マリア様はみてるだけ   作:行雲流水

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第五十話:余韻と復活した人

 女子の試合が終わり、由乃さんの手術はどうなったのかと気になる所ではあるが、大勢で押しかけても病院やご家族に迷惑が掛かるだけだし、週明けに令さまに結果を聞いてそれからお見舞いの日を決めようと祐巳さんと志摩子さんと私で相談していた。その為に試合が終わってしまえば特段することもなく、いそいそと持ってきていた荷物やらゴミを片している時だった。

 

 「樹ちゃん」

 

 声を掛けられて顔を上げるとそこには聖さまが。女子の試合が終わった為に、席を立ち移動している他の人たちがいる為に、周囲は少しばかり騒がしい。

 

 「せ……――どうかしましたか?」

 

 彼女の名前を呼びそうになったが流石に学園外だし、リリアン以外の同年代の子がまだたくさん残っている会場の中で『さま』付けで呼ぶのは恥ずかしいが為に言葉を飲み込んだ。そんな私に彼女は気付かなかったようで。

 

 「男子の試合、見に行くんでしょう。私も着いて行っていい?」

 

 「構いませんが、冷やかしで見に行くようなものですし時間を無駄にするだけかもしれませんよ」

 

 もう既に負けている可能性だってある。私の言葉を聞いて一瞬きょとんとしたあと破顔した聖さまが口を開く。

 

 「興味本位だから無駄になっても大丈夫。さっきも言ったけれどリリアンって女の子だけだから、共学の子たちがどんな感じなのか気になってね」

 

 「はあ」

 

 返事をおざなりに済ませると、それを聞いた聖さまが苦笑する。私はどちらでも良かったし、そもそも客席への立ち入りは自由なのだから断る理由などない。ならば、キチンと返事をした方が良いかともう一度口を開こうとした時だった。

 

 「聖、樹ちゃん」

 

 声がした方へと顔を向けると、そこには蓉子さまが。

 

 「どうしたの?」

 

 「男子の方の試合を見に行くのでしょう。私も一緒にいいかしら?」

 

 隣で帰り支度をしていた祥子さまと祐巳さんがその言葉を聞き、どうして男子の試合を見に行くのか理由が分からない為に首を傾げていたのだった。

 

 「ん、蓉子も?」

 

 「ええ」

 

 私も私で、蓉子さまが男子の試合にどうして興味を示しているのか分からず、つい聖さまの方へと顔を向けると彼女も私の顔を見る。そんな私たちを見た蓉子さまが苦笑しながら理由を答えてくれた。

 

 「まだ時間はあるし、樹ちゃんを一人で帰らせるわけにもいかないでしょう?」

 

 まさかこんな所で蓉子さまの生真面目が発動するとは。遅くなれば家族が迎えに来てくれることを伝えるのを失念していたことを後悔しながらも、今更伝えるのも気が引ける。本当に遅くなってしまえば、家族に頼んでみんなを送ってもらえばいいかと考えていると、聖さまが先に口を開く。

 

 「リョーカイ。それじゃあ、蓉子も一緒に行こうか」

 

 「貴女たちはどうする?」

 

 横に居た祥子さまと祐巳さんに声を掛けた蓉子さま。その横でこのやり取りを見ていた志摩子さんに聖さまが近づいていく。

 

 「……――お姉さまが行くのでしたら」

 

 少し言いよどんで祥子さまが了承の返事をくれた。男子が苦手だと聞いているからあまり気乗りしないが、姉である蓉子さまが居るのならばという所だろうか。蓉子さまもその辺りのことを含めて声を掛けていそうではあるが。

 

 「わ、私も行きます!」

 

 祥子さまLOVEの祐巳さんは、少しの時間でも一緒に居たいが為に否とは言わず。

 

 「志摩子も行こうよ」

 

 そう言いながら聖さまは志摩子さんの両肩に両手を置いて。

 

 「はい、お姉さま」

 

