここに来られなかったメンバーが頭を抱える。
「江利子さまにはキリキリ働いてもらわなきゃ割に合いません」
「ふふ、そうね」
己が姉は現在お使いに出ている。何故蓉子が江利子にお使いを頼むのか不思議で仕方なかったのだが、これでようやく納得がいった。
お使い先の部長は、黄薔薇さまの登場にさぞ驚いていることだろう。本来ならば一年生の仕事であるし、三年生でしかも薔薇さまと呼ばれる人が雑用をこなすなどとあり得ない光景であるのだから。まだ体調のすぐれない由乃がここに居れば心の中でほくそ笑んでいたに違いないと、たらりと冷や汗を流す令は目の前に居る一年生の肝の太さを実感したのだった。
さらに数日が経ち、体育祭本番となった。順調に競技は進んでいき二年生の出番となる借り物競走に『眼鏡を掛けている知り合いの下級生』というピンポイントの紙を選んだのは果たして必然だったのか。
最近、よく話すようになった一年生が所属している藤組のテントへと走り名を呼ぶと一瞬驚いた様子を見せたが、手を差し伸べるとクラスメイトたちに背を押されてこちらへと来てくれた。手を握り走り始めるとどうやらまだ余裕があるようでピッチを上げてもいいか確認すると、にっと笑って『ええ、もちろん』と返してくれたが為に令は走る速度を上げた。
「うおっ」
小さく零した言葉が聞こえたような気がしなくもないが、もう少しで前を走る人たちを追い越し一位を取れる可能性が見えてきた。更に速度を上げても一年生はついてきてくれるので、それが嬉しくなり全力に近い速度で走りゴールへと辿り着く。一番の旗を体育委員の係り子から渡されて同じクラスの子に話しかけられ、一年生を放っていたことに後から由乃に怒られたのは秘密である。
「令さま」
唐突に呼ばれた一年生の声に振り返り指差す方向を見ると、カメラを抱えた写真部の姿があり意図を理解した令は隣に居た一年生の肩に手を置いて笑うと、彼女は無邪気に腕を伸ばしてピースサインをする。にかっと笑っている一年生を横目で確認できた令は本当に面白い子だなと苦笑が漏れ。のちにこの写真で由乃と一悶着あるのだが、きっと遠い将来笑い話になるのだろう。
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重複申し訳なく。次は一年生視点に移って、その次に新しくアクション起こさないと。
初期の頃の祥子さまからのオリ主の心象はよろしくないようです。逆に令さまは、由乃に友人と呼べる人物が出来そうなので見守りつつ期待してるという感じ。三年生組もオリ主の砕けた態度には文句はないし、仕事はさばけるので許容範囲。時折、面白いことをやらかすので江利子さまがにんまりしているようですぞ。