 聖さまの言葉を志摩子さんが逆らうはずもなく。結局、女子の試合を観戦していた山百合会メンバー全員が男子の試合を観ようと移動を開始した途中、自販機に寄りスポーツ飲料の350mL缶を二本購入して鞄の中へと仕舞い込み一階席へと戻る。女子の試合が終わって直ぐの所為か、そこから移動している人も多く少しざわついた中。どうやら男子の試合は休憩を挟んでいるようで、設置された道場の中で試合が行われていない。

 張り出されているトーナメント表を目を凝らしてみてみれば、準々決勝は終わっているようで次は準決勝のようだ。きょろきょろと周りを見渡すと、アリーナに一番近い最前列が運よく空いていた為にそこへと座ると、目敏く先程再会した友人がアリーナからこちらへとやって来たので、私も席を立ち彼の側へと寄る。

 

 「順調?」

 

 「おう。次は準決勝だ」

 

 「そっかそれは良かった」

 

 「鵜久森……悪いんだが、鵜久森の連れの人たち紹介してくんね?」

 

 「へ」

 

 剣道一筋の彼が珍しいことを言うものだと抜けた声を出しながら不思議に思っていると、こちらを見ている視線に気が付き顔を向ける。

 

 「あー、なんだ……」

 

 その先には同じ部活の人たちがたむろしており、こちらを興味深そうに見ている。そして言いよどむ友人を見て嗚呼そういう事かと納得して、さてどうしたものかと考える。彼女たちを紹介するのは構わないけれど、同年代の男子に余り慣れていない彼女たちはあまり快くは思わないはずだ。

 

 「……そうだねえ。優勝でもしたら()()()よ」

 

 恐らく試合前に話していた所を見た先輩にでも言われたのだろう。運動部なんて上下関係が厳しい所があるし、無茶を言われて反論も出来なかったのだろう。友人の学校の剣道部がどこまで強いのかは知らないけれど『考える』と逃げ道を用意しておいたから、これで彼の苦労も少しは和らぐだろうか。

 

 「すまんな。そうしてもらえると助かる」

 

 ガリガリと短い髪を掻く友人は困った顔をしていた。

 

 「ん。ここまで来たなら優勝したいよねえ」

 

 「だな」

 

 「気張ってね」

 

 久しぶりに会ったとは思えない短いやり取りをして戻っていく彼。仲間たちと合流して暫くすると、その一団がわっと盛り上がる。恐らく、友人が『優勝したら紹介してもらえるかも』とでも伝えたのだろう。現金な理由になるけれど、それが優勝の原動力になるのならばなんでもいいのかもしれない。

 

 「何話してたの?」

 

 開いていた聖さまの席の隣に座ると、私たちのやり取りと彼が所属する剣道部の盛り上がりぶりを見ていたのだろう。不思議そうにしている面々を代表して聖さまが質問してきた。

 

 「あー……みんなを紹介してくれって頼まれました」

 

 肩をすくめて笑う私に一瞬言葉を理解できなかった面々。少し時間を置くと理解が出来たのか、驚いた顔に呆れた顔、嫌悪をありありと見せた顔にもしそうなった時にどうすればいいのか分からないという顔。それぞれに反応が違うので面白い。

 

 「なんでまたそんなことを樹ちゃんに?」

 

 「普段お近づきになれないお嬢様校の生徒で、私以外はみんな顔が良いんですよ。そりゃどうにかして知り合いになってあわよくば……って考えるでしょうね。ああ、時折M駅とかに無駄にたむろしてる男子高生と一緒なのかな」

 

 高嶺の花であるリリアン生であり、私以外は綺麗とか美人に可愛いと分類されるような人たちが揃っていれば、どうにかして縁を持ちたいと思うのは当然で。リリアン女学園の最寄り駅では、どこだかの男子高生がたむろしている時がある。リリアン女学園側もそれを認知しており、生徒に注意を促しているので問題になったことはない、らしい。

 

 「ふーん。で、樹ちゃんはどうするの?」

 

 言葉にはしなかったが紹介をするのか気になるのだろう。相手は全く知らない男子だし、もし自分が逆の立場になったのならば面倒だとか嫌だなとか、確実に思うはずだから。

 

 「断りますよ。優勝したら考えるって伝えましたし、紹介しなくても問題はないでしょう」

 

 「純情な男心を弄ぶ悪い子だなあ、樹ちゃんは」

 

 にぃと笑うと、私の意図に気付いたのか聖さまはにぃと同じような顔をして言葉を返してくれ。そんなこんなのやり取りをしているうちに準決勝が始まる。どうやら友人のチームは滅法気合が入っているようで、順調に勝ち進み決勝戦を迎え。流石に対戦相手は強い所なのか、先鋒で出場した友人は勝ったもののその後が続かず結局準優勝となる。

 試合で負けたことの落ち込み具合よりも、何故かこちらを見つめて悔しそうな顔をしている面々が多数いし、優勝した方の人たちもこちらを見ているのだけれど理由が分からない。がっくりと項垂れる男子たちの中、友人が背を押されてこちらへとまたやって来る。

 

 「ごめん、センパイ……」

 

 なんだか振り回されている友人が不憫になってきた私は代替案を思いつく。

 

 「ん、え、私?」

 

 「まあ、誰でもいいんですが……これ、アイツに投げて貰ってもいいですか」

 

 いつもの呼び方ではなかった為に少し戸惑いながら返事をした聖さまに、カバンから取り出したスポーツ飲料缶を二本を渡して、こちらへとやって来た友人を親指で指す。

 

 「いいけれど……。蓉子」

 

 間延びした声で蓉子さまを呼び、持っていた缶のうち一本を渡した聖さま。

 

 「私も?」

 

 「あー……すみません。お願いします」

 

 疑問の声に、私が言葉と共に頭を下げると『仕方ないわね』と苦笑して席を立った蓉子さまと同時、一緒に聖さまと私も席を立ちあがり友人の側まで行く。

 

 「努力賞ってことでっ!」

 

 私の言葉を聞いたと同時、聖さまが缶を投げたあと、少し遅れて蓉子さまも投げる。

 

 「すまん、助かる。――みなさんも騒がせて申し訳ありませんでしたっ!」

 

 軽く私に目くばせをした後に深々と二人に向かって友人は頭を下げて仲間の下へと戻っていくと、弱肉強食のスポーツ飲料缶の奪い合いが勃発していた。その光景を驚いた様子で見る蓉子さまにやれやれといった感じの聖さま。座っていた場所へと戻ると、みんなも呆れた顔をしており。

 

 「……男って馬鹿ねえ」

 

 ぼそり、と呟いた祥子さまの声が聞こえてきたのだった。

 

 ◇

 

 由乃さんの手術と令さまの試合が終わった週明けの月曜の朝。祐巳さんと志摩子さんと私で朝一番で令さまに手術の結果を聞きに行こうと、待ち合わせをしていたのだった。

 もしかすれば由乃さんに付きっ切りで看病しているかもと危惧したが、流石に由乃さんのご家族が居るのだし学生は学業が本分なのだから来るだろうと結論を出していた。由乃さんや令さまが登校する時間の少し前、校門で待ち伏せをして令さまを取っ捕まえたのだった。

 

 「令さまっ! 由乃さんの手術はっ!?」

 

 開口一番、祐巳さんが令さまへと本題を投げると、すわ何事かと構えていた令さまが納得した様子をみせ力を抜く。

 

 「無事に終わって何も問題はないそうだよ。由乃も目が覚めて今は普通に会話が出来るって」

 

 「そうですか……。よかったぁ」

 

 安堵の溜息を吐く祐巳さんと志摩子さん。いまだ顔の晴れない令さまは、まだ由乃さんのお見舞いには赴いていないようだ。今日は手術の結果だけ聞ければ十分なので、令さまと別れそれぞれの教室へと向かい、時間が流れ。

 

 ――翌日。

 

 薔薇の館。仕事前に由乃さんのお見舞いに行きたいと一年生三人で令さまに相談をすると穏やかに笑う令さま。あ、これは仲直りが出来たか復縁出来たかどちらかだろうなと安心し、ふと思い出す。

 

 「そういえば江利子さまは、大丈夫なんですか?」

 

 未だ姿を見せない彼女を思い出し、本題からそれてしまうが令さまならば何か知っているのではないかと聞いてみる。

 

 「え、お姉さまがどうかしたの?」

 

 嗚呼、由乃さんとの問題で姉である江利子さまがここ最近休んでいたことを令さまは知らなかったようだ。その事実を知った令さまが急に落ち着きをなくしていき。知らなかったのは仕方ない。ずっと一緒に過ごしてきた由乃さんの一大事と剣道の試合も重なったのだから。

 

 「ここしばらく熱を出して学園を休んでますよ」

 

 私をからかう人が居ないので、静かではあるが何故か落ち着かないのは、私が山百合会に馴染んでしまった証拠なのだろうか。

 

 「だ、大丈夫なの?」

 

 がくがくと目の前にいた祐巳さんの肩を令さまが揺らして取り乱しているけれど、今一番大丈夫じゃないのは目を廻している祐巳さんだ。南無、と念仏を祐巳さんに向けて唱えながら『そのうち登校するでしょう』とおざなりに答える。ただの熱なら回復すれば学園へと足を向けるようになるだろう。受験生だし、出席日数が足りないと困るのは江利子さまなのだ。それに今回の出来事を知れば悔しがるだろうし、と遠い目になる。

 

 「樹ちゃん、酷いよ。もう少しお姉さまのことも心配しても良いんじゃないかな!?」

 

 「江利子さまなら熱も楽しんでいそうなので……」

 

 うん、あの人ならば熱にうなされながらも楽しんでいそうである。本当に不味い状況ならば学園に連絡が入っているだろうしと考え、それはそれとして由乃さんのお見舞いである。脱線させたのは私だけれど、この話題を続ける訳にもいかないので元に戻してみると、退院時期も決まっているようでタイミングを見計らってお見舞いに行こうと決めたのであった。

 

 ◇

 

 どうやら江利子さまが学園へと登校したらしい。そうして放課後に薔薇の館へと呼び出しを喰らう我が一年三人組。ちなみに由乃さんはまだ入院中ではあるが、もうすぐ退院日を迎える。

 

 「全部話しましたってば、黄薔薇さま……もういいですか」

 

 再三の質問攻めにお人よしの祐巳さんも流石に匙を投げたようだ。まあ説明を祐巳さんに任せた私がいう台詞でもないけれど、今はどうにも頭が回らない。

 

 「――祐巳ちゃん。それに志摩子と樹ちゃんも……」

 

 真剣な眼差しでこちらへと視線を向け、ごくりと祐巳さんが息をのむ。

 

 「私はねこの二週間話題に置いて行かれ、あろうことか可愛い妹たちの危機だって気付かずに過ごしてきたの。その分を早く取り返したいと願うのは当然のこと――だと思わない?」

 

 にっこりと微笑んでいるけれど、この人の場合の優先度は『面白さ』である。今回の騒動も火に油を注ぎ込めなかったことから、一部始終を聞き出して何か興味を引くことがあれば、きっと由乃さんや令さまに突っ込んでいくのだろう。

 ちなみに蓉子さまと聖さまと祥子さまは逃げた。今日の放課後は雑用があると告げていたけれど、急に『明日にしましょうか』とにっこり笑いながら言い放ち逃げたのだ。私も一緒に逃げたかったのだけれど、祐巳さんと志摩子さんに腕を掴まれ。流石にこの二人の手は振りほどけないと観念し、今の状況に至る。

 

 「あの……黄薔薇さま」

 

 「なあに?」

 

 大体のことは聞き出せたのか、機嫌が良さげな江利子さま。

 

 「あの、ですね……そのぅ……」

 

 祐巳さんが何かを江利子さまに何かを問おうとしているけれど、言い辛そうにしている。祐巳さんのこういう所は珍しい。最初は緊張して言い出せないこともあったけれど、学園祭から時間が経ち随分とその状況は改善されていたのだから。

 

 「――もしかして、祐巳ちゃんも私が妊娠したと思った?」

 

 「黄薔薇さま妊娠してらっしゃったんですかっ!!?」

 

 ぶっ、と口に含んでいた紅茶を吹き出すところを寸でで阻止すると、少しむせた。そんな私を気遣って、志摩子さんが『大丈夫?』と声を掛けてくれて大丈夫と返すのだけれど、反応の薄い志摩子さんは今の言葉をどう思ったのだろうか。てっきり虫歯を直した後に体調を崩していただけだと軽く考えていたのだけれど、いつのまにそんなことになっていたのか。

 

 「しているわけないじゃない。相手もいないのに」

 

 とばっさりと疑惑は否定され。

 

 「歯医者の診断書。見せて回らなきゃいけないのかしらね」

 

 どうやら歯医者が苦手で、誰にも言えないまま痛みをずっと我慢していたそうだ。そうして痛みを耐えている娘を見かね救急車を呼び病院へと運びこまれたと。入院するほど酷いものではないけれど、ご近所の手前熱が下がるまで入院させられた、と。

 

 「いいお父さんじゃないですか」

 

 「どこがよ」

 

 「――愛している人の為ならみっともなくなってしまえるところ、かな」

 

 「ものはいいようねえ」

 

 「手厳しいですねぇ」

 

 ほのぼのと会話を交わしている二人。江利子さまは祐巳さんの言葉を否定しているけれど、良い言葉だ。年頃の娘さんが父親に対してそんな言葉を言えるのは、真っ直ぐに育った証拠なのだろう。まさにリリアンの理念にふさわしい。そういえば祐巳さんは幼稚舎から通っていたと聞いたなあと遠い目になる。

 

 「で、樹ちゃんのソレはどうしたの?」

 

 「ものもらいで切りました」

 

 私の左目には眼帯が付いている。

 

 ここ最近気になってはいたのだけれど由乃さんの手術と令さまの試合頃から酷くなり腫れてしまった。休んでいた江利子さまは知らないだろうけれど、昨日はみんなに『大丈夫!?』と声を掛けられていた。そのくらい分かるほどに腫れていたのだ。

 そうして今日の午前中は学園を休んで母と眼科へと赴き『切りましょうね』と告げられて、そのまま寝台へと直行である。何をされるのかまったく覚悟のないまま、点眼薬の麻酔を刺され『痛いけれど我慢してくださいね』と言われながら、肩を看護師さんに抑えられてメスで切られたのだ。

 

 「いつから?」

 

 「一週間と少し前ですね」

 

 「貴女、人のことは言えないんじゃないかしら?」

 

 早く歯医者に行けと告げたことを根に持っているのだろう。我慢したことをここぞとばかりにくすくすと笑いながら突っ込んでくれた。江利子さまと私の会話についていけない二人が首を傾げるけれど、お互いにあまり知られたくはないのでスルーする。

 

 「そうですね。でも、もう一生切りません」

 

 「あら、どうして?」

 

 「ものもらいを切られた痛みを耐えるなら、腫れた痛みを耐えた方がマシです。マジで痛いですから」

 

 いや、本当に痛かった。声にならない声は出るし、押さえつけられているので身動きは出来ないし、点眼薬の麻酔は気休め程度だったのだから。

 

 「そう。――令の試合も観れなかったし、貴女のそんな姿も見えなかっただなんてタイミングが悪かったのね」

 

 そういって苦笑いをする江利子さま。

 

 「あ、令さまの試合なら樹さんがビデオを撮っていましたよ」

 

 祐巳さんのその言葉に江利子さまの目の色が変わるのは一瞬だった。あれよあれよという間に言いくるめられて、何故か我が家に江利子さまが遊びに来ることになるのは、祐巳さんが言葉を発した時点で確定事項だったのかもしれない。

 

 




 7150字

 聖さまは興味本位で男子の試合を観るためにオリ主に着いて行き、そしてそんな聖さまが気になるが為に聞き耳を立て、適当に理由をでっち上げた蓉子さまがエモいなあと考えつつ書いてたら、なんだか方向性が……。まあ祥子さまの最後の言葉で満足です。

 余談:ものもらいを切ったのは痛かったです。
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